批判的思考力を鍛える方法12選!研修の内容も紹介
- ビジネススキル
- 研修
- クリティカルシンキング

大学卒業後、クラシック音楽業界にて制作・マネジメント・プロデュースに従事し、アートと教育の融合をテーマに、「体験を学びとして届ける」手法を追求してきた。
その後、体験型コンテンツ会社を経て、株式会社IKUSAにクリエイティブプロデューサーとして入社。
現在は研修事業部の責任者として、体験型・ゲーム型の社員研修事業を統括している。
ユーザー視点に立ったサービス開発を得意とし、「楽しさが行動変容を生む」という信念のもと新しい研修体験を創出している。
最近注目を集めているビジネススキルの1つに、「批判的思考力」があります。批判的思考力とは、その名の通り批判的思考(クリティカルシンキング)を行うスキルのことです。
本記事では、そもそも批判的思考とはどのような思考法なのかを簡単に解説したあと、個人で批判的思考力を鍛える方法、企業が社員の批判的思考力を鍛える方法を紹介します。
批判的思考とは?
批判的思考とは、物事を批判することで本質を見極め、最適な結論を導き出す思考法のことです。「クリティカルシンキング」とも呼ばれています。
「批判」とは、物事の真意、良し悪しを検討して、評価や判断をすることを意味します。「否定」や「非難」と混同しないように注意しましょう。
言われたことや得られた情報を鵜呑みにするのではなく、「本当にそうなのだろうか?」「ほかの意見はないのだろうか?」「根拠や証拠はあるのだろうか?」と、さまざまな角度から検証して深く考えるのが批判的思考の特徴です。
ビジネスパーソンに批判的思考力が求められる理由
ビジネスパーソンに批判的思考力が求められる理由は、意見や情報をそのまま鵜呑みにすると、誤った判断につながる可能性があるためです。
たとえば、上司から「以前はこのやり方で成功したので、同じように進めてください」と指示を受けた場合、その方法が今も通用するとは限りません。通用はするとしても、ほかに最適な方法がある可能性もあります。
また、インターネットやSNSで得られる情報も、安易に信じるのは危険です。発信者が誰なのか分からないことも多く、同じ出来事やデータであっても、解釈や捉え方は人によって異なります。そのまま信じると、判断を間違ったり、ミスやトラブルにつながったりする恐れもあるでしょう。
多くの情報があふれている時代だからこそ、物事を客観的に捉え、根拠を確認しながら分析する批判的思考力が、ビジネスの現場でますます重要になっているのです。
個人で批判的思考力を鍛える方法7選
批判的思考は、誰でもトレーニングをすることで身につけ、伸ばしていくことができるスキルです。ここからは、個人で批判的思考力を鍛える方法を7つ紹介します。
1.「批判的思考とは何か」を理解する
批判的思考力を鍛えたいなら、まずは批判的思考(クリティカルシンキング)に対する理解を深める必要があります。批判的思考とはどのようなものか、実践方法、ビジネスにおける重要性や、活用できる場面などです。
批判的思考を学ぶ具体的な方法としては、研修を受ける、動画で学ぶ(eラーニングなど)、本を読む、勉強会に参加するなどが考えられます。
簡単にではありますが、以下の記事でも批判的思考を解説していますので、よろしければ参考にしてください。
クリティカルシンキングとは?ロジカルシンキングとの関係や実践方法を解説
ロジカルシンキングとクリティカルシンキングの違いとは?定義やメリット・注意点を解説
2.まずは疑ってみる
お伝えしたように、言われたことや得られた情報を鵜呑みにすると、判断を間違ってしまうことがあります。批判的思考力を鍛えたいなら、まずはあらゆる意見や情報を疑う癖をつけることが重要です。
【例】
- 「これが最善策です」と言われ、提案をされた場合
→「本当にそうなのだろうか?」「なぜ最善策と言い切れるのだろうか?」などと疑ってみる。 - 「実際にこのようなデータがあります」と言われ、データを示された場合
→「これは信頼できる正しいデータなのだろうか?(どこで得たものなのか?一次情報なのか?)」「ほかの調査でも同様の結果が得られているのだろうか?」などと疑ってみる。
このように、意見や情報をそのまま受け取るのではなく、まず疑いを持ち、疑問点を調べて検証することで、適切な判断ができるようになります。
また、誰かに言われたことや、与えられた情報だけでなく、自分自身を疑うことも重要です。誰にでも思考の癖があり、ときには「思い込み」をしてしまうこともあるからです。最初はなかなか難しいかもしれませんが、一歩引いたところから客観的に自分自身を見ることも意識してみてください。
3.事実と意見を分ける
相手の話を聞く際、内容を頭のなかで事実と意見に分けるのも、批判的思考力を鍛えるトレーニングになります。事実とは「実際に起こったことや、存在すること」、意見とは「その人の解釈や推測、判断」を意味します。
たとえば、部下から「まだ正式に契約はとれていませんが、相手の反応は悪くありませんでした。」という報告があったとします。この場合、事実は「まだ正式に契約はとれていない」のみで、「相手の反応は悪くなかった」の部分は部下の個人的な解釈になります。
ビジネスの場では、相手に何かを伝える際も、事実と意見を分けて説明することが重要です。特に、まず事実(=結論)を明確に伝えることを意識しましょう。先ほどの例でいうと、上司から「今日の商談はどうでしたか」と聞かれた際に、「相手の反応は悪くありませんでした」という報告だけでは、上司に「結局、結果はどうだったのか」と疑問を持たれてしまいます。ビジネスでは、結論から簡潔に伝える姿勢が求められます。
4.視点を変えてみる
批判的思考は、1つの物事を多角的に分析・評価することが重要です。1つの角度からではなく、いろいろな視点から考えることを意識しましょう。何かを考えるときは、「ほかの捉え方できないだろうか?」「自分は偏った見方をしていないだろうか?」と、自分に問いかけてみてください。そうすることで、新たな視点に気づけることがあります。
とはいっても、誰にでも思考の癖や偏りはあるものなので、視点を変えるというのは意外と難しいものです。そんなときに役に立つ、「オズボーンのチェックリスト」という考え方を紹介します。
オズボーンのチェックリスト
「オズボーンのチェックリスト」とは、アメリカの実業家であるアレックス・F・オズボーン氏により考案された発想法です。ある物事やテーマについて、以下の9つの質問に答える形でアイデアを考えます。
- 転用:ほかの使い道はないだろうか?
- 応用:ほかに似ているものや真似できそうなものはないだろうか?
- 変更:色、動き、様式、型などを変更できないだろうか?
- 拡大:大きさや高さ、時間、頻度など拡大できるものはないだろうか?
- 縮小:逆に縮小できるものはないだろうか?
- 代用:ほかの何かで代用はできないだろうか?
- 置換:何か置き換えられるものはないだろうか?
- 逆転:前後、左右、上下、役割などを逆にしてみるのはどうだろうか?
- 結合:組み合わせたり混ぜたりすることはできないだろうか?
十分検討を重ねたつもりでも、この「オズボーンのチェックリスト」当てはめて再度考えてみると、新たな気づきが得られることがあります。ぜひ、活用してみてください。
5.仮説を立てる
批判的思考では、仮説を立てて検証することも求められます。「物事を多様な視点で見る → 自分なりの仮説を立てて検証する」という流れを繰り返すことも、批判的思考力を鍛えるトレーニングとして有効です。
たとえば、「商品Aの売上が落ちている」という事実があった場合、流行やトレンドの変化、競合商品の出現、自社の企業イメージの影響など、さまざまな原因が考えられます。これらを仮説として設定し、データを収集して検証していきます。
その際、集めたデータについても「正確なのか」「信頼できる情報なのか」と疑い、裏付けを取ることが重要です。
6.ディスカッションをする
批判的思考をビジネスの場で活用するためには、頭のなかで考えを整理できるだけでなく、批判的思考に基づいてまとめた自分の考えを言語化し、相手に分かりやすく伝えられることが重要です。考えをまとめ、伝える練習の場として、定期的にディスカッションを実施するのもおすすめです。
どのようなスキルも、実際に使い、他者からフィードバックを受けることで磨かれていきます。ディスカッションを通じて自分の考えを伝えることで、自分では気づきにくい思考の癖や偏り、直感に頼っている部分を指摘してもらえることもあります。こうした気づきの積み重ねが、批判的思考力の向上につながるでしょう。
7.論理的思考(ロジカルシンキング)を身につける
論理的思考(ロジカルシンキング)とは、「物事の要素を体系的に整理し、筋道を立てて矛盾のない答えを導き出す思考法」のことをいいます。
ただ、批判的思考も論理的思考も、決まった定義があるわけではありません。記事や資料によって、2つの思考法の「違い」の説明も異なります。しかし、この2つは密接に関連しており、分離するのは難しいものと考えられます。批判的思考と論理的思考をセットで使えるようになると、物事をより深く考えることができるようになり、結論の質も高められるでしょう。
具体的には、以下のように組み合わせて使うことができます。
- まず批判的思考で物事を検証し、仮説を立てる。
- 論理的思考のフレームワーク(ロジックツリー、ピラミッドストラクチャー、SWOT分析など)を使って、物事を分析・整理し、論理を組み立てる。
- 筋道や要素が「本当にこれでよいのか?」を、批判的思考で検証する。
- 最後に結論づける。
社員の批判的思考力を鍛える方法5選
次に、「社員に批判的思考力を身につけてもらいたい」とお悩みの人材育成担当者様に向けて、社員の批判的思考力を鍛える方法を6つ紹介します。
1.研修を実施する
批判的思考力を個人で鍛える方法でも紹介したように、まずは社員に批判的思考力について理解を深めてもらう必要があります。そのためには、研修が有効です。
批判的思考力は、知識をインプットするだけでは、「仕事で使えるようになる」のはなかなか難しいものです。どのように実践するのかを学んでもらうために、研修のなかでアウトプットの機会(体験型のプログラム)を設けることをおすすめします。
株式会社IKUSAが提供する「あそぶ社員研修」は、多くのプログラムにチームビルディングにつながるアクティビティが取り入れられています。ここで、批判的思考力を鍛える研修の一例として、「あそぶ社員研修」の研修プログラムを2つ紹介します。
クリティカルシンキング研修
「あそぶ社員研修」のクリティカルシンキング研修は、主に中堅社員やリーダーを対象とした研修プログラムです。1日かけて、クリティカルシンキングのやり方、ロジカルシンキングとの違い、仕事への活かし方などを学びます。
本研修では、まず4~6名ずつのグループに分かれて「混乱する捜査会議からの脱出」という体験型推理ゲームを実施し、クリティカルシンキングを体験していただきます。その後、アクティビティの振り返りを行い、クリティカルシンキングに関する講義・ワークという流れです。
クリティカルシンキング研修
ロジカルシンキング研修
お伝えしたように、批判的思考(クリティカルシンキング)と論理的思考(ロジカルシンキング)は切り離せるものではありません。ロジカルシンキング研修を受けることで、思考の質をより高められるでしょう。
「あそぶ社員研修」のロジカルシンキング研修は、主に新人や若手社員を対象とした研修プログラムです。1日を通して、ロジカルシンキングのやり方やフレームワーク、仕事への活かし方を学びます。対面、オンラインの両方に対応可能です。
本研修でも、まず4~6人ずつのグループに分かれてアクティビティを実施し、ロジカルシンキングを体験していただきます。実施するのは、「リアル探偵チームビルディング」という、ジグソー法をもとに開発したゲームです。その後、アクティビティの振り返り、ロジカルシンキングに関する講義・ワークという流れとなっています。
ロジカルシンキング研修
2.日常のなかでトレーニングの機会を提供する
どのようなスキルも、一朝一夕には身につきません。何事も、普段から実践を積み重ねていくことが大切です。社員に批判的思考力を高めてほしいなら、日常の業務のなかで、できるだけ批判的思考を実践する機会を与えるとよいでしょう。
たとえば、会議を行う際に、導き出された結論を批判したり、あえて反対意見を言ったりする時間を作るという方法があります。あえて反対意見を言う役割は、「悪魔の代弁者」とも呼ばれます。多くの場合、会議は時間が限られているので、「この結果でよいでしょう」という空気になりやすいものです。「悪魔の代弁者」になる時間を作ることで、重要事項の見落としを防ぎ、より良い結論を導き出せるようになるでしょう。
そのほか、上司から部下に、批判的思考を促す声かけをするのも有効です。たとえば一緒に振り返りをする際に、「これは本当にそうだと思いますか?」「ほかの見方は考えられないでしょうか?」などと一言添えるだけで、部下は新たな視点に気づけることがあります。
3.フィードバックを与える
研修でも日常の業務のなかでも、社員に批判的思考のトレーニングの機会を与えたら、あわせてフィードバックをすることも忘れないでください。お伝えしたように、批判的思考は多角的に物事を考えることが重要なので、できれば多様なバックグラウンドを持つ人たちと意見を交わし、フィードバックを受けられる機会を提供できるとよいでしょう。
批判的思考を仕事に活用できるようになるには、「実践 → フィードバック → 改善して実践」の流れを繰り返すことが大切です。社員の批判的思考力を鍛えたいなら、会社からもトレーニングとフィードバックの機会を定期的に提供しましょう。
4.基本の思考法やフレームワークを教える
いきなり思考を「批判的に」「論理的に」と言われても、なかなか難しいものです。批判的思考や論理的思考には、基本となる考え方や便利なフレームワークがあります。社員の思考力を高めたいなら、これを社員に教えるものよいでしょう。以下は、その一例です。
So What? / Why So? | 「So What?(つまり、どういうことなのか?)」、「 Why So?(なぜ、そのように言えるのか?)」という2つの問いかけを繰り返すことで、因果関係を明らかにする考え方。 |
MECE | 「モレなく・重複なく」物事を捉えるための考え方。MECEはMutually(相互に)、Exclusive(排他的な)、Collectively(集合的な)、Exhaustive(網羅的な)の4つの英単語の頭文字をとったもの。 |
ピラミッドストラクチャー | 主張とその根拠を、ピラミッド状の図に整理するフレームワーク。頂点に主張を置き、ピラミッドの2段目以降に根拠を配置する。 |
MECEやピラミッドストラクチャーについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
MECEとは?アプローチ方法・フレームワークについて解説
ピラミッドストラクチャーとは?作り方や活用の具体例を解説
5.自主学習を支援する
社員に批判的思考力を高めてほしいなら、自主的に学びたい社員を後押しする環境作りも欠かせません。具体的には、以下のような支援が考えられます。
- 批判的思考についてわかりやすく学べる本を紹介する
- 批判的思考を学べるeラーニングや動画教材を用意する
- 社内でディスカッションや勉強会を定期的に実施する など
可能なら、初心者向け、中・上級者向けなどレベル別に用意できるとよいでしょう。
まとめ
批判的思考力は、急に高められるものではありません。日々トレーニングを積み重ねていくことが大切です。個人としては、普段から前提を疑い、客観的かつ多角的な視点で物事を見て考えることを意識してみてください。会社としては、社員に批判的思考を学ぶ・実践する機会をできるだけ多く提供できるとよいでしょう。
批判的思考を学ぶなら、研修が有効です。「あそぶ社員研修」の実施も、ぜひ検討してみてください。
以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。 1.合意形成研修 合意形成研修のアクティビティ「コンセンサスゲーム」では、危機的な状況下でどの物資を優先して確保すべきかをチーム内で議論し、最適な結論を導きます。 学びのポイント 2.PDCA研修 PDCA研修のアクティビティ「ロケットPDCAチャレンジ」では、パーツを組み合わせてロケットを制作し打ち上げ結果から原因を考えて、より良く飛ぶロケットに改善していき、目標の達成を目指します。 学びのポイント 3.戦略思考研修 戦略思考研修のアクティビティ「ワールドリーダーズ」では、労働力や資本を使って事業を設立し、利益を稼ぐことを目指します。 学びのポイント 4.コミュニケーション研修 コミュニケーション研修のアクティビティ「謎解き脱出ゲーム」では、チームでコミュニケーションをとりながら問題に隠された法則を発見する謎解きゲームのクリアを目指します。 学びのポイント 5.ロジカルシンキング研修 ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します。 学びのポイント 6.クリティカルシンキング研修 クリティカルシンキング研修のアクティビティ「混乱する捜査会議からの脱出」では、推理ゲームで論理的に情報を整理するなかで証拠の違和感に気づき、仮説立てや検証を行って目標を達成します。 学びのポイント 7.リーダーシップ研修 リーダーシップ研修のアクティビティ「グレートチーム」では、チームの運営を疑似体験することでリーダーシップやマネジメントを学びます。 学びのポイント 8.ビジネスマナー研修 ビジネスマナー研修のアクティビティ「ビジトレ」では、実践形式・クイズ形式のアクティビティを通して、ビジネスマナーを楽しく学びます。 学びのポイント 9.防災研修 防災研修のアクティビティ「先が見えない防災訓練からの脱出」では、チームで協力して、防災のアイテムや知識を使用しながら謎解きゲームのクリアを目指します。 学びのポイント 10.OODA LOOP研修 OODA LOOP研修では、瞬間的な判断力が求められる運動系のアクティビティである「サバイバルゲーム」または「チャンバラ合戦」を実施することで、意思決定のフレームワークである「OODA LOOP」を実践的に習得することを目指します。 学びのポイント
この記事の著者
あそぶ社員研修は、企業の研修担当者向けのお役立ち情報を発信するメディアです。研修に関するノウハウ、組織・人材開発の手法、ビジネススキルなどをわかりやすく紹介します。






