ロジカルシンキングとクリティカルシンキングの違いとは?定義やメリット・注意点を解説

2023.10.10
  • ビジネススキル
    • クリティカルシンキング

ロジカルシンキングの類似用語として、クリティカルシンキングが挙げられます。「なんとなく意味は知っているものの、違いがよくわからない」という方もいらっしゃるでしょう。

本記事では、「ロジカルシンキング」と「クリティカルシンキング」の定義をはじめ、違いやそれぞれのメリットなどについて詳しく解説します

 

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ロジカルシンキングとは

はじめに、ロジカルシンキングの定義や、ロジカルシンキングが必要な理由について解説します。

1.   ロジカルシンキングの定義

ロジカルシンキングは、「論理的な思考法」のことです。具体的には、テーマに関連する各種要因や要素を、論理的な方法で分析・整理し、全体を捉えたうえで、より的確な判断や解決策を導く能力やプロセスを指します。つまり、感情や偏見に左右されず、客観的な視点で情報を整理し、論理的な手順に基づいて問題を解決するスキルのことです。

参考:図解入門ビジネスロジカル・シンキングがよーくわかる本(書籍)

2.   ロジカルシンキングの必要性

ロジカルシンキングを理解し、身につけて実際に使えるようなると、より効果的な問題解決や適切な意思決定が可能になります

また、現代はグローバル化に伴い多様化が進行している時代です。他国からの文化や異宗教など、さまざまなバックグラウンドや考え方を持つ人々とコミュニケーションを取る機会も増えています。ロジカルシンキングを身につけておけば、考え方が異なる場合でも、自分の立場や意図をより明確にわかりやすく伝えられ、適切なコミュニケーションが成立するしょう。

3.   ロジカルシンキングを構成する6つの要素

ロジカルシンキングは6つの要素によって構成されています。以下では、それぞれの要素について解説します。

①   筋道が通っている

ロジカルシンキングでは、主張や意見に筋道が通っていることが重要です。問題解決や意思決定の過程において大切な要素といえます。

②   バイアスにとらわれない

バイアス(偏見・思考の歪み)があると物事を判断するときに客観的に分析することが難しくなってしまいます。ロジカルシンキングでは、できる限りバイアスを避け、バランスよく全体を捉えることが重要です。

③   合理的な思考を持つ

合理的な思考を持って、物事の優先順位をつけることもロジカルシンキングの要素のひとつです。何か問題が生じた場合、解決するためには何を優先すれば効率的に解決できるかなどを合理的に考えます。

合理的思考を持つことで、費用対効果を高めることができるでしょう。

④   物事を適切に分解できる

問題解決において、物事を適切に分解できることは非常に大切です。問題が起きたときに何が原因だったのかを一つひとつ分解して把握することで、問題解決につながる解決策が導きやすくなります。

⑤   因果関係を正しく把握できる

分析することと同様に、原因と結果を結びつける因果関係を正しく把握できることも必要な要素です。因果関係が把握できていることで、問題の本質の把握に役立ちます。

⑥   定量的に思考する

ロジカルシンキングに限らず、言葉の定義や数字の意味を理解したうえで、定量的に思考することが大切です。

ロジカルシンキングの4つの手法

ロジカルシンキングには4つの思考法があります。論理的に思考を展開させていくために、以下の4つの思考法が役立ちます。

思考法

特徴

ゼロベース(リセット)思考

すべての既成概念を取り払い、ゼロ(白紙の状態)にリセットして新しい方向性のもと、物事を考える思考法

フレームワーク(枠組み)思考

物事それぞれを最適なフレーム(枠)に当てはめ、関連要因や要素の漏れのない状態で全体を整理し、分析することで適切な結論を導き出す思考法

オプション(選択肢)思考

はじめに十分に吟味し、甲乙つけがたいと判断される選択肢を想定し、それぞれの案について議論や客観的評価を通して厳しく評価することで最終的に1つを選択する思考法

プロセス(過程)思考

時間の概念を取り入れて事象を捉え、事象全体を一連の流れ(過程)として把握し、整理して考える思考法

参考:図解入門ビジネスロジカル・シンキングがよーくわかる本(書籍)

クリティカルシンキングとは

続いて、クリティカルシンキングの定義や、クリティカルシンキングが必要な理由について解説します。

1.   クリティカルシンキングの定義

クリティカルシンキングは直訳すると「批判的思考」ですが、意味通り物事に批判的な思考を持つことではありません

日常生活や仕事中に自分が無意識にしている行動や考え方を、「本当に正しいのか?」と意識化し、客観的・分析的に振り返るという意味です。つまり、物事を「論理的・構造的に思考するパターンのこと」といえるでしょう。

2.   クリティカルシンキングが必要な理由

分析・推論・伝達といったクリティカルシンキングのスキルは、円滑なコミュニケーションにおいて重要です

現代は、多く情報があふれていますが、すべてを鵜呑みにしていては適切に物事を判断しにくくなります。そのため、情報を批判的に吟味し、検討することが欠かせません。クリティカルシンキングは、このように「批判的な視点を持って吟味する思考」であり、現代に欠かせない思考法といえるでしょう。

参考:岩崎, 豪人. クリティカル・シンキングのめざすもの. 京都大学文学部哲学研究室紀要 2002, 5 p17

3.   クリティカルシンキングの3つの姿勢

クリティカルシンキングには、土台となる3つの姿勢があります。それぞれの姿勢について解説しましょう。

①   「何が目的なのか」を意識する

クリティカルシンキングでは、まず前提を疑い、多面的に検討していきます。そのため、目的は何かを意識することが大切です。

目的を忘れてしまうと、本来のゴールを見失ってしまうかもしれません。課題のゴールを常に意識しておけば、さまざまな角度から思考する範囲が広くなっても、迷ったり立ち止まったりせずにすむでしょう。

②   思考のクセに左右されずに考える

人は、今までの経験から思考のクセや偏りがあります。偏った思い込みが反映されてしまうと、適切な結論は導き出せません。

クリティカルシンキングでは、「人には思考のクセがある」ことを前提としています。常に「この意見は自分の思考のクセが入っているかもしれない」「好き嫌いや偏見が結論に反映されていないだろうか」と考えることが大切です。

③   結論に至っても考え続ける

たとえ結論に至っても、考えを止めずに問い続ける姿勢が必要です。「なぜ?」「本当に?」と繰り返し考え続けることで、物事の本質がより明確になります。考え続ける姿勢を持つことで、適切な解決策にたどりつけるでしょう。

ロジカルシンキングのメリット

ロジカルシンキングを身につけておくと、さまざまな場面で役立ちます。以下では、具体的なロジカルシンキングのメリットを紹介しましょう。

①    分析力が向上する

ロジカルシンキングを習得することで、目の前の状況や直面した課題に対し、分析力が身につきます。たとえば、物事や問題を分類して考える、原因と結果を把握したうえで因果関係を確かめるなどです。

感情に左右されず、原因と結果の関係性を分析する能力がつくことは、ロジカルシンキングの大きなメリットといえるでしょう

②    コミュニケーション能力が向上する

ロジカルシンキングを身につけたり、鍛えたりすることは、コミュニケーション能力の向上につながります。ロジカルシンキングによる客観的な視点を身につけていると、他者と意見が異なる場合などでも上手く折り合いをつけられるようになります。仕事で新たなプロジェクトや商品などの提案をするとなった場合でも、提案内容に説得力が生まれるでしょう。

ロジカルシンキングは、対立を抑制し、人間関係を円滑に維持できる思考法ですビジネスに限らず、日常生活にも活かせます

③    常に抜かりなく考えられるようになる

ロジカルシンキングを身につけることで、物事を常に抜かりなく考えられるようになります。やるべきことや、考えるべきことの抜けや重複がなくなるでしょう

たとえば「営業部の売り上げがノルマに達していない」といった課題が発生した場合、営業部の社員を叱責するだけでは問題は解決しません。考えられる要因を抜けや重複なく列挙し、「営業部の人員不足」「ターゲットが外れている」などの要因が出た場合、改善が必要なのは採用とマーケティングを担う部門であることが把握できます。根本的な要因が改善されないまま、営業部ばかりが叱責されると、従業員のエンゲージメントや仕事に対するモチベーションは低下すると考えられ、経営にも悪影響を与えるでしょう。

ロジカルシンキングの注意点

ロジカルシンキングにはさまざまなメリットがありますが、理解しておくべき注意点もあります。

コミュニケーションを取る際は、正論や論理だけを相手に伝えても上手くいきません。たとえば、相手の感情や考えに配慮せずに正論だけを押しつけても人間関係をこじらせてしまうだけで終わってしまうリスクがあります。何か提案するときや物事を伝えるときは、相手の感情を汲み取って伝え方を工夫するとよいでしょう。

クリティカルシンキングのメリット

情報が豊富な現代において、クリティカルシンキングを身につけておくと、さまざまな場面でメリットを得られます。

①   物事の本質が見極められる

クリティカルシンキングは、物事の前提に対して「本当に正しいのか」「どうしてこうなるのか」と問いかけを続ける思考法です。そのため、物事の本質にたどりつきやすくなるメリットがあります

クリティカルシンキングでアイデアを整理し、評価することで、実現可能なアイデアを選択できるようになるでしょう。

②   問題解決能力が向上する

問題解決には、正確な情報を収集・分析・評価し、適切な解決策を導き出す能力が必要です。クリティカルシンキングによって、このような問題解決に必要な能力を磨けるでしょう

物事の矛盾や思考の漏れを減らせるため、議論を効率的に進められ、問題解決につなげられます。

③   新たなアイデアが生まれやすくなる

クリティカルシンキングで事実と根拠に基づいて分析することで、結論を導き出すことが可能です。問題に対して客観的に見ることができ、新しい視点を発見できるのは大きなメリットといえます

クリティカルシンキング使用時の注意点

クリティカルシンキングで前提を掘り下げていく際は、相手への伝え方に注意しましょう。直球で「本当にこの指示で合っていますか?」と質問すると悪い印象を与える恐れがあります。「念のため確認ですが、」など、一言添えて配慮することが大切です。

ロジカルシンキングとクリティカルシンキングの違い

ロジカルシンキングとクリティカルシンキングは、どちらも問題解決の際に重要となる思考法です。

「ロジカルシンキング」は筋の通った思考「クリティカルシンキング」は批判的な思考のこと。物事の前提条件を掘り下げるクリティカルシンキングは、ロジカルシンキングの精度を上げるための思考法といえるでしょう。

 

ロジカルシンキング

クリティカルシンキング

目的

与えられた情報や前提に基づいて、因果関係や関連性を理解し、結論や解決策を導き出すこと

与えられた情報や主張の信頼性や妥当性を評価し、
バイアスや偏見に左右されずに客観的な判断を下すこと

焦点

「物事を要素ごとに分解し、筋道を立てて考えること」に焦点を当てている

「その考えが正しいのか、検証して本質を見極めること」
に焦点を当てている

特徴

根拠を積み上げて結論を導く

問題解決プロセスのなかで、問題設定する際
「意識的に問いを切り替えて問題を捉え直す」

ロジカルシンキングとクリティカルシンキングを組み合わせた思考法

ロジカルシンキングとクリティカルシンキングは、関係性が深い思考法です。2つの思考法を上手く使い分け、組み合わせることで、物事の検証・分析が効果的に実施できます。

ここでは、ロジカルシンキングとクリティカルシンキングを組み合わせたプロセスの例を紹介します。

①はじめにクリティカルシンキングで検証する

問題解決のために、まずはクリティカルシンキングで、問題の全体像を確認します。

考えるテーマが誤っている場合は、いくら検証を繰り返しても最善の答えを導き出すことはできません。最初に目的やゴールを明確にしてから、検証を行うことが大切です。

②ロジカルシンキングのフレームワークを活用する

続いて、ロジカルシンキングの手法の1つ、フレームワーク思考を活用し、問題を整理・分析します。以下はロジカルシンキングのフレームワークの代表例です。直面している問題に最適なフレームワークを活用しましょう。

【ロジカルシンキングの代表的なフレームワーク】

フレームワーク名

効果

ロジックツリー

情報を整理できることで最善の選択肢を探せる

SCAMPER

アイデア発想の枠を広げられる

ピラミッドストラクチャー

要約力を身につけ、相手に理由や必要性について説得力を持って簡潔に伝えられる

SWOT分析

要素を組み合わせることで効果的な企業戦略を打ち出せられる

SMARTの法則

SMARTに沿って目標を確認することで的確な目標設定が可能

PDCA

適切なPDCAサイクルを維持することで継続的に業務改善が可能

④   再度クリティカルシンキングで検証する

ロジカルシンキングのフレームワークで洗い出された要素に対して、再度クリティカルシンキングを使います。クリティカルシンキングによって、無駄な要素を排除しましょう。

ロジカルシンキングとクリティカルシンキングは、交互に用いて検証することが大切です。

⑤   最後に結論と実行方法を導き出す

ロジカルシンキングである程度の思考の整理ができたら、再びクリティカルシンキングを活用して「立てた道筋や要素はこれでいいのか」と検証を繰り返します。最後に結論と実行方法を導き出しましょう。

ただし、固定観念があると検証を繰り返しても有効性が低下してしまうため、注意が必要です。

まとめ

ロジカルシンキング(論理的思考力)は、「物事を論理的に整理できる思考法」。一方でクリティカルシンキング(批判的思考法)は、「ある物事の前提となる事実を明らかにして、多角的・論理的に考える思考法」です。どちらも問題解決の際に重要となる思考法で、クリティカルシンキングはロジカルシンキングの精度を上げるための考え方といえます。

ロジカルシンキングとクリティカルシンキングは、ビジネスパーソンにとってすばらしい武器です。コミュニケーション能力や問題解決能力の向上も期待できるため、どちらの思考法も身につけておくと役立つでしょう。

 

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この記事の著者

藤 琴乃

フリーランスのWebライター。大学卒業後はバレエダンサーや法人営業、Web編集職、Webディレクター職を経験。記事作成に限らず、企画立案やオウンドメディアの立ち上げ、オンライン事務など幅広い仕事に携わっています。

藤 琴乃

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