面談で心理的安全性を高める方法とは?1on1と評価面談の違いも解説

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この記事の監修者
株式会社motch me 取締役
石野 太一
同志社大学在学中に大学生向けクリエイティブスクールの立ち上げに携わる。25歳の時に「地頭を鍛える」をコンセプトに、謎解きやパズルを用いた学習塾「たいち数楽教室」を開塾し、延べ300名以上を指導。その後ベンチャー企業の一号社員として研修事業の責任者を務め、営業・コンテンツ開発から講師登壇までを担い、年間88回登壇した実績を持つ。「講師は現場を離れて講師だけをやっていてはいけない」をモットーに、現在はイベント制作会社の取締役として経営企画・人事に携わりながら、講師活動を続けている。

心理的安全性とは、チームの誰に対しても、自分の意見を安心して話せる状態の程度を表す言葉です。チームの生産性にも大きな影響を与える要素であるとして、近年日本においても注目を集めています。心理的安全性を高める方法の一つに、上司と部下との面談があります。ただ、面談はやり方によっては逆効果になってしまうこともあるのです。定期的に面談を行っているけれど、あまり効果が感じられない、形骸化しているという会社もあるのではないでしょうか。

本記事では、まず株式会社IKUSAの調査結果をもとに、面談が心理的安全性の向上につながらない場合に考えられる原因を解説します。そして、心理的安全性を高める面談「1on1」とはどのようなものか、面談で心理的安全性を高める方法を紹介します。

 

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評価面談が心理的安全性の向上につながらない場合に考えられる理由

定期的に評価面談を実施している会社もあるでしょう。面談は、心理的安全性を高める方法としても有効ですが、場合によっては逆効果になることもあります。まずは、株式会社IKUSAが2026年3月に実施した「人事評価制度に対する満足度と納得感についての実態調査」の結果をもとに、面談が逆効果になってしまう場合の原因を考察していきます。

評価結果に納得できない

評価面談では、上司が部下の評価を行いますが、その結果に納得できていない人も少なくないようです。「評価結果について納得感はありますか?」の質問では、「どちらともいえない(34.3%)」の回答が最多で、その他は「強くある(13.3%)」「ややある(33%)」「あまりない(9.8%)」「まったくない(9.8%)」となっています。

また、同調査では以下のような結果も得られています。

  • 評価に対して不満を感じた理由は何ですか?(上記質問に「どちらともいえない」「あまりない」「まったくない」と回答した方に対して→「評価基準が不明確(17.7%)」が最多。
  • 評価基準は明確に共有されていますか?→「あまり共有されていない(27%)」「まったく共有されていない(19.3%)」
  • あなたが重視する評価のポイントは何ですか?→「明確な基準(26.8%)」が最多

この結果から、評価基準が曖昧なために、納得感を得られていない人が多いことが分かります。

評価面談の結果に納得感が得られないと、心理的安全性の向上につながらないばかりか、部下が上司や会社に対して不満や不信感を持ってしまう恐れもあります。まず、自社の評価基準が社員にきちんと共有されているか、面談では評価基準をもとに評価を行えているかなどを確認してみましょう。

具体的なフィードバックがない

「あなたが重視する評価のポイントは何ですか?」の質問では、「フィードバックの具体性(26.3%)」の回答も高水準となっています。

一般的な評価面談は、まず緊張をほぐすためにアイスブレイクを行い、部下に自己評価を述べてもらったあとで、上司からの評価・フィードバックという流れで進められます。このフィードバックが曖昧であったり、ネガティブなものばかりであったりすると、部下が不信感を持ってしまう可能性があります。

心理的安全性の向上、そして何より部下の成長のためにも、具体的なフィードバックをすることが重要です。面談におけるフィードバックのポイントは、のちほど詳しく解説します。

評価制度自体に不満がある

評価制度自体に不満がある人も少なくないようです。同調査では、以下のような結果が得られています。

  • あなたは現在の「評価制度」に満足していますか?→「どちらともいえない(34.5%)」が最多。(「非常に満足(18.5%)」「やや満足(28.3%)」「やや不満(7.8%)」「非常に不満(11%)」)
  • 評価面談は成長に役立っていると感じますか?→「どちらともいえない(29%)」が最多。(「非常に役立っている(14.5%)」「やや役立っている(28.5%)」「あまり役に立っていない(13.5%)」「まったく役に立っていない(14.5%)」)

さらに、評価制度は心理的安全性や勤続意向に影響すると考える人が多いことも分かっています。具体的には、以下のような結果が得られています。

  • 評価制度は心理的安全性(気兼ねなく意見や相談ができミスを恐れず挑戦できる雰囲気)に影響していると思いますか?→「強く影響している(18.5%)」「やや影響している(30%)」
  • 評価制度が改善されれば勤続意向は高まりますか?→「大きく高まる(20.5%)」、「やや高まる(39.3%)」

評価制度自体に不満がある場合は、面談の部分だけを工夫しても、心理的安全性の向上にはつながらない可能性が高いといえます。何か課題を感じているなら、一度評価制度全体を見直し、改善すべき点がないか確認してみるとよいでしょう。

なお、同調査で理想的な評価制度を尋ねたところ、最も多い回答は「チーム成果重視型(24.5%)」でした。

IKUSAのプレスリリース:「人事評価制度に対する満足度と納得感についての実態調査」の結果を公表 – IKUSA.jp

 

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心理的安全性の向上に効果的な面談「1on1」とは?

心理的安全性を高めるために、評価面談ではなく1on1という面談を取り入れる会社が増えています。1on1とは、上司と部下が1対1で定期的に対話をすることをいいます。ここでは、1on1と評価面談との違いや、実施することで得られる効果について解説します

1on1と評価面談の違い

評価面談はその名の通り「部下を評価する」ことを目的に行うものですが、1on1は「部下の成長を支援する」ことが目的であるという違いがあります。そのため1on1は、上司から部下に一方的に指導やアドバイスをするのではなく、双方向の対話により進められます。内容もキャリアや健康状態など、業務に関する内容に限定されないのが特徴です。

また、1on1と評価面談は、いずれも「定期的に」実施するものですが、その頻度は異なります。1on1は1週間~1ヶ月に1回、評価面談は四半期~半期に1回といった頻度が一般的です。

以下に、2つの違いをまとめてみましょう。

目的コミュニケーション 内容実施頻度
1on1部下の成長支援双方向の対話業務に関する内容に限らない1週間~1ヶ月に1回
評価面談部下の評価上司→部下が多い
(指導・アドバイス)
業務の中でも評価に関する内容が中心(評価の説明、目標の達成度など)四半期~半期に1回

1on1で期待できる効果

1on1を実施することで、以下のような効果が期待できます。

  • 相互理解が深まり、上司と部下の間に信頼関係が築かれる。
  • 1対1で向き合うことで、部下が悩みや不安を打ち明けやすくなる。
  • 上司は部下の状態を把握しやすくなり、素早く必要なサポートを行うことが可能になる。
  • 双方向のコミュニケーションで、部下から意欲を引き出しやすくなる。

これらの結果として、心理的安全性の向上につながる可能性があります。

また、1on1を実施することで、部下の強みや結果を出すまでのプロセスも把握しやすくなります。1on1で得られた情報が、評価の役に立つこともあるでしょう。

面談(1on1)で心理的安全性を高める8つの方法

ここからは、面談(1on1)で心理的安全性を高める方法を紹介します

1.面談(1on1)の目的を伝える

まずは面談を行う目的を明確にし、それを部下にも伝えておきましょう。これをしなければ、部下はどのような姿勢で面談に臨めばよいのかわかりません。「忙しいのにやることが増えた」「また何か言われるのだろうか」などと、面談に対してネガティブな印象を持ってしまう恐れもあります。これでは、せっかく面談という形で対話の機会を設けても、部下の本音は引き出せません。先ほど紹介したような効果も得られないでしょう。

目的は、「心理的安全性を高めるため」だとややわかりにくいため、具体的に「なぜ面談を行うのか」を伝えることがポイントです。たとえば、「チーム力を高めたい。メンバーと信頼関係を築き、意見を言い合える雰囲気を作るため、面談を実施することにした。」などです。

2.話しやすい環境で実施する

面談は、上司と部下双方が安心して話せる場所で実施しましょう。たとえば、部署内のスペースで行うと、いくらパーテーションで仕切られているとはいえ、話し声が外に漏れる可能性があります。このような、部下が「誰かに聞かれるのではないか」と不安に感じるような場所は避けましょう。プライバシーを確保でき、リラックスできる場所で行うことで、部下は本音を話しやすくなります。また、面談の冒頭では、「面談で話してくれた内容は、許可なく誰かに共有することはない」ことも、明確に伝えておきましょう。

部下の緊張をほぐすために、社外(公園、カフェなど)で対話の場を設けるケースもあります。ただ、「いつもと違う雰囲気だと逆に緊張する」「移動の時間がとられるのが面倒」と感じる人もいますので、自チームのメンバーに合わせて考えることが重要です。

3.「評価は行わない」ことを伝える

先ほど1on1と評価面談の違いを説明しましたが、「1on1の中で評価面談も行えばよいのでは?」などと思った方もいるのではないでしょうか。2つの面談を別々に行う余裕がない場合にはまとめることも一案ですが、基本的には、1on1(心理的安全性の向上を目的とした面談)の中では、評価は行わないほうがよいでしょう。

なぜなら、1on1を評価の場にしてしまうと、部下が「発言が評価に影響するのではないだろうか?」と感じて、本音で話すのを避けるようになる可能性が高いからです。すると、先ほど紹介したような1on1の効果は得られにくくなります。また、お伝えしたように1on1と評価面談ではそもそもの目的が異なるため、まとめてしまうとどちらも中途半端になる恐れがあります。

1on1では評価は行わないこととし、冒頭で「この面談は評価に影響しないので、安心して話してください」と明確に伝えておくことで、部下は本音で話しやすくなります。

4.上司から自己開示をする

面談を実施しても、部下がなかなか自分のことを話してくれない場合もあります。特に新しい面談を取り入れたばかりのころは、緊張もあり「何を話せばよいかわからない」という状況になりやすいものです。

心理的安全性を高める面談を効果的に行うためには、事前に上司のほうでテーマを用意しておくとよいでしょう。そして、部下がなかなか話してくれないときは、上司のほうからそのテーマについて自己開示をします。

人は相手から何かを受け取ると、「自分も同じくらいのものを返さなくては」という感情を抱きやすくなります。これを、「返報性の原理」といいます。何か話してほしいことがあるときは、まずこちらから自己開示をすることで、相手にも自己開示を促すことができるのです

ただ、いきなりプライベートな情報や重いエピソードなどを打ち明けると、警戒されて逆効果になる恐れがありますので、軽めの話題から始めるのがポイントです。自己開示については以下の記事でも解説していますので、参考にしてください。

自己開示とは?社員の自己開示を促す方法を紹介

5.傾聴する

心理的安全性を高める面談(1on1)は、“双方向の対話により進める”とお伝えしましたが、上司はより「聴く」ことに徹することも、効果を高めるポイントの一つです。

ただ耳で話を「聞く」のではなく、相手の表情や仕草などにも注意を向け、深く理解しようと「聴く」ことを、傾聴といいます。上司が傾聴することで、部下は「この人は自分の話をちゃんと聞いてくれている」「自分の意見を受け止めてくれている」と感じられ、安心して話せるようになります。面談では、基本的に傾聴の姿勢でいることを心がけましょう。

ただ、傾聴とは「じっと黙って、相手の話を最後まで聞くこと」ではありません。こちらとしては真剣に理解しようと聞いていたとしても、「ちゃんと聞いていますよ」「理解していますよ」という姿勢が相手に伝わらなければ、本音は引き出せません。傾聴とはスキルであり、効果的に行うためには相槌や目線、表情、質問などのテクニックも必要となります。面談を実施するなら、改めて傾聴を学ぶこともおすすめします。

6.否定せずに受け止める

面談では、部下の話を否定してはいけません。自分と異なる考え方や価値観であったとしても、受け止めましょう。部下の話を途中で遮って、自分の意見を述べたり、指摘やアドバイスをしたりするのもNGです。

「そういう考え方もあるのですね。気が付きませんでした。」「話してくれてありがとうございます。」など、ポジティブな反応を返しましょう。そうすることで、部下は「この人に話をしてよかった」と感じられます。このような信頼を積み重ねていくことで、面談を重ねるごとにより深い話ができるようになっていくでしょう。

7.フィードバックをする

はじめに紹介した株式会社IKUSAの調査でも、上司に「具体的なフィードバック」を求めている若手社員が多いことが分かりました。面談の中で部下が何かを話してくれたら、まず傾聴でしっかりと聴き、否定せずに受け止めたあと、それに対するフィードバックも行いましょう

心理的安全性の向上を目的とした面談においてのフィードバックは、まず部下に「今話してくれたことに対して、フィードバックを伝えてもよいですか?」と、許可をとることがポイントです。これがないと、部下は「信頼関係構築のための面談のはずなのに、指摘ばかりされる」と感じて、本音で話してくれなくなる可能性があります。あくまでも部下を主役として進めていくことが大切です。また、許可を求めることで、「今からフィードバックされるのか」と心構えができるため、部下としても内容を受け止めやすくなります。

そして、フィードバックはポジティブな内容を心がけましょう。上司としてはポジティブに伝えたつもりでも、部下はネガティブに受け取ってしまうこともあるため、フィードバックをしたあとは部下に意見をも求めることも忘れないでください。フィードバックを「言いっぱなし」で終わると、部下は「押し付けられた」と感じる可能性もあるので、注意しましょう。

8.次回までの課題を一緒に考える

面談の最後には、次回の面談までの課題を一緒に考えることも重要です。やるべきことや目標を整理することで、部下のモチベーションを高められます。そして面談後は、業務の中でも小さな声かけや進捗確認などを行うことで、部下は「自分が話したことを気にしてくれている」「面談があってよかった」などと感じられます。このようなフォローが、心理的安全性の向上につながっていきます。

また、場合によっては上司側に課題の設定が必要なこともあります。たとえば面談の中で、部下が「困っていること」「改善してほしこと」を話してくれたとします。これをただ聴いて受け止めるだけでは、「せっかく勇気を出して話をしたのに、結局何も変わらない」と、部下が不満を持ってしまう恐れがあります。改善のために、いつまでに何をするのか具体的な約束をして、それをきちんと果たすことで、部下との間に信頼関係が築かれていくでしょう。

まとめ

株式会社IKUSAの調査結果からは、「評価基準の不明確さ」や「評価制度自体」に不満がある若手社員が多いことがわかりました。何か評価に関する課題を感じているなら、面談の部分に限定せず、評価制度全体を一度見直してみることをおすすめします。また、心理的安全性を高めたいなら、評価面談ではなく1on1が有効です。1on1の導入も、検討してみてはいかがでしょうか。

 

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この記事の著者

あそぶ社員研修編集部

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