グループワークの進め方や効果的に進めるポイントを解説
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大学卒業後、クラシック音楽業界にて制作・マネジメント・プロデュースに従事し、アートと教育の融合をテーマに、「体験を学びとして届ける」手法を追求してきた。
その後、体験型コンテンツ会社を経て、株式会社IKUSAにクリエイティブプロデューサーとして入社。
現在は研修事業部の責任者として、体験型・ゲーム型の社員研修事業を統括している。
ユーザー視点に立ったサービス開発を得意とし、「楽しさが行動変容を生む」という信念のもと新しい研修体験を創出している。
近年、採用選考や社内研修の場にグループワークを取り入れる企業が増えてきました。グループワークを実施することで、参加者の協調性や積極性を推し量ることができます。グループのメンバーとの協力が不可欠なので、社員間のコミュニケーションを活性化するのにも有効です。
しかし、そもそもグループワークとはどんなものなのか、どうやって進めていけばいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、グループワークの進め方や効果的に実施するポイントを解説します。
グループワークとは
グループワークとは、複数の人間(group)で行う共同作業(work)です。参加者を数人ずつのグループに分け、あらかじめ設けられたテーマに沿ってディスカッションや作業をしたうえで、何かしらの成果物や結論を発表してもらうという形式で行われます。4〜6人程度で1グループとなり、30〜40分程度の時間内に共同作業を行うのが一般的です。
参加者のリーダーシップやコミュニケーション能力などを評価・育成できるため、新卒採用やインターン、社内研修などで実施されています。メンバー間の相互理解を深めることにも役立ち、社内交流やチームビルディングを目的とした研修でもよく用いられている手法です。
グループディスカッションとの違い
グループワークと同じような言葉に「グループディスカッション」があります。どちらも与えられた課題に対して、メンバーそれぞれが意見を出し合う点は共通していますが、グループディスカッションの場合、議論をメインとしているのが特徴です。意見が対立したときの受け止め方や、反論の仕方など、議論の過程を評価したいときに有効です。1つのテーマに対して話し合い、制限時間内に結論を出します。
一方、グループワークは、グループディスカッションをした後に、成果物を作成・発表するという流れで実施されます。成果物まで求めることで、時間配分の意識や成果物のクオリティに対するこだわり、目的意識などを評価しやすくなります。アウトプットを導き出す過程を確認できるので、グループワークのほうが個人の特徴や能力を評価しやすいといえるでしょう。
グループワークの種類
グループワークにはいくつかの種類があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.プレゼン型
グループワークの種類として、最もオーソドックスなものがプレゼン型です。参加者は与えられたテーマについてグループで話し合い、最終的に1つの結論を導きます。自分の意見を伝えたうえで、他者の意見にもしっかりと耳を傾け、さらに限られた時間の中でグループとしての意見をまとめて発表しなければなりません。実際のビジネスシーンに近いイメージで、論理的思考やコミュニケーション能力、傾聴力などを評価・育成できます。
2.作業型
作業型は、ディスカッションに加えて、実際に手を動かして何かを作る「作業」が発生するのが特徴です。テーマ例として「企業のPRポスターを制作する」「50枚の画用紙を使って、10分以内にできるだけ高いタワーを作る」などが挙げられます。1人の力ではなくチームで協力して、共同作業を行う、形のあるものを作成する、またはベストな答えを導くことが、作業型グループワークの特徴です。限られた時間で議論・作業をしなければならないので、計画性を評価したい場合に便利です。またパソコンなどを使う場合、どれくらいの実務スキルがあるかを判断できます。
3.アクティビティ型
楽しさを重視したアクティビティ型は、採用選考よりも研修で用いられることが多いテーマです。アクティビティを通して参加者同士の交流を促し、コミュニケーション能力や発想力などの見極め・育成が可能です。プレゼン型や作業型に比べてエンターテイメント要素が高く、くだけた雰囲気のなかで進めることができるため、参加者の素が出やすくなります。ビジネススキルだけでなく、メンバーの個性を評価し伸ばしたい場合に適しています。
グループワークの進め方
グループワークを有意義なものにするために、具体的な進め方のコツを押さえておきましょう。
1.グループワークの概要を説明する
グループワークとはどのようなことを行うのか、具体的なことがよくわからないと参加者が混乱してしまいかねません。そうなるとグループワークのメリットが半減してしまいます。グループワークを実施するうえで、欠かせないのが必要な情報の共有です。グループワークの概要や目的について、以下の内容を最低限盛り込んで説明しましょう。
- 今回開催するグループワークの目的
- ルール説明
- 時間制限
- 注意点
企業によって実施時間はまちまちですが、一般的には30〜40分程度です。グループワークの概要を説明したら、質疑応答の時間を設けましょう。
2.役割を決める
次は役割分担です。役割を明確に決めさせない企業もあるようですが、グループワークは限られた時間内に進めなければならないので、効率良く議論を進めていくためにも役割分担したほうがいいでしょう。役割をきちんと決めることにより、グループワークの進行がスムーズになりますし、評価もしやすくなります。
役割の決め方には、主に3つのパターンあります。
- 役割を決める時間をあえて明確に定めず、そこまで自分たちでできるかどうかも含めて見る
- 役割を決める時間は与えるが、どのような役割があるかは自分たちで決めさせる
- 時間も役割の種類も与え、誰が何をするかのみ自分たちで決めさせる
企業がどこに重きをおくかによって、これらの選択は変わってくるでしょう。自分たちで考え、選び、決める機会を多く設けるほど、参加者の主体性や積極性を評価しやすくなります。「自分の役割を全うできるか」を見たい場合は、企業側がある程度条件を決めて、よりワークに集中しやすい状況を作るといいでしょう。
司会・進行
司会・進行は、グループワークの進行を司る係です。メンバーの意見をうまく引き出し、限られた時間の中で結論をまとめる役割を担っています。ただ結論を出すだけでなく、議論をうまく展開させて活性化する能力が必要です。自分ばかりが発言してその場を仕切っていくのではなく、他のメンバーが意見を出しやすいような状況を作ることが求められます。伝える力と聞く能力のバランスがとれた人が向いています。
<評価ポイント>
- 発言していない人に発言を促しているか
- 話題の論点がずれた場合、修正できているか
- 時間内に結論がまとまるよう、気を配って進行できているか
書記
書記は、ディスカッションの内容を記録する係です。議論の間は集中力を切らさず、ずっとメモしなければなりません。意見交換が多くなるとすべてを記録しておくことは困難なので、人の意見の要点を簡潔にまとめて、全体像を把握する能力が試されます。また、それを行うと同時に、自分の意見をまとめ、発言する力が必要です。マルチタスクが得意な人に向いています。
<評価ポイント>
- 共通の意見が1つにまとめられているか
- 反対意見が出た場合、それを対立点として明記しているか
- 議論の内容をわかりやすく構造化し、整理できているか
タイムキーパー
タイムキーパーは、時間の管理をすることが主な役割です。話し合いが盛り上がると、時間を忘れてしまいがちなので、タイムキーパーが必要になります。グループの意見がまとまらないうちにタイムオーバーにならないよう、タイムスケジュールを組まなければなりません。時間管理ができる人、先読みして行動できる人に向いています。
<評価ポイント>
- 全体の進捗を見ながら適切なタイミングで声がけができているか
- タイムスケジュールにずれが生じた時に、途中で修正できているか
- 時間をチェックしながらも、自分の考えを発言できているか
その他のメンバー
何かの係についていなくても、グループワークの重要なメンバーの1人です。役割がない分、ディスカッションに集中できますし、司会・進行役やタイムキーパーをサポートする余裕もあるでしょう。積極性や協調性、思考力などを見ることができます。
<評価ポイント>
- 積極的に意見を出せているか
- 適切なタイミングで発言しているか
- 他の役割のサポートができているか
3.グループワークを開始する
役割分担が決まったら、実際にグループワークを開始します。グループワーク中は「コミュニケーションを積極的にとっているか」「自分の役割を全うしているか」といったポイントを、しっかりチェックしましょう。ただし、担当者によってチェック項目が異なると、偏りのある評価を下してしまう可能性があります。そうなると、社員の不満が高まり、業務にも影響を与えかねません。評価項目の判断基準シートがあれば、採用担当者による評価のバラつきを防止できるのでおすすめです。
評価基準シートの作成方法
評価シートの例として多く用いられているのが、協調性や論理性などの能力そのものを5段階評価する「グラフィック・レーティング尺度」や、各能力を象徴する行動の頻度やレベルを5段階評価する「行動観察尺度」です。また近年では、採用担当者によるバラつきを抑える評価基準として、行動観察尺度の評価項目をさらに詳細化・段階化して評価する「行動要約尺度」が注目されています。
4.発表とフィードバック
グループごとの話し合いが終わったら、それぞれが話し合った内容を発表する時間です。発表の際には、グループの代表者が1人で発表するパターン、もしくはグループ全員で発表するパターンの2つがあるので、事前に告知しておきましょう。
発表終了後、担当者は模範解答と照らし合わせながら、グループごとにフィードバックを行い、順位を決めます。フィードバックでは、事実に基づいた内容をもとに、良かった点と改善点の両方を指摘することが重要です。担当者はグループワークでの参加者の行動や言動をしっかり書き留めておきましょう。
会話例
- 「A班は始めの10分でこういうことをしたから、議論の方向性が定まったよね」
- 「B班は15~27分まで○○に時間を使っていて、意思決定ができなかったね」
グループワークを効果的に進める5つのポイント
グループワークを効率的に進める5つのポイントをご紹介します。
1.明確な目標を設定する
グループワークを計画するに際して、明確な目標を設定しておくと、施策の成果や社員の成長を測定しやすくなります。例えば、以下のような目標を社内の人材ニーズに合わせて設定するのがおすすめです。
リーダーシップのとれる人材に育てたい
主体的・能動的な行動ができる人材に育てたい
営業・商談に対する不安を払拭させたい
チームで協働して課題を解決できる力を養いたい
参加メンバーに合わせて、どのような目標に設定するかを決めましょう。
2.全員が主体的に参加できる環境を作る
一口にグループワークといってもさまざまな種類がありますが、いずれも基本的にコミュニケーションを重視した内容になっています。社内コミュニケーションの円滑化を図るためには、全員が積極的にグループワークに取り組める環境を整えることが重要です。例えば「男女の割合が偏っていると話しづらい人もいるかもしれないから、比率を5:5にする」「参加人数が多いと1人当たりの話す機会が減るので、3〜4人の少人数で開催する」といった方法が挙げられます。また、人前で発言するのが苦手という人も多いものです。全員に何らかの役割を与える、参加者の緊張をほぐすためにアイスブレイクを入れるなどの工夫をしましょう。
3.事前準備はしっかりと
グループワークでの進行がもたついてしまうと、無駄な時間が発生し、参加者のモチベーションが下がってしまう可能性があります。参加者が前向きな気持ちで取り組めるように、段取りは細部についても意識することが大切です。実施するスペースや備品など、必要なものは事前に準備しましょう。テーマの難易度や進行の仕方などを確認し、最終的に納得のいくものに仕上げます。
4.終了後は振り返りを行う
グループワークの終了後は、やりっぱなしで終わらず、振り返りを行うことが大切です。参加者全員を対象にアンケートを実施して、率直な意見を募り、次回の取り組みに活かしましょう。例えば、議論・討論をスムーズに進められるテーマだったか、それぞれが割り振られた役割を理解できたかなどを詳しく聞き出します。参加者がグループワークを振り返る良い機会にもなり、反省点や課題の発見にもつながります。
5.アイスブレイクを実施する
参加者の緊張をほぐして本来の力を発揮してもらうために、アイスブレイクを実施するのも有効な手段の1つです。グループワーク前に自己紹介を兼ねたアイスブレイクの時間を設けることで、活発なディスカッションにつながります。簡単な自己紹介に「最近あった嬉しい話」「座右の銘」などの一言を添えるように指示を出せば、初対面でも打ち解けやすくなるでしょう。
まとめ
グループワークは、数人ずつのグループに分かれて議論や作業を行うワークです。ディスカッションでの立ち振る舞いだけではなく、成果物も評価ポイントとなる点が、グループディスカッションと異なります。限られた時間の中で一定の成果を出すため、コミュニケーションスキルをはじめ、さまざまな能力を養えます。社員のスキルを磨き、将来の可能性を広げる絶好の機会です。
採用面接や社内研修において、参加者の個性やスキルを正しく見極めるために、グループワークを活用してみてはいかがでしょうか。今回の記事をぜひ導入の参考にしてください。
以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。
1.合意形成研修
合意形成研修のアクティビティ「コンセンサスゲーム」では、危機的な状況下でどの物資を優先して確保すべきかをチーム内で議論し、最適な結論を導きます。
学びのポイント
- 各々が個人ワークで考えた答えを聞くことで、チームメンバーの状況に対する認識や物資の重み付けの違いを受講者が理解する
- 話し手は自分の答えにいたった理由を論理的・説得的に説明する
- より良い根拠を導き出すための比較検討をして、チーム全員が納得する結論を出す
2.PDCA研修
PDCA研修のアクティビティ「ロケットPDCAチャレンジ」では、パーツを組み合わせてロケットを制作し打ち上げ結果から原因を考えて、より良く飛ぶロケットに改善していき、目標の達成を目指します。
学びのポイント
- 計画を立ててロケットを飛ばし、その結果から組み合わせの誤り・部品の不足・不良部品の有無を推察し、それを繰り返すことで組み合わせの精度を上げていく
- 資金稼ぎ・パーツの選択・打ち上げの準備を繰り返し、作戦タイム振返りを経て行動を改善していくことで、最適化されていく
3.戦略思考研修
戦略思考研修のアクティビティ「ワールドリーダーズ」では、労働力や資本を使って事業を設立し、利益を稼ぐことを目指します。
学びのポイント
- 不確実な状況のなかで自チームにとって最適な行動方針を考え、実行していく
- 戦略を決めるために与えられた手段のなかでどの情報を取得していくかの優先順位決めが求められる
4.コミュニケーション研修
コミュニケーション研修のアクティビティ「謎解き脱出ゲーム」では、チームでコミュニケーションをとりながら問題に隠された法則を発見する謎解きゲームのクリアを目指します。
学びのポイント
- 受講者が「自分しか見えていない情報・問題・解き方」をチームで共有することでコミュニケーション促進やスキルアップにつながる
- 突飛な発想・ヒラメキをチームのなかで積極的に発言できる心理的安全性の高い環境づくりが求められる
5.ロジカルシンキング研修
ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します。
学びのポイント
- 小グループで得られた情報を論理的に整理し、確定情報・曖昧情報・不要な情報を選り分ける
- 大グループで全体に必要な情報を論理的に判断・共有することや、自分たちに足りない情報を聞き出すことが求められる
6.クリティカルシンキング研修
クリティカルシンキング研修のアクティビティ「混乱する捜査会議からの脱出」では、推理ゲームで論理的に情報を整理するなかで証拠の違和感に気づき、仮説立てや検証を行って目標を達成します。
学びのポイント
- 証拠品や証言など多くの情報を手分けして読み、組み合わせて論理的に結論を導き出す
- フェーズが進むごとに情報が増え、複雑になっていくなかで必要な情報を取捨選択する
- 出た結論に満足せず、常に新しい情報と照らし合わせて再検証する
7.リーダーシップ研修
リーダーシップ研修のアクティビティ「グレートチーム」では、チームの運営を疑似体験することでリーダーシップやマネジメントを学びます。
学びのポイント
- メンバーのリソース管理や育成、リーダーとしての決断を繰り返すことで、いろいろなリーダーシップの型を知ることができる
- 現代に合わせたリーダーシップの発揮の必要性を知り、自分らしいリーダーシップを学べる
8.ビジネスマナー研修
ビジネスマナー研修のアクティビティ「ビジトレ」では、実践形式・クイズ形式のアクティビティを通して、ビジネスマナーを楽しく学びます。
学びのポイント
- 堅い内容になりがちなビジネスマナー研修にゲーム形式を取り入れることで、受講者が没入して学べる
- 名刺交換や報連相などを実行し、動作・マナーに慣れることで、翌日から実践できるようになる
9.防災研修
防災研修のアクティビティ「先が見えない防災訓練からの脱出」では、チームで協力して、防災のアイテムや知識を使用しながら謎解きゲームのクリアを目指します。
学びのポイント
- 謎解きの答えが災害時のNG行動にまつわる内容となっており、解説時になぜ行なってはいけないかもセットで学ぶ
- 被災時は様々な情報が飛び交うため、情報を取得する際にどのようにすれば惑わされないかを学ぶ
10.OODA LOOP研修
OODA LOOP研修では、瞬間的な判断力が求められる運動系のアクティビティである「サバイバルゲーム」または「チャンバラ合戦」を実施することで、意思決定のフレームワークである「OODA LOOP」を実践的に習得することを目指します。
学びのポイント
- 敵チームをよく観察して作戦を練り、状況に応じた行動を素早く判断しながら、チームで共有して一体となって行動する
- ミッションの勝利条件をもとに、観察、判断、行動を繰り返すことで、本当にすべき行動が何なのか、行動の最適化を行う
この記事の著者
あそぶ社員研修は、企業の研修担当者向けのお役立ち情報を発信するメディアです。研修に関するノウハウ、組織・人材開発の手法、ビジネススキルなどをわかりやすく紹介します。







手法や形式(個人・ペア・グループ)を組み合わせて、受講者に刺激を与えることで集中力を持続させることがポイントです。