人事評価における目標設定のポイント、職種別の具体例
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人事評価制度は、社員の努力や成果を評価し、給与や賞与、人事異動、昇進などに反映させる仕組みです。公平な評価を行うため、そして社員の人事評価制度に対する納得度や満足感を高めるためには、明確な目標を設定する必要があります。
本記事では、人事評価における目標設定の重要性、目標を設定するメリット、適切な目標を設定するためのポイント、職種別の目標設定の具体例を紹介します。また、目標を達成するためには、設定したあとの行動が重要です。最後に目標を設定したあとにやるべきことについても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
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人事評価における目標設定の重要性
人事評価制度を導入している場合、評価期間が始まる前、または始まってからすぐに目標を設定するのが一般的です。そして、期間中の目標への取り組み方や達成度合いをもとに、期末に評価を行います。
目標は、評価の基準となるものです。目標が設定されていないと、被評価者である社員は「なぜこの評価になったのか」を理解できず、不平不満が生じやすくなります。評価者としても、目標がなければ何をどのように判断すればよいのか迷ってしまいます。その結果、主観が強い評価になり、ばらつきも生じやすくなるでしょう。公平で納得感のある評価を行うためには、目標設定が欠かせないのです。
また、目標を設定して「何が評価につながるのか」「企業が何を求めているのか」を明確にしておくことで、社員は普段から目標を意識して仕事に取り組めるようになります。すると、一人ひとりがより高いパフォーマンスを発揮できるようになり、成果も生まれやすくなるでしょう。人事評価における目標設定は、社員と企業の成長のためにも重要なものなのです。
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人事評価において目標を設定するメリット
次に、人事評価において明確な目標を設定するメリットを、大きく4つに分けて解説します。
社員のモチベーションが高まる
目標は、言い換えると「ゴール」です。明確なゴールが設定されていると、そこに向けてモチベーションが高まりやすくなります。目標達成に向けた行動、それにより生まれた成果などが実際に評価につながれば、さらに意欲が高まるでしょう。
反対にゴールが設定されていないと、「何のために日々の業務をこなしているのか」「どこに向かっているのか」がわからなくなり、モチベーションが下がってしまう可能性があります。また、目標を設定していても、その内容が曖昧だと、社員は「どこがゴールなのか」「達成するために何をすればよいのか」を理解できません。目標は、社員がこれらを理解できるような内容にすることもポイントです。
社員の成長につながる
明確な目標があると、その達成にはどのような知識やスキルが必要で、自分には何が足りていないのかを、社員が把握しやすくなります。また、前項でお伝えしたようにモチベーションも高まりやすくなるため、主体的に仕事や勉強に取り組むようになることが期待できます。社員一人ひとりが成長することで、組織全体のレベルも底上げされるでしょう。
ただ、成長につなげるためには、評価者が設定した目標をしっかりと管理し、定期的に振り返りとフィードバックをすることが重要なポイントとなります。これについては、のちほど詳しく解説します。
生産性が向上する
明確な目標が設定されていると、社員は企業から求められている行動や成果を把握しやすくなります。そして、それらは自身の評価につながるものであるため、自主的に目標に沿った行動をとるようになることが期待できます。
また、目標には達成期限を設定するのが一般的です。期限内に達成するためには、無駄を省き、計画的に業務を進めていくことが求められます。社員一人ひとりが効率も意識して仕事に取り組めるようになれば、組織全体の生産性が向上します。その結果として、業績にも良い影響がもたらされる可能性があります。
社員との信頼関係を強化できる
社員の個人目標は、企業や部門の目標とリンクさせなければなりません。のちほど詳しく解説していますが、目標を設定する際は、まず企業のビジョンや理念、部門の目標を社員に共有することが重要です。そして、それを理解してもらったうえで、社員の希望や考えとすり合わせていきます。目標は企業から社員に与えるものではなく、双方で話し合って決めるものです。これを丁寧に行うことで、企業と社員の相互理解が深まり、信頼関係が強化されるでしょう。
また、目標を設定したあとは、進捗の管理や評価、フィードバックも行わなくてはなりません。そのために、コミュニケーションの機会が増えるというメリットもあります。目標達成に向けた行動や成果が正しく評価され、自分の努力が認められれば、社員の企業に対する信頼感はより高まります。その結果として、エンゲージメント(社員の企業に対する貢献意欲)の向上にもつながるでしょう。
適切な目標を設定するためのポイント
人事評価における目標は、ただ設定すればよいというものではありません。適切な目標を設定するために、以下のポイントを押さえておきましょう。
企業や部門の目標を共有する
適切な目標を設定するためには、社員に企業のビジョンや理念を正しく理解してもらう必要があります。そのために、まずは企業の明確な目標を設定し、社員に共有しましょう。「企業が何を目指すのか」を社員が理解できるように、企業の目標は数字で表し、達成期限も示された具体的なものとすることが大切です。そして、企業の目標をもとに設定した部門ごとの目標も、社員に共有します。
個人目標は、これらを共有したうえで、本人の希望や考えとすり合わせて決定します。上から与えるだけの目標にならないように注意しましょう。
フレームワークを活用する
目標は、具体的でわかりやすいものとすることが重要です。また、簡単に達成できるようなものでは成長につながりませんし、反対に難しすぎるとモチベーションを引き出すのが難しくなるため、期限やレベルを調整することもポイントです。
効果的な目標を設定するために、フレームワークを活用することをおすすめします。目標設定のフレームワークは複数ありますが、最も有名なのは「SMARTの法則」です。
| Specific(具体的である) | どのような状態になれば「達成」なのか、誰が見てもわかるくらい具体的に示されている。 |
| Measurable(測定できる) | 目標の達成度合いを客観的に測定することが可能。 |
| Achievable(達成できる) | 現実的に達成できる目標になっている(スケジュール的に無理がない、社員にとって難しすぎない など) |
| Relevant(関連性のある) | 達成することで、組織や社員本人にメリットがある目標になっている。 |
| Time-bound(期限がある) | 明確な達成期限が示されている。 |
目標設定の際は、上記5つのポイントを意識してみましょう。「SMARTの法則」について、詳しくは以下の記事でも解説していますので、参考にしてください。
SMARTの法則とは?目標設定の方法や活用例・ポイントを解説
定量目標と定性目標の両方を設定する
目標は、定量目標と定性目標の両方を設定するのが望ましいです。定量目標とは「数値で表した目標」のこと、定性目標とは「数値化できないものを言葉で表した目標」を指します。
評価者・被評価者の双方にとってわかりやすいのは定量目標です。しかし、数値化が難しいけれど評価すべきことも多数あります。たとえば、主体性や協調性、コミュニケーション、チームへの貢献、結果を出すまでのプロセスなどです。このような部分を評価しなければ、社員が「結果さえ出せばよい」と考え、プロセスや努力を軽視するようになる恐れがあります。また、職種や業務内容によっては目標の数値化が難しい場合もあるでしょう。
できるだけ公平で、納得感のある評価を行うために、定量目標と定性目標をバランスよく組み合わせることをおすすめします。
調査結果から見る定性目標の重要性
講義・ワークとあそぶアクティビティを組み合わせた「あそぶ社員研修」を提供する株式会社IKUSAは、2026年3月に社会人1~5年目の若手社員400名を対象に、「人事評価制度に対する満足度と納得感についての実態調査」を実施しました。
この結果を見ると、「理想的な評価制度」として24.5%が「チーム成果重視型」を、20.5%が「プロセス重視型」を挙げており、「成果重視型(11.5%)」や「自己目標達成型(15.5%)」を上回る結果となっています。
また、そこまで高水準ではないものの、以下のような結果も得られています。
- 評価に対して不満を感じた理由は何ですか?(評価結果について納得感が「まったくない」「あまりない」「どちらともいえない」と回答した方に対して)→プロセスが評価されない(10.7%)
- あなたが重視する評価のポイントは何ですか?→チーム貢献の評価(12.3%)
これら結果から、プロセスやチームへの貢献度を評価されたいと感じている若手社員も少なくないことがわかります。社員の納得感や満足感を高めるために、これらについての評価項目と定性目標を設けることも検討できるとよいでしょう。
IKUSAのプレスリリース:「人事評価制度に対する満足度と納得感についての実態調査」の結果を公表 – IKUSA.jp
目標に意味を持たせる
個人目標は、企業の成長のためだけでなく、社員本人にとっても意味のあるものとすることが大切です。「意味」とは、言い換えると「メリット」になります。達成しても自分にとって何もメリットがなければ、なかなかモチベーションは湧いてこないものです。目標を設定したら、評価者は一緒に意味づけも行いましょう。
このとき役に立つのが、「目的・目標の4観点(原田メソッド)」というフレームワークです。目的や目標を設定したら、「自分 / 社会・他者」「有形 / 無形」という2つの軸から、そのメリットを考えて整理します。
<例>
- 自分×有形 → 報酬がもらえる
- 自分×無形 → 自分に自信が持てるようになる
- 社会・他者×有形 → ボーナスで子どもが欲しがっていたおもちゃを買ってあげられる
- 社会・他者×無形 → チームの雰囲気が明るくなる
このようにメリットを考えることで、目標が自分ごとになり、モチベーションが高まりやすくなります。
【職種別】人事評価における目標設定の具体例
次に、人事評価における目標設定の具体例を職種別に紹介します。
営業職
営業職は、売上や契約数など数値目標を立てやすい職種です。ただ、お伝えしたように定量目標だけでは成果重視の考え方になりやすいため、定性目標も設定し、数値化できない部分もきちんと評価することが大切です。
<目標の例>
- 契約数は前年比〇%を目指す
- 新規顧客を獲得するために、1ヶ月で〇件訪問する
- 顧客との関係強化のため、定期的にフォローアップを行う
技術職
エンジニアやクリエイティブなどの技術職は、開発効率改善のための具体的な数値目標に加えて、品質や組織力を高めるためにスキルアップの目標も設定できるとよいでしょう。
<目標の例>
- バグやエラーの発生率を〇%に抑える
- プログラミングの知識・スキルを磨くために、週に1回勉強会に参加する
- 今期中に専門資格を取得する
総務
総務は、日々の業務の効率化、経費やミスの削減などを目標とすることが多いでしょう。定量目標の設定が難しい職種ではありますが、数値化することも可能です。
<目標の例>
- 業務マニュアルを作成し、問合せ件数を〇件以内に抑える
- 消耗品の購入先を見直し、経費を〇%削減する
- 社内の申請フローを見直し、ペーパーレス化を進める
人事・労務
人事・労務は、労働環境の改善、人材の採用、育成など業務内容が幅広いため、社員が担当する業務に合わせて目標を設定する必要があります。
<目標の例>
- 有給取得率を、政府が掲げる目標である70%まで引き上げる
- 月に〇件のスカウトを送信し、返信率〇%を目指す
- 福利厚生を見直し、社員満足度を向上させる
サービス業
販売や接客などのサービス業は、業務内容に合わせて具体的な行動をもとに考えるとよいでしょう。たとえば、以下のような目標が考えられます。
<目標の例>
- 積極的にセット商品をおすすめし、売上を前年比〇%増加させる
- 接客スキルを磨くため、月に1度勉強会を開催する
- 忙しい時間帯でも、注文をいただいてから10分以内に料理を提供する
目標を設定したあとに実施すること
目標を設定したあとは、達成に向けたプランを立て、進捗を管理し、状況に応じて見直しや改善を行う必要があります。これをスムーズに行うために、目標管理シートの作成と定期的な面談を実施することをおすすめします。
目標管理シートを作成する
目標を設定したあとは、目標管理シートを作成しましょう。目標管理シートに記載する主な項目は、以下の通りです。
- 目標:設定した目標
- 評価基準:目標を評価するための基準
- 達成期限:目標を達成すべき期日
- 行動指標:目標達成に向けてやるべきこと
- 結果・振り返り:結果と、それに対する評価(最後に記載する)
目標と評価基準、達成に向けてやるべきことなどを文書にまとめておくことで、管理や評価がしやすくなるだけでなく、社員の主体性やモチベーションも高まりやすくなります。目標管理シートを効果的に活用するために、各項目はできるだけ具体的に記載しましょう。
定期的に面談を実施する
目標を設定したあとは、進捗確認とフィードバックのために、定期的に面談を実施することをおすすめします。目標達成に向けて取り組む中で、気づかないうちに方向性がずれてしまったり、トラブルが発生して進捗が遅れてしまったりすることもあります。定期的に振り返りの機会を設けることで、そのようなずれや問題を早期に発見し、修正・改善を加えることができます。
また、社員の成長のためには、こまめにフィードバックをすることも重要です。良い点・改善点を具体的にフィードバックすることで、社員は「普段の自分をちゃんと見てくれている」と感じられます。これにより、評価に対する納得感や満足感も高まりやすくなるでしょう。
目標を設定したあとは、定期的に面談を実施して振り返りとフィードバック、必要に応じて修正・改善をするという流れを繰り返すこと、つまりPDCAを回しながら進めていくことが大切なのです。そうすることで、目標達成に向けた取り組みが加速し、成果につながりやすくなります。
まとめ
公平で納得感のある人事評価を行うために、目標設定は欠かせないものです。目標を設定することで、社員のモチベーションが高まる、社員の成長が促進される、組織全体の生産性が向上する、社員と企業の信頼関係が強化されるなどのメリットもあります。
ただ、目標があればよいというわけはありません。内容は明確でわかりやすいものとする必要がありますし、社員の意欲を引き出すためには目標の意味づけを行うことも求められます。また、目標を設定したあとは、社員とコミュニケーションをとりながら、しっかりと管理していくことも重要です。
人事評価に何らかの課題を感じているなら、一度本記事の内容も参考にしていただきながら、目標設定や管理の方法を見直してみてはいかがでしょうか。
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この記事の著者
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