MECEとは?ロジカル・シンキングの基本をわかりやすく解説

2023.10.10
  • フレームワーク

MECEとは、ロジカル・シンキング(論理的思考法)の基本でもある考え方です。「ミーシー」または「ミッシー」と読みます。

本記事では、MECEとはどういった考え方なのか、ビジネスでMECEが必要とされている理由、MECEで考えるための2つのアプローチを、わかりやすく解説します。さらに、MECEに役立つ8つのフレームワークも紹介します

 

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MECEとは

MECEとは、アメリカのコンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーがつくった、問題を分割するときの基準のことです「MECEの法則」と呼ばれることもあります。MECEは、「Mutually Exclusive Collectively Exhaustive」の頭文字をとったもので、それぞれ英単語の意味は以下のとおりです。

  • Mutually=相互に
  • Exclusive=排他的で(わかりやすくいうと「重複しない」ということです。)
  • Collectively=集合的に
  • Exhaustive=網羅的な

のちほど詳しく紹介していますが、1つのテーマをサブテーマに分割してツリー状に整理し、問題の原因や解決方法を探る「ロジック・ツリー」というフレームワークがあります。ロジック・ツリーでものごとを整理するときに、単なる思いつきでテーマを分割していっても論理的なツリー構造にはならないという考え方から、マッキンゼー・アンド・カンパニーはMECEという法則をつくりました。

つまりMECEとは、1つのテーマをサブテーマに分割して整理したときに、「サブテーマが相互に重複することなく、かつ全体集合としてモレがない状態」を意味します

MECEは「モレ・重複がない」こと

MECEの意味は前項で紹介したとおりですが、よりシンプルに表すなら、「モレなく・重複なくものごとを考えること」といえるでしょう。では、モレや重複があるとはどういう状態を指すのでしょうか。

「モレがある」とは、何かが抜けている状態を意味します。ものごとを分析するときにモレがあると、正確な分析ができません。原因や結論も、間違ったものとなってしまうでしょう。

「重複がある」とは、同じものが2つ以上重なっている状態を意味します。このような状態でも、やはり正確な分析はできず、最適な答えを出すことはできないでしょう。また、重複があることに気づかないと、知らぬ間に非効率な状態を発生させてしまっていることもあります。

問題の原因や解決方法を考えるときは、正確な分析を行うために、まずはものごとを「モレなく・重複なく」全体を把握して整理することが重要なのです。

MECEの例

次に、どのような状態がMECEなのか、具体例を見てみましょう。MECEでものごとを分析するときは、どのような切り口で分割するかがとても重要です。たとえば、ある飲食店の客層を把握したい場合、次のような切り口で分けることができます。

  • 性別で分ける:男性、女性
  • 年代で分ける:20歳未満、20代、30代……

これらはモレ・重複なく顧客を分割できているので、MECEといえるでしょう。では、以下のような分け方はどうでしょうか。

  • 大学生、会社員、パート・アルバイト、専業主婦

この場合、高校生や会社員以外の社会人(自営業や公務員など)、定年退職をした人などがモレています。また、大学生でもアルバイトをしている人もいますので、重複も発生しています。つまりこの状態は、MECEではありません。

ものごとをMECEで分割するときのポイントは、思いつきで分割するのではなく、1つの切り口で分けること。もちろん2つ以上の切り口があっても構いませんが、切り口が複数あるとモレや重複が生じやすくなります。分析の目的に沿って、切り口を使い分けることが重要です。

MECEはロジカル・シンキングの基本

近年、ビジネスパーソンに求められるスキルの1つとして、ロジカル・シンキングという思考法が注目されています。ロジカル・シンキングとは、ものごとを分割して整理して全体を把握し、筋道を立てて考えることです。日本語では「論理的思考法」とも呼ばれています。

ここまでご説明してきたように、ものごとを分析するときに、単なる思いつきで分割すると、モレや重複が生じやすくなります。その状態で分析を進めても、答えは間違ったものになってしまうでしょう。ロジカル・シンキングでものごとを考えるときは、まずは各種の要因・要素をモレ・重複なく整理して全体を捉えることが重要ですMECEは、ロジカル・シンキングの基本の法則なのです。

参考:〈論文〉ロジカル・シンキングとしての3分割法 – 近畿大学学術情報リポジトリ

なぜビジネスでMECEが必要なのか

ビジネスの場ではさまざまな問題が発生しますが、1つの問題には複数の要因が絡み合っていることがあります。まずは問題を要因・要素ごとに分割して、1つひとつを正しく把握しなければ、問題の原因や有効な解決策が見つけられなかったり、原因を見誤り間違った答えを出してしまったりすることがあるかもしれません。MECEによって全体像をモレ・重複なく全体を整理することで、問題の根本的な原因にたどりつけるようになります。MECEは、問題の最適な解決方法を導き出すために欠かせない法則なのです

また、ビジネスの場では、上司への報告や取引先へのプレゼンテーションなど、自分の考えを伝える機会が多々あります。モレや重複があると、相手から指摘されることがあるかもしれませんし、説得力もなくなってしまいます。MECEでものごとを考え、さらにそれをわかりやすく説明できるようになると、相手の納得感も得やすくなるでしょう。

このように、MECEでものごとを考えられるようになると、課題解決力やプレゼンテーション能力といったスキルが向上します。そのため、ビジネスの場でMECEが重要視されているのです。

MECEで考えるための2つのアプローチ

MECEでものごとを考えるための方法にはさまざまなものがありますが、ここではトップダウンアプローチとボトムアップアプローチの2つを紹介します。

トップダウンアプローチ

トップダウンアプローチとは、まずはものごとの全体の大枠を掴み、そこから各種の要因・要素に細かく分割していくという方法です「演繹的アプローチ」とも呼ばれています

トップダウンアプローチは、ものごとの全体像が見えているときに有効な方法です。トップダウンアプローチで各種の要因・要素に分割することで、ものごとが体系的に整理されます。これまで見えていなかったことが明確になり、スムーズに答えにたどりつけるようになるでしょう。

MECEの基本はこのトップダウンアプローチですが、未知の分野や全体像が見えないような場合には向いていません。また、トップダウンアプローチでは表やロジック・ツリーを用いることもありますが、これらの空欄を埋めるだけで満足してしまいがちであることや、柔軟な発想が出にくいという面もあります。このような場合には、次に紹介するボトムアップアプローチが有効です。

参考:『東大主席卒業大手予備校の授業コンテスト全国優勝の著者が教える「きちんと考える」技術』(著者:吉田裕子 / 出版社:秀和システム / 発売:2016年)

ボトムアップアプローチ

ボトムアップアプローチとは、まず思いつくアイデアを自由に書き出し(これを「ブレーンストーミング」といいます)、そのアイデアをグループ分けしていき、全体像を整理していくという方法です「帰納的アプローチ」とも呼ばれていますグループ分けの過程で課題が見つかれば追加し、モレを補うことで、MECEを完成させることができます。

ボトムアップアプローチは、全体像が見えない未知の分野でも分析できることや、新しいアイデアが生まれやすいという点がメリットです。しかし、構造的ではないためモレがあっても気づきにくく、アイデアのグループ分けを間違うと重複が生じやすいというデメリットがあるため、注意が必要です。

MECEに役立つ8つのフレームワーク

最後に、MECEに役立つフレームワークを8つ紹介します。

  1. ロジック・ツリー
  2. 3C分析
  3. 4P分析
  4. 7S分析
  5. SWOT分析
  6. 5フォース分析
  7. PEST分析
  8. AIDMAの法則

ただ、既存のフレームワークは便利ですが、MECEではないこともあります。フレームワークで分析を行うときは、フレームワークの特徴を理解し、できるだけMECEを厳守するよう意識しながら取り組みましょう。

1. ロジック・ツリー

ロジック・ツリーは、1つのテーマをいくつかのサブテーマに分け、そのサブテーマをさらに細かく分割して整理していくというものです下の層ほどサブテーマの数が多くなり、形がツリー(木)に似ていることから、ロジック・ツリーと呼ばれています

ロジック・ツリーを作成するときは、まずトップボックス(メインテーマ)とロジック・ツリーを作成する目的を明確にすることが大切です。特に複数人で取り組む場合は、これらが不明確だとなかなかまとまらなくなってしまいます。

そのほかにも、各階層がMECEになっているか、各層内のウェイトが同じレベルであるか、上の層との整合性がとれているかといった点を意識しながら作成しましょう。

参考:「図解入門ロジカル・シンキングがよーくわかる本(第2版)」(著者:今井信行 / 出版社:秀和システム / 発売:2012年)

2. 3C分析

3C」とは、Customer(市場・顧客)・Competitor(競合)Company(自社)のことを意味しています3C分析とは、この3つの観点からマーケティング環境を分析して、成功要因を見つけ出すというものです。事業計画やマーケティング戦略の策定によく用いられています。

  • Customer(市場・顧客)……顧客の層やニーズなど
  • Competitor(競合)……競合企業の状況、強み・弱みなど
  • Company(自社)……自社の強み・弱み、評価など

基本的には、まずCustomer(市場・顧客)を分析し、そのあとでCompetitor(競合)Company(自社)を分析します。顧客のニーズや競合企業の状況などはどんどん変化していきますので、スピーディーに分析を行うこともポイントです。

3. 4P分析

4P」とは、Product(製品・サービス)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販売促進)という4つの観点を意味しています4P分析は、マーケティング戦略策定の際によく用いられているフレームワークです。

  • Product(製品・サービス)……自社の製品・サービスの強みや魅力など
  • Price(価格)……自社の製品・サービスの価格の妥当性、競合企業の販売価格など
  • Place(流通)……自社の製品・サービスを提供する方法(例:セレクトショップ、ECサイトなど)
  • Promotion(販売促進)……プロモーションの方法(例:広告、CMなど)

4P分析は、基本的には上から順に進めていきます。3C分析で成功要因を見つけ、4C分析で具体的な戦略を立てる、というように組み合わせて活用されることが多いです。

4. 7S分析

7S分析とは、マッキンゼー・アンド・カンパニーにより提唱された、組織マネジメントのフレームワークです企業を構成する要素を「ハード」と「ソフト」に分けて分析し、現状を把握するというものです。

【ハードの3S

  • Strategy(戦略)……事業の方向性
  • Structure(組織構造)……組織形態や指揮系統
  • System(経営システム)……組織のルールや仕組み

【ソフトの4S

  • Shared Value(共通の価値観)……企業の価値観
  • Staff(人材)……社員の特性
  • Skill(組織のスキル)……企業が持つノウハウやスキル
  • Style(経営スタイル・組織文化)……経営方針や社風

ソフト要素を改善するには、ハード要素よりも時間が必要になるといわれています。また、ハード、ソフトのどちらかだけでなく、両方を改善することで、企業の価値が高まるとされています。

5. SWOT分析

SWOT分析は、現在自社が置かれている状況を分析するためのフレームワークですSWOTは、Strengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)の頭文字をとったもので、「スウォット」と読みます。

 

プラス要因

マイナス要因

内部環境

Strength(強み)

自社の得意なことや長所など

Weakness(弱み)

自社の苦手なことや短所など

外部環境

Opportunity(機械)

社会や市場の変化などによりプラスになること

Threat(脅威)

社会や市場の変化などによりマイナスになること

事業全体だけでなく、テーマや項目ごとにSWOT分析を行うと、より課題が明確になり、戦略の方針を立てやすくなります。

6. 5フォース分析

フォース(Forces)は、「力」や「強さ」などの意味を持つ英単語ですが、ここでは「脅威」を意味します。5フォース分析とは、自社がさらされている5つの脅威を分析して、競争優位性や収益性を探るというものです。アメリカの経営学者のマイケル・ポーター氏により提唱されました。

  • 業界内の競合の脅威……競合企業との競争
  • 新規参入者の脅威……新規参入者による影響
  • 代替品の脅威……業界の外の製品・サービスで、自社の製品・サービスの代わりとなるものの存在による影響
  • 買い手の交渉力の脅威……自社と顧客や消費者との関係
  • 売り手の交渉力の脅威……自社と仕入れ先との関係

5フォース分析で収益性を分析したあとで先ほど紹介したSWOT分析を行うと、より詳細な分析ができるようになるでしょう。

7. PEST分析

PEST分析は、外部環境が現在または将来自社にどのような影響を与えるかを読み解くためのフレームワークです。自社を取り巻く環境を、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の4つに分けて分析します。

  • Politics(政治)……法律や条例の改正、規制緩和、政府の動向など
  • Economy(経済)……景気や経済成長率、為替相場など
  • Society(社会)……人口動態、世論や社会の意識の変化など
  • Technology(技術)……最新技術や特許の情報など

PEST分析には、間接的に影響のある外部環境を分析する「マクロ環境分析」と、直接的に影響のある外部環境を分析する「ミクロ環境分析」の2種類があります。事業戦略を策定するときに用いられることが多いフレームワークです。

8. AIDMAの法則

AIDMAの法則は、顧客が製品やサービスを認知して購買に至るまでのプロセスを体系化したものです。人は、製品やサービスを購入するとき、以下の5つのプロセスをたどるとされています。AIDMAは、各ステップの頭文字をとったものです。

  1. Attention(認知)……製品・サービスを認知し、注目している。
  2. Interest(興味・関心)……製品・サービスに興味を抱いている。
  3. Desire(欲求)……製品・サービスに対して購入意欲が芽生える。
  4. Memory(記憶)……製品・サービスの購入を検討し始める。
  5. Action(行動)……製品・サービスを購入するために行動を起こす。

この法則に基づいて顧客の心理を分析することで、より適切なタイミングで顧客にアプローチできるようになります。

まとめ

MECEを一言で表すと、「モレなく・重複なくものごとを考える」こと。モレや重複があると、その問題の根本的な原因を突き止めることができず、間違った答えを出してしまうかもしれません。また、重複に気づかず非効率な状態を生み出してしまう可能性もあります。MECEは、仕事を円滑に進めていくために欠かせない考え方です。また、現代のビジネスパーソンに求められているロジカル・シンキングの基本でもあります。問題解決に取り組む際は、本記事で紹介したアプローチ法やフレームワークも活用しながら、MECEを意識して分析してみてください。

 

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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。
不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。
猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

あらたこまち

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