人事評価基準に対する不満を放置するリスク、解消する方法を解説
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人事評価基準に対し、不満を感じている人は少なくありません。不満を放置すると、モチベーションやパフォーマンスにもネガティブな影響が出る恐れがあります。また、自分の成長やキャリアのために転職をすることが当たり前の時代になりました。人事評価基準に問題がある場合、人材が流出するリスクも高まるため、放置せずに早めに対処する必要があります。
本記事では、まず株式会社IKUSAが実施した調査結果をもとに、どのようなことに不満を感じている若手社員が多いのかを紹介します。そして、人事評価基準に対する不満を放置するリスクと、解消する方法を紹介します。
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調査結果から見る人事評価基準に対する不満
株式会社IKUSAは、若手社員の人事評価制度に対する満足度と納得感に関する実態を明らかにすることを目的に、2026年3月にインターネット調査「人事評価制度に対する満足度と納得感についての実態調査」を実施しました。対象は社会人1~5年目の方で、有効回答数は400です。
まずはこの調査結果をもとに、人事評価基準や人事評価制度に対する若手社員の不満を詳しく見ていきます。
人事評価制度に対する不満の第1位は「評価基準が不明確」
本調査では、若手社員の半数以上が評価結果について十分納得できていない実態が明らかになりました。具体的には、「評価結果について納得感はありますか?」の質問に対して、「どちらともいえない(34.3%)」「あまりない(9.8%)」「まったくない(9.8%)」の合計が半数を超える結果となっています。
そして、上記3つのいずれかで回答した方にその理由を尋ねたところ、最も多かった回答が「評価基準が不明確(17.7%)」でした。この結果から、評価基準が不明確であるために、納得感が得られていないケースが多いことがわかります。
明確な評価基準は、公平な評価を行うためにも重要です。今一度、自社の評価制度に明確な基準があるか、見直してみてください。
評価基準の共有やフィードバックが不十分である可能性も
「評価基準が不明確」である原因は、評価基準そのものにあるとは限りません。明確な評価基準はあるものの、社員にしっかり共有できていない場合や、フィードバックが不十分であるために、「この評価基準に対して、なぜこの評価結果なのか」を社員が理解できていない場合もあるでしょう。同調査でも、以下のような結果が得られています。
- 評価基準は明確に共有されていますか?→「あまり共有されていない(27%)」「まったく共有されていない(19.3%)」の合計が半数近く。
- 「評価面談は成長に役立っていると感じますか?」→「どちらともいえない(29%)」「あまり役に立っていない(13.5%)」「まったく役に立っていない(14.5%)」の合計が半数を超える。
人事評価制度に対する評価基準以外の不満
同調査において、現在の評価制度に対する満足感を尋ねたところ、「非常に満足(18.5%)」「やや満足(28.3%)」は計46.8%に留まり、満足できていない若手社員が多いことも明らかになりました。その理由は、ここまでに挙げた評価基準に関するもの以外にも、さまざまなものがあります。同調査の結果からは、以下のような不満も見えてきました。
- 給与への反映が小さい
- 成果が正当に評価されない
- 上司(評価者)の主観が強い
- プロセスが評価されない など
また、同調査では「評価制度は心理的安全性や勤続意向に影響する」と考える若手社員が多いこともわかっています。評価基準や評価制度全体を見直すことで、心理的安全性や勤続意向を高められる可能性があります。評価に関して何らかの課題を感じているなら、一度見直しをしてみてはいかがでしょうか。
IKUSAのプレスリリース:「人事評価制度に対する満足度と納得感についての実態調査」の結果を公表 – IKUSA.jp
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人事評価基準に対する不満を放置するとどうなるのか
社員が人事評価基準に対して不満を感じている様子が見られるなら、できるだけ早めに対処することをおすすめします。放置すると、以下のようなリスクが高まるからです。
社員のモチベーションが低下する
人事評価基準に対する不満を放置すると、社員は「どうせ正しく評価してもらえない」「努力しても無駄だ」と考えるようになり、モチベーションが下がってしまう恐れがあります。すると、パフォーマンスも低下し、作業効率や個人の成績にも変化が見られるようになります。さらに、職場全体の雰囲気の悪化や、生産性の低下にもつながる可能性もあります。
離職につながる
人事評価基準に対する不満が解消・改善されなければ、当然社員は「自分をもっと評価してくれる会社で働きたい」と考えるようになります。つまり、離職のリスクが高まるのです。離職者が出れば、また人材の採用・育成に多くの時間的・金銭的なコストがかかることになります。さらに、離職者の仕事をカバーするために周りの負担が増加し、それが原因でまた新たな離職者が出るという悪循環にも陥りかねません。
特に以下のような不満は離職につながりやすいため、放置せずに早めに改善する必要があります。
- 成果と評価が見合っていないと感じる(成果に対して評価が低い)。
- 能力や成果が正当に反映される評価基準だとは思えない。
- 評価者によって結果にばらつきがある。
不服申し立てや訴訟に発展する恐れも
評価結果に納得できない場合、変更や取り消しを求める「不服申し立て」が起こることもあります。社内で問題を解決できない場合には、訴訟に発展する恐れもあるでしょう。
また、不服申し立てや訴訟まではいかなくても、現代は誰もがSNSでさまざまな情報を発信できる時代です。「会社の評価基準が曖昧」「成果が正当に評価されない」などの情報が発信されれば、会社のイメージにも影響するかもしれません。採用や経営にダメージを与える可能性もありますので、人事評価に対する不満は放置しないようにしましょう。
人事評価基準に対する不満を解消する方法
では、社員の人事評価基準に対する不満を解消し、納得感や満足感を高めるにはどうすればよいのでしょうか。ここでは、具体的な対策を紹介します。
評価基準を見直す
先ほど紹介したように、人事評価制度に対する不満で特に多いのが「評価基準が不明確」です。まずは、自社に明確な評価基準が整備されているかを確認しましょう。
よくあるのが、「評価項目が多すぎる」「表現が曖昧であるために、評価者によってばらつきが生じる」というケースです。改めて自社が求める人物像を設定し、評価項目の数を絞り、明確な言葉で表現することで、評価者は迷うことなく適切な評価ができるようになるでしょう。
人事評価制度の評価基準は、「業績評価」「能力評価」「情意評価」の3つに分類することができます。ここからは、それぞれの概要と項目の例を紹介します。
業績評価
業績評価とは、評価対象の期間内における業績や実績、生み出した成果などに対する評価です。この評価は、主に賞与に反映されます。
<評価項目の一例>
- 業績目標達成度(設定した目標の、評価期間終了時点での達成度を評価する)
- 課題目標達成度(業務における課題をどの程度改善・克服できたかを評価する)
- 日常業務成果(日々の業務によりもたらされた成果を評価する)
個人の業績や成果が特定しづらい場合には、チームの成果とそれに対する被評価者の貢献度を評価するケースもあります。
能力評価
能力評価とは、個人が持つ業務に関するスキルや知識などの能力に対する評価です。
<評価項目の一例>
- 理解力
- 判断力
- 企画力
- 実行力
- 指導力
厚生労働省は、人事評価や人材育成、採用などの場面で活用できる「職業能力評価基準」を公表しています。業種別、職種・職務別に必要な「知識」「技術・技能」「職務遂行能力」を整理したものです。こちらも参考にしてみてはいかがでしょうか。
情意基準
情意評価とは、勤務態度や仕事に対する姿勢、意欲などに対する評価です。業績がよく、高いスキルを持つ人材であっても、素行が悪いと評価は低くなります。
<評価項目の一例>
- 規律性
- 協調性
- 積極性
- 責任感
定性的な項目であるために評価者の主観が入りやすいので、評価基準はわかりやすい言葉で具体的に示すことが重要です。なお、階層が上がるほど情意評価の比率は下がり、業績評価重視となる傾向があります。
ただ、先ほど紹介した株式会社IKUSAの調査では、「プロセスが評価されない」という不満を持つ若手社員や、「プロセス重視型」の評価制度が理想と考える若手社員も少なくないことがわかっています。若手社員に関しては情意評価の比率を高めてプロセス重視の評価を行うことで、納得度や満足度を高められる可能性があると考えられます。
評価基準を全社員に共有する
先ほど紹介した株式会社IKUSAの調査では、「評価基準が十分に共有されていない」と感じている若手社員が多いことも明らかになりました。これに該当する可能性があるなら、改めて評価基準を全社員に共有してみましょう。
また、評価基準だけでなく、人事評価制度そのものの内容や仕組みついて理解を深めてもらうことも大切です。もし社員の理解が不足しているようなら、社員向けに人事評価制度の説明会を開催してはいかがでしょうか。人事評価制度は、社員にとっては自分の給与や賞与につながる非常に重要なものです。説明会を開催し、制度に対する理解を深めてもらうことで、モチベーションアップや意識・行動の変容も期待できるでしょう。
評価面談の実施方法を見直す
評価基準を整えても、評価面談の進め方が評価者によって異なると、被評価者としては「評価基準が曖昧だ」「評価結果に納得できない」と感じやすくなります。評価に何らかの課題を感じているなら、一度現在の評価面談の進め方を確認し、ある程度統一させておきましょう。
一般的には、評価面談は以下のような流れで進められます。
| 1.面談についての説明・アイスブレイク | 面談の目的や進め方、だいたいの時間などを簡単に説明します。そして、いきなり本題に入るのではなく、軽く雑談をしたり、労いの言葉をかけたりして被評価者の緊張をほぐします。 |
| 2.被評価者による自己評価 | 被評価者に自己評価を述べてもらいます。このとき評価者は、最後までしっかりと傾聴することが大切です。 |
| 3.評価者による評価とフィードバック | 評価者から評価とフィードバックを伝えます。根拠を丁寧に説明し、具体的なフィードバックを行うことで、納得感を高められるでしょう。 |
| 4.課題の改善案、次に向けた目標の検討 | 今後について話し合います。どのような課題があり、改善するために何をすればよいのかを確認し、次に向けた目標を設定します。このとき評価者は「支援者」となり、評価者の自主性を尊重しながら進めていくことが大切です。 |
| 5.クロージング | 最後に今回の評価、次に向けた目標とアクションを簡潔にまとめます。内容に間違いがないか、不明点や質問はないか確認し、面談を締めくくります。 |
一人あたりの面談時間は、30分~1時間程度が一般的です。評価者は他の仕事をこなしながら評価面談も行わなくてはならないため、無理なスケジュールを組むと、被評価者一人ひとりとしっかり向き合えない可能性があります。会社には、評価者が十分な面談時間を確保できるよう調整やサポートをすることが求められます。
人事評価マニュアルを作成する
人事評価マニュアルとは、人事評価基準や人事評価制度のルールなどをまとめたものです。評価者としては公平に評価をしているつもりでも、無意識に評価が偏ってしまうことがあります。たとえば、人は自分と似ている人に好感や信頼を抱きやすいものです。そのため、自分と似た特性を持つ部下に対しては、無意識に評価が寛大になる場合があります。
人事評価マニュアルを作成し、評価者に人事評価基準や制度の仕組みを深く理解してもらうことで、このような人事評価エラーも起きにくくなります。また、マニュアルを読むことで評価者は自分の責任を自覚でき、より慎重に、客観的な評価が行えるようになるでしょう。
そして、人事評価に対する納得感や満足感を高めるためには、被評価者に基準や制度を理解してもらうことも大切です。人事評価マニュアルを作成したら、評価者だけでなく社内全体に共有しましょう。
評価者に対して研修を実施する
評価者が評価基準にもとづき公平な評価を行えるように、教育を実施することも大切です。研修という形で、自社の評価制度や評価基準、評価方法、面談の進め方などを学ぶ機会を提供できるとよいでしょう。講義形式で説明するだけでなく、ワークやシミュレーションを取り入れると、理解が深まり、現場で実践しやすくなります。
また、評価者としての心構えや、よくある人事評価エラー、評価のつけ方や面談のポイントなどを学べる研修・セミナーを提供している会社(研修会社、コンサルティング会社など)もあります。社内研修に加えて、このような外部の研修・セミナーを活用することで、評価者のスキルが磨かれ、評価に対する納得感・満足感をより高められる可能性があります。外部サービスの利用も、検討してみてはいかがでしょうか。
フィードバックの質を高める
先ほど一般的な評価面談の流れをお伝えしましたが、その中でも評価結果に対する納得感・満足感を高めるために特に重要なのが、フィードバックです。フィードバックが少ない、曖昧であるといった場合は、不満が生じやすくなります。
フィードバックは、良いところも改善点も「具体的に」伝えましょう。どこがどのように良かったのか(良くなかったのか)を説明しないと、被評価者は「次に自分はどうすればよいのか」を理解できません。
また、評価者の感情や主観を入れずに、客観的な意見として伝えることも重要です。特に改善点を指摘する際は、感情的になると被評価者がフィードバックを受け止めにくくなる可能性があります。否定をするのではなく、冷静に、次につながるような伝え方をするのがポイントです。
会社としては、評価者に対してフィードバックスキルを磨く機会(研修など)を提供できるとよいでしょう。
まとめ
株式会社IKUSAの調査結果からは、「評価基準が不明確」であることに不満を持っている若手社員が多いことがわかりました。人事評価基準に対する不満を放置すると、社員のモチベーション低下や離職リスクの上昇、不服申し立てや訴訟などのトラブルにつながる恐れもあります。評価基準に対して不満がある様子が見られるなら、早めに対処することをおすすめします。まずは、明確な評価基準が用意されているか、それが社員にも共有されているか、面談の中でフィードバックは十分行えているかなどを確認してみてください。
なお、今回は「評価基準」にフォーカスして解説しましたが、評価基準以外に不満の原因がある場合もあります。何か課題を感じているなら、一度評価方法や結果の反映プロセスなども含めて、人事評価制度全体を見直してみてはいかがでしょうか。
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「どの研修が自社に合うかわからない」という方は、お気軽にご相談ください。目的やご予算に合わせて最適なプログラムをご提案します。
この記事の著者
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