心理的安全性を高める研修とは?チームの条件や計測方法も解説
- 組織・人材開発
- 心理的安全性

大学卒業後、クラシック音楽業界にて制作・マネジメント・プロデュースに従事し、アートと教育の融合をテーマに、「体験を学びとして届ける」手法を追求してきた。
その後、体験型コンテンツ会社を経て、株式会社IKUSAにクリエイティブプロデューサーとして入社。
現在は研修事業部の責任者として、体験型・ゲーム型の社員研修事業を統括している。
ユーザー視点に立ったサービス開発を得意とし、「楽しさが行動変容を生む」という信念のもと新しい研修体験を創出している。
「心理的安全性」とは、組織やチーム全体の成果に向けて、率直な意見や素朴な質問、違和感の指摘などを、いつでも誰でも気兼ねなく言える状態のことです。
Googleが生産性の高い「効果的なチーム」について調査し、心理的安全性が特に重要だと発表したことから、注目を集めています。
本記事では、心理的安全性の概要や計測方法、ぬるま湯組織との違い、心理的安全性を高めるためにマネージャーやメンバーができること、研修などで心理的安全性を高める具体的な施策について解説します。
心理的安全性を高める研修とは
「心理的安全性」とは、「サイコロジカル・セーフティ(psychological safety)」を日本語に訳した心理学用語です。
1999年、ハーバード大学教授のエイミー・C・エドモンドソン氏(以下、エドモンドソン氏)が「チームの心理的安全性」という概念を打ち立てたのが始まりです。その定義は以下の通りです。
- 「チームの心理的安全性とは、チームのなかで対人関係におけるリスクをとっても大丈夫だ、というチームメンバーに共有される信念のこと」
これに対し、より現場で使いやすい定義として、株式会社ZENTechの代表取締役で『心理的安全性のつくりかた』の著者である石井遼介氏は、以下のように整理しています。
- 「メンバー同士が健全に意見を戦わせ、生産的でよい仕事をすることに力を注げるチーム・職場のこと」
心理的安全性は、研修を活用して高めることができます。たとえば、4~5名のチームでコンセンサスを取るプロセスを体験する合意形成研修や、伝える力・聞く力を基本としたコミュニケーション研修などを実施することで、互いに意見を出し合える健全なチームづくりにつながります。
心理的安全性の重要性を発見したGoogle
Googleは「効果的なチーム」の共通点を調査・分析するために、2012年に企業向けリサーチ「プロジェクト・アリストテレス」を立ち上げました。
この調査から、効果的なチームにとって特に重要なのが「心理的安全性」であることがわかりました。心理的安全性があるチームは、パフォーマンスや創造性が向上し、離職率が低く、収益性が高いのです。
一方で、メンバー個人のスキルやパフォーマンス、勤務場所や在籍期間、仕事の量など、一般的にチームの生産性に影響すると思われていた要素はあまり関係がないという結果が出ました。チームにとって「メンバーが誰か」よりも「メンバーがどのように協力しているか」の方が重要だったのです。
参考:石井遼介(2020)『心理的安全性のつくりかた』(日本能率協会マネジメントセンター),ピョートル・フェリクス・グジバチ(2023)『心理的安全性 最強の教科書』(東洋経済新報社)
心理的安全性が低いと組織はどうなるのか
エドモンドソン氏は、「対人関係におけるリスク」として以下の4つを挙げています。これらのリスクが高いと、心理的安全性が低下します。
対人関係におけるリスク | 具体例 |
「無知」だと思われたくない | 必要なことでも質問をせず、相談をしない |
「無能」だと思われたくない | ミスを隠す、自分の考えを言わない |
「邪魔」だと思われたくない | 必要でも助けを求めず、不十分な仕事でも妥協する |
「否定的」だと思われたくない | 是々非々で議論をせず、率直に意見を言わない |
対人関係のリスクがあると、メンバーは「チームの成果や、チームへの貢献を意図して行動したとしても、罰を受けるかもしれない」という不安を感じます。そして、罰せられるくらいなら何もしない方がマシだと、必要な行動さえもしなくなってしまうのです。
結果として、大きく2つの問題が生じます。
- 挑戦することがリスクとなるため、実践、模索、行動から学ぶことができなくなる
- 個々のメンバーが気づいていたり知っていたりすることを、チームに共有することができない
参考:石井遼介(2020)『心理的安全性のつくりかた』(日本能率協会マネジメントセンター)
そもそも「チーム」とは?
そもそもチームとは何でしょうか。「プロジェクト・アリストテレス」では、その定義についても明確にしています。
- 「チームとは、メンバーが相互に強く依存しながら、特定のプロジェクトを遂行するために、作業内容を計画し、問題を解決し、意思決定を下し、進捗状況を確認する関係性を伴うもの。チームのメンバーは、作業を行うために互いを必要とする」
この定義から考えると、ただ人が集められただけの集団は、チームとは言いません。特定の目的を達成するためにメンバーが集まり、協力しあって初めて、チームと言うことができるのです。
参考:ピョートル・フェリクス・グジバチ(2023)『心理的安全性 最強の教科書』(東洋経済新報社)
心理的安全性の高いチームとは?
心理的安全性の高いチームは、目標を高く設定し、その達成のために仕事を進化させていく「仕事の基準の高い」組織です。当たり障りのないことを言うだけの、居心地のいい組織とは違います。
心理的安全性が高い状態は「ぬるま湯」とは異なる
心理的安全性という言葉を聞いて「ぬるま湯のような職場になってしまうのでは?」と思われる方もいるかもしれませんが、それは誤解です。
心理的安全性が高いチームと、ぬるま湯のようなチームとの違いがわかりやすいように、心理的安全性と仕事の基準の関係について、一覧にまとめました。
| 仕事の基準 | ||
高い | 低い | ||
心理的安全性 | 高い | 学習する職場 学習して成長する職場 健全な衝突と高いパフォーマンス | ヌルい職場 コンフォートゾーン 仕事の充実感はない |
低い | キツい職場 不安と罰によるコントロール | サムい職場 余計なことをせず 自分の身を守る | |
それぞれどういう状態か、順に見ていきましょう。
学習する職場(心理的安全性:高い、仕事の基準:高い)
学習する職場は、心理的安全性も仕事の基準も高い職場。この組織では、メンバーを成果に向けて鼓舞します。以下の4つの特徴が見られます。
- サポート:成果が出ていないときにも、罰や不安ではなく、相談に乗ったりアイデアをくれたりする。
- 意義:組織・チーム・プロジェクトとして、大義や意味がある目標設定がされており、やりがいや成長実感が感じられる。
- みかえり:まだ成果には至らなくても、望ましい努力をしているときに承認や感謝を伝えてもらったり、より適切な行動を促してもらえたりする。
- 配置:適材適所で配置されることで、自発的・自律的に努力できるようになる。
ヌルい職場(心理的安全性:高い、仕事の基準:低い)
ヌルい職場は、心理的安全性は高いが、仕事の基準が低い職場。人々がお互いに意見したり、協力したりすることはできますが、納期がズルズルと伸びたり、目標が達成できなくても「このくらいでいいか」と諦めてしまったりします。
このような職場では、仕事から得られる充実感はあまりありません。成長志向のビジネスパーソンは危機感を覚え、転職を考えるかもしれません。
キツい職場(心理的安全性:低い、仕事の基準:高い)
キツい職場は、心理的安全性は低いが、仕事の基準は高い職場。チームや組織からの助けや、相談に乗ってくれる人はいないが、高いノルマが課せられるような職場です。
一見士気が高く見えることもありますが、本当に必要な反対意見や、目的を確認する行為は避けられます。「余計なことを考えず成果を出せ」と言われることの多い職場です。
サムい職場(心理的安全性:低い、仕事の基準:低い)
サムい職場は、心理的安全性も、仕事の基準も低い職場。行動すると罰を受けるリスクがあり、仕事のクオリティや納期を求められないため、メンバーはリスクを冒してまで他者と積極的に関わる必要がないと判断し、お互いに無関心になります。
市場が独占・寡占状態などで、会社が絶対に潰れないという認識が強く、成果へのプレッシャーが低いと、サムい職場やヌルい職場になりやすいでしょう。
参考:石井遼介(2020)『心理的安全性のつくりかた』(日本能率協会マネジメントセンター)
心理的安全性を計測する方法
エドモンドソン氏は、組織の心理的安全性を計測する7つの質問を発表しています。
- チームのなかでミスをしても、たいてい非難されない
- チームのなかで起きている問題に対して、自由に意見を言える
- チームメンバーは、自分と考えが異なることを理由に、他者を拒絶することはない
- チームにとってリスクのあるチャレンジが許容されている
- チームの他メンバーに助けを求めることは容易である
- チームメンバーは誰も、他人の仕事を意図的に貶めるような行動はしない
- チームメンバーと一緒に仕事をするとき、自分のスキルと才能が尊重され、活かされていると感じる
チーム全員にこれらの質問をして、ポジティブな回答が多い場合は心理的安全性がある優れたチームと言えるでしょう。逆にネガティブな回答が多いと、メンバーはお互いに信頼関係を築けずに不安を抱えたまま仕事をしているかもしれません。
日本の組織で心理的安全性を高める4つの因子と計測方法
実は、日本は文化や国民性がアメリカと異なるため、前述の計測方法では問題が生じます。日本の組織で心理的安全性を感じるには「①話しやすさ」「②助け合い」「③挑戦」「④新奇歓迎」の4つの因子が必要です。以下で詳しく見ていきましょう。
①話しやすさ
最も重要で、他の3つの要素の土台にもなる因子です。話しやすさは、仕事と相手の状況を把握し、多様な視点から状況を判断し、率直な意見とアイデアを募集するために重要です。話しやすさが確保されているかどうかは、以下の質問から測定できます。
- みんなが同じ方向を向いて「これだ!」となっているとき、反対意見をシェアすることができるか?
- 問題やリスクに気づいたときに声をあげることができるか?
- 知らないことや、わからないことがあるとき、フラットに尋ねることができるか?
②助け合い
助け合いは、トラブルに迅速・確実に対応するときや、通常より高いアウトプットを目指すときに重要です。助け合いができるチームは、トラブルや行き詰まりに際し、必要な事実を共有し、相談し、支援・協力を求めることができます。助け合いができているかどうかは、以下の質問から測定できます。
- 問題が起きたとき、人を責めるのではなく、建設的に解決策を考える雰囲気があるか?
- チームリーダーやメンバーが、いつでも相談に乗ってくれるか?
- 減点主義ではなく、加点主義か?
③挑戦
挑戦は、組織・チームに活気を与え、時代の変化に合わせて新しいことを模索し、変えるべきことを変えるために重要です。挑戦因子があるチームは、正解がないなかで模索し、実験し、機会をつかむことができます。以下の質問から測定できます。
- このチームでは、チャレンジ・挑戦することが損ではなく、得なことだと思えるか?
- 前例や実績がないものでも、取り入れることができるか?
- 多少非現実的でも、面白いアイデアを思いついたら、チームに共有しよう・やってみようと思えるか?
④新奇歓迎
この正解のない時代で、新奇歓迎はメンバー1人ひとりが才能を輝かせ、多様な観点から社会・業界の変化を捉えて対応する際に重要な因子です。新奇歓迎されるチームは過去の常識から解放され、個人の才能に合わせた最適配置や、チームのアウトプットを最大化する役割分担ができるようになります。以下の質問から計測します。
- 役割に応じて、強みや個性を発揮することを歓迎されていると感じるか?
- 常識にとらわれず、さまざまな視点やものの観点を持ち込むことが歓迎されるか?
- 目立つこともリスクではないと思えるか?
参考:石井遼介(2020)『心理的安全性のつくりかた』(日本能率協会マネジメントセンター)
心理的安全性を確保するために不可欠な2つの要素
ここまで心理的安全性の重要性や、計測方法について見てきました。では実際に心理的安全性を高めるにはどうしたらいいのでしょうか。ここでは2つの要素を見ていきます。
構造を明確にする
「構造を明確にする」とは、わかりやすく言えば「ゲームのルールをはっきり示す」ということです。Googleの「プロジェクト・アリストテレス」でも、構造の明確化は、効果的なチームの特徴の1つに挙げられています。
ここで言う構造とは、以下のようなものを指します。
- ビジョン・ミッション(事業の意味・意義)
- チームが目指す目標
- 評価の基準
- 仕事の役割分担、ゴール、職務で求められるプロセス
これらが明確な職場であれば、お互いに意見を言いながら安心して働くことができます。一方で、構造が不明確であったり、明確であっても上司からそれと矛盾するメッセージが発せられたりすると、受け取る側は戸惑い、どのように動けばいいかわからなくなってしまいます。
対話をする
意見の対立が建設的なものになるためには、「ここで反対意見を述べても信頼関係は揺らがない」と思える必要があります。お互いの信頼を築き上げるのに不可欠なのが「対話」です。
対話は、会話とは異なります。会話がいわゆる日常的なコミュニケーションであるのに対して、対話はお互いの理解を深めあうことで行動の変化を生み出す、創造的なやりとりのことです。
たとえ考え方が異なっていたとしても、対話を通じてその奥にある意図を探っていくと、お互いのポジティブな意図に気づき、チームの目的に向かって協力しあうことができるでしょう。
参考:ピョートル・フェリクス・グジバチ(2023)『心理的安全性 最強の教科書』(東洋経済新報社)
心理的安全性を高めるためにマネージャーができること
職場の心理的安全性を高めるにあたり、マネージャーの役割は非常に大きいものです。マネージャーは組織のなかでリーダーシップを発揮しやすいポジションにあり、その行動や態度が組織の文化や雰囲気を大きく影響するためです。
ここでは、マネージャーが心得るべき考え方を見ていきます。
1. 人にダメ出しするのではなく、仕事にダメ出しをする
心理的安全性を高めるために重要なのは、人に優しく、結果に厳しくするということです。例えばメンバーが作成した文書に問題があるときに「なぜあなたはまともな文章が書けないの?」と言うと、これは相手自身を否定します。
「遅くまで残って文書を書いてくれてありがとう。ただこの表現はお客様の誤解を招く可能性があるから、再検討してくれるかな」このように仕事自体にネガティブなフィードバックをする一方で、メンバーの労をしっかりとねぎらうことで、相手も萎縮せず仕事に前向きに取り組むことができるでしょう。
2. メンバーは管理するのではなく、支援する
管理職という言葉からは、人を管理するニュアンスが感じられます。しかし、人を管理するということは、ものとして扱うことと同じです。管理職が本来管理するべきは、仕事のプロセスや結果です。
メンバーが結果を出すためには、ゴールまでの障害を取り除き、あるいは足りないリソースを提供して、目標達成しやすい環境を整えていくことが必要です。つまり、管理ではなく、支援することが求められます。
3. 異なる価値観に対して寛容であり続ける
チームや組織のなかには、人それぞれ異なる価値観や優先順位が存在します。意見の食い違いが生じることもあるでしょうが、心理的安全性を高めるには必要なことです。チームの目標などの構造が明確で、お互いに信頼し合っていれば、協力することでそれぞれの強みを活かせるでしょう。
マネージャーには、価値観の違いを許容し、それらを土台に対話や議論を発展させることが求められます。
4. 自分について理解し、言語化する
チームの心理的安全性を高めるために、お互いの価値観を認めあうことは前提です。そのため、マネージャー自身も自分の価値観を理解する必要があります。
自分がどのような人間で、何を求めているのかを明確にし、言葉で相手に伝えることが重要です。それがなく、メンバーに察することを求めるようになると、相手は忖度したりマネージャーの顔色を伺ったりするようになるでしょう。
5. 「あうんの呼吸」に頼らず、対話をする
日本の職場では、共通の言語や価値観を有していることが多く、いちいち言葉で説明しなくてもわかりあえる「あうんの呼吸」でコミュニケーションすることがあります。しかし、このようなやりとりに頼りすぎると、相互理解が不足して、心理的安全性が置き去りにされやすくなります。
仕事上のルールや基準を明確にし、対話することで、メンバーもどのような行動を選択するべきかわかります。
6. 厳しいことでも「早く」「ストレートに」伝える
心理的安全性を高めるためには、人に優しくするだけではなく、結果に厳しくしなければなりません。結果が出なければ、人に優しくする余裕もなくなり、最悪の場合は組織もなくなってしまいます。
メンバーの成長のためにも、伝えるべきことを伝え、本人に問題と向き合わせることが必要です。
7. マネージャー自身も心理的安全性を確保する
職場の心理的安全性は、マネージャーの心理的安全性の有無にかかっていると言っても過言ではありません。マネージャーがいつも不安で、言いたいことも言えない状況なら、職場もネガティブな雰囲気になるでしょう。
マネージャー自身が自分の信念や価値観に向き合い、自分の好きなことや得意なことを把握し、それで勝負できれば、相手からも感謝され仕事が楽しくなります。自分が最も力を発揮できることに集中できれば、心理的安全性を高めることができます。
参考:ピョートル・フェリクス・グジバチ(2023)『心理的安全性 最強の教科書』(東洋経済新報社)
心理的安全性を高めるためにメンバーができること
心理的安全性を高めるには、マネージャーだけが頑張ればいいというわけではありません。メンバー1人ひとりにも心理的安全性を高める努力が求められます。
ここでは、メンバーができることを見ていきましょう。
上司の行動を分析し働きかける
メンバーの立場で組織の心理的安全性が低いと感じる場合、そう感じる理由を明確にし、何がどのように変われば改善されるのか考えて、働きかけることが重要です。多くのケースでは、上司の行動に問題があり、それが改善されれば心理的安全性が高まるでしょう。
- 問題だと感じる上司の行動を明確にする
- それをどのような行動に変えたいか考える
- その問題行動が、どのようなきっかっけで発生しているか、周囲がどのようなリアクションをすると行動が維持されてしまうのか考える
- 問題行動が発生・維持するきっかけをなくしたり、望ましい行動に対して感謝などプラスのリアクションをしたりする
心理的安全性の重要性を率直に伝える
上司に対して、直接的に心理的安全性の重要性を訴えることも有効です。関連書籍やオンラインの記事を渡すのもわかりやすいでしょう。普段からインプットをしておくと、何かのきっかけで一気に理解が進む場合があります。
参考:石井遼介(2020)『心理的安全性のつくりかた』(日本能率協会マネジメントセンター)
心理的安全性を高めるための具体的な施策
最後に、心理的安全性を高める具体的な施策を紹介します。組織の運営に取り入れてみてはいかがでしょうか。
体験型研修
体験型研修は、体験型ゲームやアクティビティを取り入れ、受講者が体験や実践をすることができる研修の総称です。たとえば、コンセンサスゲームを取り入れた合意形成研修、謎解き脱出ゲームを取り入れたコミュニケーション研修などが挙げられます。
それらの研修では、体験型ゲームやアクティビティを通じて受講者の主体性が発揮され、行動変容が促されることで自分で考えて行動・発言することができます。そのため、健全に意見を出し合える健全なチームづくりにつながります。
1on1(面談)
1on1とは、上司と部下が1対1で個別に対話することを言います。1on1で特に重視されるのが「傾聴」です。メンバーの考え・意見に耳・目・心を傾けて、真摯な姿勢で話を聴くことです。
1on1にはさまざまなやり方がありますが、ここでおすすめするのは、メンバーに以下の3つの質問をすることです。
- よいニュースは何ですか?
- 悪いニュースは何ですか?
- いま、不安や不満なことはありますか?
悪いニュースや不安・不満にも叱ったり問い詰めたりせず、傾聴しましょう。また、自分ですぐに解決できないような困ったニュースを聞かされたら、メンバーと目線を合わせ、一緒に困ることが大切です。
OKR
OKRとは「目標と主な成果(Objective and Key Result)」のことです。組織の目標に関連づける形で、個人が主体的に目標を設定します。心理的安全性を高めるうえで、目標設定が本人にとって望ましいものであることは重要です。
本人にとって望ましい目標とは、以下の2つを満たすものです。
- 望んでやりたい目標である
- 努力すれば達成できる目標である
仮にトップダウンで目標が決まる組織であっても、達成によって本人にどんな意義があるのか、対話を通じて考えてもらい、自分にとって望ましいと気づいてもらうことが大切です。
フィードフォワード
心理的安全性を高めるには、人ではなく仕事にダメ出しする、厳しいことも早くストレートに言うべき、とお伝えしました。これは相手のアウトプットに対する「フィードバック」です。伝え方を間違えると相手の心理的安全性を損なうリスクがあります。そこで、事前にこちらの期待値に見あう成果が出るようなアドバイスを伝えてはいかがでしょうか。それが「フィードフォワード」です。
例えばメンバーにメールの返信を依頼する場合、フィードバックなら、返信が来てから間違いや自分の意図と異なる点を伝えます。これをフィードフォワードに変えれば、事前に「メールを返信する際にわからない点があったら確認をしてください」と伝えることで、ミスを防ぎパフォーマンスを向上させます。
まとめ
「心理的安全性」がある組織は、率直な意見や違和感の指摘などを、いつでも誰でも気兼ねなく言うことができ、組織やチーム全体の成果に向けて動くことができます。心理的安全性がないと、メンバーは新しいことに挑戦する意欲を失い、また個々のノウハウがチームに共有されない組織となってしまいます。
この記事を参考に、組織の心理的安全性を高める取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。
以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。
1.合意形成研修
合意形成研修のアクティビティ「コンセンサスゲーム」では、危機的な状況下でどの物資を優先して確保すべきかをチーム内で議論し、最適な結論を導きます。
学びのポイント
- 各々が個人ワークで考えた答えを聞くことで、チームメンバーの状況に対する認識や物資の重み付けの違いを受講者が理解する
- 話し手は自分の答えにいたった理由を論理的・説得的に説明する
- より良い根拠を導き出すための比較検討をして、チーム全員が納得する結論を出す
2.PDCA研修
PDCA研修のアクティビティ「ロケットPDCAチャレンジ」では、パーツを組み合わせてロケットを制作し打ち上げ結果から原因を考えて、より良く飛ぶロケットに改善していき、目標の達成を目指します。
学びのポイント
- 計画を立ててロケットを飛ばし、その結果から組み合わせの誤り・部品の不足・不良部品の有無を推察し、それを繰り返すことで組み合わせの精度を上げていく
- 資金稼ぎ・パーツの選択・打ち上げの準備を繰り返し、作戦タイム振返りを経て行動を改善していくことで、最適化されていく
3.戦略思考研修
戦略思考研修のアクティビティ「ワールドリーダーズ」では、労働力や資本を使って事業を設立し、利益を稼ぐことを目指します。
学びのポイント
- 不確実な状況のなかで自チームにとって最適な行動方針を考え、実行していく
- 戦略を決めるために与えられた手段のなかでどの情報を取得していくかの優先順位決めが求められる
4.コミュニケーション研修
コミュニケーション研修のアクティビティ「謎解き脱出ゲーム」では、チームでコミュニケーションをとりながら問題に隠された法則を発見する謎解きゲームのクリアを目指します。
学びのポイント
- 受講者が「自分しか見えていない情報・問題・解き方」をチームで共有することでコミュニケーション促進やスキルアップにつながる
- 突飛な発想・ヒラメキをチームのなかで積極的に発言できる心理的安全性の高い環境づくりが求められる
5.ロジカルシンキング研修
ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します。
学びのポイント
- 小グループで得られた情報を論理的に整理し、確定情報・曖昧情報・不要な情報を選り分ける
- 大グループで全体に必要な情報を論理的に判断・共有することや、自分たちに足りない情報を聞き出すことが求められる
6.クリティカルシンキング研修
クリティカルシンキング研修のアクティビティ「混乱する捜査会議からの脱出」では、推理ゲームで論理的に情報を整理するなかで証拠の違和感に気づき、仮説立てや検証を行って目標を達成します。
学びのポイント
- 証拠品や証言など多くの情報を手分けして読み、組み合わせて論理的に結論を導き出す
- フェーズが進むごとに情報が増え、複雑になっていくなかで必要な情報を取捨選択する
- 出た結論に満足せず、常に新しい情報と照らし合わせて再検証する
7.リーダーシップ研修
リーダーシップ研修のアクティビティ「グレートチーム」では、チームの運営を疑似体験することでリーダーシップやマネジメントを学びます。
学びのポイント
- メンバーのリソース管理や育成、リーダーとしての決断を繰り返すことで、いろいろなリーダーシップの型を知ることができる
- 現代に合わせたリーダーシップの発揮の必要性を知り、自分らしいリーダーシップを学べる
8.ビジネスマナー研修
ビジネスマナー研修のアクティビティ「ビジトレ」では、実践形式・クイズ形式のアクティビティを通して、ビジネスマナーを楽しく学びます。
学びのポイント
- 堅い内容になりがちなビジネスマナー研修にゲーム形式を取り入れることで、受講者が没入して学べる
- 名刺交換や報連相などを実行し、動作・マナーに慣れることで、翌日から実践できるようになる
9.防災研修
防災研修のアクティビティ「先が見えない防災訓練からの脱出」では、チームで協力して、防災のアイテムや知識を使用しながら謎解きゲームのクリアを目指します。
学びのポイント
- 謎解きの答えが災害時のNG行動にまつわる内容となっており、解説時になぜ行なってはいけないかもセットで学ぶ
- 被災時は様々な情報が飛び交うため、情報を取得する際にどのようにすれば惑わされないかを学ぶ
10.OODA LOOP研修
OODA LOOP研修では、瞬間的な判断力が求められる運動系のアクティビティである「サバイバルゲーム」または「チャンバラ合戦」を実施することで、意思決定のフレームワークである「OODA LOOP」を実践的に習得することを目指します。
学びのポイント
- 敵チームをよく観察して作戦を練り、状況に応じた行動を素早く判断しながら、チームで共有して一体となって行動する
- ミッションの勝利条件をもとに、観察、判断、行動を繰り返すことで、本当にすべき行動が何なのか、行動の最適化を行う
この記事の著者
あそぶ社員研修は、企業の研修担当者向けのお役立ち情報を発信するメディアです。研修に関するノウハウ、組織・人材開発の手法、ビジネススキルなどをわかりやすく紹介します。






