チームビルディング研修の効果や本質とは?種類や導入手順も解説
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大学卒業後、クラシック音楽業界にて制作・マネジメント・プロデュースに従事し、アートと教育の融合をテーマに、「体験を学びとして届ける」手法を追求してきた。
その後、体験型コンテンツ会社を経て、株式会社IKUSAにクリエイティブプロデューサーとして入社。
現在は研修事業部の責任者として、体験型・ゲーム型の社員研修事業を統括している。
ユーザー視点に立ったサービス開発を得意とし、「楽しさが行動変容を生む」という信念のもと新しい研修体験を創出している。
会社の現場では社員の離職や協働意識の低下などの課題を抱え、チームビルディングの重要性が高まっています。しかし、チームビルディング研修の実施を検討する際に、「仕事と仲の良さは別物」、「投資対効果が不明」などのイメージから、決裁者の説得が難しい場合もあります。
チームビルディングの要素は、社員同士の仲の良さに限られません。例えば、正しく報連相ができる、リーダーシップやフォロワーシップを持って協働できるなどの要素もチームビルディングに不可欠です。より成果を上げるチーム作りにつながる施策はすべてチームビルディングの要素となります。
本記事では、チームビルディング研修の概要や具体的な効果、種類・形式、導入手順、実施する際の注意点を紹介します。
チームビルディング研修の本質とは?
チームビルディング研修は、「より成果を上げられるチーム作り」に必要な学習を通じて、知識やスキルを習得したり、受講者同士の懇親を深めたりする研修を指します。
チームビルディング研修の重要なポイントは、懇親を深めることに限られません。例えば、報連相ができない若手社員が多い場合には、報連相の必要性や、具体的な方法、どのようにして業務で実践したらいいのかを研修で学ぶことも、チームビルディング研修に含まれます。
チームビルディング研修を企画・設計する際には、より成果を上げるチーム作りのために必要な要素を洗い出し、それらを取り入れた研修内容にすることが重要です。
チームビルディングに必要な「組織の三要素」
アメリカの経営学者であるチェスター・I・バーナードが提唱した「組織の三要素」では、「コミュニケーション」、「共通目的」、「貢献意欲(エンゲージメント)」が組織に不可欠であることが示されています。
より高い成果、より高い生産性の実現を目指すチームビルディングにおいては、「組織の三要素」を踏まえ、さまざまな施策を講じていくことが重要です。
研修を通じてコミュニケーション改善やMVVの浸透、貢献意欲の醸成などをはかることで、チームビルディングにつながります。
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チームビルディング研修と懇親会の違い
チームビルディング研修と、一般的な食事会や飲み会などの形式で実施される懇親会は明確に異なります。懇親会が「懇親を深めること」が目的であることに対して、チームビルディング研修は「より成果を上げられるチーム作り」に関する懇親や学習の要素を取り入れた研修を指します。
そのため、懇親会では和気あいあいと楽しみながら懇親を深められることが重視されますが、チームビルディング研修ではチームにおける課題を解決することが重要となります。
チームビルディング研修が注目されている背景・理由
チームビルディングが注目される背景には、変動性・不確実性・複雑性・曖昧性の頭文字を取ったVUCA時代があります。現代のビジネス環境ではトップダウン型の意思決定だけでは市場の変化に対応しきれず、目標や目的に対して適切に判断し、行動できるチーム作りが不可欠です。
また、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を推進する際に、多様な人材が協働する重要性が高まっていることや、人材不足により少ない人員で高い成果を上げる必要があることも背景にあります。
チームビルディング研修で得られる効果
ここからは、チームビルディング研修を実施することで期待できる効果について紹介します。
受講者の心理的安全性が向上する
チームビルディングには、心理的安全性の確保が不可欠です。心理的安全性とは、安心してコミュニケーションが取れる状態の尺度を指します。
心理的安全性が低下する要素は下記の4つとされています。
- 無知だと思われるかもしれない
- 無能だと思われるかもしれない
- 邪魔をしていると思われるかもしれない
- ネガティブな人間だと思われるかもしれない
心理的安全性を高めるには、相互理解を深め、上記の4つの不安を抱えずに安心してコミュニケーションが取れる関係性を構築することが重要です。
自由に意見を言えないような緊張感ある人間関係は問題がありますが、逆に馴れ合いになってしまい、目標意識が低かったり、健全な対立がなかったり、リーダーへ依存してしまっていたりすることも心理的安全性の意図する状況とは異なります。馴れ合いになることを防ぐためにはフィードバックや議論のやり方をルールとして設定しそれらを歓迎、許容する文化を組織に浸透させることや、個々人のレジリエンスを高めていくことが必要になります。
受講者に不足している知識やスキルが向上する
チームビルディング研修には、チーム作りの一環として、受講者に不足している知識やスキルに関する学習を取り入れることができます。
報連相や伝え方・聞き方などに課題があれば報連相研修やコミュニケーション研修、チームの連携に課題があればリーダーシップ研修やフォロワーシップ研修などを取り入れ、スキルアップをはかることが重要です。
チームとして協働する意識が醸成される
チームの生産性を高めるには、チーム内で効率的に連携できる関係性の構築や協働意識の醸成が必須となります。
チームビルディング研修を通じて受講者の協働意識を高めることで、互いに助け合ったり、段階的に合意を得ながら円滑に進めたりすることにつながります。
協働する意識を高めるには、チームで協働できるワークショップを取り入れることが効果的です。例えば、コンセンサスゲームやkゲームなどが挙げられます。
関連記事:コンセンサスゲームを研修で活用するメリットと注意点を解説
関連記事:kゲームとは?学べること、実施するときの注意点を紹介
受講者の強みが見つかる
チームビルディング研修では、受講者同士が協働するなかで、各々の特性や強みが見えやすくなります。
チームの成果を上げるには、適材適所の考え方も重要です。各々の特性や強みに応じて、能力を発揮できる役割を担うことで、成果やパフォーマンスの向上につながります。
チームビルディング研修を通じて受講者の特性や強みを見つけるには、役職が違ったり年齢差があったりしてもフラットな立場で取り組めるゲーム型・体験型のワークショップを取り入れることが効果的です。
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)が浸透する
高い成果を上げるチームビルディングを推進するには、全員が同じ目標に向かうこと、考え方を一致させることが求められます。そのため、会社のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を浸透させ、共通認識を持つように促すことが重要です。
MVVを浸透させるには、全員が自分事として捉え、腹落ちした状態で言動や行動に反映させることがポイントとなります。MVVを浸透させるには、ワークショップなどを通じて、全員が共感し、重要性を理解して、共通認識を持って行動に落とし込むことが重要です。
離職率が低下する
転職によるキャリアアップ、育児・介護などの家庭事情などの他に、人間関係も離職の要因として挙げられます。チームビルディング研修を通じて受講者の心理的安全性が向上し、信頼関係を構築していくことで、人間関係が改善されて離職率が低下することが期待できます。
人間関係が良好な状態を保つには、「自分が他者から受け入れられている」、「自分の存在が役に立っている」と各々が感じられていることが重要です。チームで協力し、共通目標を達成できるワークショップをチームビルディング研修に取り入れることで、人間関係の改善につなげることができます。
チームビルディング研修の種類・形式
チームビルディング研修の種類・形式は下記の通りです。
- ゲーム型
- 座学型
- OJT型
- リトリート型
- オンライン型
1つに限定する必要はなく、研修で解決すべき課題や対象者の階層、予算などに応じて適切に組み合わせることが重要です。
以下では、チームビルディング研修の種類・形式について紹介します。
ゲーム型
ゲーム型は、コンセンサスゲームやkゲームなど、チームで取り組めるゲームを取り入れる形式です。
ゲームを取り入れることで受講者の好奇心が刺激され、主体性が高まるため、研修で得た学びが定着しやすくなったり、実践的に学べたりすることが特徴です。
また、チームでコミュニケーションを取りながら協働できるため、相互理解を深めたり、リーダーシップやフォロワーシップを発揮させたりすることもできます。
座学型
座学型は、コミュニケーション研修、報連相研修などの座学を取り入れる形式です。
現場で指摘されている課題や、チーム作りにおける重要な学びなどに関するテーマの講義を実施します。研修講師が詳しく教えることで知識やスキルを習得させられることが特徴です。
OJT型
OJT型は、先輩社員や上司が業務に関して実践的に指導する形式です。
経験があり職務能力の高い先輩社員や上司が指導することで、知見に基づいた学びを得られ、業務で実践しやすいことが特徴です。また、先輩社員や上司との関係性を構築できることもポイントとなります。
リトリート型
リトリート型は、日常から離れた環境で、いつもとは違う体験をする形式です。
喧騒から離れて心身をリフレッシュさせることが重要なため、海や山の近くなどの自然環境に近い場所や、家屋が少ない場所などで実施することがポイントとなります。
オンライン型
オンライン型は、ZoomやGoogle Meetなどのビデオ通話ツールを活用し、オンライン環境下で研修をおこなう形式です。
デバイスとインターネット環境があればどこからでも参加でき、勤務先を問わず参加しやすいことがポイントとなります。集中力の維持や主体性の発揮などに課題が生じる場合が多いため、グループワークに適したゲームなどを取り入れることが重要です。
チームビルディング研修の導入手順
以下では、チームビルディング研修を取り入れる際の導入手順を紹介します。
現状分析と課題の明確化をする
効果的なチームビルディング研修を実施するためには、まず現状を分析し、課題を明確にする必要があります。現場にヒアリングして、課題の洗い出しをおこなうことが重要です。
また、チームの現状を測定するために、エイミー・C・エドモントン教授の心理的安全性に関する7つの質問を活用し、心理的安全性を測ることもポイントとなります。
心理的安全性をはかる「7つの質問」
社員の心理的安全性を測定する方法としては、ハーバード大学のエイミー・C・エドモントン教授が提唱した「7つの質問」が挙げられます。
- ミスをしたら批判されることが多いですか?
- チームのメンバーが異質なものを排除するときがありますか?
- チームのメンバーに助けを求めづらいですか?
- チームのメンバーに他者を騙したり陥れたりする人はいないですか?
- チームのメンバーたちは困難な課題を提起することができますか?
- チームのなかでリスクのある行動をとっても安全ですか?
- チームで協働する際に自分のスキルが発揮されていると感じますか?
「非常にそう思う」から「まったく当てはまらない」まで、7段階で評価します。1~3は「非常にそう思う」が1点、4~7は「まったく当てはまらない」が1点になる点に注意が必要です。
チーム全員の回答を数値化し、平均点が5.0以上であれば心理的安全性が高く、4.0未満であれば低い状態となります。
定量・定性目標を設定する
研修の効果測定を曖昧にしないために、定量・定性目標を設定することが重要です。
- 定性目標: 「他部署への相談ハードルが下がった状態」、「会議で全員が一度は発言する状態」など、数値化することができない目標を設定します。
- 定量目標: 従業員サーベイのスコア、離職率、研修満足度などの数値化できる目標を設定します。
また、研修全体としてのゴールと、内容ごとの到達目標をそれぞれ設定することもポイントとなります。課題や目的を明確にしたうえで、全体目標や内容ごとの目標を設定しましょう。
研修後のフォローや学びを定着させる仕組みを作る
ドイツの心理学者であるヘルマン・エビングハウスが提唱したエビングハウスの忘却曲線によると、翌日には74%、1週後には77%、1カ月後には79%を忘却することが示されています。
参考:エビングハウスの忘却曲線 – 一般社団法人日本経営心理士協会
学びの定着には、繰り返し学ぶ反復学習が重要です。研修中に振り返り・解説を段階ごとにおこなったり、研修後に復習するための資料を配布したり、フォローアップ研修を実施したりして、学びの定着を促すことがポイントとなります。
研修カリキュラムを設計する
課題の洗い出しや目標設定、学習定着の仕組み化ができたら、研修カリキュラムを設定します。研修カリキュラムとは、研修の対象やコンセプトごとに作成する全体計画を指します。研修全体の目標や個別の課題・目的に応じて、研修カリキュラムを設計します。
研修カリキュラムを作成する際には、学習による効果を高めの設計手法を体系的にまとめたモデルであるインストラクショナルデザインを取り入れることが重要です。インストラクショナルデザインに含まれるモデルとして代表的なものとしては、ADDIEモデルやARCSモデルが挙げられます。
ADDIEモデルは分析・設計・開発・実施・評価のプロセスを設計するモデル。ARCSモデルは、注意・関連性・自信・満足感の要因に基づいて設計するモデルです。効果的な学習設計にするためにADDIEモデルを使用し、やりがい・満足感を高めるためにARCSモデルを活用するなど、併用してより良い研修カリキュラムを設計することが大切です。
関連記事:ADDIEモデルとは?効果的な研修を実施する方法・活用のポイントを解説
関連記事:ARCSモデルとは?4つの要因や具体例、学習意欲を高めるアイデアを解説
さらに、ゲーム型、座学型、OJT型、リトリート型、オンライン型の形式を適切に組み合わせることもポイントとなります。課題・目的に対して、何がどのように作用するかを検討し、より効果的な研修カリキュラムを設計しましょう。
チームビルディング研修と言えばチームで体や頭を使った体験型が一般的ですが、体験とその振り返りだけだと「楽しかった研修」で終わってしまう可能性があります。体験型を実施する場合は、並行してチームビルディングの必要性や理論、体験から実務に落とし込むためのワークなども組み合わせる必要があります。
振り返りを通じて改善させる
チームビルディング研修に限らず、研修を実施する際には、効果測定を含めて振り返りをおこない、PDCAを回すことで改善させていくことが重要です。
PDCAは計画・実行・評価・改善のフローで改善させるフレームワークですが、研修においては、研修設計と実施を通じてPとDは必然的におこなえます。重要なポイントは、CとAです。研修の効果測定をおこない、効果を高めるために改善し続けることが大切です。
チームビルディング研修の注意点
以下では、チームビルディング研修を実施する際の注意点を紹介します。
受講者の「やらされ感」を取り除く
現場の管理職や人事・研修担当者が課題であると感じていても、受講者にとってはそれに対して課題感を持っていない場合があります。また、同僚や上司との関係性を構築することを望んでいないこともあるでしょう。受講者が望んでいない場合、チームビルディング研修に対して「やらされ感」を持つ可能性があります。
受講者が「やらされ感」を持っていると、主体性が向上せず、研修による効果が低下することにつながります。研修を実施する目的や目標を受講者に説明し、理解してもらうことが重要です。
また、受講者が課題を自分事として捉えられていない場合には、ゲーム体験などで実感を深め、行動変容やマインドセットを促すことが効果的です。
IKUSAのゲーム型研修である「あそぶ社員研修」では、没入して協働できる研修アクティビティを最初におこなうことで受講者の主体性を高められます。講義やワークのモチベーションを高め、実践的な学びを提供することで、学習の定着を促します。
ゲーム体験と目的を関連づける
ゲーム型の要素を取り入れる際に重要な点が、ゲーム体験と目的をブリッジさせることです。そのようにすることでゲーム体験が「楽しかった」で終わることを避け、研修効果を高めることができます。
目的が「スキルアップ」であれば講義などと、目的が「関係性の構築」であれば相互理解を深められるゲームなどと関連づけて研修を設計することが重要です。
まとめ
チームビルディング研修を実施することで、より高い成果を上げられるチーム作りにつなげることができます。チームが抱えている課題を分析し、関係性の構築やスキルアップなどの必要な要素を洗い出すことが重要です。効果的なチームビルディング研修を設計しましょう。
以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。 1.合意形成研修 合意形成研修のアクティビティ「コンセンサスゲーム」では、危機的な状況下でどの物資を優先して確保すべきかをチーム内で議論し、最適な結論を導きます。 学びのポイント 2.PDCA研修 PDCA研修のアクティビティ「ロケットPDCAチャレンジ」では、パーツを組み合わせてロケットを制作し打ち上げ結果から原因を考えて、より良く飛ぶロケットに改善していき、目標の達成を目指します。 学びのポイント 3.戦略思考研修 戦略思考研修のアクティビティ「ワールドリーダーズ」では、労働力や資本を使って事業を設立し、利益を稼ぐことを目指します。 学びのポイント 4.コミュニケーション研修 コミュニケーション研修のアクティビティ「謎解き脱出ゲーム」では、チームでコミュニケーションをとりながら問題に隠された法則を発見する謎解きゲームのクリアを目指します。 学びのポイント 5.ロジカルシンキング研修 ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します。 学びのポイント 6.クリティカルシンキング研修 クリティカルシンキング研修のアクティビティ「混乱する捜査会議からの脱出」では、推理ゲームで論理的に情報を整理するなかで証拠の違和感に気づき、仮説立てや検証を行って目標を達成します。 学びのポイント 7.リーダーシップ研修 リーダーシップ研修のアクティビティ「グレートチーム」では、チームの運営を疑似体験することでリーダーシップやマネジメントを学びます。 学びのポイント 8.ビジネスマナー研修 ビジネスマナー研修のアクティビティ「ビジトレ」では、実践形式・クイズ形式のアクティビティを通して、ビジネスマナーを楽しく学びます。 学びのポイント 9.防災研修 防災研修のアクティビティ「先が見えない防災訓練からの脱出」では、チームで協力して、防災のアイテムや知識を使用しながら謎解きゲームのクリアを目指します。 学びのポイント 10.OODA LOOP研修 OODA LOOP研修では、瞬間的な判断力が求められる運動系のアクティビティである「サバイバルゲーム」または「チャンバラ合戦」を実施することで、意思決定のフレームワークである「OODA LOOP」を実践的に習得することを目指します。 学びのポイント
この記事の著者
あそぶ社員研修は、企業の研修担当者向けのお役立ち情報を発信するメディアです。研修に関するノウハウ、組織・人材開発の手法、ビジネススキルなどをわかりやすく紹介します。







「管理職は罰ゲーム」という言葉が流行りましたが、年々、管理職の負担は増えています。トップダウン型のマネジメントでは業務が回らなくなってきているため、メンバー全員がリーダーシップを発揮し活躍できるようにチームをまとめていくシェアドリーダーシップの概念が注目を浴びています。リーダー職の方々には、全員が活躍できるようなチーム組成やモチベートしていく力が問われています。