内定辞退防止の具体策|原因分析から時期別フォロー・面談まで6ステップで解説
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内定辞退を防ぐには、定期連絡や懇親会を増やすだけでなく、自社で起きている辞退の原因と内定者が抱える不安を把握することが重要です。原因や不安の内容によって必要なフォローは異なります。
本記事では、辞退理由の分析、不安に応じたフォロー、時期別のスケジュール、面談、施策の実施、効果測定までを6つのステップで解説します。オヤカク・オワハラの注意点も紹介します。
内定辞退の防止には、内定者同士のつながりと入社意欲の醸成が欠かせません。あそぶ社員研修の内定者プログラムは、楽しみながら同期の絆を深め、入社への期待を高める体験型プログラムです。
【STEP1】自社の内定辞退理由を分析する
内定辞退防止策を考える前に、まず自社で「なぜ辞退が起きているのか」を整理します。同じ内定辞退でも仕事内容や勤務地、待遇、他社との比較など、最終的な判断に影響した要因は異なります。
マイナビ「2026年卒企業新卒内定状況調査」で、企業が把握した内々定辞退の理由として最も多かったのは「より志望度の高い企業から内々定が出た」49.8%でした。続いて、「希望職種」17.7%、「希望勤務地」15.1%、「希望業種」12.1%、「給与条件」11.4%、「保護者からの反対」1.9%となっています。
ただし、これらは企業側が把握した理由です。「他社に決めた」という回答だけでは、最終的に何を比較し、何が決め手になったのかまでは分かりません。施策を考える前に過去の辞退理由をできるだけ具体的に分類しましょう。
たとえば、以下のように整理します。
- 仕事内容
- 勤務地
- 待遇
- 人・組織
- キャリア
- 他社との比較
- 家庭・周囲
- 理由不明
この分類は研究上の尺度ではなく、自社の辞退傾向を把握するための実務上の整理例です。
あわせて、辞退した時期や採用区分も記録します。「他社に決めた」と言われた場合も可能であれば「何が最終的な判断材料になったか」まで確認しましょう。
見るべきなのは辞退率だけではありません。「いつ」「どの理由で」「どの層に」辞退が集中しているかを確認すると、優先して見直すべき課題を絞り込みやすくなります。勤務地に関する辞退が多い場合は、懇親会を増やすよりも勤務地や配属の決まり方を詳しく説明するほうが課題に合っています。「理由不明」が多い場合は、辞退時のヒアリング方法そのものを見直しましょう。
「そもそもチームビルディングとは?」「何から進めればいい?」という方のために、基本の考え方からチームづくりの5段階、すぐ使えるフレームワーク15選までを1冊にまとめた入門ガイドをご用意しました。
【STEP2】内定者の不安や迷いに合わせてフォロー内容を決める
辞退理由を整理したら、次は内定者が何に不安を感じ、入社を判断するためにどのような情報を必要としているのかを確認します。同じ内定者フォローでも不安の内容によって必要な対応は異なります。
ここでは、内定者が抱えやすい不安や迷いを5つに分け、それぞれに応じたフォロー方法を紹介します。
情報・条件が分からない
配属、勤務地、働き方、待遇などに関する情報が不足している場合は、まず判断に必要な情報を補います。確定している事項は明確に伝え、未確定の場合は「いつ決まるのか」「どのように決まるのか」など、現時点で説明できる範囲を示しましょう。
仕事の良い面だけでなく、実際の仕事内容や働き方について現実的な情報を伝える考え方として、RJP(Realistic Job Preview:現実的職務情報)があります。Phillips(1998)のメタ分析では、RJPと採用過程からの離脱、入社時の期待、離職などとの関連が示されています。内定者フォローでも自社の魅力だけを伝えるのではなく、本人が判断するために必要な情報を具体的に示すことが大切です。
他社と比較して迷っている
他社と迷っている場合は、すぐに自社への入社を勧めるのではなく、本人が何を比較しているのかを確認します。
仕事内容、勤務地、待遇、働き方、キャリアなどを整理し、自社について判断材料が不足している項目があれば必要な情報を補いましょう。
Chapmanら(2005)のメタ分析では、仕事内容や組織の特徴、採用担当者の行動、採用プロセスの受け止め方、本人と組織との適合感などが企業への魅力や就職に関する意向と関連していました。何を重視して企業を比較しているのかを確認し、その判断に必要な情報を補うことが重要です。
入社後の仕事をイメージできない
仕事内容への理解が不足している場合は、職場見学や現場社員との対話など実際の仕事を具体的に知る機会を設けましょう。採用担当者からの説明だけでなく、実際にその仕事を担当している社員から、業務内容や仕事の進め方、入社後の流れなどを聞ける場をつくる方法もあります。
仕事についていけるか分からない
「自分のスキルで仕事についていけるのか」「入社までに何を身につけておけばよいのか」が分からない場合は、入社前と入社後に求めることを分けて伝えます。
たとえば、「入社時点でできていてほしいこと」と「入社後の研修や実務を通して身につけること」を明確にします。研修内容や教育体制、困ったときの相談先なども伝え、入社後にどのように仕事を覚えていくのかをイメージできるようにしましょう。
職場の人間関係になじめるか不安がある
同期や上司、先輩社員とどのような関係を築けるのか分からず、不安を感じている場合は、入社前から社員や内定者同士が関われる機会を設けます。
若手社員との座談会や少人数での交流に加え、共通の課題について話し合うグループワークなどを取り入れる方法があります。自由歓談だけにせず、参加者同士が実際に協力したり意見を交わしたりする機会をつくることで、相手の人柄やコミュニケーションの取り方を知るきっかけになるでしょう。
【STEP3】内定から入社までのフォロースケジュールを決める
内定者フォローでは、連絡する頻度と、時期ごとに実施する内容をあらかじめ整理しておくことが大切です。ここでは、連絡頻度の決め方と内定から入社までの時期別フォローについて紹介します。
連絡頻度を決める
キャリタスの2026年卒調査では、学生が希望するフォロー頻度は「1カ月に1回程度」が41.8%で最も多く、「2カ月に1回程度」31.4%、「3カ月に1回程度」13.9%でした。また、実際に月1回以上のフォローを受けた学生の87.5%が、その頻度を「ちょうどよい」と回答しています。
この結果を1つの目安としながら、初回の面談などで負担になりにくい頻度や確認しやすい連絡手段を聞き、本人の希望に合わせて調整しましょう。
参考:株式会社キャリタス(2026)「調査データで見る『入社に向けた内定者フォロー』-2026年卒調査-」
時期に合わせてフォロー内容を決める
内定者が必要とする情報や接点は、内定から入社までの時期によって異なります。以下を一例として、内定者の状況やSTEP2で確認した不安・迷いに合わせて内容を調整しましょう。
内定承諾直後
仕事内容や待遇、勤務地、配属などについて、確認できていないことが残っていないかを聞きます。確定している情報と未確定の情報を分け、今後何がいつ決まるのかも伝えましょう。
他社選考が続いている時期
本人が企業を比較するうえで重視している項目を確認し、自社について不足している判断材料を補います。
正式内定後
内定者懇親会や若手社員との座談会、職場見学などを通じて、同期や社員との接点を設けます。STEP2で確認した不安や迷いに合う方法を選びましょう。
入社直前
入社初日の流れ、必要な手続き、研修、配属までの予定、相談先などを整理して共有します。入社前に確認しておきたいことが残っていないかも確認しましょう。
【STEP4】面談で内定者の本音と不安を確認する
面談では、入社を説得するのではなく、内定者が迷っていることや不足している情報を確認します。ここでは、本音を話しやすい面談にするための4つの手順を紹介します。
1.面談の目的を伝える
最初に、面談が入社を迫るための場ではなく、不安や疑問を整理するための時間であることを伝えます。
たとえば、「今日は入社を説得するためではなく、分からないことや気になっていることを整理する時間です」と伝えてから始めます。質問や迷いを話しても評価に影響しないこともあわせて伝えると、内定者が話しやすくなるでしょう。
Edmondson(1999)は、心理的安全性を「対人的なリスクを取っても安全だというチーム内の共有された認識」として扱い、心理的安全性と学習行動との関連を報告しています。面談でも、迷いや質問を伝えても不利益にならないと感じられる進め方を意識しましょう。
参考:Edmondson(1999)「Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams」
2.現在の状態と前回からの変化を確認する
次に、現在の入社意向や前回の面談から気持ちが変化していないかを確認します。たとえば、「前回から気持ちが変わったことはありますか」「今、入社について気になっていることはありますか」と聞きます。
社内管理用として、入社への気持ちを0~10で表してもらい、前回との変化を見る方法もあります。点数そのものを評価するのではなく、「なぜ変わったのか」を聞くためのきっかけとして使いましょう。
3.未解決の不安や疑問を確認する
現在の状態を確認したら、何がまだ解決していないのかを具体的に聞きます。仕事内容・配属、勤務地、待遇、働き方、人間関係、仕事についていけるか、他社との比較など、STEP2で整理した項目に沿って確認すると抜け漏れを防ぎやすくなります。
質問例は以下のとおりです。
- 入社後の仕事で、まだイメージできないことはありますか
- 配属や勤務地について確認しておきたいことはありますか
- 入社後の研修や仕事の覚え方で不安なことはありますか
- 他社と比較するときに重視していることは何ですか
- 社員や職場の雰囲気について、もう少し知りたいことはありますか
「不安はありますか」とだけ聞くのではなく、項目を具体化して尋ねることで、本人も気になっている点を整理しやすくなります。
4.次のフォローを決める
最後に、面談で確認した不安や不足している情報に合わせて次に行うフォローを決めます。
仕事内容を詳しく知りたい場合は現場社員との対話、配属が不安な場合は決定時期や仕組みの説明、人間関係が気になる場合は若手社員や内定者同士で交流できる機会を設けるなど、課題と次の接点を対応させましょう。
また、「返信が遅くなった」「イベントを欠席した」といった変化だけで辞退を判断するのではなく、以前との違いに気づいたときは状況を確認するきっかけとして捉えます。必要に応じて短時間の面談を設け、困っていることや迷っていることがないかを確認しましょう。
【STEP5】課題に合うフォロー施策を実施する
面談などで内定者の不安や不足している情報を把握したら、その課題に合う施策を実施します。仕事内容への理解が不足している場合は職場見学や社員との座談会、人間関係への不安がある場合は内定者同士や社員と交流できる機会を設けるなど目的に応じて方法を選びましょう。
懇親会や体験型研修もこうしたフォロー施策の1つです。キャリタスの2026年卒調査では、対面の内定者懇親会を経験した学生の65.5%、社員を交えた対面懇親会では54.4%が「入社意欲が高まったフォロー」として回答しています。
参考:株式会社キャリタス(2026)「調査データで見る『入社に向けた内定者フォロー』-2026年卒調査-」
懇親会や体験型研修を取り入れる場合は、開催すること自体を目的にせず、内定者にどのような経験をしてほしいのかを明確にします。たとえば、内定者同士の関係づくりが目的なら、自由歓談だけでなく参加者同士が協力したり意見を交換したりする内容を取り入れる方法があります。
Reuterら(2025)の系統的レビューでは、企業や組織におけるゲーム・ゲーミフィケーションについて、組織学習や研修、従業員エンゲージメント、協働などの観点から研究結果が整理されています。体験型ワークを選ぶ際も盛り上がりや知名度ではなく、参加者にどのようなやり取りを経験してほしいのかを基準にすることが大切です。
【STEP6】内定者フォローの効果を測定して改善する
フォロー施策を実施したあとは、参加率や満足度だけでなく、内定者の疑問や不安がどの程度解消されたかを確認します。ここでは、施策前後で確認したい項目とその結果を次のフォローや次年度の改善につなげる方法を紹介します。
施策前後で同じ項目を確認する
施策の前後で同じ項目を確認すると、内定者の状態がどのように変化したかを把握しやすくなります。
たとえば、自社管理用の確認項目として以下のような内容を設定します。
- 知りたかったことが分かったか
- 仕事内容や配属までの流れをイメージできるか
- 人事や社員に質問・相談しやすいか
- 現在の入社意向はどの程度か
Highhouseら(2003)は、組織への魅力、組織の評判・威信、応募や就職に関する行動意図を区別して測定しています。内定者フォローでも「会社に良い印象を持ったか」だけでなく、疑問の解消や入社意向などを分けて確認すると、施策後に何が変化したのかを捉えやすくなるでしょう。
参考:Highhouse, Lievens & Sinar(2003)「Measuring Attraction to Organizations」
結果を次のフォローと次年度に反映する
確認した結果は、施策の良し悪しを判断するだけでなく、次に必要なフォローを決めるために使います。
たとえば、社員との座談会後も仕事内容をイメージしにくいという回答が残っていれば、現場社員との個別面談や職場見学など別の接点を検討します。質問・相談のしやすさに変化がなければ、面談の進め方や担当者との関わり方を見直しましょう。
辞退が起きた場合も、STEP1で使用した分類に戻して「いつ」「どのような理由で」辞退したのかを記録します。複数の内定者で同じ課題が続いている場合は個別フォローだけでなく、採用時の情報提供やフォロー施策そのものを見直し、次年度の採用活動に反映しましょう。
内定辞退防止で注意したい情報提供・オヤカク・オワハラ
内定者の不安を減らすためのフォローでも、情報の伝え方や働きかけによっては本人の選択を狭めてしまうおそれがあります。ここでは、条件面の情報提供、オヤカク、オワハラの3点について注意点を紹介します。
条件面は確認できる事実を伝える
給与、勤務地、働き方、キャリアなどに関する不安には、確認できる事実を具体的に伝えます。確定していない内容については、期待を持たせるために曖昧な説明をするのではなく、現時点で決まっていることと未確定のことを分けましょう。
若者雇用促進法では、新卒者等が職場の実態を把握できるよう、新卒採用者・離職者数、平均勤続年数、研修、自己啓発支援、メンター制度、月平均所定外労働時間、有給休暇の平均取得日数などの職場情報を提供する仕組みが設けられています。内定者から繰り返し質問される内容は、自社で整理してFAQなどにまとめておく方法もあります。
また、労働基準法第15条では、労働契約を締結する際に、賃金や労働時間などの労働条件を明示することが求められています。内定者フォローとして行う情報提供と法令上必要な労働条件の明示は、分けて整理しておきましょう。
参考:厚生労働省「労働基準法」
オヤカクは本人の意向を確認してから行う
「オヤカク」とは、内定者の保護者に対して、企業が内定承諾の意思を確認したり企業情報を伝えたりする取り組みです。
マイナビの2025年度調査では、大学4年生・大学院2年生以上の子どもを持つ保護者1,000人のうち、46.2%が子どもの内定企業からオヤカクを受けたと回答しています。
参考:マイナビ「2025年度 就職活動に対する保護者の意識調査」
保護者へ連絡する場合は、まず内定者本人に連絡の可否や目的を確認しましょう。本人を介さずに保護者へ入社承諾を求めるのではなく、必要に応じて会社や仕事内容、働き方などの情報を提供し、保護者が確認したいことに答える形で進めます。
オワハラにならないよう本人の選択を尊重する
内定辞退を防ぎたいからといって、内定者に入社を強く迫ったり他社の選考を続けにくくしたりすることは避けなければなりません。
厚生労働省は、オワハラに該当し得る行為として、次のような例を挙げています。
- 内定と引き換えに他社への就職活動をやめるよう強要する
- 他社の就職活動ができないよう研修などへの参加を求める
- 内定承諾書などの早期提出を強要する
- 内定承諾について保護者の同意を強要する
- 内定辞退を申し出た後も、引き留めるため何度も話し合いを求める
参考:厚生労働省「学生の職業選択の自由を侵害する『オワハラ』は行わないでください!!」
内定者フォローは入社を強制するためではなく、本人が必要な情報を得たうえで判断できる状態をつくるために行います。辞退防止を意識する場合も、本人が自分で就職先を選択できる範囲でフォローを行うことが大切です。
まとめ
内定辞退防止では、まず過去の辞退理由を整理し、自社でどのような課題が起きているのかを把握することが重要です。そのうえで、内定者が抱える不安や迷いに合わせてフォロー内容を決め、実施する時期や頻度を組み立てます。
面談では、入社を促すことだけを目的にせず、内定者が判断するために不足している情報や未解決の不安を確認しましょう。必要に応じて社員との交流や職場見学、懇親会、体験型研修などを取り入れ、実施後は疑問が解消されたかを確認します。
また、内定辞退防止を意識する場合も、オワハラにつながる働きかけは避け、本人が必要な情報を得たうえで就職先を判断できる状態をつくることが大切です。施策の結果は次のフォローや次年度の採用活動に反映し、自社に合った内定者フォローへ改善していきましょう。
内定者フォローの成否は、入社後の定着と活躍を左右します。「あそぶ社員研修」では、内定者同士が自然に打ち解け、入社意欲が高まる体験型プログラムをご用意しています。 「どの研修が自社に合うかわからない」という方は、お気軽にご相談ください。目的やご予算に合わせて最適なプログラムをご提案します。
この記事の著者
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