ビッグファイブ性格診断を研修で実施するには?メリット・ワーク例・注意点を解説
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「性格診断を研修に取り入れたいけれど、どのような効果が期待できるのか分からない」「社内で導入するなら、学術的な根拠のあるツールを選びたい」と考えている人事・人材開発担当者や管理職は多いのではないでしょうか。
ビッグファイブは、心理学分野で研究されてきた性格モデルの一つで、人の性格を5つの特性から捉えます。特定のタイプに分類するのではなく、一人ひとりの傾向の違いを理解するモデルであるため、自己理解や相互理解、チームビルディングなどに効果的に活用できます。
本記事では、ビッグファイブの特徴や他の性格診断との違い、研修への活用方法、具体的なワーク例、導入時の注意点を紹介します。
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ビッグファイブ性格診断とは?
ビッグファイブとは、人の性格を「外向性」「協調性」「誠実性」「神経症傾向」「開放性」の5つの特性から捉える心理学モデルです。5つの英単語の頭文字から「OCEANモデル」と呼ばれることもあります。
- 外向性:社交性や活動性
- 協調性:他者への配慮や協力志向
- 誠実性:計画性や責任感
- 神経症傾向:不安やストレスなどの感情の経験しやすさ
- 開放性:新しい経験やアイデアへの関心の強さ
参考:Big Five Personality Traits: The 5-Factor Model of Personality|Annabelle G.Y. Lim
ビッグファイブの特徴は、Aタイプ・Bタイプのように人を分類するのではなく、それぞれの特性がどの程度強いかという連続的な傾向として捉えることです。そのため、結果に優劣をつけるのではなく、「自分にはどのような傾向があるのか」を理解する材料として活用します。
参考:An alternative “description of personality”: the big-five factor structure|L・R・Goldberg
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ビッグファイブと他の性格診断との違い
性格診断には、ビッグファイブのほかにMBTIやCliftonStrengths(クリフトンストレングス)などがあります。それぞれ性格の捉え方や目的が異なるため、研修の目的に合わせて選ぶことが大切です。
| 項目 | ビッグファイブ | MBTI | CliftonStrengths |
| 捉え方 | 5つの性格特性 | 16タイプ | 34の資質 |
| 主な視点 | 性格傾向 | タイプ | 強み・才能 |
| 活用例 | 自己理解・相互理解・チームづくり | 自己理解・相互理解 | 強みの発見・活用 |
ビッグファイブは、5つの性格特性を「どの程度強いか」という連続的な傾向として捉えます。そのため、自分と他者の性格傾向の違いを比較し、コミュニケーションやチームづくりに活かしやすい点が特徴です。
MBTIはタイプを通じた自己理解、CliftonStrengthsは個人の強みを発見・活用することに向いています。性格傾向の違いを理解してチームづくりに活かしたいならビッグファイブ、自己理解を深めたいならMBTI、強みに着目したいならCliftonStrengthsというように、目的に応じて使い分けるとよいでしょう。
ビッグファイブ研修のメリット
ビッグファイブを活用した研修には、性格傾向を知るだけでなく、自己理解や相互理解を深め、職場でのコミュニケーションを見直すきっかけをつくれるというメリットがあります。主なメリットは、次のとおりです。
- 自己理解を深められる
- 相手との違いを理解しやすくなる
- コミュニケーションの取り方を考えるきっかけになる
- チームビルディングに活用できる
- 管理職のマネジメントを振り返る材料になる
ただし、ビッグファイブの診断結果だけで人の能力や適性を判断することはできません。診断をゴールにせず、結果を職場での具体的な行動を考える材料として活用することが重要です。
研修プログラムの例
ビッグファイブを研修に取り入れる場合は、診断結果を説明するだけで終わらせず、「自己理解→相互理解→職場での活用」までつなげることが重要です。例えば、90分程度の研修であれば、次のようなプログラムが考えられます。
| 時間 | 内容 | 目的 |
| 10分 | ビッグファイブの説明 | 基礎知識を身につける |
| 15分 | 診断結果の確認 | 自分の傾向を知る |
| 15分 | 個人ワーク | 自分の経験と結果を振り返る |
| 25分 | グループワーク | 他者との違いを知る |
| 15分 | 行動目標の設定 | 職場での活用方法を考える |
| 10分 | 振り返り・共有 | 学びを整理する |
個人ワークでは、次のような項目を振り返ります。
- 結果を見て納得した点
- 意外に感じた点
- 自分が得意な仕事の進め方
- 苦手になりやすい場面
- 職場で性格傾向が表れやすい場面
グループワークでは、実際の職場を想定したテーマを設定します。
- 会議ではどのような状況だと発言しやすいか
- 仕事は計画的に進めたいか、状況に応じて進めたいか
最後に、「明日から変えてみたいこと」や「職場で意識したいこと」を一人ひとりに考えてもらいます。60分程度ならワークを1つに絞り、120分以上確保できる場合は、ロールプレイやケーススタディを加えるなど、時間に応じて内容を調整するとよいでしょう。
対象者・目的別の活用方法
ビッグファイブ研修は、対象者や研修の目的によって内容を変えることが大切です。あらかじめ「誰に、何を学んでもらうのか」を明確にすると、診断結果を職場で活かしやすくなります。次のように対象者ごとにテーマを設定すると効果的な研修となるでしょう。
| 対象者 | 主な目的 | 活用テーマ |
| 新入社員 | 自己理解・他者理解 | 自分の仕事の進め方を知る |
| 若手社員 | コミュニケーション | 相手との違いを理解する |
| 中堅社員 | チームづくり | メンバーとの関わり方を考える |
| 管理職 | マネジメント | 部下に合わせた関わり方を考える |
| チーム全体 | 相互理解 | お互いの違いを活かす方法を考える |
ビッグファイブを活用する場合は、研修の目的によってワークや問いかけを変えることがポイントです。
新入社員向け
新入社員向けには、自分の性格傾向と仕事の進め方を結びつけて理解する研修がよいでしょう。診断結果を確認しながら、以下のような項目について振り返ります。
- 自分が得意な仕事の進め方
例:事前に計画を立ててから着手するとスムーズに進められる - 苦手になりやすい場面
例:優先順位が曖昧なまま複数の仕事を同時に振られると混乱しやすい - ストレスを感じやすい状況
例:準備不足のまま人前で話す場面に不安を感じる - 周囲からどのように見られていると思うか
例:慎重すぎると思われているかもしれない - 診断結果と自分の認識が一致している点・異なる点
例:計画性が高いと出たが、実際は行き当たりばったりな面もあると感じる
ポイントは結果をきっかけに自分自身の経験を振り返ることです。早い段階で自己理解を深めることで、今後の仕事の進め方や、上司・先輩とのコミュニケーションの土台を作ることができます。
若手社員向け
若手社員向けには、コミュニケーションをテーマに、自分と他者の性格傾向の違いを知る研修を開催しましょう。研修では、診断結果を踏まえ、以下のようなテーマについてメンバー同士で話し合い、回答を比較します。
- 会議で発言するときに重視すること
例:「データや根拠が揃ってから話したい」/「思いついたらすぐ発言したい」など - 仕事を依頼されたときの反応
例:「まず全体像や背景を確認したい」/「とりあえず手を動かしながら考えたい」など - 急な予定変更への対応
例:「一度立ち止まって計画を整理し直したい」/「すぐに切り替えて対応できる」など - 新しい仕事への取り組み方
例:「まず知識や情報を集めてから着手したい」/「実践しながら覚えていきたい」など
ポイントはなぜ人によって考え方や行動が違うのかを考えることです。ファシリテーターは「相手の回答を否定しない」「違いの理由を聞く」というルールを事前に共有し、自分とは異なるタイプの同僚への理解を深める場とします。
中堅社員向け
中堅社員向けの研修では、自分の仕事の進め方の傾向を踏まえ、後輩指導や周囲との関わり方を考えます。若手社員向けと同様のテーマを扱いつつ、後輩や他部署メンバーとの実際のやり取りを振り返る視点を加えるのがポイントです。
- 会議で発言するときに重視すること
例:後輩が発言しやすい場をどう作るか、意見を引き出すタイミングの違い - 仕事を依頼されたときの反応
例:自分は詳細確認派だが、後輩は先に動きたいタイプ、といった違いへの対応 - 急な予定変更への対応
例:計画重視の後輩にどう説明すれば納得して切り替えられるか - 新しい仕事への取り組み方
例:知識習得を重視する後輩と、実践優先の後輩とで、任せ方をどう変えるか
これまでの経験の中で「指導がうまくいった場面」「すれ違いを感じた場面」を振り返りながら話し合うことで、自分とは異なる傾向を持つ後輩やメンバーへの関わり方について、具体的な気づきを得ることができます。
管理職向け
管理職向けでは、自分と異なる性格傾向を持つ部下に、どのように関わるかを考える研修を行います。実際のメンバーを思い浮かべながら、以下のステップで整理しましょう。
- 自分と相手の傾向にはどのような違いがあるか
例:自分は計画重視だが、部下Aは状況を見ながら柔軟に進めたいタイプ - これまでどのようなすれ違いがあったか
例:計画通りに進めない部下を『仕事の進め方が雑』と評価してしまっていた - 次に同じ状況になったら、どのように関わるか
例:最終ゴールだけ共有し、進め方は本人に任せてみる - 1on1やフィードバックの場面を想定して、実際の声のかけ方まで具体的に考える
例:相手の長所を明示し、丁寧な言葉で打診する
こうしたプロセスを通じて、性格傾向の違いを前提としたマネジメントの視点を養い、研修後すぐに現場で活かせる具体的な行動につなげます。
チーム全体向け
チーム全体に向けた研修では、チームメンバー全員が診断結果を共有し、互いの性格傾向の違いを知ることを目的とします。まず各自が自分の傾向を確認したうえで、2〜4人のグループに分かれ、以下のようなテーマについて話し合います。
- 会議ではどのような状況だと発言しやすいか
- 締め切りのある仕事はどのように進めたいか
- 急な予定変更があったとき、どのように対応するか
- 新しい仕事を任されたとき、最初に何を考えるか
それぞれの回答を比較し、なぜ人によって考え方や行動が違うのかを話し合います。例えば、「自分は事前に計画を立てたいが、相手は状況を見ながら進めたい」という違いが分かれば、相手を「仕事の進め方が雑」と評価するのではなく、性格傾向の違いとして捉え直すきっかけになります。
ファシリテーションと研修後のフォロー

ビッグファイブ研修では、診断結果をどのように扱うかが重要です。ファシリテーターは、参加者が安心して自分や他者について考えられるよう、事前にルールを共有しておきましょう。
ファシリテーションで意識したいポイント
ファシリテーションで意識したいポイントには、以下のようなものがあります。
- 性格特性に優劣をつけない
- 診断結果だけで人を判断しない
- 結果の共有を強制しない
- 他者の発言を否定しない
- 性格と能力を混同しない
- 実際の職場での行動と結びつける
また、グループワークでは、ファシリテーターが次のような問いかけをすると、対話を深めやすくなります。
- 「その違いは、仕事のどんな場面で表れますか?」
- 「相手の立場から考えると、どう見えるでしょうか?」
- 「その違いを活かすには、どんな工夫ができますか?」
- 「明日からできることは何でしょうか?」
例えば、外向性が低い人に対して「コミュニケーションが苦手」と決めつけるのではなく、「どのような環境なら意見を出しやすいのか」と考えることが大切です。
研修後のフォロー
研修の効果を職場で定着させるためには、研修後の振り返りも重要です。
例えば、以下のような流れをつくります。
- 研修で気づいたことを整理する
- 職場で実践する行動を1つ決める
- 1ケ月後などに実践状況を振り返る
- 上司との1on1などで共有する
- 必要に応じて行動を見直す
「診断して終わり」ではなく、診断→対話→行動→振り返りまでつなげることで、研修で得た気づきを日々のコミュニケーションやマネジメントに活かしやすくなります。
ビッグファイブを研修で活用するときの注意点
ビッグファイブを研修に取り入れる際には、診断結果を適切に扱うことが欠かせません。
性格に優劣をつけない
特性の高さ・低さは、基本的に「良い・悪い」ではありません。例えば、外向性が低いからコミュニケーション能力が低い、開放性が低いから創造性がない、と判断することはできません。特性には、それぞれ異なる活かし方があります。
診断結果で人を決めつけない
「この人はこういう性格だから」と、結果だけで相手の行動を判断するのは避けましょう。診断結果は、あくまで性格傾向を理解するための材料です。実際の行動には、本人の経験や能力、職場環境、状況などさまざまな要因が関係します。
人事評価や採用の判断に直接使わない
研修で得た診断結果を、そのまま人事評価や採用、配置などの判断に利用することには慎重になる必要があります。特に、社員が「診断結果によって評価される」と感じると、率直に回答したり結果を共有したりしにくくなります。研修の目的と結果の利用範囲をあらかじめ明確にしておくことが重要です。
使用する診断ツールを確認する
「ビッグファイブ」と名の付く診断であれば、すべてが同じ品質とは限りません。導入前には、どのような理論や尺度をもとに作られているのか、信頼性や妥当性についてどのような情報が公開されているのかを確認しましょう。法人で利用する場合は、結果の管理方法や個人情報の取り扱いについても確認しておくと安心です。
結果の共有は本人の意思を尊重する
相互理解を目的とした研修でも、診断結果を全員に公開する必要はありません。本人が共有したい範囲を尊重し、個人の結果を無理に開示させないことが大切です。特に、神経症傾向など本人が扱われたくないと感じる可能性のある項目については、慎重な運用が求められます。
よくある質問Q&A

続いて、ビッグファイブ性格診断を活用した研修に関するよくあるQ&Aについてお伝えします。
Q. ビッグファイブの結果だけで人の性格を判断できますか?
いいえ。診断結果は、性格傾向を理解するための一つの材料です。その人の人格や能力、行動をすべて説明できるものではありません。研修では結果を「答え」とするのではなく、自分や相手について考えるきっかけとして活用しましょう。
Q. ビッグファイブとMBTIはどちらが優れていますか?
一概にどちらが優れているとはいえません。両者は性格の捉え方や目的が異なります。研修の目的を明確にし、自己理解、強みの発見、相互理解など、何を実現したいのかに応じて選ぶことが重要です。
Q. ビッグファイブは研修に活用できますか?
活用できます。ただし、診断を受けるだけで研修効果が得られるわけではありません。診断結果をもとに自己理解や相互理解を深め、具体的な行動を考えるワークと組み合わせることが重要です。
Q. 診断結果は社内で共有してもよいですか?
本人の同意なく共有することは避けましょう。研修で使用する場合は、結果を誰が閲覧できるのか、どのような目的で利用するのかを事前に明確にしておくことが大切です。
まとめ

ビッグファイブは、性格を「外向性」「協調性」「誠実性」「神経症傾向」「開放性」の5特性で捉える心理学モデルです。タイプ分類ではなく傾向の違いを連続的に示すため、自己理解や相互理解、チームビルディング研修に活用できます。ただし診断すれば効果が出るわけではなく、結果を目的化せず、コミュニケーションやマネジメントを考える材料として使うことが重要です。優劣をつけず、「違いをどう活かすか」という視点で取り入れてみてはいかがでしょうか。
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この記事の著者
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