人事評価制度の納得感を高めるメリットや具体的な方法を紹介

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この記事の監修者
株式会社motch me 取締役
石野 太一
同志社大学在学中に大学生向けクリエイティブスクールの立ち上げに携わる。25歳の時に「地頭を鍛える」をコンセプトに、謎解きやパズルを用いた学習塾「たいち数楽教室」を開塾し、延べ300名以上を指導。その後ベンチャー企業の一号社員として研修事業の責任者を務め、営業・コンテンツ開発から講師登壇までを担い、年間88回登壇した実績を持つ。「講師は現場を離れて講師だけをやっていてはいけない」をモットーに、現在はイベント制作会社の取締役として経営企画・人事に携わりながら、講師活動を続けている。

人事評価の結果に「納得できない」と感じている人は少なくありません。このような不満を放置すると、社員のモチベーションが低下し、チームや組織全体のパフォーマンス、業績にも悪影響が及ぶ場合があります。

本記事では、まず株式会社IKUSAの調査結果をもとに、人事評価の納得感が低い主な原因や、納得感を高めるメリットを解説します。そのうえで、人事評価制度の納得感を高める具体的な方法を紹介します。自社の人事評価制度に課題を感じている方は、ぜひ参考にしてください

 

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人事評価に納得感を得られていない若手社員は約54%

株式会社IKUSAは、社会人1~5年目の若手社員400名を対象に「人事評価制度に対する満足度と納得感についての実態調査」を実施しました(実施時期:2026年3月、調査方法:インターネット調査)。

この結果を見ると、「現在の人事評価に満足している」「評価結果について納得感がある」と回答した層はいずれも約46%に留まり(「やや満足」「(納得感が)ややある」を含む)、半数以上の約54%が十分な満足感・納得感を得られていない実態が明らかになりました。

まずはこの調査結果をもとに、人事評価の納得感が低い主な原因と、納得感を高めるメリットを考察します

人事評価の納得感が低い主な原因

評価結果について納得感が「まったくない(9.8%)「あまりない(9.8%)「どちらともいえない(34.3%)」と回答した方にその理由を尋ねたところ、多かった回答は以下の通りです。

  • 評価基準が不明確(17.7%)
  • 給与への反映が小さい(16.7%)
  • 上司の主観が強い(16.3%)
  • 成果が正当に評価されない(16.3%)
  • フィードバックが不足している(11.6%)

一つずつ、詳しく見ていきましょう。

評価基準が不明確

人事評価の納得感を高めるためには、明確な評価基準があることが重要です。これがないと、公平な評価は行えません。「あなたが重視する評価のポイントは何ですか?」の質問では、約26%が「明確な基準」と「公平性」を挙げています

また、明確な基準をもとに公平な評価を行っていても、被評価者である社員に基準が十分共有されていないために、不満が生じるケースも少なくないようです。本調査でも、約46%が「評価基準が共有されていない」と回答しています(「あまり共有されていない(27%)」と「まったく共有されていない(19.3%)」の合計)。

給与への反映が小さい

自分の成果や努力が高く評価されたとしても、それが給与や賞与などの報酬に反映されなければ、納得感は得られないでしょう。「努力をしても会社しか得をしない」「自分には何のメリットもない」などと感じて、モチベーションが下がってしまう可能性もあります。

また、「重視する評価のポイント」を尋ねた質問でも、約11%が「報酬への反映」と回答しています。そこまで高い数値ではないのは、本調査が若手社員を対象にしたものだからかもしれません。近年は人材確保のために、新人・若手の給与水準が上昇傾向にあります。評価の給与への反映が小さく、先輩社員の給与が後輩社員より低くなる「給与の逆転現象」が生じれば、先輩社員のモチベーションの低下や離職リスク上昇につながる恐れがあるため、注意しましょう。

上司の主観が強い

人事評価は、明確な評価基準をもとに客観的に行う必要があります。根拠がなかったり、上司の感情や上司との関係性(好き・嫌い、自分と似ている など)が反映されたりすると、「主観が強い」と感じられ、不満が生じやすくなります

また、客観的な評価を行っていたとしても、「なぜこの評価になったのか」という説明が足りないと、被評価者としては「かなり主観が入っているのではないか」と感じてしまいます。納得感を高めるには、評価結果について丁寧に説明することも重要です。

成果が正当に評価されない

「成果が正当に評価されない」と感じてしまう理由はさまざまです。ここまでに挙げた「評価基準が不明確」「給与への反映が小さい」「上司の主観が強い」もそうですし、被評価者が理想とする評価制度と会社の評価制度とのズレにより、このような不満を抱くケースもあるのではないでしょうか。

本調査で「理想的な評価制度」を尋ねたところ、最も多かった回答は「チーム成果重視型(24.5%)」、続いて「プロセス重視型(20.5%)」となっています。個人の成果や目標達成を重視する評価制度になっている場合は、チームへの貢献度や日々の取り組みを評価する項目を加えることで、不満の解消につながるかもしれません。

フィードバックが不足している

先ほど評価結果の説明を丁寧に行うことが重要であるとお伝えしましたが、納得感を高めるためには、説明とともにフィードバックを行うことも大切です。

本調査では、「重視する評価のポイント」として26.3%が「フィードバックの重要性」を、17%が「対話の質」を挙げています。この結果を見ても、評価面談における評価者の対応が重要であることがわかります。

しかし、その評価面談が「役に立っている」と回答した層は43%に留まっています(「非常に役立っている(14.5%)」「やや役立っている(28.5%)」の合計)。本調査には「なぜ役に立っていないと感じるのか」についての質問はありませんでしたが、説明やフィードバックが足りない、または質が低い可能性が考えられるのではないでしょうか。

人事評価の納得感を高めるメリット

本調査では、以下のような結果も得られています。

  • 評価制度は心理的安全性(気兼ねなく意見や相談ができミスを恐れず挑戦できる雰囲気)に影響していると思いますか?→「強く影響している(18.5%)」「やや影響している(30%)」の合計が48.5%
  • 評価制度が改善されれば勤続意向は高まりますか?→「大きく高まる(20.5%)」、「やや高まる(39.3%)」の合計が59.8%

人事評価制度を改善し、納得感を高めることで、心理的安全性が向上する、定着率が高まる(離職率が改善される)といった効果が期待できるでしょう。

IKUSAのプレスリリース:「人事評価制度に対する満足度と納得感についての実態調査」の結果を公表 – IKUSA.jp

 

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人事評価制度の納得感を高める方法

ではここからは、人事評価制度の納得感を高める方法を紹介していきます

社員から意見を聞く

人事評価の結果に納得できない理由は、前項で紹介したもの以外にもさまざまなものがあります。まずはこれを把握しなければ、どこをどのように改善すればよいのかがわかりません。社員から意見を集めて、自社の人事評価制度の納得感が低い理由を分析しましょう

また、本記事では主に人事評価制度に対する被評価者の納得感にフォーカスしていますが、人事評価制度を効果的に運用していくには、評価者側の不満や悩みを解消することも重要です。そのため、被評価者だけでなく評価者の役割を担っている社員にも意見を求めましょう。

社員から意見を集める具体的な方法としては、アンケートや社員満足度調査、面談などがあります。このようなヒアリングは、定期的に行うことが大切です。社員の意見を制度に反映させることで、納得感と満足感も高めることができるでしょう。

評価基準を明確にする

先ほど紹介した株式会社IKUSAの調査結果でも、評価結果に納得できない理由の第1位が「評価基準が不明確」でした。公平で客観的な評価を行うために、明確な評価基準を整備しておきましょう。

評価基準は、以下の3つを軸に設計するのが一般的です。

業績評価業績や目標達成度、成果などに対する評価。
(評価項目の一例:業績目標達成度、課題目標達成度、日常業務 など)
能力評価業務に関する知識やスキルなどに対する評価。
(評価項目の一例:理解力、判断力、企画力 など)
情意基準勤務態度、姿勢、意欲などに対する評価。
(評価項目の一例:規律性、協調性、積極性、責任感)

評価項目が多すぎて結果にばらつきが生じるケースもあるので、ある程度数を絞り込むこともポイントです。

評価手法を見直す

人事評価制度の納得感が低い原因が、評価基準ではなく評価手法にある場合もあります。たとえば「上司の主観が強い」という声が多いなら、上司以外の視点を取り入れることで納得感を高められる可能性があります

近年注目されているのが、「360度評価」です。これは、上司や人事担当者だけでなく、同僚や部下、他部署の関係者など複数の人を評価者とする手法で、多面的に評価できることから「多面評価」とも呼ばれています。

その他にも、「目標管理制度(MBO)」、「コンピテンシー評価」、「バリュー評価」、「ノーレイティング」など、さまざまな手法や制度があります。まずは自社の課題を明確にし、自社に適したものを導入しましょう。

評価を待遇へ反映させる仕組みを作る

人事評価制度というと、その名の通り「社員を評価する制度」と思われがちです。しかし、本来人事評価制度とは、評価だけでなく、その結果を待遇や人材配置に反映させる仕組みを指します。具体的には、以下の3つの制度により成り立ちます。

  • 等級制度……社員を求める能力や職務、役割などで分類し、階層化する仕組み。
  • 評価制度……社員を公平に評価する仕組み。
  • 報酬制度……社員の等級や評価の結果をもとに報酬を決める仕組み。

報酬には、給与や賞与といった金銭的なものだけでなく、学習機会の提供や表彰などの非金銭的な報酬も含まれます。人事評価制度は、上記3つの制度を連動させて運用することが重要です。

先ほどお伝えしたように、評価の給与への反映が小さいことも、納得感が低いよくある原因の一つです。社員が「努力が報われた」と感じられるよう、評価結果をしっかりと待遇へ反映させる仕組みを整えておきましょう。

社員向けの説明会を開催する

人事評価制度の見直しを行った場合は、被評価者である社員向けに説明会を開催しましょう。どれだけ公平な評価を行える制度を整えたとしても、社員がその内容を把握できていなければ、納得感は得られないからです。

また、これまで運用していた制度を変更するとなると、社内に大きな混乱が生じたり、抵抗感を示す社員が出てきたりする可能性もあります。単に仕組みを説明するだけでなく、「なぜこのタイミングでの変更なのか」「何のために変更したのか」など、その背景や目的まで丁寧に伝えましょう

制度の資料だけを配布し、説明会までは開催しないケースもありますが、人事評価制度は社員にとって自身の給与や賞与、今後のキャリアなどにも関係する重要なものです。手間はかかりますが、説明会を開催して理解を深めてもらうことをおすすめします。

なお、新制度の説明は経営トップが行うこともポイントです。想いや考え、本気度などが社員に伝わりやすくなります。

評価者研修を実施する

評価者研修とは、評価者の役割を担う社員を対象に行う研修のことです。人事評価制度の目的、構造、評価基準などについて理解を深めてもらうことに加えて、効果的な目標の立て方や面談の進め方、フィードバックの方法など、必要なスキルを習得してもらうことを目的としています

主観的な評価や、評価のばらつきの原因が「評価者のスキル不足」である場合もあります。評価者研修を実施して、自社の人事評価制度に対する理解を深め、必要なスキルを身につけてもらうことで、公平な評価が実現し、納得感を高められる可能性があります。

特に管理職になったばかりの人は、部下の評価に戸惑うことも多いため、まず「研修」という形で必要な知識やスキルを体系的に学ぶ機会を提供することをおすすめします。また、新しい制度を導入したときや、内容を変更した際も、研修を実施して認識をそろえておくことが大切です。

フィードバックの質を高める

評価結果に対する納得感を高めるために、評価者には質の高いフィードバックを行うことが求められます。評価面談においては、まず評価結果とその理由を丁寧に説明し、良かったところと改善点、今後の目標、期待することなどを具体的に伝えましょう

そして、可能であれば評価面談以外のフィードバックの機会を設けることをおすすめします。なぜなら、フィードバックはできるだけ時間を空けずに行ったほうが、高い効果が得られるためです。

評価面談は、評価期間に合わせて半年~1年に1回のスパンで実施するのが一般的です。そのときに数ヶ月前の出来事に対し、「あのときのあの行動は素晴らしかった」「ここはもう少しこうしたほうがよいと思う」などと言われても、被評価者としては「今更言われても……」と感じてしまうでしょう。その出来事を覚えていない可能性すらあります。

また、人事評価の納得感を高めるには、評価者が普段から被評価者とコミュニケーションをとり、信頼関係を築いておくことも重要なポイントです。フィードバックと関係を深める機会として、1on1の導入も検討してみてはいかがでしょうか。

評価者の負担を考える

評価者の業務負担が大きすぎるために、評価の質が落ちてしまっている可能性もあります。評価は、一般的には管理職の仕事です。しかし現代の管理職の多くは、プレイヤーとして現場に立ちながらマネジメント業務もこなす「プレイングマネージャー」であり、多くの人が時間に追われ、ストレスを抱えながら仕事に取り組んでいる現実があります。そのような中で、さらに「もっと丁寧にフィードバックを」「評価スキルを磨くために研修を受けて来て」などと言われると、心や体に限界が来てしまう恐れもあります。

会社には、評価者が適切な評価を行えるように、必要なサポートを行うことが求められます。評価者の負担を考えて業務量を調整したり、評価者を改めて選び直したりすることも検討してみましょう。

外部の専門家の力を借りる

人事評価制度の納得感を高めるには、自社に適した仕組みを設計・構築することが重要ですが、社内のメンバーだけではなかなか問題に気づけないことも少なくありません。また、制度の設計・構築・運用には人事領域の専門知識も求められます。新制度を定着させるためには、マニュアルや配布資料の準備、社員向けの説明会など、やらなければならないことも多数あります。人事の負担を減らし、効果的に運用していくために、コンサルティング会社などの専門家の力を借りながら進めていくことをおすすめします

また、評価者研修は研修会社の研修サービスを利用して実施する方法もあります。「評価者研修」というプログラムを提供している会社もありますし、傾聴スキルやフィードバックスキルなど特定のスキルを磨いてほしい場合には、そのスキルに特化したプログラムを探してみるとよいでしょう。

株式会社IKUSAの「あそぶ社員研修」でも、さまざまなテーマのプログラムを用意しております。お気軽にご相談ください。

まとめ

株式会社IKUSAが実施した調査では、若手社員の半数以上が人事評価に納得できていない実態が明らかになりました。社員の不満を放置すれば、モチベーションの低下や離職リスクの上昇などにつながる恐れがあります。社員の意見を聞いて課題を特定し、早めに対処することをおすすめします。

 

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この記事の著者

あそぶ社員研修編集部

あそぶ社員研修は、企業の研修担当者向けのお役立ち情報を発信するメディアです。研修に関するノウハウ、組織・人材開発の手法、ビジネススキルなどをわかりやすく紹介します。

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