エニアグラム性格診断を社員研修に活用するには?ポイント・実施方法・注意点を解説

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この記事の監修者
株式会社motch me 取締役
石野 太一
同志社大学在学中に大学生向けクリエイティブスクールの立ち上げに携わる。25歳の時に「地頭を鍛える」をコンセプトに、謎解きやパズルを用いた学習塾「たいち数楽教室」を開塾し、延べ300名以上を指導。その後ベンチャー企業の一号社員として研修事業の責任者を務め、営業・コンテンツ開発から講師登壇までを担い、年間88回登壇した実績を持つ。「講師は現場を離れて講師だけをやっていてはいけない」をモットーに、現在はイベント制作会社の取締役として経営企画・人事に携わりながら、講師活動を続けている。

エニアグラム性格診断は、設問への回答を基に、自分が大切にしている価値観や行動の背景にある動機を振り返るためのフレームワークです。社員一人ひとりの強みや他者との違いを理解し、円滑なコミュニケーションやチームワークにつなげる手法として、企業研修などで活用されています。

本記事では、エニアグラム性格診断の概要や社員研修で活用するポイント、実施方法、注意点を解説します。研修事例も紹介しているので、導入を検討している方はぜひ参考にしてください。

 

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エニアグラム性格診断とは

エニアグラム性格診断とは、人の性格を9つのタイプに分けて捉える性格類型論です。行動や表面的な傾向だけでなく、人間の意思決定に影響する動機や価値観に着目している点に特徴があります

エニアグラム性格診断の目的とメリット

日本エニアグラム学会によると、エニアグラムを学ぶ目的は、自分と他者の心の奥にある「思考・感情・行動の動力源」、すなわちタイプの違いを解き明かすこととされています。自分の強みや課題、ストレスを感じやすい場面に気づく「自己理解」と、異なる価値観を持つ他者への理解を深める「他者理解」を通じて、自己成長や豊かな人間関係の構築につなげられる点がメリットです。

エニアグラム性格診断は、自己理解・他者理解を促すフレームワークとして、企業研修やチームづくりにも取り入れられています。

参考:エニアグラムについて日本エニアグラム学会

エニアグラム性格診断の9タイプを一覧で紹介

エニアグラム性格診断では、設問への回答を通じて、自分に近い性格タイプの候補を確認します。ここでは、9つの性格タイプを一覧で紹介します。

なお、日本エニアグラム学会の公式サイトには、簡単な設問に答えてタイプをチェックできる「簡易タイプ診断」も用意されています。自分の考え方や行動の傾向を振り返りたい方は、活用してみるとよいでしょう。

タイプニックネーム主な特徴
タイプ1改革する人(THE REFORMER)理想に向けて努力し、より良い方法を追求する。公正さや正しさを大切にする傾向がある。
タイプ2人を助ける人(THE HELPER)周囲を気遣い、困っている人を支えることに喜びを感じやすい。人との温かいつながりを重視する。
タイプ3達成する人(THE ACHIEVER)明確な目標を持ち、効率的に成果を出そうとする。周囲を励ましながら目標達成へ導く力を発揮しやすい。
タイプ4個性的な人(THE INDIVIDUALIST)独自性や感動を大切にし、豊かな感受性を持つ。自分らしい表現や深い人間関係を求める傾向がある。
タイプ5調べる人(THE INVESTIGATOR)情報を集めて物事を深く考え、慎重に判断する。専門性を高めたり、独創的な着想を得たりしやすい。
タイプ6忠実な人(THE LOYALIST)誠実さや責任感を大切にし、周囲と協力して物事に取り組む。ルールや信頼できる仕組みを重視する。
タイプ7熱中する人(THE ENTHUSIAST)楽しさや多様な可能性を求め、明るく前向きに行動する。新しい計画やアイデアを考えることを好む。
タイプ8挑戦する人(THE CHALLENGER)自分の考えを率直に伝え、困難にも力強く立ち向かう。決断力があり、周囲に影響を与える力を持つ。
タイプ9平和をもたらす人(THE PEACEMAKER) 穏やかさや調和を大切にし、対立を避けながら周囲を受け入れる。多様な意見をまとめる役割を担いやすい。

タイプの特徴は、あくまで自己理解・他者理解のための手がかりです。「自分はこのタイプだから」と可能性を狭めたり、「相手はこのタイプだから」と接し方を決めつけたりせず、それぞれの強みや価値観を尊重することが大切です。

参考:各タイプの特徴日本エニアグラム学会

参考:簡易タイプ診断日本エニアグラム学会

 

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なぜエニアグラム性格診断が社員研修に有効なのか

エニアグラム性格診断は、自己成長の促進やコミュニケーションの改善を目的とした社員研修で活用されています。ここでは、社員研修にエニアグラム性格診断を取り入れる主なメリットを解説します

1.自分の特性を理解してキャリアを考えるヒントにできる

エニアグラム性格診断では、自分がどのような価値観を重視し、どのような場面で意欲を発揮しやすいかを振り返ります。さらに、ストレスを感じやすい状況や無意識に取りがちな行動にも目を向け、自身の特性を見つめ直します。

こうした自己理解は、現在の仕事で強みを生かせる場面や、今後伸ばしたい能力を考える際の手がかりになります。診断結果だけで職種や役職を決めるものではありませんが、自分らしい働き方やキャリアの方向性を考えるきっかけとして役立つでしょう。

2.強みと課題を踏まえた自己成長と行動変容を促せる

自身の性格タイプの傾向を知ることで、強みを発揮しやすい場面だけでなく、弱みや強みが過剰に表れた際に生じやすい課題にも気づきやすくなります。

研修では、気づきを得るだけで終わらせず、「今後やめる行動」や「新たに意識する行動」を具体化することが重要です。自分の思考や行動の癖を理解したうえで実践目標を定めることで、自己成長や行動変容につなげやすくなります。

3.多様な価値観を理解することがコミュニケーション促進につながる

職場で同じ出来事に直面しても、重視する点や受け止め方は人によって異なります。エニアグラム性格診断を通じて、こうした違いには価値観や動機が関わっていると理解することで、「自分の考え方が当たり前」という思い込みを和らげられます

相手をタイプで決めつけるのではなく、特性に応じて伝え方や関わり方を工夫する視点を持つことが大切です。上司・部下間の関わりやチーム内の対話に生かせば、互いの強みを尊重しながら協力しやすい関係づくりにつながります。

エニアグラム性格診断を社員研修で活用できる場面

エニアグラム性格診断は、社員一人ひとりの価値観や行動傾向を理解し、強みを生かした関わり方を考えるために活用できます。全社研修だけでなく、管理職研修やチーム単位の研修、1on1ミーティングなど、目的に応じて取り入れられます

主な活用場面は次のとおりです。

  • キャリアプランニング
  • チームワークの向上
  • リーダーシップの向上
  • チームビルディング
  • 1on1ミーティング
  • コーチング力の向上
  • 自律型人材の育成
  • モチベーション向上につながる対話

研修の目的や参加者が抱える課題に合わせて活用場面を選ぶことで、自己理解を深めるだけでなく、よりよい人間関係や組織づくりにつなげやすくなります。

エニアグラム性格診断を取り入れた研修内容と進め方

エニアグラム性格診断を活用した研修では、診断テストで自分に近いタイプの候補を確認した後、各タイプへの理解やグループワークを通じて自己理解・他者理解を深めます。ここでは、日本エニアグラム学会が公開する「講演・研修の実績」をもとに、研修内容と進め方の一例を紹介します

参考:講演・研修の実績日本エニアグラム学会

1.エニアグラム診断テストを実施

まず設問に回答するエニアグラム診断テストを実施し、自分に近いタイプの候補を確認します。研修前にテストを実施しておくと、タイプごとのグループ編成や対話をスムーズに進めやすくなります。

診断結果は、自己理解を深めるための手がかりです。結果を知るだけで終わらせず、タイプごとの特徴を学びながら、自身の考え方や行動傾向に最も近いタイプを考えるきっかけとして活用しましょう

2.エニアグラムの概論・各タイプについての理解

診断後は、エニアグラム性格診断の基本的な考え方や、9タイプそれぞれの特徴を学びます。行動の背景にある動機や価値観、強みと課題、ストレスを感じた際の反応などを理解することで、自分自身を多面的に捉えやすくなります

同じ出来事に直面しても、タイプによって着目する点や受け止め方は異なるものです。自分と異なるタイプの考え方を知ることで、職場で生じるすれ違いや対立を捉え直し、相手に応じた関わり方を考えるきっかけになるでしょう。

3.グループワーク・発表

続いて、タイプごと、または部署・職場のチームごとに分かれ、長所や短所、仕事で大切にしていることなどを話し合います。意見を模造紙にまとめて発表する形式を取り入れると、参加者の考え方やタイプごとの傾向を全体で共有しやすくなるでしょう。

扱うテーマの例は、「自分たちが活き活きする時」「自分を文房具に例える」「自分のウリを考える」などです。テーマに沿って話し合った後、タイプごとの特徴を発表したり、対話をさらに深めるワークへ発展させたりする方法があります。

長所・短所を切り口に、自分が大切にしていることや避けたいことを言語化し、少人数で共有するのもよいでしょう。自己理解を深めながら、他者との共通点や違いに気づく機会になります。

4.振り返り・質疑応答

研修の最後には、診断やワークを通じて得た気づきを振り返ります。「自分の強みをどのように仕事で生かすか」「異なる価値観を持つ相手とどのように関わるか」など、職場で実践したい行動を具体的に考える時間を設けましょう

質疑応答では、診断結果の受け止め方やチーム内での活用に関する疑問を解消します。研修後に実践する内容を明確にしておくことで、一時的な気づきで終わらせず、日常業務における行動改善へつなげやすくなります。

エニアグラム性格診断を社員研修に取り入れるポイント

研修で得た自己理解・他者理解を職場でも生かすことにより、コミュニケーションやチームワークの改善につながります。ここでは、エニアグラム性格診断の学びを現場に定着させるためのポイントを紹介します

1.知識学習だけでなく、ペアワークやグループワークを取り入れる

研修では、エニアグラム性格診断の解説を聞くだけでなく、ペアワークやグループワークを組み合わせることが大切です。参加者同士で自分の考え方や行動傾向を話し合うことで、タイプごとの特徴を抽象的な知識ではなく、身近なものとして理解しやすくなります

実際の職場で起こり得る事例を題材にすれば、相手への伝え方や関わり方も具体的に検討できます。発言を無理に求めず、参加者が安心して自己開示できる場をつくることも必要です。体験を通じた対話を取り入れることで、研修での気づきを日常業務で使える視点へつなげられます。

2.研修で学んだことをOJTや日常業務で実践する

研修で得た気づきを定着させるには、現場のOJTや日常業務で試す機会を設けることが重要です。例えば、1on1ミーティングで相手の価値観や意欲の源泉を尋ねる、会議で異なる意見の背景を確認するなど、小さな実践から始めるとよいでしょう

研修を人事部門だけで完結させず、現場のリーダーや管理職に内容を共有しておくことも大切です。部下の個々の違いを理解する視点として活用することで、日々の声かけや役割分担、フィードバックを工夫しやすくなります。

3.研修後のフォローで学びを定着させる

研修後は、定期的な振り返りやチームでの対話、必要に応じた個別のフォローを行い、エニアグラム性格診断の気づきを実践へ結びつけることが重要です。

具体的には、研修から数週間後にフォローアップの場を設け、「試してみたこと」「うまくいったこと」「難しかったこと」などを共有します。実践で生じた疑問やつまずきを扱うことで、知識を再確認するだけでなく、自分や相手への理解をより深められるでしょう。

チームの定例会や1on1ミーティングで、エニアグラムの視点を継続的に用いるのも一つの方法です。研修を単発で終わらせず、日常的に振り返る機会をつくることで、学びを職場に根付かせやすくなります。

エニアグラム性格診断を取り入れた研修事例2選

エニアグラム性格診断を活用した研修は、自己理解・他者理解を軸に、リーダーシップの発揮や部下育成、職場の関係改善などを目指して実施されています。ここでは、公開されている企業研修の事例を基に、対象者や研修内容、職場での活用方法を紹介します

1.大手食品メーカー|管理職向けリーダーシップ研修

ある大手食品メーカーでは、管理職約30名を対象に、リーダーシップとコミュニケーション能力の向上を目的とした2日間の研修を実施しました。エニアグラム研修を中心に、リーダーシップ・サークルの手法も組み合わせています。

研修では、自他理解を深めながら、自分の強み・弱みや自分らしいリーダーシップのスタイルを確認しました。さらに、10名前後のグループで実際の業務課題を扱う実習を行い、部署を越えて問題を共有する機会を設けています。

参考:研修導入事例シープラスエフ研究所

2.情報通信企業|離職軽減・防止研修

ある情報通信企業では、若手社員とリーダーの間ですれ違いが生じ、若手が相談しにくさや離職への迷いを抱えるという課題がありました。そこで、エニアグラム性格診断を取り入れた離職軽減・防止研修を部単位で実施し、コミュニケーションや相互理解の促進を図りました

研修では、互いの強み・弱みを開示する対話を重ね、職場の関係性が組織に及ぼす影響を客観的に捉え直しています。実践では、リーダーが育成を支援する思いを言葉で伝え、若手側も質問や意見を伝えることで、情報共有を増やす取り組みを進めました。

参考:エニアグラム研修事例ヒト・リレーションデザイン研究所

エニアグラム性格診断を研修に取り入れる際の注意点

エニアグラム性格診断は、自己理解や他者理解を深めるための手がかりとして役立つ一方で、診断結果の扱い方を誤ると、社員への偏見や不要な心理的負担につながるおそれがあります。ここでは、エニアグラム性格診断を研修に取り入れる際の注意点を解説します

1.診断結果で優劣をつけない

エニアグラム性格診断の9タイプには、それぞれ異なる価値観や行動傾向がありますが、優れたタイプや劣ったタイプがあるわけではありません。研修では、タイプごとの特徴を優劣ではなく「違い」として捉える姿勢を共有しましょう

あるタイプの強みだけを強調すると、別のタイプの参加者が自分の特性を否定的に受け止める可能性があります。各タイプには強みと課題の両面があることを説明し、互いの違いを尊重する対話につなげることが重要です。

2.診断結果で社員を決めつけず、対話の手がかりとして扱う

人の考え方や行動は、経験、役割、置かれた状況など、さまざまな要因によって変化します。そのため、エニアグラム性格診断の結果だけで、「このタイプの人はこの仕事には向かない」といった固定的な見方をすることは避けましょう

研修では、診断結果を本人の考え方や行動を振り返り、相手との対話を深めるための手がかりとして扱うことが重要です。タイプだけで相手を判断せず、日頃の対話や業務での様子を踏まえて理解を深める姿勢が求められます。

3.診断結果の取り扱いではプライバシーに配慮する

エニアグラム診断結果には、本人が大切にする価値観やストレスを感じやすい場面など、個人的な情報が含まれます。そのため、結果を誰とどの範囲まで共有するかは、本人の意思を尊重して決める必要があります。

研修で診断結果を共有する場合は、事前に目的や共有範囲を明確に説明し、共有を望まない社員が不利益を受けないよう配慮しましょう。診断結果の一覧を管理する際も、閲覧できる人を限定し、研修目的以外で利用しないルールを設けることが重要です。

4.診断結果を人事評価・配置・昇進の根拠にしない

エニアグラム性格診断は、自己理解やコミュニケーションの改善を支援するためのものです。そのため、診断結果だけを根拠に、人事評価、配置、昇進・昇格などを判断することは適切ではありません。

人事上の判断には、業務の成果や能力、行動、本人の意向など、複数の観点を総合的に確認する必要があります。診断結果はあくまで対話のきっかけとして活用し、社員の可能性やキャリアの選択肢を狭めないように注意しましょう

まとめ

エニアグラム性格診断は、自分の価値観や行動の背景を振り返り、自己理解・他者理解を深めるためのフレームワークとして役立ちます。社員研修に取り入れることにより、キャリア形成やリーダーシップ、チーム内のコミュニケーション改善など、さまざまな場面で活用できるでしょう。

研修では、診断結果を確認するだけでなく、タイプごとの特徴を学び、対話やグループワークを通じて職場での実践につなげることが重要です。結果で優劣をつけたり社員を決めつけたりせず、一人ひとりの強みや違いを尊重しながら活用していきましょう。

 

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この記事の著者

あそぶ社員研修編集部

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