人事評価エラーの発生を防ぐための対策、主な原因をわかりやすく解説

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この記事の監修者
株式会社motch me 取締役
石野 太一
同志社大学在学中に大学生向けクリエイティブスクールの立ち上げに携わる。25歳の時に「地頭を鍛える」をコンセプトに、謎解きやパズルを用いた学習塾「たいち数楽教室」を開塾し、延べ300名以上を指導。その後ベンチャー企業の一号社員として研修事業の責任者を務め、営業・コンテンツ開発から講師登壇までを担い、年間88回登壇した実績を持つ。「講師は現場を離れて講師だけをやっていてはいけない」をモットーに、現在はイベント制作会社の取締役として経営企画・人事に携わりながら、講師活動を続けている。

人事評価エラーとは、その言葉の通り人事評価におけるエラー(error:誤り、間違い)のことです。人事評価は人が行うわけですから、どうしてもバイアス(偏見や先入観など)がかかってしまうことがあります。また、制度の設計に問題があるために、評価に偏りやばらつきが生じているケースもあるでしょう。このような状態を放置すれば、社員の中に不満が生まれ、組織にさまざまな悪影響がもたらされる恐れがあります。

本記事では、人事評価エラー対策を行うべき理由、人事評価エラーを防ぐための対策、人事評価エラーの主な種類と具体例、さらに株式会社IKUSAの調査結果をもとに、人事評価制度の実態を紹介します

 

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人事評価エラー対策を行うべき理由

人事評価エラーが起こるということは、公平な評価が行えていないということです。被評価者としては、自分の努力や成果が正しく評価されなければ、モチベーションが下がってしまいます。そのような状態が改善されなければ、評価者である上司や、会社に対しても不満や不信感を抱くようになるでしょう。すると、チームや組織全体の雰囲気、業務効率や生産性の悪化につながることもあります。さらに、より自分を認めてくれる場所を求めて、転職を考え始める可能性もあるでしょう。

個人と組織の成長のため、そして社員に長く自社で活躍してもらうために、人事評価エラー対策に取り組みましょう。

 

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人事評価エラーを防ぐための対策

人が評価を行う以上、少なからず主観や先入観、感情などが入ってしまうものです。そのため、人事評価エラーを完全になくすことは難しいといえます。これから具体的な人事評価エラー対策を紹介しますが、「うちは対策をしているから大丈夫」と思わないことが重要です。

では、人事評価エラーの発生をできるだけ防ぐためにどのようなことができるのか、一つずつ紹介していきます

人事評価シートを見直す

まずは、現在使用している人事評価シートを見直してみましょう。人事評価エラーを防ぐために改善したい主なポイントは、以下の3つです。

明確な評価基準を設定する

評価基準が曖昧だと、評価者は何を根拠に判断すればよいのか迷ってしまいます。主観や感情も入りやすくなるでしょう。また、明確な評価基準がなければ、被評価者としては「なぜこの評価になったのか」を理解できないため、不満や不公平感が生まれやすくなるという問題もあります。

以下に、勤務態度や姿勢についての「情意評価」の評価項目として、「協調性」を設けていた場合の例を記載します。

  • 曖昧な例:「協調性:周りと協調できていたか」
  • 改善例:「協調性:周りとコミュニケーションをとりながら仕事を進めていたか」

このように、評価者が「何を評価すべきか」を迷わずに判断できる基準とすることが重要です。

評価項目を増やしすぎない

明確な評価基準を作ろうとすると、どうしても評価項目が多くなりがちです。しかし評価項目が多すぎると、評価ではなく、ただの「確認作業」になってしまう恐れがあります。また、評価者の負担も大きくなります。徐々に集中力が切れてきて、後半の評価項目は「まあ、これくらいでいいかな」と、雑な評価になりやすいのです。

被評価者としても、評価項目が多すぎると内容を覚えきれません。組織と個人の成長のために、被評価者には普段から評価項目を意識して仕事に取り組んでもらうことが大切ですが、評価項目が多いとそれも難しくなるでしょう。

求める人物像や役職などにもよりますが、評価項目の数は5~10程度でよいのではないでしょうか。

評価者が評価しやすい点数のつけ方を採用する

各項目の点数のつけ方も見直してみましょう。よく用いられるのが、「5・4・3・2・1」「S・A・B・C・D」などの5つのレベルに応じて点数をつける5段階評価です。人事評価エラーを防ぐためには、「どのような状態なら何点なのか」を評価者が迷わず判断できるよう、評価項目ごとに基準を設定しておくのが望ましいでしょう

また、5段階評価ではどうしても評価が中央値(3)に集中する傾向があるため、4段階または6段階にすることも検討してみましょう。特に成果型報酬制度を導入している場合は、中央値がない点数のつけ方が適しています。

評価者を対象に研修を実施する

人事評価エラーは、誰もが陥る可能性があります。発生をできるだけ少なくするためには、まず評価者にそのことを認識してもらうことが重要です。その機会として、評価者を対象に研修を実施しましょう。

のちほど詳しく紹介していますが、人事評価エラーにはさまざまな種類があります。研修で、人事評価エラーのよくある原因と対策、客観的な評価を行う方法などを学んでもらいましょう。講義だけでなく、ワークを取り入れると実践につながりやすくなります。

また、自社の評価基準、評価方法、面談の進め方なども説明し、人事評価制度について理解を深めてもらいましょう。そうすることで、客観的かつ公平な評価が行えるようになり、被評価者の納得感や満足感も高められます。

記録をつける

人事評価は、評価期間内における被評価者の行動や成果などを評価するものです。評価者は、普段から被評価者のことをよく見ておく必要があります。そして、事実ベースで客観的に評価できるよう、しっかりと記録を残しておきましょう。これをしておかないと、評価者の主観や感情、直近の仕事ぶりなどが強く影響した評価になってしまう可能性があります。

特に数値で評価できないこと(プロセス、勤務態度など)は、日々の行動をよく見ておかないと判断ができません。普段から被評価者のことをよく見て、行動や成果などを記録しておきましょう。

定期的に面談を実施する

前項でもお伝えしたように、正しい評価を行うためには、評価者が普段から被評価者のことをよく見ておくことが大切です。被評価者の状態や目標の達成度合い、プロセスなどを確認するために、定期的に面談を実施できるとよいでしょう

面談の中では、必要に応じて目標の見直しと、フィードバックを行うことも大切です。そうすることで、被評価者は改めて評価項目(何を求められているのか)を認識できます。また、「この人(評価者)はちゃんと自分の行動や努力を見てくれている」「成長させようとしてくれている」と感じられるため、評価に対する納得感や、評価者に対する信頼感も高まるでしょう。

評価者の負担を減らす

評価は一般的に管理職の仕事ですが、特に中小企業の管理職は「プレイングマネージャー」が多く、時間に追われながら評価業務を行っている現実があります。多忙ゆえに評価の入力が締め切りぎりぎりになり、雑な評価になってしまうこともあるのです。そのような中で、人事評価エラーをなくすために「もっと細かく記録をつけて」「研修を受けて来て」「面談の回数を増やして」などと言われると、「もうこれ以上仕事を増やさないでほしい」というのが本音ではないでしょうか。

評価者が集中して評価を行えるように、会社には評価者の負担を減らすことが求められます。具体的には、まず先ほどお伝えしたように評価項目の数を減らし、シンプルな設計にすることが重要です。さらに、人事評価システムなどを導入し、進捗確認や評価の集計などの業務を自動化・効率化することも検討できるとよいでしょう。人事評価システムの中には、評価結果の偏りを分析・可視化できる機能が付いたものもあります。このような機能を活用すれば、人事評価エラーも起きにくくなるでしょう。

人事評価エラーの種類と具体例

ここからは、発生しやすい人事評価エラーの代表的な種類と具体例を紹介します。評価者研修では、受講者にこれらについて理解を深めてもらい、「誰にでも起こりうる」ことを認識してもらうことが大切です

ハロー効果

ハロー効果とは、被評価者の目立つ特徴に引きずられて、評価結果が歪んでしまう現象です。「認知バイアス」とも呼ばれます。

<例>

  • 〇〇さんはさすが有名大学を卒業しているだけあって、優秀な人である。
  • 〇〇さんは身だしなみがだらしない。雑な性格だろうから、仕事もミスが多そうだ。

中心化傾向

中心化傾向は、当たり障りのない平均的な評価をしてしまうことを指します。評価基準に問題がある場合(表現が不明確、項目の数が多いなど)や、評価者が自身の判断に自信が持てない場合、評価入力の締め切りが近づき「とりあえず終わらせなければならない」状況になった場合などに起きやすい人事評価エラーです。

<例>

  • 評価基準が曖昧でよくわからないので、とりあえず平均的な点数をつけておく。
  • 締め切りが迫っており時間がないため、5段階評価でよく考えずにほとんどの項目を「3」にする。

寛大化

寛大化とは、評価が甘くなりすぎることをいいます。被評価者に感情移入してしまったり、被評価者の業務内容や人事評価制度に対する理解が不足していたりするために、このような人事評価エラーが起こることがあります。

<例>

  • 自分を慕ってくれる被評価者に感情移入してしまい、全体的に評価が甘くなる。
  • 被評価者の業務内容を深く理解できてないため、とりあえず高めの評価にしておく。

厳格化

厳格化は寛大化の逆で、不当に厳しい評価をつけることをいいます。評価者が自身の実績やスキルを基準にしたり、被評価者に対する期待が大きすぎたりする場合に起きやすい人事評価エラーです。

<例>

  • 自分が若手のときの状況に当てはめて、「これくらいは普通だ」と判断し低い評価をつける。
  • 厳しく評価することが「被評価者の成長のため」だと考えている。

逆算化

逆算化とは、先に総合評価を決めて、そこから逆算する形で各項目の評価をつけていくことです。賞与や昇格を決めていて、そのゴールに向けて調整するようなケースが当てはまります。

<例>

  • 今回昇進させたいため、各評価項目をしっかり検討することなく、全体的に高い評価をつける。

期末誤差

期末誤差とは、評価期間の最後のほうの出来事や印象に引きずられて、評価結果が歪んでしまうことです。評価期間が長い、評価の判断材料が少ない、被評価者とのかかわりが薄いなどの場合に、このような人事評価エラーが起こりやすくなります。

<例>

  • 被評価者の日々の行動をチェックできておらず、直近の行動をもとに評価をつける。
  • 最後に大きなミスをしたことが強く印象に残っており、全体的に低く評価をしてしまう。

対比誤差

対比誤差とは、被評価者と自分自身、または他の誰かを比較することで起こる人事評価エラーです。過大評価・過小評価が生まれやすくなります。

<例>

  • 評価者は英語を話せないため、3ヶ国語を話せる被評価者を必要以上に高く評価してしまう。
  • 評価者はよく考えてから行動するタイプで、何事もまずやってみようとする被評価者を「考えることができない人だ」と低く評価してしまう。

調査結果から見る人事評価制度の実態

研修サービス「あそぶ社員研修」を提供している株式会社IKUSAは、2026年3月に若手社員(社会人1~5年目)の方400名を対象に、人事評価の納得度や満足度に関するインターネット調査を行いました(調査名:「人事評価制度に対する満足度と納得感についての実態調査」。以下、「本調査」とする。)。最後に、この調査結果をもとに、人事評価エラーや人事評価制度の実態を見ていきます。

約54%が人事評価に満足感・納得感を得られていない

本調査では、「評価制度に満足している」「評価結果について納得感がある」と回答した層はいずれも約46%(「やや満足」「やや(納得感が)ある」を含む)で、半数以上が十分な満足感や納得感を得られていないことがわかりました。そして、評価に対して不満を感じた理由として多かった回答は、以下の通りです。

  • 評価基準が不明確(17.7%)
  • 給与への反映が小さい(16.7%)
  • 成果が正当に評価されない(16.3%)
  • 上司の主観が強い(16.3%)
  • フィードバックが不足している(11.6%)

もちろんこの結果だけでは、人事評価エラーが起きているかどうかはわかりません。ただ、このように感じている社員がいるのに、放置することは問題です。特に「上司の主観が強い」という意見が多いなら、まず自社の現状を速やかに確認すべきでしょう。本当に主観が強い評価になっているなら、すでに人事評価エラーが発生している可能性があります。

「明確な基準」や「フィードバック」は満足感や納得感にも影響する

本調査において、「あなたが重視する評価のポイント」を尋ねた質問では、約26%が「明確な基準」「フィードバックの具体性」を挙げています。また、前項で紹介した結果からも、人事評価において「明確な基準」や「フィードバック」を求めている若手社員が多いことがわかります。先ほど「人事評価エラーの発生を防ぐための対策」の章で、明確な評価基準とフィードバックの重要性をお伝えしましたが、これらは社員の人事評価に対する満足感・納得感にも大きな影響を与える要素であると考えらえます。

しかしながら、これらが不十分であるケースも少なくないようです。評価基準については、「あまり共有されていない(27%)」「まったく共有されていない(19.3%)」と回答した層の合計が46.3%でした。明確な基準を用意していても、社員にそれが共有されていない、内容を理解されていない状態では意味がありません。

また、フィードバックの機会である評価面談が成長に役立っていると感じるかという質問では、「どちらともいえない(29%)」「あまり役立っていない(13.5%)」「まったく役立っていない(14.5%)」の合計が半数を超える結果となりました。そのように感じる理由までは尋ねていませんが、フィードバックが不十分である可能性が示唆されています。

人事評価と心理的安全性や勤続意向との関係

本調査では、以下のような結果も得られました。

  • 評価制度は心理的安全性(気兼ねなく意見や相談ができミスを恐れず挑戦できる雰囲気)に影響していると思いますか?→「強く影響している(18.5%)」「やや影響している(30%)」回答した層の合計が48.5%
  • 評価制度が改善されれば勤続意向は高まりますか?→「大きく高まる(20.5%)」、「やや高まる(39.3%)」と回答した層の合計が半数を超える

人事評価制度を改善することで、人事評価エラーが起きにくくなるだけでなく、心理的安全性や勤続意向の向上につながる可能性があります

人事評価制度は定期的に見直しをして、評価者・被評価者の双方にとってより良いものになるよう、改善し続けていくことが大切です。

IKUSAのプレスリリース:「人事評価制度に対する満足度と納得感についての実態調査」の結果を公表 – IKUSA.jp

まとめ

人事評価エラーが発生すると、社員のモチベーションが低下し、組織の雰囲気や生産性の悪化につながる恐れもあります。さらにその状態が改善されないままだと、社員が不満を募らせ、転職を考え始めてしまう可能性も高くなります。公平な評価を行うために、人事評価エラー対策に取り組んでいきましょう

 

「あそぶ社員研修」は、受講者が主体の研修。心理的安全性が保たれた場で、ワークを通じて「成功と失敗」を擬似体験できます。自ら気づきを得るから、研修後の行動が変わります。

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「どの研修が自社に合うかわからない」という方は、お気軽にご相談ください。目的やご予算に合わせて最適なプログラムをご提案します。

この記事の著者

あそぶ社員研修編集部

あそぶ社員研修は、企業の研修担当者向けのお役立ち情報を発信するメディアです。研修に関するノウハウ、組織・人材開発の手法、ビジネススキルなどをわかりやすく紹介します。

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