チームビルディング研修の目的とは?4つのねらい・効果・決め方を解説
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チームビルディング研修を企画する際、「どのような目的で実施すべきか」「本当に効果があるのか」と悩む人事・研修担当者もいるのではないでしょうか。
研修の目的が曖昧なままでは、自社に合ったプログラムを選びにくく、実施後の効果も確認できません。まずはチームが抱える課題を把握し、研修によってどのような変化を目指すのかを明確にすることが大切です。
本記事では、チームビルディング研修の4つの目的と学術研究に基づく効果を解説し、研修が適した課題の見極め方や自社に合う目的を設定する5つのステップを紹介します。
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チームビルディング研修とは
チームビルディング研修とは、メンバーが共通の目標に向かって協力できるよう、相互理解や役割認識、問題解決の進め方などを見直す研修です。単に社員同士の親睦を深めるのではなく、日常業務での協働につなげることを目指します。
懇親会が社員同士の交流を主な目的とするのに対し、チームビルディング研修では、共同作業や対話、振り返りなどを通じて、協力の仕方を学びます。また、チームワークがメンバー同士の協力行動を指すのに対し、チームビルディングは、そうした協力が生まれる関係や仕組みをつくる取り組みです。
「そもそもチームビルディングとは?」「何から進めればいい?」という方のために、基本の考え方からチームづくりの5段階、すぐ使えるフレームワーク15選までを1冊にまとめた入門ガイドをご用意しました。
チームビルディング研修の4つの目的
チームビルディング研修の目的は、チームが抱える課題によって異なります。チームビルディングの効果を分析したKleinら(2009年)の研究では、その取り組みを「目標設定」「対人関係の改善」「役割の明確化」「問題解決」の4つに整理しています。
ここでは、この研究を参考に、研修の4つの目的とそれぞれに対応する組織課題を解説します。
1.目標設定
目標設定は、チーム全体で達成すべき目標を明確にし、メンバー間で共通認識を持つことを目的とします。
たとえば、各自が担当業務に集中するあまり、チーム全体の目標や優先順位を共有できていない場合などに適しています。
研修では、チームとして目指す状態を話し合い、目標達成に向けて各自が果たす役割や、協力が必要な場面を整理しましょう。単に目標を共有するだけでなく、日常業務でどのように行動するかまで具体化することが大切です。
2.対人関係の改善
対人関係の改善は、メンバー同士の相互理解や信頼関係を深め、円滑にコミュニケーションを取れる状態を目指します。
たとえば、部署間の交流が少ない、互いの強みを把握していない、困っていても周囲に相談しにくいといった課題がある場合に検討できます。
研修では、対話や共同作業を通じて互いの考え方や得意分野を知る機会を設けましょう。そのうえで、質問や相談、意見交換など、職場で増やしたい行動を明確にします。
3.役割の明確化
役割の明確化は、各メンバーの役割や責任の範囲を理解し、互いに協力できる状態をつくることを目的とします。
たとえば、業務の担当範囲が曖昧で確認漏れが発生している場合や、特定のメンバーに仕事が集中している場合などが該当します。
研修では、共同作業を通じて役割分担や情報共有の進め方を体験し、協力できた点や改善が必要な点を振り返ります。各自の役割だけでなく、ほかのメンバーを支援する場面についても認識をそろえましょう。
4.問題解決
問題解決は、メンバーが協力して課題を発見・整理し、解決に向けた行動を取れるようにすることを目的とします。
たとえば、意見が対立すると話し合いが進まない、問題が発生しても対応方針を決められないといったチームで検討できます。
研修では、複数の情報や意見を持ち寄って課題に取り組み、解決までの過程を振り返りましょう。情報の共有方法や意見の調整、意思決定の進め方などを確認し、実際の業務に生かせる行動を整理します。
参考:Klein et al.(2009)“Does Team Building Work?”
チームビルディング研修の目的を考える3つの学術的視点
チームビルディング研修の目的を決める際には、チームの発展状況やメンバーの協働行動を把握することが参考になります。ここでは、代表的な3つの学術的な考え方と、それぞれを研修目的の検討にどう活用できるのかを解説します。
タックマンモデル|チームの発展段階を把握する

心理学者のブルース・タックマン(Bruce W. Tuckman)は1965年、集団の発展過程を「形成期」「混乱期」「統一期」「機能期」の4段階で説明するモデルを提唱しました。1977年には、活動を終える「散会期」が追加されています。
このモデルでは、メンバーが集まって互いを知る段階から、意見の対立や調整を経て、協力して課題に取り組む状態へと発展する過程を整理しています。
研修目的を検討する際は、現在のチームにどのような特徴が見られるかを確認します。たとえば、新しく発足したチームでは相互理解や目標共有、意見の対立が目立つチームでは建設的な対話や合意形成を目的とすることが考えられます。
ただし、すべてのチームが必ず同じ順序で発展するわけではありません。各段階への分類を目的とせず、チームの現状を把握するための参考として活用します。
参考:Tuckman(1965)“Developmental Sequence in Small Groups”
Big Fiveモデル|チームワークに必要な行動を把握する

チームワークを研究するエドゥアルド・サラス(Eduardo Salas)らは2005年、チームワークを構成する5つの中心的な要素を「チームリーダーシップ」「相互の状況把握」「相互支援」「適応力」「チーム志向」に整理しました。
また、これらの要素を支える仕組みとして「共通認識」「情報が正しく伝わったことを確認するコミュニケーション」「相互信頼」を挙げています。この考え方は「チームワークが悪い」という漠然とした課題を、具体的な行動に分けて考える際に役立ちます。
たとえば、メンバー同士で仕事の進捗を把握できていない場合は「相互の状況把握」、困っているメンバーを十分に支援できていない場合は「相互支援」に注目しましょう。実際に不足している行動を確認することで、研修で何を改善すべきか検討しやすくなります。
参考:Salas et al.(2005)“Is There a Big Five in Teamwork?”
心理的安全性|質問や相談ができる状態を考える
心理的安全性とは、わからないことを質問したり自分の意見やミスを伝えたりしても、周囲から否定的な反応を受けることを過度に恐れずにいられる状態を指します。単に社員同士の仲がよいことや意見の対立がないことを意味するものではありません。
組織研究者のエイミー・エドモンドソン(Amy Edmondson)は1999年、製造業企業の51チームを対象に調査を行い、心理的安全性とチームの学習行動との間に正の関連があることを報告しました。学習行動には、質問や相談、情報共有、問題点についての話し合いなどが含まれます。この研究は、研修でコミュニケーションの改善を目指す際の参考になります。
たとえば、会議で意見が出ない場合、発言の仕方がわからないのか、否定的な反応を恐れて発言を控えているのかによって、必要な対応は異なります。
後者の場合は、発言や対話の練習だけでなく、上司の反応や会議の進め方も見直しましょう。研修では、単に交流を深めるのではなく、メンバーが安心して質問や相談、意見交換ができる状態を目指すことが考えられます。
参考:Edmondson(1999)“Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams”
心理的安全性を高める具体的な取り組みや研修については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:心理的安全性を高める研修とは?チームの条件や計測方法も解説
研究で確認されているチームビルディング研修の効果
チームビルディングの効果については、複数の研究結果を統合した分析が行われています。
2009年にキャメロン・クライン(Cameron Klein)らが発表した研究では、60件の相関係数を用いてチームビルディングの効果を分析しました。その結果、全体として正の効果が報告され、特にメンバーの感情・態度面と、チーム内の行動過程で比較的大きな効果が示されています。
研究で報告された主な結果は、以下のとおりです。
| 評価対象 | 効果の指標(ρ) |
| チームビルディング全体 | 0.31 |
| 感情・態度面(信頼感や結束感など) | 0.44 |
| 行動過程(コミュニケーションや協力・連携など) | 0.44 |
ρ(ロー)は、関連の強さを示す統計上の指標です。0に近いほど関連が弱く、1に近いほど正の関連が強いことを表します。社員の31%や44%が改善したという意味ではありません。
この結果から、チームビルディングは、特にメンバーの信頼感や結束感、コミュニケーションや協力といった面で効果が期待できる取り組みと考えられます。
一方、売上や生産性、離職率などの組織成果には、研修以外の要因も関わります。そのため、研修の効果を評価する際は、まず目的に対応する認識や行動の変化を確認し、業務上の成果とは分けて捉えることが適切です。
参考:Klein et al.(2009)“Does Team Building Work?”
チームビルディング研修で対応できる課題・対応が難しい課題
チームに課題があっても、必ずしも研修が解決策になるとは限りません。メンバーの協働行動に原因がある場合は研修が有効な選択肢になりますが、業務体制や職場環境に問題がある場合は別の対応も必要です。ここでは、チームビルディング研修で改善を目指せる課題と、研修以外の対応が必要な課題について解説します。
研修で改善を目指せる課題
メンバー同士の認識の違いやコミュニケーションの取り方に課題がある場合は、チームビルディング研修が選択肢になります。
たとえば、部署をまたぐプロジェクトで情報共有がうまくいっていない場合は、互いの状況を確認し、必要な情報を伝える練習が考えられます。また、メンバー間で目標の捉え方が異なる場合には、共通の目標や優先順位について話し合う機会を設けることが効果的です。
ただし「連携が悪い」という漠然とした認識だけで研修内容を決めることは避けましょう。情報共有の遅れや認識の食い違いなど、実際にどのような問題が起きているかを把握し、改善したい行動を明確にすることが大切です。
研修以外の対応が必要な課題
課題の原因が業務体制や職場環境にある場合は、研修だけで改善することは難しいと考えられます。
たとえば、慢性的な人手不足によってメンバーが互いを支援する余裕がない場合は、協力の大切さを学ぶだけでなく、業務量の調整や人員配置の見直しが必要です。また、役割や決裁権限が曖昧なために業務が滞っている場合は、責任範囲や業務の進め方を明確にする必要があります。
同じ「相談が少ない」という課題でも、相談の仕方がわからないのか、相談する時間がないのか、上司の反応を恐れているのかによって、適切な対応は異なります。
研修の実施を決める前に、課題が生じている原因を確認し、研修で改善を目指す部分と業務体制や職場環境の見直しが必要な部分を整理しましょう。
自社に合うチームビルディング研修の目的を決める5ステップ
チームビルディング研修の目的は、「コミュニケーションを活性化したい」「チームワークを高めたい」といった抽象的な表現だけでは、具体的な研修内容や効果の確認方法につながりません。自社の課題を整理し、研修後にどのような変化を目指すのかを明確にすることが重要です。
ここでは、チームビルディング研修の目的を決める手順を5つのステップで解説します。
1.現場の課題を具体化する
まず、チーム内で実際に起きている問題を洗い出します。管理職へのヒアリングや社員アンケート、日常業務の振り返りなどを通じて、どのような場面で困りごとが生じているのかを確認しましょう。
たとえば「部署間の連携が悪い」という声があった場合は、必要な情報が共有されていないのか、依頼への対応が遅れているのかなど、具体的な状況を把握します。課題をできるだけ行動や事実に置き換えることで、改善すべき点が明確になります。
2.研修で対応する課題を絞る
次に、洗い出した課題の原因を確認し、研修で改善を目指せるものを選びます。たとえば、情報共有が不足している場合でも、伝え方や確認の仕方に問題があるのか、情報を共有する仕組み自体が整っていないのかによって、必要な対応は異なります。
前者であれば、研修を通じて情報共有の方法を学び、実践することが考えられます。一方、後者であれば、報告ルールや業務フローの見直しが必要です。複数の課題がある場合は、業務への影響や改善の必要性を踏まえ、優先して取り組むものを絞りましょう。
3.改善したい行動を明確にする
研修で取り組む課題が決まったら、受講後にメンバーがどのような行動を取れるようになってほしいのかを考えます。
たとえば、「部署間の連携を強化する」という目的であれば、「相手部署に必要な情報を確認する」「進捗や変更点を適切なタイミングで共有する」など具体的な行動に置き換えます。このように目的を設定すると、研修で何を学ぶべきかが明確になり、実施後の変化も確認しやすくなります。
4.目的に合う研修内容を選ぶ
目的が明確になったら、改善したい行動を練習できる研修内容を検討します。
たとえば、情報共有や連携の改善が目的なら、メンバー同士で情報をやり取りしながら課題を解決するグループワークが選択肢になります。目標の認識をそろえたい場合は、チームの目標や優先順位を話し合うワークショップなどが考えられます。
研修内容を選ぶ際は、参加者が楽しめるかどうかだけでなく、目的とする行動を実際に体験・練習できるかを確認しましょう。また、研修で得た気づきを日常業務にどう生かすか、振り返る時間を設けることも大切です。
チームビルディング研修に取り入れられるゲームやアクティビティの具体例は、以下の記事で紹介しています。
5.効果の確認方法を決める
最後に、設定した目的がどの程度達成されたかを確認する方法を決めます。
研修直後のアンケートでは、学んだ内容の理解度や今後の行動意欲などを確認できます。ただし、研修に満足したことと、実際の行動が変わったことは同じではありません。
たとえば、情報共有の改善を目的とした場合は、研修前後のアンケートに加え、一定期間後に進捗共有や確認行動が増えたかを管理職が確認する方法もあります。
研修前に確認項目と確認時期を決めておけば、実施後に成果を振り返り、次の改善につなげやすくなります。
研修後の効果を測定する方法や評価のポイントについては、以下の記事も参考にしてください。
チームビルディング研修の目的設定例
チームビルディング研修の目的を社内で共有する際は、現場の課題と研修後に目指す行動を結びつけて説明することが大切です。「コミュニケーションを活性化する」といった抽象的な目的だけでは、研修内容が適切かどうか判断しにくくなります。
たとえば、部署間の情報共有に課題がある場合は、次のように研修目的を設定できます。
| 項目 | 設定例 |
| 現状の課題 | 部署間で進捗や変更事項が十分に共有されず、認識の食い違いや手戻りが生じている |
| 研修の目的 | 必要な情報を共有し、互いの認識を確認する方法を身につける |
| 研修内容 | 情報を持ち寄って課題を解決するグループワークと振り返り |
| 目指す行動 | 業務の進捗や変更点を共有し、相手に正しく伝わったかを確認する |
| 効果の確認 | 研修前と研修1か月後に、情報共有の実施状況や認識の食い違いが生じた場面を確認する |
この内容を社内提案書にまとめる場合は、次のように記載できます。
【研修目的の記載例】
部署間の情報共有不足によって生じる認識の食い違いや手戻りを減らすため、メンバーが必要な情報を適切に伝え、互いの認識を確認する方法を習得することを目的とする。研修では、情報共有や協力が必要なグループワークを実施し、日常業務で実践する行動を明確にする。
研修の目的を設定する際は、参加者に何を学んでほしいのかだけでなく、実務でどのような行動を取ってほしいのかまで具体化しましょう。研修後の行動と確認方法をあらかじめ決めておくことで、実施の必要性や成果を社内で説明しやすくなります。
まとめ
チームビルディング研修には「目標の共有」「メンバー間の関係性の改善」「役割の明確化」「問題解決力の向上」という4つの目的があります。どの目的を重視すべきかは、チームの状況や抱えている課題によって異なります。
研修を企画する際は、まず現場の課題を具体的に把握し、改善したい行動を明確にすることが大切です。そのうえで、目的に合ったプログラムを選び、研修後の行動の変化を確認できるようにしましょう。
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この記事の著者
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