Z世代の研修を設計するポイントや研修方法を解説
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大学卒業後、クラシック音楽業界にて制作・マネジメント・プロデュースに従事し、アートと教育の融合をテーマに、「体験を学びとして届ける」手法を追求してきた。
その後、体験型コンテンツ会社を経て、株式会社IKUSAにクリエイティブプロデューサーとして入社。
現在は研修事業部の責任者として、体験型・ゲーム型の社員研修事業を統括している。
ユーザー視点に立ったサービス開発を得意とし、「楽しさが行動変容を生む」という信念のもと新しい研修体験を創出している。
Z世代とは、1990年代後半から2010年代初頭までに生まれた世代を指します。会社の未来を担う年齢層であり、リーダーや管理職の候補として育成に力を入れている企業も多いでしょう。
デジタルネイティブとして育ち、多様な価値観を持つZ世代の能力を高めるには、彼らの特性・価値観を理解し、そこに基づいた効果的な研修を設計することがポイントです。
本記事では、Z世代の概要や特徴・価値観、Z世代に効果的な研修設計のポイントやZ世代向けにおすすめの研修手法、Z世代の成長が促される研修環境をつくるポイントやおすすめの研修を紹介します。
そもそもZ世代とは?
Z世代とは、一般的に1990年代後半から2010年代初頭までに生まれた世代のことです。幼い頃から、デジタル技術が身近にあるデジタルネイティブの世代でもあります。
Z世代の特徴として、幼少期からIT技術に触れ、SNSなどを通じて世界中の情報にアクセスしやすい環境で育ったことが挙げられます。そのため、多様な価値観に触れており、多様性や個人の価値観を尊重する傾向があります。
また、リーマンショックや東日本大震災などの不安定な社会情勢を経験していることから、安定志向やコストパフォーマンスを重視するリアリスト的な側面も持ち合わせています。
Z世代とミレニアル世代の違い
Z世代と混同されやすいのが、その前の世代であるミレニアル世代(別称:Y世代)です。ミレニアル世代は1980年頃から1990年代中盤までに生まれた世代を指します。両者の違いは、以下の通りです。
| Z世代 | ミレニアル世代 |
生まれた年代 | 1990年代後半~2010年代初頭 | 1980年頃~1990年代中盤 |
デジタル技術との関わり | 生まれた時からデジタル環境がある(デジタルネイティブ) | 成長過程でデジタル技術が普及(デジタルパイオニア) |
インターネット・SNS | SNSを日常的に活用し、コミュニケーションや情報収集の中心とする | ブログやEメール、Webサイトなどを主要なツールとしてきた |
価値観 | 多様性(ダイバーシティ)を尊重し、個人の価値観やワークライフバランスを重視 | 仕事と生活のバランスを重視し始めた世代で、自己実現への志向も強 |
ミレニアル世代がデジタル技術の進化を体験した世代であるのに対し、Z世代はデジタル技術がインフラとして存在する環境で育った世代であるため、情報収集能力やスピード感、多様な価値観への受容性が特に高い点で違いが見られます。
効果的な研修設計のために押さえたいZ世代の特徴・価値観
研修の効果を高めるためには、Z世代の特徴・価値観に合わせた企画が重要です。ここでは、研修設計のヒントにもなる、Z世代の特徴や価値観をみていきます。
情報処理能力が高くタイパ重視
Z世代は幼少期からインターネットやSNSに触れ、膨大な情報の中から必要なものを瞬時に見つけ出すことに慣れています。情報の処理能力や検索能力が非常に高い反面、長時間の座学や冗長な説明には集中力が持続しにくい傾向があります。
物事にかける時間対効果(タイパ)を重視するため、「なぜこの研修が必要なのか」「この知識が将来どう役立つのか」といった目的や実利が不明確な研修には、モチベーションを感じにくいといえます。
安定志向でリアリスト
Z世代は経済の停滞や社会的な不安定さを経験しているため、安定志向が強いといわれています。企業選びにおいても、福利厚生や安定性を重視する傾向がみられます。また、現実的な成果や確実性を求めるリアリストであるため、研修内容においても、実務に直結する具体的なスキルやノウハウを求める傾向が強いでしょう。
多様な価値観への理解と個別性の尊重
SNSを通じて様々な人や文化に触れてきたZ世代は、多様性への理解が深く、個人の価値観や個性を尊重します。「みんなと同じ」であることよりも「自分らしさ」を大切にするため、一律的な研修よりも、個々の興味やキャリア観に合わせた内容、あるいは個性を活かせるような学びの場を求めます。
ワークライフバランスを重視する傾向
Z世代は、仕事はあくまで生活を豊かにするための手段と捉える価値観が強く、ワークライフバランスを重視します。プライベートの時間を大切にするため、残業を美徳とするような風潮や、仕事漬けの研修スタイルには抵抗を感じる人もいるでしょう。
承認欲求とオープンなコミュニケーション志向
SNSでの「いいね」のように、自分の行動や成果に対して、周囲からの承認やフィードバックを求める傾向が強いのもZ世代の特徴です。また、オープンでフラットなコミュニケーションを好み、立場や年齢に関係なく、率直に意見交換できる環境を求めます。一方的な講義形式よりも、意見交換や対話が可能な場を好む傾向があるでしょう。
Z世代に効果的な研修設計のポイント
Z世代の特徴や価値観を踏まえ、能力を最大限に引き出すための研修設計のポイントを5つ解説します。
研修の「目的」と「意味」を明確に伝える
Z世代はタイパを重視し、「なぜそれを学ぶのか」という研修の目的や意義に納得感を持てないと、モチベーションが上がりにくい傾向にあります。そのため、研修の冒頭では、以下のような具体的な説明を通じて、研修を受けることの実利や価値を伝えることが重要です。
- 将来キャリアにどう役立つか
- 配属後の具体的な業務でどのように活きるのか
- 会社としてどのような成長を期待しているか
「参加する意味がある」と納得してもらうことで、自律的な学習態度を引き出せます。
体験型のアクティビティを取り入れる
デジタルネイティブであるZ世代は、受け身の座学よりも、自ら参加し、体験し、フィードバックを得る学習方法に高い関心を示す傾向にあります。そのため、チームビルディングゲームやビジネスシミュレーション、ロールプレイングなど、体を動かしたり議論したりする体験型のアクティビティを積極的に取り入れることがおすすめです。
体験を通じて得た学びは記憶に残りやすく、座学で得た知識を「自分ごと化」しやすくなります。
デジタルツールを活用する
デジタルに慣れ親しんだZ世代にとって、デジタルツールは学習効率を高める重要な要素です。
たとえば、Z世代のタイパ重視の特性に合わせ、短い動画クリップで要点を学ぶマイクロラーニングは有効な手段です。また、LMS(学習管理システム)の導入は、個人のペースに合わせた学習を可能にし、Z世代の学習形態にマッチするでしょう。
個性や個人のキャリア観に寄り添う
個人の価値観を重視するZ世代には、一律的な教育ではなく、個々人の特性や将来のキャリア観に寄り添ったアプローチが有効です。全メンバー共通の研修に加え、個人の目標やキャリア志向に基づいたカスタマイズされた学習コンテンツやOJT計画を盛り込む個別育成計画の策定も必要です。
画一的な枠に当てはめるのではなく、個性を引き出し、それを組織の中でどう活かすかを共に考える姿勢を示すことが、エンゲージメント向上につながります。
段階的なフィードバックを実施する
失敗を恐れる傾向や承認欲求の強さから、Z世代にはきめ細かく、建設的なフィードバックが不可欠です。
フィードバックは、研修や行動直後に行うことがポイントです。フィードバック内容は、抽象的な精神論や人格否定は避け、「具体的な行動」に焦点を当てましょう。「なぜそれが良かったのか」「次は何をどう改善すれば良いか」を明確に伝えると同時に、達成できた点や努力も必ず伝えることが重要です。
また、フィードバックの際に、一方的に答えを与えるのではなく、「今回の経験から何を学んだか?」「次にどう活かしたいか?」といった内省を促す質問を投げかけることで、自律的な成長をサポートできます。
Z世代向けにおすすめの研修手法
では、Z世代にはどのような研修方法が向いているのでしょうか。ここでは、Z世代におすすめの研修方法として、以下の研修を紹介します。
- OJT
- アクティブラーニング
- ソーシャルラーニング
- eラーニングや動画コンテンツ
OJT
OJTは、実際の業務を通じて必要な知識やスキルを習得する手法です。リアリストであるZ世代にとって、業務と直結した具体的な学びが得られるOJTは効果的です。OJTを実施する際にも、OJTで取り組む業務の目的や目標、期待する成果を明確にし、「なぜこれをやるのか」を理解してもらうことが重要です。
OJTを作業の押し付けに終わらせず、意図的・計画的な育成プロセスとして実行することが重要です。
アクティブラーニング
ソーシャルラーニング
ソーシャルラーニングは、社内SNSやチャットツールなどを活用し、他者との交流や協働を通じて学ぶ手法です。日常的にSNSを利用するZ世代にとって、馴染みやすい学習形態といえます。
研修の受講者同士、または先輩社員と受講者が繋がれるオンラインコミュニティを作り、質問や意見交換を自由に行える場を提供する方法が一例です。
フラットなコミュニケーションを好むZ世代にとって、社内チャットやSNSを活用した学習は取り組みやすいでしょう。
eラーニングや動画コンテンツ
eラーニングや動画コンテンツは、時間や場所を選ばずに学習できるため、タイパを重視し、ワークライフバランスを大切にするZ世代に適した研修方法です。
たとえば、1本10分〜15分ほどの短い動画を教材とすることで、スキマ時間でも集中して学べるようになり、学習効率が高まります。
ただし、受講するだけになってしまわないよう、途中でクイズを挟んだり、コメント機能で質問をしたりできるようにするなどして、双方向性を確保することがポイントです。
Z世代の成長が促される研修環境をつくるには
研修の効果を高めるためには、Z世代に適した研修環境を構築することも大切です。ここでは、Z世代の成長が促される研修環境をつくるためのポイントを解説します。
個別最適化学習を取り入れる
Z世代は「自分らしさ」を大切にし、個人の成長に関心が強い傾向にあります。そのため、一律的な学びだけでなく、個人に最適化された学習機会を提供することが重要です。
必須の基礎研修に加えて、個人のキャリア目標や配属部門のニーズに応じたオプションの学習コンテンツを提供することがおすすめです。コンテンツの選択制を導入することで、自己決定の機会を与え、学習への主体性も高められます。
また、小さな達成感を積み重ねられるよう、学習進捗や成果、評価をいつでも確認できるようにしておくこともポイントです。
フィードバック文化を醸成する
Z世代の承認欲求を満たし、失敗を恐れずに挑戦できる環境を作るには、組織全体でフィードバックを日常的に行う文化を醸成することも大切です。
定期的な1on1の実施は、フィードバックと対話を通じて、個人の成長とキャリア観をサポートします。改善点だけでなく、具体的な行動や成果を褒めるポジティブフィードバックを取り入れることで、Z世代のモチベーションや自己肯定感を高める効果にも期待できます。
メンター制度を活用する
メンター制度は、年齢や部署が近く、本音で話しやすい関係の先輩社員が、新人の精神的なサポートやキャリア相談に乗る仕組みです。
Z世代は、本音をさらけ出すことにリスクを感じている一方で、フラットなコミュニケーションを好む傾向にあります。こうした特性には、安心して自分の悩みや意見を話せるメンターの存在が有効です。
メンター制度の効果を高めるためには、メンターとなる社員に傾聴スキルを身につけてもらうことが重要です。メンター制度を導入する場合は、メンター候補の社員にも研修を実施し、スキルアップを図りましょう。
アウトプットの機会をつくる
インプットした知識を定着させ、活用する力を養うには、アウトプットの機会を意識的に設けることが重要です。
たとえば、研修内容の一部を、新入社員同士や他のメンバーに教える機会を設けることは、有効なアウトプット方法です。また、座学とロールプレイングを組み合わせたり、研修の中にグループディスカッションの機会を設けたりすることもおすすめです。
さまざまな形式でアウトプットの機会を設けることで、学習内容が定着しやすくなります。
Z世代におすすめの研修
ここでは、IKUSAのあそぶ社員研修から、Z世代におすすめの研修をピックアップして紹介します。体験型のアクティビティを通してスキルを身につけられるため、Z世代への効果が期待できます。
コミュニケーション研修
デジタルでのコミュニケーションには長けているZ世代ですが、対面でのコミュニケーションは得意ではないという方も少なくありません。
コミュニケーション研修では、謎解き脱出ゲームを通じて、聴く力・伝える力・合意形成スキルを習得できます。
謎解き脱出ゲームは、参加者自身が主人公となり、制限時間内に謎を解き切って、危機的状況から脱出することを目指すアクティビティです。謎を解くにはチームでの役割分担・協力が必要となり、その中で自然とコミュニケーションを促進させることができます。謎解き脱出ゲームは机上でおこなうため研修での実施が可能です。
ロジカルシンキング研修
正解を求める傾向が強いZ世代に対して、「なぜそうなるのか」を深く考え、筋道を立てて問題を分析・解決する力は不可欠です。
ロジカルシンキング研修では、リアル探偵チームビルディングを通じて、ロジカルシンキングの代表的なフレームワークであるMECEやロジックツリー、相手に伝わりやすい話の展開方法が身につきます。
リアル探偵チームビルディングは、小グループと大グループを行き来して、1つの正解を導き出すアクティビティです。それぞれの小グループが持つ情報を共有し合い、情報を整理したうえで論理的に考えることでゲームクリアを目指します。
参加者同士の協力と教え合いを促進するジグソー法に基づいて開発されたアクティビティであり、アクティブラーニングの要素もあるためZ世代が主体的に学ぶことができます。
PDCA研修
Z世代が重視する具体的な成果や効率性を追求し、失敗を恐れず自律的に改善行動を回す能力を育むために、PDCA研修は有効です。
PDCA研修では、ロケットPDCAチャレンジを通じて、PDCAの具体的な実践方法や、課題解決への取り組み方を学べます。
ロケットPDCAチャレンジは、チーム戦で行うロケット制作&改善アクティビティです。資金を集めて部品の購入と発射テストを繰り返し、最小コストで月まで到達できるロケットを作れたチームが勝利です。目標の達成を目指す過程で、PDCAの実践方法や課題に取り組む力が身につきます。
Z世代の特性にマッチする研修を実施しよう
Z世代の研修を成功させるポイントは、Z世代の特徴・価値観に合った研修を企画することです。研修の目的を明確に伝え、アクティブラーニングやデジタルツールを活用し、個別性に応じたきめ細かなフィードバックを行うことが、Z世代のエンゲージメントと成長を促します。
講義とワークを組み合わせたり、体験型のアクティビティを取り入れたりして、Z世代に効果的な研修を実施しましょう。
以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。 1.合意形成研修 合意形成研修のアクティビティ「コンセンサスゲーム」では、危機的な状況下でどの物資を優先して確保すべきかをチーム内で議論し、最適な結論を導きます。 学びのポイント 2.PDCA研修 PDCA研修のアクティビティ「ロケットPDCAチャレンジ」では、パーツを組み合わせてロケットを制作し打ち上げ結果から原因を考えて、より良く飛ぶロケットに改善していき、目標の達成を目指します。 学びのポイント 3.戦略思考研修 戦略思考研修のアクティビティ「ワールドリーダーズ」では、労働力や資本を使って事業を設立し、利益を稼ぐことを目指します。 学びのポイント 4.コミュニケーション研修 コミュニケーション研修のアクティビティ「謎解き脱出ゲーム」では、チームでコミュニケーションをとりながら問題に隠された法則を発見する謎解きゲームのクリアを目指します。 学びのポイント 5.ロジカルシンキング研修 ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します。 学びのポイント 6.クリティカルシンキング研修 クリティカルシンキング研修のアクティビティ「混乱する捜査会議からの脱出」では、推理ゲームで論理的に情報を整理するなかで証拠の違和感に気づき、仮説立てや検証を行って目標を達成します。 学びのポイント 7.リーダーシップ研修 リーダーシップ研修のアクティビティ「グレートチーム」では、チームの運営を疑似体験することでリーダーシップやマネジメントを学びます。 学びのポイント 8.ビジネスマナー研修 ビジネスマナー研修のアクティビティ「ビジトレ」では、実践形式・クイズ形式のアクティビティを通して、ビジネスマナーを楽しく学びます。 学びのポイント 9.防災研修 防災研修のアクティビティ「先が見えない防災訓練からの脱出」では、チームで協力して、防災のアイテムや知識を使用しながら謎解きゲームのクリアを目指します。 学びのポイント 10.OODA LOOP研修 OODA LOOP研修では、瞬間的な判断力が求められる運動系のアクティビティである「サバイバルゲーム」または「チャンバラ合戦」を実施することで、意思決定のフレームワークである「OODA LOOP」を実践的に習得することを目指します。 学びのポイント
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