ジョハリの窓とは?職場・チームビルディングにおける活用方法、注意点を解説

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この記事の監修者
株式会社motch me 取締役
石野 太一
同志社大学在学中に大学生向けクリエイティブスクールの立ち上げに携わる。25歳の時に「地頭を鍛える」をコンセプトに、謎解きやパズルを用いた学習塾「たいち数楽教室」を開塾し、延べ300名以上を指導。その後ベンチャー企業の一号社員として研修事業の責任者を務め、営業・コンテンツ開発から講師登壇までを担い、年間88回登壇した実績を持つ。「講師は現場を離れて講師だけをやっていてはいけない」をモットーに、現在はイベント制作会社の取締役として経営企画・人事に携わりながら、講師活動を続けている。

「ジョハリの窓」とは、自分の特性を「開放の窓」「盲点の窓」「秘密の窓」「未知の窓」の4つに分類し視覚化する心理学モデルです。自己分析やコミュニケーション改善に役立つフレームワークとして、就職活動や企業の研修などでもよく活用されています。

本記事では、ジョハリの窓とはどのようなモデルなのか、4つの窓(領域)や歴史、職場・チームビルディングにおける活用方法、注意点を解説します

 

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ジョハリの窓とは

ジョハリの窓とは、対人関係における自己認識を視覚化した心理学モデルです。

アメリカの心理学者であるジョセフ・ルフト氏とハリ・インガム氏は、1955年に「対人関係における気づきのグラフモデル」を発表しました。2人の名前をとって、これを「ジョハリの窓(Johari Window)」と呼ぶようになったのです。

人は「自分のことは自分が一番よくわかっている」と思いがちですが、意外と知らないことがあるものです。また、自分では「私はこういう性格だ」と思っていても、周りからは全く違う性格の人だと思われていることもあります。ジョハリの窓は、自分自身を客観視し、自分が気づいていなかった自分を知るのに役に立ちます

 

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ジョハリの窓の4つの窓(領域)

ジョハリの窓は、「自分が知っている / 自分が知らない」と「他人が知っている / 他人が知らない」の2つの軸を組み合わせた、以下の4つの窓(領域)で構成されています

自分が知っている自分が知らない
他人が知っている開放の窓 (Open)盲点の窓 (Blind spot)
他人が知らない秘密の窓 (Hidden)未知の窓 (Unknown)

4つの窓について、詳しく解説していきます。

開放の窓(Open)

「開放の窓」は、自分が知っていて、他人も知っている自分です。他人にオープンに共有している自分の情報や行動などが該当します。

「開放の窓」が広い人は、周りに対してある程度自己開示ができていると考えられます。反対に「開放の窓」が小さい人は、自分のことをあまり話さず、周りから「よくわからない人だ」「何を考えているのだろう」などと思われている可能性があるでしょう。

ジョハリの窓では、「開放の窓」を広げるほど自分らしい振る舞いができるようになり、対人コミュニケーションが円滑になるとされています。新しいグループでは非常に小さいですが、メンバーと相互理解を深めるにつれて拡大すると考えられています。

盲点の窓(Blind spot)

「盲点の窓」は、自分は知らないけれど、他人が知っている自分です。「〇〇さんって、こういうところがありますよね」などと、他人から指摘されることではじめて気づく自分の性質や癖などが含まれます。新たな自分の魅力や強み、改善点の発見につながることがあります。

他人からのフィードバックを受け入れることで、「盲点の窓」を小さくし「開放の窓」を広げることができるとされています。ただ、「他人が知っている自分=本当の自分」ではないですし、他人のフィードバックが必ずしも正しいとは限りません。また、心理的な要因により、「盲点の窓」に分類される自分に気づくには時間がかかるとされています。

秘密の窓(Hidden)

「秘密の窓」は、自分が知っていて、他人は知らない自分です。その名の通り他人に秘密にしている、または他人がまだ気づいていない自分の情報や感情などが含まれます。

周りに対してあまり自己開示ができていない場合、「秘密の窓」が広くなります。信頼関係が築かれ、自己開示を行うようになると、この窓が小さくなり「開放の窓」が広がるとされています。

なお、「秘密の窓」にはプライベートな事柄など「あえて隠していること」も含まれます。誰もが隠された領域を持っていること(すべてを理解するのは不可能であること)、そこに何を残すかは自分で決められるということを思い出させてくれるという点も、ジョハリの窓の特徴といえるでしょう。

未知の窓(Unknown)

「未知の窓」は、自分も他人も知らない自分です。自分には当てはまらない特性や、無意識のうちに対人関係に影響を与えている可能性があることも、この窓に含まれます。ジョハリの窓の考案者の一人であるジョセフ・ルフト氏は、この窓は他の3つの窓よりもはるかに大きく、対人関係に強い影響力を持つ領域であると考えています。

自分の可能性を信じてチャレンジしたり、学習や経験により自己開発をしたりすることで、他の3つの窓に変化することもあるとされています。ただ、そのスピードは「盲点の窓」や「秘密の窓」が縮小するよりも非常にゆっくりとしたものです。

ジョハリの窓の歴史

ここで、ジョハリの窓の歴史を簡単に紹介します。

冒頭でもお伝えしたように、ジョハリの窓は、1955年にアメリカの心理学者であるジョセフ・ルフト氏とハリ・インガム氏により発表されました。しかし、当初は図やモデルとして設計されたものはなく、エクササイズ(演習)として考案されたものでした。オリジナルのエクササイズの大まかな流れは、以下の通りです。

  1. 参加者は与えられた形容詞リストの中から、自分自身を最もよく表していると思う言葉を選ぶ。
  2. 同じ形容詞リストを同僚や仲間にも渡し、参加者をよく表していると思う言葉を選んでもらう。
  3. 参加者、同僚・仲間の選択肢を比較し、言葉を4つの窓へ分類する。

これに多くの学者や非専門家などさまざまな人々が工夫を加え、ジョハリの窓は広まっていきました。その反響は、考案者の2人も予想していなかったほど大きかったようです。

企業の研修などでも、上記エクササイズと同じような流れでグループワークが行われることがあります。ただ、オリジナルには「フィードバック」のステップがありません。効果的に実施するには、少し改良を加える必要があるでしょう。グループワークのやり方は、次章で詳しく解説します。

職場・チームビルディングにおけるジョハリの窓の活用方法

では、ジョハリの窓はどのように役立てることができるのでしょうか。ここでは、職場やチームビルディングにおけるジョハリの窓の活用方法を紹介します

グループワークを実施する

企業の研修の中で、ジョハリの窓を用いたグループワークが実施されることがあります。目的は、自己理解や相互理解の促進、コミュニケーションの改善などです。少人数のグループに分かれ、メンバーと対話をしながらジョハリの窓の図を完成させていきますが、初対面の人同士でこれを行うのは難しいので、すでにお互いのことを知っている人同士で行います。

グループワークは、以下の流れで進めていくのがおすすめです。

  1. 参加者を少人数のグループに分ける
  2. 「自分が思う自分の特性」と「他人が思う自分の特性」を書き出す
  3. 自分の特性を4つの窓に分類する
  4. フィードバックを行う

一つずつ、詳しく解説します。

1.参加者を少人数のグループに分ける

まずは、参加者を少人数のグループに分けます。1グループの人数は5~10人程度がよいでしょう。

参加者の分け方は研修の目的にもよりますが、信頼関係が築けている人同士が同じグループになるようにすることをおすすめします。なぜなら、心理的安全性が確保されていない状態でこのグループワークを行うと、フィードバックが「攻撃」のように感じられ、関係の悪化や精神的なストレスにつながる恐れがあるためです。企業の研修で実施するなら、半年以上一緒に働いたことがあるメンバー同士で行うのが望ましいでしょう。

2.「自分が思う自分の特性」と「他人が思う自分の特性」を書き出す

参加者を少人数のグループに分けたら、「自分が思う自分の特性」と「他人(グループのメンバー)が思う自分の特性」を紙に書き出してもらいます。自由に記述してもらっても構いませんが、何を書けばよいのか迷ってしまうこともあるため、複数の選択肢を記載した用紙を配布し、当てはまると思うものにチェックを入れるというやり方もあります。

選択肢は、オリジナルのエクササイズでは「形容詞」でしたが、企業の研修で行う場合は、目的に合わせて具体的な特性を示しましょう。ネガティブな表現は避け、ポジティブな選択肢を用意することもポイントです。

選択肢の例:「説明が論理的でわかりやすい」「決断力がある」「周りへの気遣いができる」など

3.自分の特性を4つの窓に分類する

自分の特性を書き出せたら、それらを4つの窓に分類していきます。

自分も他人も書いた特性は「開放の窓」、他人しか書いていない特性は「盲点の窓」、自分しか書いていない特性は「秘密の窓」、自分も他人も書いていない特性は「未知の窓」となります。

4.フィードバックを行う

特性の分類が完了したら、それを分析し、お互いにフィードバックを行います。

オリジナルのエクササイズには、このステップがありません。しかし、「特性を短い文章で書くだけ」「選択肢を選ぶだけ」で終わってしまうと、「なぜそのように思われているのだろう?」「私はいつもそうなのだろうか?」という不安が生じます。フィードバックを行わないとメンバーの関係が悪化するリスクが高いため、必ずこの時間を設けましょう

積極的に自己開示をする

ジョハリの窓の図を作成すると、自分にも「周りに秘密にしている」部分があることに改めて気づきます。もし、その中で共有できることがあるなら、普段のコミュニケーションの中で積極的に自己開示をしていきましょう。

たとえば、ジョハリの窓を用いたグループワークを通して、他のメンバーは自分に対して「おとなしくて真面目な人」という印象を持っており、「お笑いが好きなこと」を知られていないことがわかったとします。「実はお笑いが好き」というような意外な一面が見えると、心理的な距離が縮まりやすくなるものです。積極的に自己開示をして、自分の特性を「秘密の窓」から「開放の窓」へ移すことで、周りの人と良好な関係を築きやすくなるでしょう

なお、自己開示をするときのポイントや注意点、社員の自己開示を促す方法は以下の記事でも解説しています。

自己開示とは?社員の自己開示を促す方法を紹介

ジョハリの窓を活用するときの注意点

自己理解やコミュニケーションの改善に役立つジョハリの窓ですが、正しく活用しなければ逆効果になるリスクがあります。活用する際は、以下の点に注意しましょう。

「他人が知っている自分=客観的に見た自分」ではない

ジョハリの窓は、自分を客観視するのに役立つモデルですが、「他人が知っている自分」は「客観的に見た自分」とは限りません。同じ行動でも、状況や見る人の性別、人種などによって異なる受け止め方をされることがあります。

「他人が知っている自分」は、あくまでも「その人が思う自分」です。その人が持つ偏見やバイアス、先入観といったさまざまなフィルターがかかっている可能性があることを知っておく必要があります。そのため、他人からのフィードバックは必ずしも受け入れる必要はありません

フィードバックをする側としても、意見の押しつけにならないように注意しましょう。「その人のことを、周りも自分と同じように認識しているとは限らない」という意識を持っておくことが大切です。

具体的なフィードバックをする

ジョハリの窓のオリジナルのエクササイズには、フィードバックのステップがありません。その人をよく表していると思う形容詞を選択して、それらを4つの窓に分類するだけで終わっています。このやり方は、「この人は〇〇な人」と定義づけるような形になるため、個人のアイデンティティを傷つける恐れがあります。特性を選択するのみ(または書き出すのみ)で終わると、決めつけになってしまう恐れがあるため、必ずそのあとにフィードバックの時間を設けましょう

そして、フィードバックは曖昧なものではなく、「行動」について具体的に述べることが大切です。

否定しない

ジョハリの窓を活用する際は、相手を否定するような表現を使わないように注意しましょう。選択肢を提示するやり方でグループワークを行うなら、運営側はできるだけポジティブな表現を使った選択肢を提示してください。また、グループワークを始める前に「相手を否定しないこと」を留意点として参加者に伝えておきましょう。

しかし、どれだけ気をつけても、言葉の受け取り方は人それぞれです。言った側は否定したつもりはなくても、言われた側がネガティブに捉えてしまうこともあります。そのような場合にフォローができるよう、グループワークを行う際はファシリテーターを置くとよいでしょう。

無理に「開放の窓」を広げようとしない・させない

ジョハリの窓では「開放の窓」を広げることで、人間関係やコミュニケーションが円滑になるとされています。しかし、無理に広げようとしない・させないことが重要です。

「開放の窓」を広げるためには、主に「盲点の窓」と「秘密の窓」を小さくしていくことになります。まず「盲点の窓」については、他人からのフィードバックを受け入れることで縮小できます。しかし先ほどお伝えしたように、「他人が知っている自分」はあくまでもその人の認識に過ぎないため、フィードバックは必ずしも受け入れる必要はありません。

次に「秘密の窓」については、自己開示をすることで縮小できますが、この領域には「あえて隠していること」「オープンにしたくないこと」も含まれます。それらを無理に開示する・させようとするのは、当然望ましくありません。

「開放の窓」を無理に広げようとすると、せっかくジョハリの窓を活用したのに、逆効果になる可能性が高いでしょう。まずはメンバーと信頼関係を築き、お互いを尊重することが大切です。そうすることで、「開放の窓」は自然と広がっていくのではないでしょうか。

出典:The Johari Window – Psych Safety

ジョハリの窓はグループにも応用できる

ジョハリの窓の考案者の一人であるジョセフ・ルフト氏は、ジョハリの窓は個人間だけでなく、グループ間の関係にも応用が可能であるとしています。グループ間で応用する場合の4つの窓の定義は、以下の通りです

  • 開放の窓:自分たちのグループも他のグループも知っている、自分たちのグループの行動や動機
  • 盲点の窓:他のグループは知っているが、自分たちは気づいていないグループの行動(例:カルト的な傾向、偏見など)
  • 秘密の窓:自分たちのグループは知っているが、他のグループには隠している事柄
  • 未知の窓:自分たちのグループも他のグループも気づいていない、自分たちのグループの行動

グループ間の関係にジョハリの窓を活用することで、コミュニケーションの改善、リソースの有効活用などのダイナミクスが生まれるとされています。

出典:The Johari Window: A Model of Interpersonal Awareness(PDF)

まとめ

自己分析やコミュニケーション改善に役立つ心理学モデル、ジョハリの窓について解説しました。ジョハリの窓では、「開放の窓」を広げて「自分が思う自分」と「他人が思う自分」との間にあるズレをなくしていくことで、人間関係やコミュニケーションが円滑になるとされています。しかし、無理に「開放の窓」を広げようとすると、ストレスや不安が増大するリスクがあります。研修やチームビルディングでジョハリの窓を活用することを考えているなら、このような特徴もよく理解しておきましょう。

 

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この記事の著者

あそぶ社員研修編集部

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