新入社員フォローアップ研修とは?目的・実施時期・カリキュラム設計・効果測定を解説
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新入社員フォローアップ研修では、入社からの月数に合わせて定番のカリキュラムを実施するだけでなく、自社の新人が抱える課題を把握し、研修後の実践まで設計することが大切です。「いつ実施するか」「何を扱うか」「現場での行動につなげるにはどうするか」と悩む担当者もいるでしょう。
本記事では、実施時期とテーマの決め方、研修プログラムの設計手順、OJT連携、効果測定、内製・外部委託の判断方法を解説します。
新入社員研修は、社会人としての土台と同期のつながりを同時に築ける貴重な機会です。あそぶ社員研修の新入社員研修プログラムは、体験型アクティビティを通じて、学びと一体感の両方を実現します。
新入社員フォローアップ研修の目的と対応範囲
フォローアップ研修を企画する前に、「研修後に新人がどのような状態になっていてほしいか」を決める必要があります。また、新人の困りごとをすべて研修で解決しようとせず、職場側で対応すべき課題と分けることも必要です。ここでは、研修で目指す状態と研修で対応する課題の範囲を解説します。
研修後に目指す状態を具体化する
新人の組織適応を扱ったBauerらのメタ分析では、「役割明確性」「自己効力感」「社会的受容」が適応を捉える指標として整理され、職務満足や組織コミットメント、在籍意向などとの関連が検討されています。
実務では、「自分に期待されている役割が分かる」「担当業務を進める自信がある」「周囲に相談や協力を求められる」と置き換えると、研修目標を設定しやすくなります。
たとえば「モチベーションを向上させる」では、研修後に何を確認すればよいか分かりません。「担当業務の優先順位を説明できる」「困ったときに相談先を判断できる」など実際の行動や状態まで具体化しましょう。
研修以外で対応する課題を切り分ける
新人の意欲低下や離職が気になっていても、その原因が研修で扱えるとは限りません。JILPTによる若年者の初職経験と離職状況の調査では、教育訓練や職場コミュニケーションだけでなく、労働条件や長時間労働、職場トラブルなども含めて分析されています。
そのため、知識・スキルの不足は研修、役割認識のずれは上司とのすり合わせ、実践機会の不足はOJTや業務設計の見直し、長時間労働やハラスメントなどは人事・管理職による職場改善というように、原因に合わせて対応を分けます。
参考:労働政策研究・研修機構「若年者の初職における経験と若年正社員の離職状況」
「そもそもチームビルディングとは?」「何から進めればいい?」という方のために、基本の考え方からチームづくりの5段階、すぐ使えるフレームワーク15選までを1冊にまとめた入門ガイドをご用意しました。
フォローアップ研修の実施時期とテーマの決め方
フォローアップ研修は、「入社3か月だからこの内容」と月数だけで決めるのではなく、その時点での実務経験や現在のつまずき、次に求める役割を確認してテーマを設定します。たとえば、役割や相談先への迷いを整理したい場合と実務経験を振り返って仕事の進め方を見直したい場合では、研修で扱う内容が異なります。ここでは、3か月前後・半年前後・1年前後を目安に、それぞれ確認したい課題とテーマの考え方を紹介します。
入社3か月前後|配属後のギャップや困りごとを整理する
入社3か月前後にフォローアップ研修を行う場合は、配属後に感じているギャップや業務を進めるうえでの迷いを確認します。
Louisは、組織へ入った人が事前に想定していなかった出来事や以前の環境との違いに直面し、その意味を解釈しながら適応していく過程を論じています。
研修では、「入社前に想定していたこと」「実際に経験したこと」「現在困っていること」を整理します。仕事の優先順位や相談先に迷っている場合は、役割や相談ルートも確認します。悩みを共有して終わるのではなく、「同じ状況になったら次はどう動くか」まで具体化することがポイントです。
半年前後|実務経験から仕事の進め方を見直す
ある程度の業務経験を積んだ段階では、実際の成功・失敗を材料に仕事の進め方を振り返ります。
たとえば、「最近うまくいった仕事」「予定どおり進まなかった仕事」を取り上げ、何を考えて行動したのか、結果にどのような違いがあったのかを整理します。そのうえで、「次に同じ業務をするときは何を変えるか」まで決めましょう。
1年前後|経験を棚卸しして次年度の役割につなげる
1年程度の経験が蓄積した段階では、これまでの業務を棚卸しし、次年度に求める役割と現在地を確認します。「できるようになったこと」「まだ支援が必要なこと」「今後伸ばしたいこと」を整理し、2年目に担当する業務や期待される行動と照らして目標を決めましょう。
たとえば、翌年度に担当業務の範囲が広がるのであれば自律的な仕事の進め方、後輩を迎える予定があるのであれば後輩との関わり方を扱うなど、次年度に実際に求める役割から逆算してテーマを選ぶことが大切です。
自社の課題を特定する事前ヒアリングの手順
時期に応じたテーマ候補が決まっても、そのまま自社の研修内容にするとは限りません。同じ入社半年の社員でも、業務知識につまずいている人と、上司との期待値にずれがある人では必要な対応が異なります。
研修内容を決める前に、新入社員本人と上司・OJT担当者の双方から情報を集め、課題の原因を整理することが必要です。ここでは、ヒアリングで確認する内容と、集めた情報から研修で扱う課題を決める手順を解説します。
1.新入社員本人から困っている場面を確認する
まず、新入社員本人がどのような場面で困っているのかを確認します。「仕事は順調ですか」と広く聞くだけでは具体的な課題を把握しにくいため、実際の業務場面まで掘り下げます。
たとえば、次のような項目を確認します。
- 現在担当している業務のうち、一人で進められるものは何か
- 反対に、判断や支援が必要になる業務は何か
- 最近うまくいった仕事と、その理由は何だと思うか
- 最近困った仕事や失敗した仕事は何か
- 困ったときに誰へ相談しているか
- 自分に期待されている役割や優先順位を説明できるか
- 入社前に想定していた仕事との違いはあるか
- 今後できるようになりたいことは何か
回答を見るときは、「本人が困っていると言っているか」だけでなく、どの業務の、どの場面で、何ができずに困っているのかまで確認しましょう。たとえば「報連相が苦手」という回答があれば、「何を報告すればよいか分からない」「相談するタイミングが分からない」「上司へ声をかけにくい」では、必要な対応が変わります。
2.上司・OJT担当者から期待する行動を確認する
次に、上司・OJT担当者から見た新人の状態を確認します。本人への質問と同じく、「主体性がない」「もっと積極的になってほしい」といった抽象的な評価ではなく、具体的な行動で聞き取りましょう。
確認したいのは、たとえば次のような内容です。
- 現在、新人にどの業務を任せているか
- その業務で、どこまで1人でできることを期待しているか
- 期待どおりにできていることは何か
- 不足していると感じる行動は何か
- 不足の原因は、知識不足・経験不足・認識のずれのどれに近いか
- 本人が学んだことを試せる業務や機会を与えられているか
- 現在、どのような指導やフィードバックを行っているか
ここでは、本人と上司の回答を照らし合わせることがポイントです。
たとえば本人は「問題が起きたら報告している」と考えていて、上司は「問題が大きくなってから報告される」と感じている場合、報告する知識そのものよりも「どの段階で報告するか」という期待値が共有されていない可能性があります。
このような認識差を確認すると、研修だけでなく上司とのすり合わせが必要な課題も見つけやすくなります。
3.課題の原因から対応方法を決める
本人と上司・OJT担当者の回答を照らし合わせたら、次に「なぜその課題が起きているのか」を整理します。同じように見える課題でも、原因によって必要な対応は異なるためです。
課題の原因は、次の4つに分けて考えると判断しやすくなります。
| 課題の原因 | 主な対応 |
| 知識・スキルが不足している | 研修で学習・練習する |
| 本人と上司の役割認識がずれている | 上司とのすり合わせ+必要に応じて研修を行う |
| 学んだことを試す機会がない | OJTや業務の割り振りを見直す |
| 労働条件や職場環境に問題がある | 人事・管理職が職場側で対応する |
判断するときは、まず「新しい知識やスキルを学び、練習することで改善を目指せる課題か」を確認しましょう。たとえば、報告に必要な情報の整理方法を知らないのであれば、研修で扱う候補になります。一方、「上司によって報告の基準が違う」「相談する時間を確保できない」といった問題であれば、研修だけではなく、上司とのすり合わせや職場側の運用見直しが必要です。
こうして原因ごとに対応を分けることで、研修で扱うべき課題だけを次のプログラム設計へつなげられます。
課題から研修プログラムを作る5ステップ
事前ヒアリングで研修対象の課題を絞り込んだら、具体的なプログラムへ落とし込みます。「何を教えるか」ではなく、研修後に職場でどのような行動を増やしたいかを起点に考えることが大切です。ここでは、研修内容を組み立てる5つのステップを解説します。
ステップ1.研修後に目指す行動を決める
研修で扱う課題を、職場で確認できる行動へ置き換えます。たとえば「報連相を身につける」ではなく、「判断に迷った段階で上司へ相談する」「顧客から指摘を受けたら必要な情報を整理して報告する」など、研修後に確認できる状態まで具体化します。
ステップ2.必要な知識や判断基準を整理する
目標行動を実践するために必要な知識を洗い出しましょう。相談行動なら、「どの段階で相談するか」「相談前に何を整理するか」「自分で判断する範囲はどこか」などを整理し、講義や解説へ反映します。
ステップ3.目標行動を練習できる演習を設定する
知識を伝えるだけでなく、目標行動を実際に試せる演習を設定します。相談をテーマにするならケースを使った相談演習、合意形成なら複数人で意見をまとめるワークなどが考えられます。
ステップ4.演習後の振り返りを設計する
演習後は、「どのように行動したか」「何がうまくいかなかったか」「仕事で同じ状況はどこにあるか」を振り返りましょう。そのうえで、実務で変える行動を考えます。
ステップ5.職場で実践する行動を決める
最後に、研修後に職場で実践する行動を決めます。「報連相を意識する」ではなく、「顧客から指摘を受けたら上司へ第一報を入れる」など、どの場面で何をするかまで具体化するのがポイントです。
研修後の行動につなげるOJT連携
研修で設定した目標行動を職場で実践するには、上司・OJT担当者との連携が必要です。研修前には目標と実践する業務を共有し、研修後には本人の行動計画と上司側の支援内容を確認しましょう。さらに、一定期間後に実践状況を振り返るところまで一連で設計します。
厚生労働省の特設サイトに掲載されているJTBの事例では、研修前に本人が目標や到達基準を記入して上司が確認し、研修後に行動計画を作成したうえで、3か月後に達成度を振り返る運用が紹介されています。
参考:厚生労働省「株式会社JTB|職場における学び・学び直し促進ガイドライン特設サイト」
このような運用を参考に、研修前後で確認する内容を1枚のOJT連動シートにまとめておくと、本人と上司・OJT担当者が同じ目標を共有しやすくなります。
| タイミング | OJT連動シートに記入・確認する内容 |
| 研修前 | 現在困っている業務、研修後に目指す行動、本人・上司から見た現在地、実践予定の業務や場面 |
| 研修後 | 研修で学んだこと、職場で実践する行動、上司・OJT担当者に求める支援 |
| 一定期間後 | 実践した場面、達成状況、できなかった理由、上司・OJT担当者からのフィードバック、今後続ける行動 |
研修前は、本人と上司・OJT担当者で「何を目指すか」「どの業務で試すか」を共有します。研修後は、本人が職場で実践する行動と、それを支えるために上司側が行うことを確認しましょう。
一定期間後は、本人が目標行動を実践できたかだけでなく、実践する機会があったか、必要な支援を受けられたかも確認します。結果を次回の研修内容やOJTの見直しに活用することで、研修を実施して終わりにせず、現場での実践につなげやすくなります。
研修の効果を確認する方法
研修の効果を測定する際は、受講直後の感想だけでなく、研修で設定した目標がどこまで達成されたかを確認します。前章のOJT連携で集めた情報も活用しながら、研修内容と現場での実践状況を評価します。ここでは、研修直後・一定期間後・次回企画時の3段階で確認する内容を解説します。
研修直後|理解度と行動計画を確認する
研修直後は、研修で扱った内容を理解できたか、職場で実践する行動を具体化できたかを確認します。
たとえば、次のような項目を設定します。
- 研修の目的を理解できたか
- 必要な知識や判断基準を理解できたか
- 演習を通して自分の課題を把握できたか
- 職場で実践する行動が具体的になっているか
ここでは「満足した」「楽しかった」といった感想だけでなく、研修前に設定した目標に対して何を学び、次に何をするかを確認しましょう。
一定期間後|目標行動を実践できたか確認する
研修後は、前章で設定した目標行動が実際の業務で行われたかを確認します。見るのは以下のような項目です。
- どの業務で実践したか
- 継続して実践できているか
- 実践できなかった場合、何が妨げになったか
- 上司・OJT担当者から見てどのような変化があったか
研修内容は理解していても実践できていない場合、研修そのものではなく、実践機会や上司の支援に課題がある可能性があります。OJT連動シートとあわせて確認すると、どこを見直す必要があるか整理しやすくなります。
次回企画時|結果から改善する箇所を決める
最後に、研修前に設定した目標と研修後の状況を比較し、次回の研修で見直す箇所を決めます。以下のように結果から原因を辿りましょう。
- 知識の理解が不十分だった→講義内容や説明方法を見直す
- 理解しているが演習で実践できなかった→演習内容を見直す
- 研修内ではできたが職場で実践できなかった→OJTや実践機会を見直す
- 目標行動自体が実態と合っていなかった→事前ヒアリングや目標設定を見直す
研修の評価を次回の課題設定までつなげることで、「満足度は高かったから成功」と判断するのではなく、研修設計のどこを継続し、どこを改善するかを決められます。
新入社員フォローアップ研修を内製・外部委託する判断方法
新入社員フォローアップ研修は、自社で内製する方法と、研修会社へ外部委託する方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、研修内容や社内の運営体制に合わせて選びましょう。
| 実施方法 | メリット | デメリット |
| 内製 | 自社の業務や制度に合わせた内容にしやすい/現場の具体例を取り入れやすい/研修後も上司・OJT担当者と連携しやすい | 企画・教材作成・講師・運営などを社内で担う必要がある/研修設計やファシリテーションのノウハウが必要 |
| 外部委託 | 社内にない研修ノウハウやプログラムを活用できる/講師や当日の運営を任せられる/体験型ワークなども導入しやすい | 費用がかかる/自社の課題や業務に合わない内容になる場合があるため、事前のすり合わせが必要 |
自社独自の制度や業務ルールは内製し、コミュニケーション研修や体験型ワークは外部へ依頼するなど両方を組み合わせる方法もあります。
外部委託する場合は料金だけでなく、自社の課題を事前に確認してもらえるか、目的に合わせて内容を調整できるか、研修後のOJTとの連携まで相談できるかを確認するとよいでしょう。
まとめ
新入社員フォローアップ研修では、実施時期や一般的なカリキュラムをそのまま当てはめるのではなく、自社の新人が抱えている課題を把握し、研修後に求める行動から内容を設計することが大切です。
まずは、新入社員本人と上司・OJT担当者へのヒアリングから始め、研修で扱う課題と、OJTや職場改善で対応する課題を切り分けます。そのうえで、目標行動に必要な知識や演習を組み立て、研修後も上司と連携して実践状況を確認します。振り返りの結果は、次回の研修内容やOJTの見直しに活用しましょう。
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この記事の著者
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