傾聴力を高める方法は?「聞く力」を高める実践のポイント20選

  • ビジネススキル
    • 社会人基礎力
この記事の監修者
株式会社motch me 取締役
石野 太一
同志社大学在学中に大学生向けクリエイティブスクールの立ち上げに携わる。25歳の時に「地頭を鍛える」をコンセプトに、謎解きやパズルを用いた学習塾「たいち数楽教室」を開塾し、延べ300名以上を指導。その後ベンチャー企業の一号社員として研修事業の責任者を務め、営業・コンテンツ開発から講師登壇までを担い、年間88回登壇した実績を持つ。「講師は現場を離れて講師だけをやっていてはいけない」をモットーに、現在はイベント制作会社の取締役として経営企画・人事に携わりながら、講師活動を続けている。

「1on1で部下の本音が引き出せない」「顧客のニーズを掴めない」など、社員のコミュニケーション力に課題を感じている企業は少なくありません。傾聴力はビジネスシーンで不可欠なスキルと言われていますが、感覚的な指導になりがちで、体系的に教えられていないのが実情ではないでしょうか。

そこで本記事では、社員の傾聴力を高める具体的なアプローチを紹介します。自らの傾聴力を高めるとともに、社内研修や部下を育成する際の指針として、ぜひ参考にしてください。

 

傾聴の大切さは知っていても、実践するのは難しいものです。あそぶ社員研修のヒアリング力向上研修は、対話で解き明かす謎解きゲームを通じて「聴く力」をチームで鍛えるプログラムです。

⇒【無料ダウンロード】「ヒアリング力向上研修」の企画書はこちら

傾聴力を高めるポイント①|相手に話を続けてもらう聞き方

傾聴とは、相手が安心して話し続けられるように配慮することです。特に、ビジネスシーンでは周りや取引先などと、良好な関係を築くのに役立ちます。まずは、相手がストレスなく自分のことを話せるようにするための、聞き方のポイントを押さえておきましょう。

「引いた会話」を心掛ける

傾聴力を高めて相手に気持ちよく話してもらうには、基本的に「引いた会話」を意識することが大切です。相手が何かを話そうとしているタイミングや、偶然こちらと口を開くタイミングが被ってしまった場合などは、基本的に話を譲ってあげるようにしましょう。

積極的に話を譲ることで、相手からの印象がよくなるだけではなく、こちらの話も受け入れてもらいやすくなります。まずは聞く姿勢を意識し、相手の話をきちんと理解しましょう。その上で、こちらの伝えたいことを簡潔に伝えるようにすると、ストレスなく会話を続けられるようになります。

話すのが好きだったり得意だったりする人ほど、相手に話を譲れない傾向にあるため、傾聴力を高めたい人は特に意識することが大事です。

相槌を打つタイミングを考える

相手に気持ちよく話してもらうためには、相槌で会話のリズムを崩さないことも大切です。相手の話を聞く上で適度な相槌が重要というのは、よく言われることでしょう。しかし、相槌の頻度やタイミングを誤ると、逆に相手に不快感を持たれてしまう可能性があります。

相槌は一言で済ませて、相手の言葉に被せないように注意しましょう。長い相槌や合いの手などの入れ過ぎは、相手の話の勢いを削いでしまう場合があります。一定の間隔でうなずくだけでも、聞いている姿勢は伝わるものです。無理に声を出してリアクションを取ろうとせずに、落ち着いて相手の話に耳を傾けることを意識しましょう。

相手の結論や答えを待つように意識する

相手の話から答えが分かっても、こちらから回答を提示せず、相手の結論を待つことも傾聴力を高めるポイントの一つです。
会話の途中で相手が言いよどんでしまったり、答えに窮したりしている場合、うまくサポートすることも大切でしょう。しかし回答の先回りによって、相手の発言の機会を取り上げてしまう可能性もあるので、注意が必要です。

人によっては、まずは自分で答えや結論を出したいと考えている場合もあり、途中で話を遮られたり答えを決めつけられたりすると、ストレスや不満を感じてしまうこともあります。できるだけ相手の結論を待ってあげて、話を急かさないようにしましょう。

 

「そもそもチームビルディングとは?」「何から進めればいい?」という方のために、基本の考え方からチームづくりの5段階、すぐ使えるフレームワーク15選までを1冊にまとめた入門ガイドをご用意しました。

⇒【無料ダウンロード】「チームビルディング実践ガイド」はこちら

傾聴力を高めるポイント②|信頼関係を築くための基本姿勢

対話において、言葉以上に本音が表れやすいとされているのが、表情や視線・姿勢といった非言語(ノンバーバル)の情報です。相手を尊重していることを行動で示し、信頼関係を築くための姿勢について確認しておきましょう。

姿勢と目線で興味を示す

相手に本音を話してもらうためには、まず聞き手側が「あなたを受け入れている」という姿勢を行動で示す必要があります。面と向かって相手と話す場合は、適度に視線を合わせて、身体の正面を相手に向けるようにしましょう。柔らかい表情を意識することも大事です。

腕を組むような姿勢を避けて身体をオープンに保つことで、相手の警戒心が解けて、安心感を持って会話を進められるようになります。

もし会話中に緊張を感じた場合、気持ちを落ち着かせようと無理に意識するよりも、まずは姿勢や視線といった「外側の動作」から整えるほうが早くリラックスできるためおすすめです。

相手の感情にリアクションを合わせる

傾聴力を高めるには、相手の表情や声のトーンといった「非言語(ノンバーバル)」のリアクションを、同調させることも大事です。どれほど親身な言葉を口にしても、表情や声の調子が相手の感情とずれていると、「適当に相槌を打たれている」「軽くあしらわれている」といった印象を与えかねません。

そこで言葉で共感を示す前に、視線や表情・声の温度感などで、相手と同じ気持ちを共有しているサインを伝えましょう。例えば、相手が楽しそうなら明るく、深刻な様子なら声を落とすといった対応が有効です。話すスピードも相手に合わせるように心掛けましょう。

声と表情の変化から感情を推測する

傾聴力を高めるために、相手の言葉の内容だけではなく、表情や姿勢・声の高さ・スピードといった非言語情報に注目してみましょう。話の内容と相手の様子を同時に観察することで、言葉の裏に隠された本音や感情の動きを推測できるようになります。

聞き手に徹しているときは自分が話す必要がないため、相手の観察に注力しましょう。ただし、同時に多くの情報に気を配るのは難しいため、まずは「表情だけ」「声のトーンだけ」といったように、観察する対象を1つに絞ることも大切です。

日常的にオンライン会議をしている人は、録画を見返して、相手のリアクションを客観的に振り返ってみるのも、観察眼を養う練習になります。

相手の話が終わってから意見を述べる

傾聴力を高めるために守るべき大切なルールの一つが、相手がすべてを話し終えるまで、途中で助言や解決策を挟まないことです。良かれと思ったアドバイスであっても、相手の話を遮って出してしまうと「こちらの話をまともに聞いてくれない」といったように、悪い印象を与える原因になります。

自分の意見を伝える際には、まず「私の考えも少しお話ししてもいいですか?」といったように、一言断りを入れて話すようにしましょう。相手の事情への配慮を一言添えてから伝えることで、こちらの意見を受け入れてもらいやすくなります。

沈黙を無理に埋めようとしない

会話の中で生まれる沈黙が苦手という人は多いのではないでしょうか。しかし、無理に沈黙を埋めようとするのではなく、相手が再び話し始めるのを待つことも大切です。誰にでも話の途中で息をつく時間は必要であり、頭の中をいったん整理するタイミングなども必要です。

無理に会話を進めようとすると、相手が頭の中で整理していたことや、組み立てていたことが分からなくなってしまう可能性があります。あえて沈黙を保つことで、こちらが話を聞く準備があると思ってもらえるため、相手も焦らず考えを整理できるようになります。

それでも沈黙が長くなってしまった場合は、相手の表情などを観察し、落ち着いたトーンで助け舟を出してあげるようにしましょう。

都合の悪い話にも耳を傾ける

自分に有利な内容や興味のある部分だけを聞くのは、傾聴とは言えません。こちらにとって耳の痛い指摘や、都合の悪い話にも耳を傾け、きちんと受け止める姿勢が必要です。耳の痛い意見や相手の不満をしっかり受け止めることで、根本的な誤解が解消され、強固な信頼関係へとつながります。

自分にとって都合の悪い話であっても、相手の主張にも「一理あるかもしれない」と考え、まずは相手の立場に置き換えて受け止める意識を持ちましょう。途中で聞き流してしまったところなどがあれば、後から質問して丁寧に拾い直すことも大切です。

傾聴力を高めるポイント③|相手に理解を示す返し方

相手に「自分の話を理解してくれている」と感じてもらうには、適切な返しやリアクションが重要です。相手の言葉や感情を丁寧に拾い、言い換えや共感を交えて返す習慣を身に付けることで、傾聴力を高められます。

相手の言葉やフレーズを返す

会話の中で相手の発言の重要な部分やキーワード、印象に残るフレーズなどを繰り返すことで、「自分の話をきちんと理解してくれている」という安心感を与えられ、相手との距離も近づきます。ただし、機械的に復唱すると不自然になってしまうため注意が必要です。

相手が感情を込めて話した言葉や、強調したいニュアンスを拾い上げて、自然なトーンで返すようにしましょう。また、相手のフレーズを繰り返した後に質問を続けるようにすると、話の流れを途切れさせずに済みます。自分の発言を抑えつつ自然に会話を続けられるため、話すのが苦手な人にもおすすめのテクニックです。

相手の言葉を言い換えて表現する

上記の言葉やフレーズの繰り返しに加えて、相手の言葉を自分なりに言い換えて表現するのも有効です。相手の発言の趣旨を別の言葉に置き換えて返したり、より抽象度を高めて言語化したりすることで、相手の話をよく理解していることを示せます。

うまく言い換えの言葉が浮かばない場合は、「~ということですか?」といった質問をすることで、相手に補足してもらうのがよいでしょう。こちらの勘違いや認識のズレをその場で修正できます。特に、相手が一通り話をした後、少し間ができたときに使うと効果的です。

相手の感情を言葉にする

話の内容だけではなく、相手がそのときに感じた気持ちを言語化することも、相手への理解を示すための有効な方法です。意識して感情の動きに耳を傾けることで、傾聴力も高められます。

特に優秀な人は物事を論理的に伝えることや、複雑な事柄をうまく説明することに長けている傾向にあります。しかし、自分の感情をうまく表現することに対してはハードルを感じ、事実の報告だけに終始してしまうケースは珍しくありません。

そこで、相手の感情を丁寧に汲み取り、言葉にして返してあげることが有効なアプローチになります。事実だけでなく「相手がどう感じていたか」を言葉にして共有することで、相手の中に安心感(心理的安全性)が生まれ、良好な関係の構築につながります。

別の視点を加えて返す

落ち込んでいる相手には、共感を示した上で「こういう見方もできる」といったように、別の視点を添えて返してみましょう。新たな考え方や視点に注目してもらうことで、相手がネガティブな思い込みから抜け出し、前を向くきっかけをつくれます。

ただし、このアプローチには順番とタイミングが重要になります。序盤から別の見方を伝えてしまうと、「話を聞く気がない」「説教された」と受け取られかねません。まずは相手のつらい気持ちを十分に受け止め、会話の終盤に差し掛かったタイミングで出すのがよいでしょう。

助言や意見はタイミングを見極める

相手の話を傾聴する際、アドバイスや自分の意見を伝えるタイミングには注意する必要があります。相手が話している途中で解決を急ぎ、助言を挟まないようにしましょう。「話をまともに聞いてもらえなかった」と不満を抱かせる原因になります。まずは、相手が最後まで話し終えるのをじっくり待つことが大事です。

その上で自分の意見を伝える場合は、「少しお話ししてよろしいですか?」といったように、一言断りを入れて、許可を取るのが無難です。さらに反対意見を述べる場合は、相手の事情への理解を一言添えることで、角を立てずにすんなり受け入れてもらいやすくなります。

傾聴力を高めるポイント④|本音を引き出す質問の仕方

傾聴の目的は単に話を聞くだけでなく、相手自身も気づいていない本音や、本当の課題を浮き彫りにすることでもあります。相手の考えをサポートし、自発的な気づきを促すためのスキルを身に付けることで、相手の真の課題を解消し、自発的な行動を促せます。相手の本音を引き出す質問のコツも押さえておきましょう。

曖昧な言葉や表現を具体的に尋ねる

会話の中で、分かりにくい点や抽象的な言葉などが出てきたら、それを具体化する質問を投げかけてみるのも、傾聴力の強化につながります。早い段階で確認を入れることで、互いの認識のズレも防げるため、会話の行き違いを未然に防げるようになります。

質問のコツは相手の意図を勝手に決めつけず、あくまでも確認というスタンスを取ることです。例えば、「うまくいかなかったというのは、どの段階でしょうか?」「この理解で合っていますか?」といったように、相手の言葉を尊重しつつ問い返してみましょう。質問された相手も、今まで気づいていなかった論点や、自分の課題に目を向けるきっかけになります。

「閉じた質問」で事実を確かめる

「はい」「いいえ」で端的に答えられる「クローズドクエスチョン(閉じた質問)」は、会話の要点を整理したり、事実確認や話の区切りをつけたりする場面で効果的です。

適度に相手が答えやすい質問を挟むことで、相手に負担をかけずに話の内容を整理できます。また、会話の入口で簡単な質問を投げかけることで、緊張をほぐすアイスブレイクとして役立てるのもよいでしょう。

ただし、矢継ぎ早に連発すると、相手に尋問されているような感覚を与えかねません。クローズドクエスチョンで事実や認識を確認したら、後述するオープンクエスチョンで話を広げるなど、2つの質問をバランスよく往復させるのがポイントです。

「はい」「いいえ」で終わらない質問をしてみる

会話を自然に広げて深めるためには、「はい」「いいえ」で終わらない「オープンクエスチョン(開いた質問)」を投げかけることも大切です。上記の閉じた質問ばかりでは、会話がすぐに途切れて気まずくなりがちですが、開いた質問を取り入れることで、相手が自由に話しやすくなります。

基本的な問いかけとしては、「そのときどう思いましたか?」「何がきっかけだったのですか?」といったフレーズが挙げられます。

ただし、オープンクエスチョンは、自分の望む結論に誘導するための質問ではありません。あくまでも相手に思考や感情を掘り起こしてもらうのが目的です。相手が自分の言葉で語れるようにサポートする意識を持ちましょう。

相手が出した話題の先を確認する

相手の発言を受けて、その背景や後の展開を掘り下げる質問をするのも、傾聴力を高める効果的な方法です。いわゆるフォローアップの質問と呼ばれるもので、情報を丁寧に拾って深掘りすることで、相手が提示した話題への強い関心を示せます。

例えば、「その後、部下の反応はどうでしたか?」といったように、相手の話の先や影響について尋ねてみましょう。さらに、会話中に出た些細な話題を記憶しておき、頃合いを見て後から話を戻すのも有効です。

相手がもっと「話したいと思っているサイン」を見逃さず、適切な質問を投げかけられるようになると、対話の質を大きく高められます。

間違いは訂正せず質問で確認する

会話の中で相手の認識に誤りやズレがあった場合は、正面から訂正せず、質問を通じて相手に気づいてもらうことが大切です。「聞き上手」と呼ばれる人ほど、相手に自発的な気づきを与える問いかけを上手に活用しています。

「それは違います」とストレートに言うのではなく、「その部分について、もう少し詳しく教えてもらえますか?」といったように、穏やかに尋ねてみましょう。

自分の口で説明し直す過程で、相手は矛盾や認識のズレに気づいて修正できるようになります。直接指摘されたわけではないため、相手が防御的にならずに会話を続けられるのに加えて、「こうすべき」と指示されるよりも納得感をもって行動を変えやすくなります。

質問ばかりしないように注意する

適度な質問は相手との会話を深めるのに有効ですが、過度な質問をしないように注意しましょう。質問の仕方やタイミングをきちんと考慮するのも、傾聴力を高めるための重要なポイントです。

特に、こちらの興味のある事柄ばかり深掘りしようとすると、相手は尋問されている気分になる可能性があります。上記のように、会話の中で沈黙が生まれても、焦って質問を投げかけて無理に場をつなごうとするのも避けましょう。

質問をする場合は、相手がどのような話題を取り上げようとしているのか、どういった話を広げたいと思っているのかを観察することが大事です。その上で、相手の考えをサポートするような質問を心掛ける必要があります。

まとめ

傾聴力は日々の意識的な取り組みとトレーニングによって、誰もが習得できるビジネススキルです。まずは1on1や日常の業務報告など、身近な対話の場から一つずつ実践をしていきましょう。部下に傾聴力を身に付けさせるなら、指導側が手本として傾聴を実践し、「話をしっかり聞いてもらえた」という安心感や、成功体験を積ませてあげるのがよいでしょう。

社員一人ひとりが相手の言葉や感情に真摯に耳を傾けられるようになれば、社内の心理的安全性が高まり、社員のエンゲージメントや組織の生産性の向上にもつながります。

 

聴く力は、営業・マネジメント・チームワークすべての土台です。「あそぶ社員研修」では、対話で解き明かす謎解きゲームを通じてヒアリング力を鍛える研修をご用意しています。

⇒「ヒアリング力向上研修」の企画書を無料でダウンロードする

 

「どの研修が自社に合うかわからない」という方は、お気軽にご相談ください。目的やご予算に合わせて最適なプログラムをご提案します。

この記事の著者

あそぶ社員研修編集部

あそぶ社員研修は、企業の研修担当者向けのお役立ち情報を発信するメディアです。研修に関するノウハウ、組織・人材開発の手法、ビジネススキルなどをわかりやすく紹介します。

よく読まれている記事