部下が相談してこないのはなぜ?相談しやすい雰囲気作りや信頼関係構築の方法も解説

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この記事の監修者
株式会社motch me 取締役
石野 太一
同志社大学在学中に大学生向けクリエイティブスクールの立ち上げに携わる。25歳の時に「地頭を鍛える」をコンセプトに、謎解きやパズルを用いた学習塾「たいち数楽教室」を開塾し、延べ300名以上を指導。その後ベンチャー企業の一号社員として研修事業の責任者を務め、営業・コンテンツ開発から講師登壇までを担い、年間88回登壇した実績を持つ。「講師は現場を離れて講師だけをやっていてはいけない」をモットーに、現在はイベント制作会社の取締役として経営企画・人事に携わりながら、講師活動を続けている。

職場の中に「相談しやすい雰囲気」が醸成されていないと、部下が悩みや問題を一人で抱え込みやすくなります。相談が遅れると、その分だけ対応も遅くなり、より大きなトラブルに発展する恐れがあります。また、職場の雰囲気や人間関係が離職の原因になることも。そうならないために、会社や上司として何かできることはあるのでしょうか。

本記事では、まず株式会社IKUSAが実施した調査結果から、部下が相談してこない主な理由を考察し、部下にとっての「相談しやすい職場」とはどのようなものか、それを作る方法、上司が部下と信頼関係を築くために意識したいポイントを解説します

 

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部下が相談してこない理由を調査結果から考察

部下が相談してこない理由は、さまざまなものがあります。まずは、株式会社IKUSAが実施した調査結果から、どのような理由が多いのかを考察していきます。

  • 調査名:新人・若手の早期離職に関する実態調査
  • 実施時期:2026年3月
  • 調査対象:社会人1~3年目
  • 調査方法:インターネット調査

有効回答数は400名で、うち37%が「入社3年以内に退職経験あり」、21.75%が「退職経験はないが、やめたいと思ったことがある」、41.45%が「退職も離職検討もない」となっています。

チーム内に相談しづらい雰囲気がある

Q:日々の業務で、最もストレスを感じる瞬間は何ですか?(2つまで)(n=400)

日々の業務で最もストレスを感じる瞬間を尋ねたところ、「チーム内で相談しづらい雰囲気を感じたとき(29.75%)」の回答が最多となりました。チームの雰囲気が、部下が相談できない大きな理由であることがわかります。

Q:入社後、チームに対して違和感を覚えたことがある場合、どのような点に違和感を覚えましたか?(3つまで)(n=317)

また、入社後チームに対してどのような点に違和感を覚えたかという質問では、「本音で話せる人がいない(34.7%)」の回答が最多で、「上司・先輩が忙しそうで相談できない(27.44%)」も高水準となりました。メンバーの間に心理的な距離がある場合や、上司・先輩がいつも忙しそうにしている場合に、「このチームには相談しづらい雰囲気がある」と感じやすくなるのではないでしょうか

Q:辞めたい気持ちが弱まった瞬間があった場合、その要因は何でしたか?(3つまで)(n=135)

さらに、辞めたい気持ちが弱まった要因については、「チームで成功体験を得た(41.48%)」の回答が最多でした

Q:「このような取り組みがあれば、辞めずに済んだ(済まないだろう)」と思うものはありますか?(3つまで)(n=400)

「このような取り組みがあれば、辞めずに済んだ(済まないだろう)」と思う取り組みについては、「チームでの対話の場(34.25%)」「チームビルディング施策(29%)」の回答が上位となっています。これらの結果から、部下が相談しやすい雰囲気を作るためには、チームの相互理解や一体感を高める取り組みが有効と考えられます

職場の人間関係がよくない

Q:「退職経験あり」「辞めたいと思ったことがある」方で、 辞めたい・辞めた理由として影響が大きかったものは何でしたか?(3つまで)(n=235)

「退職経験あり」「辞めたいと思ったことがある」と回答した方に対し、その理由を尋ねたところ(3つまでの選択式)、「労働時間・休日(36.17%)」に続き、「チーム内の人間関係(33.19%)」の回答が2番目に多い結果となりました(「給与水準(33.19%)」と同率)。続く「上司との関係(30.64%)」も高水準です

本調査で尋ねたのは“辞めた(辞めたい)理由”ですが、チーム内の人間関係や上司との関係が“相談できない理由”であるケースも少なくないのではないでしょうか。

上司の対応や態度

ここまでに紹介した調査結果からも、相談しやすい雰囲気を作るためには、上司の対応や態度が非常に重要であることがわかります。

Q:理想的だと感じる上司・先輩像を教えてください。(2つまで)(n=400)

理想だと感じる上司・先輩像を尋ねた質問では、「人間性を認めてくれる(32.75%)」が最多で、「的確なアドバイスをくれる(29.5%)」「感情を受け止めてくれる(27%)」が続く結果となりました。相談しやすい雰囲気を作るためには、上司が普段から部下を認め、受け止めることが重要と考えられます。

記事の後半で、上司が部下と信頼関係を築くために意識したいポイントも解説しています。「部下が相談してくれない」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

IKUSAのプレスリリース:「新人・若手の早期離職に関する実態調査」の結果を公表

 

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部下にとっての「相談しやすい雰囲気」とは?

このあと相談しやすい雰囲気を作る方法を紹介しますが、その前に「相談しやすい雰囲気」とはどういうものなのか考えてみましょう。

部下にとっての「相談しやすい雰囲気」とは、部下が「安心して本音で話すことができる雰囲気」と言い換えることができます。つまり、「心理的安全性が高い」ということです。心理的安全性とは、職場の中で、メンバーの誰に対しても自分の意見や気持ちを素直に言える、思った通りに行動できる状態を指します。心理的安全性が高い職場には、以下のような特徴が見られます。

  • 不安やリスクを感じることなく、自分の意見を言える。
  • 自分の個性や強みを十分発揮できる。
  • 異なる意見や価値観も受け入れ合う。
  • ミスや課題も含め、情報共有がスムーズに行われている。
  • 困ったときには助け合う。
  • 挑戦しやすい(失敗を責めない)雰囲気がある。

このような雰囲気が醸成されている職場では、困ったときでもすぐに相談できるため、何か問題が発生しても大きなトラブルになる前に解決できます。反対に心理的安全性が低いと、部下は「否定されるかもしれない」と感じ、悩みや問題を一人で抱え込みがちになります。

「部下が相談してくれない」と感じているなら、一度職場の心理的安全性がどの程度なのかも確認してみるとよいでしょう。

部下が相談しやすい雰囲気を作る方法

では、部下が相談しやすいと感じる雰囲気を作るには、どうすればよいのでしょうか。ここからは、そのために会社ができることを紹介していきます。

メンバー同士でコミュニケーションがとりやすい環境を整える

良い雰囲気を作り出すためには、コミュニケーションが欠かせません。そして、コミュニケーションを活性化させるためには、メンバー同士でコミュニケーションがとりやすい環境を整えることが重要です。

業務に関するコミュニケーションがとりやすいことももちろん大切ですが、相談しやすい雰囲気を作るためには、気軽なコミュニケーション、つまり雑談がしやすい環境を整えることが求められます。具体的には、オフィス内にリラックススペースやフリースペースを設けるという方法が考えられます。大がかりな改装が難しい場合は、既存の休憩室やオフィス内のちょっとした空きスペースに、テーブルと椅子、コーヒーマシンなどを設置するだけで、気軽に集まれる場所を作ることができます。

また、業務中にも気軽に相談や質問がしやすいように、フリーアドレスを導入する、または既存のパーテーションを撤去しオープンなワークスペースにするのもおすすめです。

コミュニケーションツールを導入する

リモートワークの導入により、チームのメンバーと顔を合わせる機会が減ったという職場も多いでしょう。顔を合わせる機会が減ると、やはりチーム内のコミュニケーションの量も減ってしまいます。また、それぞれの場所で働くスタイルの場合、相手が「今何をしているのか」がわからないため、悩みや困ったことがあっても、「こんなことで連絡してよいのだろうか」「時間をとらせるのは申し訳ない」と、連絡を躊躇いがちになります。このような状態が続くと、部下はより「このチームには相談しづらい雰囲気がある」と感じやすくなるでしょう。

社内SNSやビジネスチャットのように、メールや電話よりも気軽にやり取りができるツールを導入することで、コミュニケーションをとりやすくなります。リモートワークでは、どうしても「業務連絡しかしない」状態になりがちなので、目的やトピックごとにグループを作ったり、雑談専用チャンネルを設置したりして、業務以外の交流も促せるとよいでしょう。

対話の機会を設ける

日々の業務中のコミュニケーションに加えて、メンバーとしっかり向き合ってコミュニケーションがとれる「対話の機会」を設けるのも有効です。相互理解が深まり、信頼関係を築きやすくなります。

たとえば、チームミーティングです。定期的にメンバー全員が集まり、進捗状況の確認や、問題・課題、今後の方針などを話し合います。これを行うことで、メンバー間で認識のズレや誤解が生じにくくなり、チームの一体感を高めることができます。また、顔を合わせて意見を交わす場を設けることで、メンバーのちょっとした変化から悩みや迷いがあることに気づける場合もあります。

上司と各メンバーで面談や1on1を実施するのもおすすめです。上司に相談をしたいけれど、「忙しそうにしているためタイミングがつかめない」「他のメンバーには聞かれたくない」という場合もあります。1対1で話せる機会を設けることで、部下としても悩みを打ち明けやすくなるのではないでしょうか。

社内イベントを実施する

チームのメンバー同士、上司と部下の心理的な距離を縮めるために、社内イベントを実施するのもおすすめです。業務から離れた交流の機会を設けることで、年齢や立場を超えてフラットなコミュニケーションが生まれやすくなります。仕事中には気づかなかったメンバーの意外な一面が見えることもあるでしょう。

職場の人間関係や雰囲気の改善を目的に社内イベントを実施するなら、チームビルディングにつながるゲームやアクティビティを取り入れるとよいでしょう。「チームで同じ目標に向かい、それを達成する」という体験を通して、一体感や結束力を高められます。自然にコミュニケーションが生まれ、相互理解も深まるでしょう。

または、食事を伴うイベントもおすすめです。一緒においしい食事を楽しみながら会話をすると、お互いに良い印象を持ちやすくなる、自己開示をしやすくなるといった効果があり、人間関係が深まることが期待できます。

上司や一緒に働くメンバー以外に相談できる場を作る

相談しやすい雰囲気がある職場であったとしても、悩みの内容によっては相談しにくいこともあります。特に職場の人間関係についての悩みは、同じ職場のメンバーには話しにくいものです。部下が悩みを一人で抱えこんでしまうことがないように、上司や一緒に働くメンバー以外に相談できる場を用意しておくことも大切です。そのような環境を整えておくことで、社内全体に相談しやすい雰囲気が生まれる(風通しがよくなる)でしょう。

具体的には、メンター制度を導入するという方法があります。メンター制度とは、先輩社員が後輩社員の相談に乗り、成長をサポートする制度です。先輩社員をメンター、後輩社員をメンティーといい、一般的にはメンティーと職場(所属部署)の異なる先輩社員がメンターに選ばれます。

または、相談窓口を設置するという方法もあります。改正労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)により、相談窓口の設置はすべての企業の義務となりました。まだ対応できていないという場合は、早めに設置を検討しましょう。

相談される上司になるために|部下と信頼関係を築くポイント

困りごとや悩みがあっても、信頼できない相手には「相談しよう」とは思わないでしょう。では、部下から信頼され、相談される上司になるには、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。最後に、上司が意識したいポイントを3つ紹介します。

相談することの大切さを伝える

チームや職場の雰囲気が理由で「相談したくてもできない」という場合もありますが、部下が相談を躊躇ってしまう理由は他にもさまざまなものがあります。

たとえば、「相談すると評価が下がるのではないか」「甘えだと思われるのではないか」と、部下が不安に感じるケースです。特に新人・若手のうちは、「相談=弱音」「自立=自分一人で解決すること」と感じやすい傾向があります。また、自分より多くの仕事を抱える上司に「迷惑をかけたくない」「こんな小さなことで時間をもらうのは申し訳ない」などという遠慮から、相談のタイミングが遅れてしまうのもよくあるパターンです。このような場合は、いくら話しかけやすい雰囲気を作っていても、部下は相談してこないでしょう。

そこで必要になるのが、上司から部下に「相談することの大切さ」を伝えることです。面談や1on1の中で、「早めの相談は仕事の基本」「困ったときは早めに言ってもらったほうが助かる」ことを伝えると、部下は上記のような認識は誤解であることに気づけます。また、そのようなことをストレートに伝えてくれる上司のほうが、部下としても「信頼できる」と感じるのではないでしょうか。

部下が出すサインを見逃さない

何か悩みや困っていることがあっても、いきなり「相談したいことがあります」とストレートに伝えてくる部下はあまりいないでしょう。それよりも先に、何らかのサインを出すはずです。たとえば、いつもより表情が暗い、口数が少ない、単純なミスが増える、雑談の中で弱音を吐くなどが挙げられます。このような変化が見られたら、「少し元気がなさそうに見えますが、体調は変わりありませんか?」「無理をしていませんか?」など適切な声掛けを行うことで、部下は思っていることを打ち明けやすくなります。

また、「自分のことをよく見てくれている」ことが実感できると、相手に対する信頼も深くなるものです。部下が安心して相談できる上司になるために、普段から部下のことをよく見て、小さなサインも見逃さないようにしましょう。

相談後のフォローを忘れない

部下が悩みや困りごとを話してくれたら、上司は「聴く」ことに徹しましょう。内容によってはその場でアドバイスや改善策の提案が必要な場合もありますが、基本的には部下の話をしっかりと聴き、否定せずに受け止めることが大切です。話すだけでストレスが軽減し、思考も整理されやすくなるといわれています。

そして、しばらく時間を置いて「この前話してくれたあの件、その後どうなりましたか?」など声掛けをすることも忘れないでおきましょう。良い方向に進んでいるなら、「よかったです。早めに相談してくれて、こちらも助かりました」などとフィードバックを添えることで、部下は「この人に相談してよかった」と感じられます。

反対に、相談を聴いて受け止めるだけでその後何もしなければ、部下は相談をしたときはスッキリするかもしれませんが、「話しても意味がなかった」「何も変わらなかった」と感じて、次からは相談してくれなくなる可能性があります。相談される上司になるためには、相談後の小さなフォローで信頼を積み重ねていくことが大切です。

なお、ここでは「相談される上司になるための信頼関係の築き方・ポイント」に絞って解説しましたが、部下との関係を改善する方法については以下の記事でも解説しています。こちらも、参考にしてください。

上司と部下の関係を改善する方法20選

まとめ

部下が相談してこない理由はさまざまありますが、本記事で紹介した調査結果からは、「チームの雰囲気」や「職場の人間関係」「上司の対応や態度」に原因がある場合が多いと考えられます。

部下が相談しやすい雰囲気を作るには、まず相談しやすい環境や制度を整えることが重要です。そのうえで、積極的にコミュニケーションをとり、相互理解を深めることで、心理的安全性も高まっていくでしょう。特に上司は、忙しい中でも普段から部下をよく見て、丁寧にコミュニケーションをとることを心がけてみてください。

 

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この記事の著者

あそぶ社員研修編集部

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