タックマンモデルとは?活用するメリットと注意点、5段階別のチームビルディング施策

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この記事の監修者
株式会社motch me 取締役
石野 太一
同志社大学在学中に大学生向けクリエイティブスクールの立ち上げに携わる。25歳の時に「地頭を鍛える」をコンセプトに、謎解きやパズルを用いた学習塾「たいち数楽教室」を開塾し、延べ300名以上を指導。その後ベンチャー企業の一号社員として研修事業の責任者を務め、営業・コンテンツ開発から講師登壇までを担い、年間88回登壇した実績を持つ。「講師は現場を離れて講師だけをやっていてはいけない」をモットーに、現在はイベント制作会社の取締役として経営企画・人事に携わりながら、講師活動を続けている。

タックマンモデルとは、グループが作られてからチームとして機能するようになり、最終的に解散するまでの流れを5つの段階で示したモデルのことです。チームビルディングの代表的なフレームワークとして知られています。しかし、「5段階は聞いたことがあるけれど、中身はよく知らない」「どのように活用すればよいかわからない」という人も多いのではないでしょうか。

本記事では、提唱者のブルース・W・タックマンの論文をもとに、タックマンモデルの考え方を詳しく解説します。そのうえで、チームビルディングに活用するメリットや注意点、段階ごとのチームビルディング施策を紹介します。

 

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タックマンモデルとは

タックマンモデルとは、小規模グループが時間の経過とともにどのように変化していくかを5段階で示したモデルのことです。心理学者のブルース・W・タックマンにより提唱されたもので、ビジネスシーンではチームビルディングやプロジェクトマネジメントなどで広く活用されています。

〈タックマンモデルの5段階〉

  1. 形成期(Forming)
  2. 混乱期(Storming)
  3. 統一期(Norming)
  4. 機能期(Performing)
  5. 散会期(Adjourning)

ブルース・W・タックマンが初めてこのモデルを提唱した1965年の論文『Developmental Sequence in Small Groups』では、グループの成長過程は「形成期・混乱期・統一期・機能期」の4段階で示されていました。その後、メアリー・アン・ジェンセンとともに執筆した資料『Stages of Small-Group Development Revisited』を1977年に発表。この資料では、5つめの段階として「散会期」が追加されました。

タックマンモデルを活用することで、チームの状態を客観的に把握しやすくなります。チームの成長のために適切なアプローチを検討するのに役立つ考え方です。

 

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タックマンモデルの5つの段階

タックマンモデルでは、対人関係とタスク(課題活動)の2つの側面からグループの発展をとらえています。各段階を詳しく見ていきましょう。

形成期(Forming)

形成期は、グループができたばかりの段階です。

  • 対人関係:メンバーは、まだお互いのことをよく知らないため、どのような行動が受け入れられるのかを探っている状態です。遠慮がちで、リーダーや既存のルールに依存し指示を求める傾向があります。
  • タスク:オリエンテーションの段階です。課題を達成するために必要な活動や情報、求められるスキル、ルールなどを確認します。

形成期では、リーダーはメンバーの関係構築のサポートや、メンバーに対してグループの目標やルールを丁寧に説明することが求められます。

混乱期(Storming)

少しループに慣れてくると、グループ内で対立や葛藤が生じやすくなります。この段階が、混乱期です。

  • 対人関係:統一感の欠如や、個性や独自性を維持しようとすることにより対立が生じます。他のメンバーに対して敵意を向ける様子が見られることもあります。
  • タスク:自分自身に与えられた課題、要求、制約などに対しても、抵抗や反発などの感情的な反応を示すことがあります。

混乱期では、対立や葛藤を「成長の機会」とポジティブにとらえること、メンバー同士で納得できるまで話し合う機会を設けて相互理解を深めることが重要です。

統一期(Norming)

統一期には、グループの結束力が高まり、お互いの意見をオープンに交換し合えるようになります。

  • 対人関係:メンバーはお互いを受け入れるようになります。グループに調和が生まれ、それを維持するための役割や行動規範が確立される時期です。
  • タスク:メンバー同士で自由に、オープンに意見を交わし、課題に対して理解を深めていきます。

統一期はグループの一体感が高まってくる時期であるため、リーダーはグループの状況をよく見て、必要なサポートを行うことが求められます。

機能期(Performing)

機能期は、グループとして機能するようになる段階です。役割が分担され、課題の解決に向けた建設的な活動が行われます。

  • 対人関係:人間関係の問題は解決または棚上げされ、課題遂行にエネルギーが向けられるようになります。
  • タスク:建設的な活動が行われ、課題の達成や成果に向けてグループが機能します。

グループとして高いパフォーマンスを発揮できるようになるのも、この段階です。リーダーが細かい指示を出さなくても、メンバーはある程度自分で考えて動けるようになります。リーダーはメンバーを信頼して支援に回ることが、この時期を持続させるポイントです。

散会期(Adjourning)

散会期は、グループとしての活動が終わり、解散や分離に向かう段階です。

  • 対人関係:分離や終結に対する不安、喪失感を感じます。築き上げてきた関係が終わることは、「グループの死(death of the group)」という言葉で表現されており、メンバーにとって極めて重要な問題となるとされています。
  • タスク:活動を締めくくり、これまでの取り組みや成果を評価して、グループとしての任務を終えます。

ビジネスシーンなら、プロジェクトの終了、チームの解散、メンバーの異動などがこの段階に該当します。さらなる成長を目指して、自らグループを抜ける(退職する)人が出てくることもあります。散会期では、しっかりと振り返りと評価を行い、メンバーを次のステップへ気持ちよく送り出してあげることが大切です。

5つめの「散会期」が追加された背景

ブルース・W・タックマンは、1965年に自身が提唱した「形成期・混乱期・統一期・機能期」の4段階モデルを検証するため、1977年にメアリー・アン・ジェンセンとともに、過去10年の関連文献の再検討を行いました。その結果、複数の研究者からグループの終結に関する重要な知見が報告されていることが明らかになり、5つめの「散会期」が追加されたのです。

1965年の4段階モデルは、当時の文献にもとづいてブルース・W・タックマンが立てた「仮説」でした。このモデルを直接証明する実験や調査を行ったわけではないのです。その後、グループの終結の段階を裏付ける研究が出てきたことを受け、「グループの寿命には終わりがある」ことを反映させるべきだと判断し、自身の提唱したモデルをアップデートした形です。

ただ、過去の文献を調査した結果、タックマンモデルの実証を目的とした研究は1件しかありませんでした。また、研究データの偏りなども指摘されており、結論としてはさらなる実証的研究を強く求めています。

タックマンモデルを活用するメリット

チームビルディングの際にタックマンモデルを意識することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、大きく2つに分けて解説します。

適切な施策・対処法を検討しやすくなる

タックマンモデルは、チームの状態を客観的に把握するのに役立ちます。チームが置かれた状況やメンバーの状態によって、効果的なチームビルディング施策は変わってきます。タックマンモデルに照らし合わせることで、今のチームに必要な施策を検討しやすくなるでしょう。

また、2つめの「混乱期」はチームの成長に必要な段階であり、避けるべきものではないといわれています。しかし、タックマンモデルの考え方を知らなければ、「最近メンバーが対立してばかり。どうしたらよいのだろう?」と、焦ってしまうかもしれません。タックマンモデルを理解していれば、「大きく成長するチャンスだ」と前向きにとらえることができ、冷静に対処法を検討できるでしょう

段階ごとのチームビルディング施策は記事の後半で詳しく解説していますので、参考にしてください。

相互理解を深められる

先ほど解説したように、タックマンモデルでは各段階において「対人関係」の変化が示されています。チームの成長にともない、メンバーの心理状態がどのように変化していくのかが整理されているため、「なぜ、その反応・行動になったのか」を理解し、相互理解を深めるのに役立ちます

たとえば、チームを結成して以降しばらく良い雰囲気だったのに、急に口数が少なくなったり、他のメンバーにきつい言い方をしたりするメンバーが出てきたとします。このような場合、「形成期から混乱期に移った」可能性があると考えられます。もちろん、他の問題により雰囲気や人間関係が悪化することもありますが、タックマンモデルの「対人関係」の変化を参考にしながらコミュニケーションをとることで、メンバー同士で相互理解を深めやすくなるでしょう。

タックマンモデルを活用するときの注意点

タックマンモデルはチームビルディングに役立つ考え方ですが、縛られすぎないように注意しましょう。なぜなら、すべてのグループがタックマンモデルの順番通りに成長していくわけではないからです。

グループが置かれた状況やメンバー構成、一人ひとりの状態などよって、段階がスキップされたり、統合されたり、入れ替わったりすることもあると考えられます。モデルに含まれない段階が必要になるケースもあるかもしれません。また、以下の資料では、モントレー海軍大学院が2007年に行った調査では、調査対象となったチームのうち最初の4段階を直線的に進んだチームはわずか2%だったことも紹介されています。

出典:Tuckman Was Wrong! Doc Norton on Reteaming Models – infoq.com

そして、チームビルディングのモデルとして活用されているタックマンモデルですが、「そもそもチームの成長過程ではないのでは?」という指摘もあります。タックマンモデルは、チームではなくセラピー・グループやTグループ、研究のために集められた小規模グループなどの研究論文をもとに構築されたものであるためです。先ほどお伝えしたように、ブルース・W・タックマン自身も、さらなる実証的研究の必要性を説いています。

ただ、決して「間違っている」「まったく使えない」というわけではありません。どのようなモデルやフレームワークも、縛られすぎると逆効果になってしまうことがあります。チームの状態を客観的に把握するための補助的なツールとして、上手に活用しましょう。

タックマンモデルから考えるチームビルディング施策

タックマンモデルでチームの状態を把握し、段階に合わせた施策を取り入れることが、チームビルディングを成功させるポイントです。最後に、各段階でどのような施策を行うことが効果的なのか、詳しく解説していきます。

形成期(Forming)に適した施策

形成期は、グループのメンバーがただ集められただけの状態です。まだお互いのことを知らないため、緊張しています。グループ共通の目標も決まっていない段階であるため、結束力もありません。

この段階では、まずメンバーに相互理解を深めて心理的な距離を縮めてもらうことが大切です。決起会として食事会を開催したり、チームビルディングゲームで交流を深めたりするのもよいでしょう。

チームビルディングゲームは、メンバーで協力して何かわかりやすい目標(課題)をクリアするようなものがおすすめです。「共通の目標に向かっていく」ということを、体験して学ぶことができます。コミュニケーションを活性化させるために、全員が楽しく取り組めるゲームを選びましょう。

混乱期(Storming)に適した施策

混乱期は、意見や価値観の違いによる対立や葛藤が生まれ、グループが不安定になる時期です。雰囲気をよくしようと、形成期と同じような食事会やゲームなど「楽しい」施策をつい実行したくなりますが、それでは問題を先送りにするだけです。

この段階では、お互いの違いを受け入れ、本音で話し合えるような関係になってもらうために、対話の機会をできるだけ多く設けるとよいでしょう。たとえば、以下のような方法が考えられます。

  • 定期的にリーダーと各メンバー1対1で向き合って話し合える機会を作る(面談、1on1など)
  • 対話を重視したゲームやワークを実施する(コンセンサスゲーム、ワールドカフェなど)

対立や葛藤がある状態ではメンバーから本音を引き出しにくいため、ゲームやワークを実施する場合はファシリテーターを置くことをおすすめします。

統一期(Norming)に適した施策

ようやく「グループからチームになってきた」と感じられるようになるのが、この統一期あたりではないでしょうか。統一期は、チームビルディングとして何かをするというよりも、リーダーにリーダーシップを発揮することが求められる段階といえます。具体的には、メンバーの多様な意見をまとめる、業務の進め方を決める、各メンバーの役割を明確にするなどです。

もしメンバーのつながりを強くするために何かゲームを実施したいと考えているなら、この段階ではビジネスシミュレーションゲームがおすすめです。交流を深めながら経営やチーム運営に必要な視点、スキルなどを学ぶことができ、個人の成長につながります。ゲームを通して、今後グループが直面するかもしれない課題や問題を発見できる可能性もあるでしょう。

機能期(Performing)に適した施策

グループがチームになり、全員で高いパフォーマンスを発揮できるようになるのが機能期です。チームビルディングが目指すのは、この段階といえます。

チームが機能期に入ったら、成果を出し続けられるチームになるために、できるだけその状態を持続させることが求められます。この段階で実施するなら、難しいゲームやワークではなく、仕事から離れたスポーツやアクティビティがよいでしょう。機能期は課題の遂行にエネルギーが集中するため、メンバーのリフレッシュにも効果的です。

散会期(Adjourning)に適した施策

チームビルディングのゴールとしては機能期ですが、これまでブルース・W・タックマンをはじめとする多くの研究者が、グループの終結について研究や検討を行ってきました。メンバーが次のステップに進むためには、終わり方も重要なのです。

正確には「チームビルディングの施策」ではありませんが、

  • これまでのグループの活動を振り返る
  • リーダーから各メンバーにフィードバックする(主に良いところ)
  • 「解散」を示すために打ち上げを開催する

などを行うことで、メンバーを気持ちよく送り出すことができるでしょう。

散会期は大きな達成感も得られますが、同時に寂しさや喪失感が生まれやすい時期でもありますので、丁寧に締めくくることが大切です。

まとめ

チームビルディングの代表的なフレームワーク、タックマンモデルについて解説しました。

タックマンモデルはチームビルディングに役立つ考え方ですが、必ずこの順番通りに成長していくとは限りません。もともとはブルース・W・タックマンが当時の文献にもとづいて立てた「仮説」であり、研究データの偏りなどさまざまな指摘があることも事実です。

しかし、これを活用することで、リーダーもメンバーもチームの状態を客観的に把握しやすくなり、チームに必要な施策や対処法、メンバーとのコミュニケーションのとり方を考える際に役立ちます。縛られすぎないように注意しつつ、普段からタックマンモデルを意識することで、より良いチームを作れる可能性があります。チームと自身の成長のために、ぜひタックマンモデルについて理解を深めてみてください。

参考:DEVELOPMENTAL SEQUENCE IN SMALL GROUPS – Massachusetts Institute of Technology(PDF)

参考:Stages of Small-Group Development Revisited – dcookacademic.com(PDF)

 

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この記事の著者

あそぶ社員研修編集部

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