なぜなぜ分析研修の進め方|身に付くスキルと業界別の活用例も紹介
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品質不良や業務上のミスが繰り返される背景には、表面的な原因への対処にとどまり、根本的な原因を特定できていない可能性があります。なぜなぜ分析研修では、「なぜ」を繰り返しながら問題の真因を探り、再発防止につながる対策を考える方法を学びます。
本記事では、なぜなぜ分析研修に取り入れたい内容や身に付くスキル、効果的な進め方を解説します。製造業・IT業界・医療や介護での活用例も紹介するので、社内研修を企画する際にお役立てください。
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なぜなぜ分析研修が必要とされる理由
なぜなぜ分析は、問題に対して「なぜ」を繰り返し、表面的な要因の奥にある真因を突き止める手法です。トヨタ生産方式から生まれたとされており、機械が故障して停止した際に「なぜ」を5回繰り返すことで、問題を深く掘り下げる考え方が示されています。
参考:トヨタ生産方式、大野耐一氏の「なぜなぜ五回」の真意とは – ものづくりドットコム
また、なぜなぜ分析のルール化・体系化に取り組んできた小倉仁志氏は、失敗の背景には当事者だけでなく、業務全体や管理職に関わる問題もあると指摘しています。
参考:小倉仁志の「なぜなぜ分析」ちょっとしたコツ – 有限会社マネジメント・ダイナミクス
このような考え方を研修で体系的に学ぶことで、個人への責任追及を避けながら、組織の仕組みに潜む課題を捉え、再発防止につながる対策を検討できるようになります。そのため、社員の問題解決力と継続的な業務改善力を養う研修として有効です。
なぜなぜ分析研修に入れるべき内容
なぜなぜ分析を研修で正しく実践するには、「なぜ」を繰り返す手順だけでなく、問題の定義や事実確認、要因の整理、対策の立案まで体系的に学ぶ必要があります。ここでは、なぜなぜ分析研修に取り入れたい5つの内容を解説します。
1.なぜなぜ分析の目的と基本的な考え方
最初に、なぜなぜ分析の定義や目的、基本的な進め方を説明します。なぜなぜ分析では、問題と原因の因果関係をたどって真因を特定し、再発防止につながる具体的な対策を導き出すことが重要です。決められた回数だけ「なぜ」を繰り返したり、「モグラ叩き」のように表面的な原因への対処を続けたりするだけでは、問題の根本的な解決につながりません。
こうした基本的な考え方を研修の初めに共有することで、受講者は分析の目的を意識しながら、真因の特定に向けて適切に問いを重ねられるようになります。
2.分析対象となる問題の定義と現場の事実確認
なぜなぜ分析を始める前に、分析対象となる問題を明確に定義します。原因を正確に掘り下げるため、「いつ、どこで、何が、どのような状態になったのか」を整理し、分析しやすい具体的な問題へ絞り込みましょう。
現場・現物・現実を重視する「三現主義」に基づき、作業記録やデータ、関係者への聞き取りなどから、実際の状況を確認することも重要です。問題の定義と事実確認を研修に取り入れることで、受講者は思い込みや推測に頼らず、客観的な情報を分析の出発点にできるようになります。
3.要因を洗い出して因果関係を掘り下げる方法
問題を定義した後は、発生に関係する要因を幅広く洗い出し、因果関係に沿って掘り下げる方法を学びます。早い段階から一つの原因に絞り込まず、人、設備、手順、環境など複数の視点から検討することが大切です。ロジックツリーや特性要因図を使えば、要因を整理して全体像を捉えやすくなります。
そのうえで、それぞれの要因に対して「なぜ」を問い、前後のつながりに論理的な飛躍がないかを確認しましょう。要因の洗い出しと掘り下げ方を実践的に学ぶことで、受講者は複雑な問題を体系的に整理し、真因へ近づけるようになります。
4.真因の見極め方と対策の立案・優先順位付け
要因を掘り下げた後は、問題の発生に強く影響している真因を見極めます。研修では、事実やデータを基に因果関係を検証し、対策によって問題の発生を防げる要因かどうかを確認しましょう。発生頻度や影響度などの視点から、対策すべき要因を客観的に評価することも大切です。
真因を特定したら、効果や緊急度、実現可能性、必要なコストなどを比較して優先順位を決め、担当者や期限を含む行動計画へ落とし込みます。一連の流れを研修で学ぶことで、受講者は原因を分析するだけで終わらず、実行可能な改善策へつなげられるようになります。
5.ケーススタディや自社課題を使った実践演習
なぜなぜ分析研修では、まず身近なケーススタディを使って、問題の定義から要因を掘り下げ、真因を特定し、対策を立案するまでを一通り体験してもらいます。手順や注意点を学ぶだけでなく、実際に問題を分析しながら、具体的な進め方を身に付けることが重要です。
基本的な進め方を理解した後は、自社や自部署が抱える課題を題材に分析してみましょう。実務に即した問題へ取り組むことで、研修で得た知識を職場の改善活動へつなげられます。
なぜなぜ分析研修で身に付くスキル
なぜなぜ分析では、問題を掘り下げる力だけでなく、その前提となる問題定義力や事実確認力も求められます。研修を通じて習得を目指せる主なスキルは、次のとおりです。
- 問題を具体的に定義する力
- 事実に基づいて状況を把握する力
- 因果関係を論理的に検証する力
- 真因に対応した改善策を立案する力
- 分析結果をチームで共有・説明する力
研修を通じてこのようなスキルを身に付けることで、経験や思い込みだけで原因を判断せず、客観的な情報から問題の構造を捉えられるようになります。分析の過程や対策の根拠を分かりやすく共有できるため、関係者の認識をそろえながら改善を進めやすくなるでしょう。
なぜなぜ分析研修の効果的な進め方
なぜなぜ分析研修を業務改善につなげるには、演習や実務での活用まで段階的に進めることが大切です。ここでは、研修を企画・実施する際の流れをわかりやすく解説します。
1.目的・対象者の設定
最初に、自社がなぜなぜ分析研修を実施する目的と、受講対象者を明確にしましょう。品質不良や事故の再発防止、業務ミスの削減、社員の論理的思考力の向上など、解決したい課題によって研修内容は異なります。
対象者についても、若手社員には基本的な考え方、現場担当者には実務での分析方法、管理職には分析の支援や対策の判断方法を重点的に扱うなど、役割や習熟度に応じた設計が必要です。目的と対象者を事前に整理することで、研修の到達目標や扱う事例を決めやすくなり、自社の課題に即したプログラムを組み立てられます。
2.講義と例題による理解
研修の前半では、なぜなぜ分析の目的や手順、実践する際の注意点を講義で説明します。その後、受講者にとって身近な例題を使い、問題の定義から真因の特定、対策の立案までの流れを確認しましょう。最初から複雑な課題を扱うのではなく、原因と結果のつながりを捉えやすい事例から始めることが大切です。
誤った分析例を提示し、因果関係の飛躍や個人への責任追及など、問題のある箇所を受講者に指摘・修正してもらう演習も有効です。ゼロから分析を作成する前に誤りやすいポイントを確認することで、正しい考え方に気づきやすくなり、後半の実践演習へ進みやすくなります。
3.グループワークによる練習
講義と例題で基本を理解した後は、共通の課題を使ったグループワークでなぜなぜ分析を練習します。参加者同士で考えられる要因を出し合い、問題と原因の因果関係に飛躍がないか、分析に思い込みが含まれていないかを確認しましょう。
複数人で検討することで、一人では見落としやすい要因に気づき、問題を多角的に捉えられるようになります。最後にグループごとの分析結果と対策案を発表し、講師やほかの参加者からフィードバックを受けることで、問いの立て方や原因を掘り下げる際の視点を広げられます。
4.自社課題を使った演習
グループワークで基本的な分析方法を身に付けた後は、自社や自部署が抱える問題を題材に、なぜなぜ分析の演習に取り組みます。作業の遅延や顧客対応のトラブル、情報共有の漏れなど、実際の業務で発生している問題を取り上げ、現場の記録やデータを確認しながら真因を掘り下げましょう。
分析結果を基に対策の優先順位や担当者、実施期限を決め、具体的な行動計画まで作成することが重要です。実務に直結する課題を扱うことで、受講者は研修で得た知識を自分の業務へ応用する方法を具体的に理解できます。
5.研修後の実践とフォロー
研修でなぜなぜ分析の手順を理解しても、実際の業務ですぐに使いこなせるようになるとは限りません。そのため、受講者が職場で繰り返し実践できる機会を設けましょう。問題が発生した際には上司や管理職が分析に参加し、問題の定義や因果関係、対策の妥当性について助言するなど、継続的に支援できる体制も必要です。
立案した対策の実施状況や効果を定期的に確認し、十分な改善が見られない場合は、問題の定義や真因の特定から見直します。分析結果や改善事例を組織内で共有・蓄積することで、研修で得た知識を継続的な業務改善につなげられます。
【業界別】なぜなぜ分析研修で学んだことを業務に活かす方法
なぜなぜ分析は製造現場で広まった手法ですが、IT、医療、介護など幅広い分野の問題解決に応用できます。ここでは、研修で学んだ分析方法を業務へ活かす例を業界別に紹介します。
製造業|品質不良や設備故障の再発防止に活かす
製造業では、製品の品質不良や設備故障、作業中の事故などが発生した際の原因究明になぜなぜ分析を活用できます。例えば不良品が検査を通過した場合、「検査担当者が見落とした」という個人のミスだけで終わらせず、検査手順やマニュアルの表記、確認体制などへ原因を掘り下げます。
研修で学んだ問題の定義や事実確認の方法を使い、発生した工程、設備の状態、作業記録などを確認することが重要です。そのうえで、点検項目の追加やマニュアルの改善、設備の改修など、真因に対応した対策を検討します。表面的な処置ではなく、作業環境や業務の仕組みを見直すことで、同様の問題の再発防止につなげられます。
IT業界|システム障害や開発トラブルの原因究明に活かす
IT業界では、システム障害やリリース後の不具合、納期遅延などの原因を究明する際に、なぜなぜ分析を活用できます。例えば、重大な不具合をテストで発見できなかった場合には、担当者の確認不足だけでなく、テストケースの作成方法や要件変更の共有、レビュー体制まで掘り下げることが大切です。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の調査報告書でも、システム障害の再発防止に向けた取り組みとして、なぜなぜ分析の実施や、報告書・会議を通じた対策の横展開が紹介されています。研修で学んだ方法を障害発生後の振り返りに取り入れ、得られた知見を開発・運用手順へ反映するとともに組織内で横展開することで、システムやサービスの品質向上を図れます。
医療・介護業界|事故やヒヤリ・ハットの予防に活かす
医療・介護業界では、転倒や誤薬、医療機器の操作ミス、情報伝達の漏れなどの原因を分析する際に、なぜなぜ分析を活用できます。事故が起きたときは職員の不注意だけに原因を求めず、利用者の状態や設備、業務手順、勤務体制、職種間の連携などを幅広く確認することが重要です。
厚生労働省の介護保険施設等向けガイドラインでも、原因分析と再発防止策の検討には、組織全体で多職種・多部門の職員が取り組み、根本的な原因を理解する必要があると示されています。研修で学んだ分析方法を事故やヒヤリ・ハットの振り返りに取り入れることで、異なる専門性を持つ職員が事実を共有し、手順や設備、情報共有体制の改善を目指せます。
参考:介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン – 厚生労働省(PDF)
なぜなぜ分析研修を成功させるコツと注意点
なぜなぜ分析は、形式的に「なぜ」を繰り返すだけでは適切な真因や対策にたどり着けない場合があります。研修を業務改善につなげるために、企画・実施する際のコツと注意点も確認しておきましょう。
「なぜ」を5回繰り返すことに固執しない
なぜなぜ分析では「なぜを5回繰り返す」とよくいわれますが、5回という数字はあくまでも真因にたどり着くための目安です。問題によっては5回より少なく真因を特定できる場合もあれば、さらに回数を重ねて掘り下げる必要が生じるケースもあります。
そのため研修では、回数を達成することではなく、それぞれの問いと答えに因果関係があるか、実行可能な対策を導き出せるところまで原因を掘り下げられたかを確認しましょう。問いを重ねる回数に固執しないことで、受講者は問題の性質や状況に合わせて、柔軟に分析を進められるようになります。
推測ではなく事実を基に分析する
事実を十分に確認しないまま「なぜ」を問い始めると、受講者の経験や思い込みが入り込み、誤った原因へ進む可能性があります。そのため研修では、日時や場所、発生状況、作業記録、数値などの客観的な情報を整理してから、原因の掘り下げを始めましょう。
それぞれの問いに対する答えが事実で裏付けられているか、前後の因果関係に飛躍がないかを確認することも大切です。事実と推測を区別する習慣を身に付けることで、受講者は分析結果を関係者へ根拠とともに説明できるようになります。
個人の責任追及に流れないようにする
なぜなぜ分析が、ミスをした社員の責任を追及する場にならないよう配慮することも重要です。「担当者が注意しなかった」「確認を怠った」といった個人の行動だけで結論付けず、その背景にある業務手順や作業環境、情報共有、管理体制にも目を向けましょう。
研修では、失敗を率直に共有できる雰囲気をつくり、管理職も当事者と一緒に原因や改善策を検討します。こうした環境を整えることで、分析に必要な情報や意見を引き出しやすくなり、個人への注意だけでなく、組織の仕組みを改善する対策につなげられます。
分析結果を実行可能な対策へつなげる
真因を特定した後は、分析結果を具体的な対策へ落とし込むことも重要です。研修では、「注意を徹底する」「意識を高める」といった曖昧な対策にとどめず、業務手順の変更や設備の改修、確認体制の整備など、真因に直接働きかける対策の検討まで実践しましょう。
複数の対策案を効果や緊急度、実現可能性などの観点から比較し、優先順位を決めることも大切です。担当者や実施期限、評価方法まで定めた行動計画を作成することで、分析結果を職場の改善活動へ着実につなげられます。
まとめ
なぜなぜ分析研修では、「なぜ」を繰り返す手順だけでなく、問題の定義や事実確認、因果関係の検証、真因に基づく対策の立案まで体系的に学ぶことが重要です。講義や例題に加えて、グループワークや自社課題を使った演習を取り入れることで、実務に応用できる分析力を養えます。
研修を実施する際は、「なぜ」の回数に固執せず、推測ではなく事実を基に分析するよう促しましょう。個人の責任追及を避け、管理職も参加しながら、組織の仕組みを改善する視点を共有することも大切です。研修後も実践とフォローを継続し、問題の再発防止と業務改善につなげていきましょう。
「あそぶ社員研修」は、受講者が主体の研修。心理的安全性が保たれた場で、ワークを通じて「成功と失敗」を擬似体験できます。自ら気づきを得るから、研修後の行動が変わります。 「どの研修が自社に合うかわからない」という方は、お気軽にご相談ください。目的やご予算に合わせて最適なプログラムをご提案します。
この記事の著者
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