ディスカッションのテーマの決め方や具体例を紹介
- 研修ノウハウ
- グループワーク

採用選考や社内研修などに取り入れられることもある、ディスカッション。1つの結論を導き出すために、複数人であるテーマについて話し合うことをいいます。
本記事では、そもそもディスカッションとはどのようなものを指すのか、ディスカッションの種類や、混同しやすい言葉との違いを、まず説明します。そのうえで、ディスカッションのテーマの具体例、採用選考や社内研修にディスカッションを取り入れる際のテーマの決め方を解説します。
ディスカッションとは
ディスカッションとは、問題の解決策やより良いアイデアを導き出すために、複数の人が集まって話し合うことです。英単語のディスカッション(Discussion)には、「議論」「討論」などの意味があります。
ビジネスにおいても、さまざまな場面でディスカッションが行われます。たとえば、以下のような場面です。
- 何かトラブルが発生したとき
→問題の原因を分析する、またはその問題の解決策を見つけるため。 - アイデアが必要なとき
→新規事業のプランニング、新商品・サービスの開発など。 - 採用選考や社内研修
→書類からはわからない人間性や能力等を知るため。
ここからは、ディスカッションの種類と、ディスカッションと混同しやすい言葉との意味の違いについて、詳しく見ていきます。
ディスカッションの種類
ディスカッションには、さまざまな種類があります。扱うテーマ(お題)で種類分けをされることもありますが、ここでは代表的なディスカッションの形式として、「グループディスカッション」と「パネルディスカッション」を説明します(※テーマでの種類分けはのちほど詳しく紹介します)。
グループディスカッション
3人以上のグループで行うディスカッションを、グループディスカッションといいます。「Group Discussion」を略して、「GD」とも呼ばれます。グループディスカッションでは、グループのメンバー同士で1つのテーマについて話し合い、制限時間内に結論を出してもらいます。
人数に決まりはありませんが、採用選考や社内研修では、参加者を4~10人程度のグループに分けて実施することが多いでしょう。書類からはわからないコミュニケーション能力や思考力、チームワーク(協調性)などを評価する、またはそれらのスキルを強化することが、主な目的です。
パネルディスカッション
パネルディスカッションとは、異なる意見を持つ複数の人(パネリスト)が、聴衆(フロア)の前で議論を交わす形式のディスカッションです。
パネリストは、そのテーマに関する専門家や有識者が選ばれるのが一般的です。パネリストが意見交換したあとは、フロアも討論に参加できます。パネルディスカッション全体の進行やまとめを行う人は、コーディネータと呼ばれることもあります。
公開イベントや、学校の授業などにも取り入れられている形式です。
ディスカッションと混同しやすい言葉
ディスカッションとは、とても簡単にいってしまえば「複数人で集まって話し合うこと」ですが、「話し合い」を意味する言葉は他にもあります。ここでは、ディスカッションと間違いやすい言葉として、ディベート、ブレインストーミング、グループワークの3つを紹介します。
ディベート
ディベートとは、あるテーマについて、立場の異なる2つのグループに分かれて討論することをいいます。たとえば、「賛成派」と「反対派」、「A派」と「B派」などに分かれて意見を交わします。グループ分けは、参加者個人の意見に関係なく主催者側で決めるケースもあります。
ディベートは、最後に勝敗を決めます。評価のポイントは、「どちらのグループの主張がより説得力があったか」「ルール違反はなかったか」「聞き取りやすい話し方をしていたか」などです。
ディスカッションは、ディベートのように勝敗を決めるものではありません。全員で自由に意見を出し合って、1つの結論を導き出すことを目的としています。
ブレインストーミング
ブレインストーミングは、アイデア出しの1つの手法です。略して「ブレスト」や「BS」などとも呼ばれています。複数人(5~10人程度)で集まって、あるテーマについて自由な発想で意見を出し合うというものです。
ブレインストーミングには、守らなければならない4つの原則があります。
- 他のメンバーの意見を批判してはいけない
- 自由に発想する
- アイデアの質よりも量を重視する
- アイデアを結合・改良し発展させる
ディスカッションは、最終的には1つの結論を出すことを目指して話し合いますが、ブレインストーミングは、多種多様なアイデアを多く集めることを目的としています。また、上記の原則にあるように、ブレインストーミングは相手の意見を批判してはいけませんが、ディスカッションではより良い結論を導き出すために、ときには相手の意見を批判することもあるでしょう。
ブレインストーミングについては以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
ブレインストーミングとは?4原則や進め方を解説
グループワーク
グループワークとは、グループのメンバー同士で話し合い、1つの結論を導き出して、何かしらの形でアウトプットするワークのことをいいます。アウトプットの方法は、テーマによってさまざまです。たとえば、最後にプレゼンテーションをする場合もあれば、企画や施策を考える、何かを作る(図、チラシなど)といった場合もあります。グループワークも、採用選考や社内研修など、ビジネスのさまざまな場面で活用されています。
グループディスカッションは、グループワークのようなアウトプットはありません。話し合いにより1つの結論が出れば、それで終了となります。また、グループディスカッションとグループワークでは、評価対象も異なります。グループディスカッションは、参加者一人ひとりの人間性や能力が、グループワークはそれに加え、成果物をまとめるプロセスやクオリティも評価対象となります。そして所要時間についても、グループディスカッションは30分ほどで実施するケースが多いですが、グループワークは1時間~半日程度が多く、1~2日かけて行われることもあります。
グループワークについて、詳しくは以下の記事でも解説しています。
グループワークの面白いテーマ20選!タイプ別に解説
ディスカッションのテーマの具体例
採用選考や社内研修でディスカッションを実施するとなった際に、悩むのがテーマ(お題)ではないでしょうか。ディスカッションは、テーマによって大きく以下の5つの型に種類分けすることができます。
- 問題解決型
- 自由討論型
- 選択肢型
- フェルミ推定型
- ディベート型
ここでは、それぞれの種類の特徴と、テーマの具体例を紹介します。
問題解決型
問題解決型(または課題解決型)は、1つの問題や課題が提示されるので、参加者同士で意見を出し合って、その解決策を導き出すディスカッションです。
提示される問題や課題には、たった1つの「正解」というものがありません。そのため、問題解決型のディスカッションは、自由な意見が出やすい傾向があります。ただ、自由に意見できるために話が広がりすぎたり、脱線したりしてまとまらなくなることもあるでしょう。そのような状況になったときに、どのように意見をまとめて結論まで持っていくのか、全員が納得できる結論を出せているかなども観察することができます。
問題解決型のディスカッションで評価できる能力としては、状況を把握する能力、積極性、創造性、発想力などが挙げられます。
テーマの具体例
- 日本が少子化社会から脱却するにはどうすればよいか。
- 社員が仕事と家庭を両立できるようにするために、会社は何をすればよいか。
- 新商品の認知度を上げるためにはどうすればよいか。
- 経費を抑えるにはどうすればよいか。
- 残業時間を減らすためにはどうすればよいか。
自由討論型
自由討論型は、提示された抽象的なテーマについて、自由に意見を交わすディスカッションです。「フリーディスカッション」といわれることもあります。
こちらも、問題解決型と同じくたった1つの「正解」というものがありません。そのため自由な意見が出やすいですが、途中でテーマを見失ってしまいやすい傾向もあります。
自由討論型のディスカッションは、テーマが抽象的なので、参加者個人がどのような考えを持っているのかを知ることができます。また、テーマから大きく逸れることなく議論を進める力や、意見をまとめる力なども評価できるでしょう。
テーマの具体例
- 無人島に何か1つだけ持っていくことができるなら、何を持っていくか。
- 理想的な社会人とは、どのような人物であるか。
- なぜ、働くのか。
- 10年後、この業界はどのようになっているか。
- 「幸せ」とは何か。
選択肢型
選択肢型は、複数の選択肢があるテーマが提示されるので、グループで話し合って答えを決めるという形のディスカッションです。または、複数の選択肢に「優先順位をつけてください」というパターンもあります。
ここまでに紹介した2種類のディスカッションと同じく、こちらも何が「正解」というわけではありません。自分が思う答えと、その答えを選んだ理由をきちんと説明できているかなどが評価ポイントとなります。また、個人の価値観や、他のメンバーの意見も聞けているかどうかといった点も観察できます。
選択肢型のディスカッションで評価できる能力としては、論理的に考える・説明する力、協調性、柔軟性などが挙げられるでしょう。
テーマの具体例
- 5教科(英語・数学・国語・理科・社会)のなかで最も重要な教科はどれか。
- 新商品として売り出すなら、商品A・商品B・商品Cのどれがよいか。
- 自社が新たに支社を作るなら、〇〇県・△△県・××県のどこがよいか。
- 親・恋人・友達・お金に優先順位をつけてください。
- このなかで一人だけ採用するなら誰にするか。(人物の特徴を示す)
フェルミ推定型
「フェルミ推定」とは、調査しなければわからない数値を、論理的に推論して概算することをいいます。これをグループで話し合って行うのが、フェルミ推定型のディスカッションです。何だか難しそうに感じるかもしれませんが、フェルミ推定型のディスカッションは、小学校の授業に取り入れられることもあります。
フェルミ推定型のディスカッションは、ここまでに紹介した3種類のディスカッションと違って、1つの「正解」があります。しかし、グループが出した結論が「正解」なのかどうかよりも、「どのような仮説・推論を立ててその結論に至ったのか」というプロセスを評価することが大切です。
論理的に考える・説明する力や、意外な角度からアプローチできる独創性、集中力の高さ、チームで協力しようとする姿勢などを評価することができるでしょう。
テーマの具体例
- 〇〇県には何本の電柱があるか。
- 日本でバス通勤をしている人は何人いるのか。
- 東京駅の一日の利用者数は何人か。
- 日本では何台のスマートフォンが利用されているか。
- 日本では一年間で何膳の割りばしが消費されているか。
ディベート型
先ほど、ディスカッションとディベートの違いを紹介しました。本来この2つは別物ですが、採用選考や社内研修などでは、「ディベート型」としてディスカッションが行われることもあります。ただ、内容はディベートと変わりません。立場の異なる2つのグループに分かれて、意見を交わし合います。選択型とも似ているスタイルになります。
参加者個人の考えに関係なくグループ分けをすることもあれば、参加者自身にどちらの立場になるかを選んでもらうパターンもあります。参加者自身に選んでもらったほうが討論も活発になりやすいですが、どちらかのグループに参加者が偏らないように注意する必要があります。
ディベート型のディスカッションでは、論理的に説明する力や、相手の意見も聞く力などを評価できるでしょう。
テーマの具体例
- 「サービスA」と「サービスB」なら、どちらに注力していくべきか。
- 仕事において大切なのは、「お金」か「やりがい」か。
- 小学生にスマートフォンを与えることに「賛成」か「反対」か。
- リモートワークを取り入れるべきか否か。
- 勉強をするなら「朝」と「夜」どちらがよいか。
ディスカッションのテーマの決め方
採用選考や社内研修でディスカッションを行う場合、テーマが非常に重要となります。ここまでテーマの種類と具体例を紹介してきましたが、テーマはどのように決めればよいのでしょうか。最後に、採用選考の場合と社内研修の場合に分けて、ディスカッションのテーマの決め方を紹介します。
採用選考の場合
採用選考にディスカッションを取り入れることで、書類や面接ではわからない候補者の能力や個性を確認できます。また、一度に複数の候補者を評価できるというメリットもあるため、応募が多く集まる企業の選考にもよく活用されています。
採用選考にディスカッションを取り入れるなら、まずは求める人物像を明確にする必要があります。採用ペルソナを設定していないなら、まず設定しましょう。採用ペルソナとは、簡単にいうと「自社が採用したい人物のモデル」のことです。まるでその人が実在するかのように、年齢や性別、居住地、学歴(中途採用なら職歴も)、価値観などを詳細に設定します。採用ペルソナを設定できたら、そこから求める能力を洗い出します。
「ディスカッションのテーマの具体例」の項で紹介したとおり、ディスカッションではさまざまな能力を評価することができます。自社が求める能力に合わせて、テーマを設定するとよいでしょう。
候補者の能力や個性だけでなく志望度も見極めたい場合は、自社のケーススタディなどをテーマにするのもおすすめです。
社内研修の場合
社内研修でディベートを実施する場合は、研修そのもののテーマや、参加者に強化してほしい能力に合わせて決めるとよいでしょう。実際に企業が直面している問題や課題をテーマにするのもおすすめです。
また、全員が積極的に参加できるようなテーマにすることもポイントです。せっかく研修でディスカッションを実施しても、参加者が消極的では議論も活発になりませんので、参加者が関心を持っており、かつ全員が同じくらいの知識・経験を持っているようなテーマが望ましいでしょう。そして、参加者がテーマの内容を正しく理解できるように、わかりやすい言葉で表現することも大切です。
まとめ
ディスカッションの種類やテーマの決め方について解説しました。問題の分析や解決、新しいアイデアの創出などのために、ディスカッションはビジネスのさまざまなシーンで行われています。また、個人の能力を見極めたり、鍛えたりすることもできるため、採用選考や社内研修などにも取り入れられることがあります。
ディスカッションは、テーマ選びがとても重要です。採用選考の場合は求める人物像に合わせて、社内研修の場合は研修テーマや、参加者に高めてほしい能力に合わせて、適切なテーマを設定しましょう。
以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。
1.合意形成研修
合意形成研修のアクティビティ「コンセンサスゲーム」では、危機的な状況下でどの物資を優先して確保すべきかをチーム内で議論し、最適な結論を導きます。
学びのポイント
- 各々が個人ワークで考えた答えを聞くことで、チームメンバーの状況に対する認識や物資の重み付けの違いを受講者が理解する
- 話し手は自分の答えにいたった理由を論理的・説得的に説明する
- より良い根拠を導き出すための比較検討をして、チーム全員が納得する結論を出す
2.PDCA研修
PDCA研修のアクティビティ「ロケットPDCAチャレンジ」では、パーツを組み合わせてロケットを制作し打ち上げ結果から原因を考えて、より良く飛ぶロケットに改善していき、目標の達成を目指します。
学びのポイント
- 計画を立ててロケットを飛ばし、その結果から組み合わせの誤り・部品の不足・不良部品の有無を推察し、それを繰り返すことで組み合わせの精度を上げていく
- 資金稼ぎ・パーツの選択・打ち上げの準備を繰り返し、作戦タイム振返りを経て行動を改善していくことで、最適化されていく
3.戦略思考研修
戦略思考研修のアクティビティ「ワールドリーダーズ」では、労働力や資本を使って事業を設立し、利益を稼ぐことを目指します。
学びのポイント
- 不確実な状況のなかで自チームにとって最適な行動方針を考え、実行していく
- 戦略を決めるために与えられた手段のなかでどの情報を取得していくかの優先順位決めが求められる
4.コミュニケーション研修
コミュニケーション研修のアクティビティ「謎解き脱出ゲーム」では、チームでコミュニケーションをとりながら問題に隠された法則を発見する謎解きゲームのクリアを目指します。
学びのポイント
- 受講者が「自分しか見えていない情報・問題・解き方」をチームで共有することでコミュニケーション促進やスキルアップにつながる
- 突飛な発想・ヒラメキをチームのなかで積極的に発言できる心理的安全性の高い環境づくりが求められる
5.ロジカルシンキング研修
ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します。
学びのポイント
- 小グループで得られた情報を論理的に整理し、確定情報・曖昧情報・不要な情報を選り分ける
- 大グループで全体に必要な情報を論理的に判断・共有することや、自分たちに足りない情報を聞き出すことが求められる
6.クリティカルシンキング研修
クリティカルシンキング研修のアクティビティ「混乱する捜査会議からの脱出」では、推理ゲームで論理的に情報を整理するなかで証拠の違和感に気づき、仮説立てや検証を行って目標を達成します。
学びのポイント
- 証拠品や証言など多くの情報を手分けして読み、組み合わせて論理的に結論を導き出す
- フェーズが進むごとに情報が増え、複雑になっていくなかで必要な情報を取捨選択する
- 出た結論に満足せず、常に新しい情報と照らし合わせて再検証する
7.リーダーシップ研修
リーダーシップ研修のアクティビティ「グレートチーム」では、チームの運営を疑似体験することでリーダーシップやマネジメントを学びます。
学びのポイント
- メンバーのリソース管理や育成、リーダーとしての決断を繰り返すことで、いろいろなリーダーシップの型を知ることができる
- 現代に合わせたリーダーシップの発揮の必要性を知り、自分らしいリーダーシップを学べる
8.ビジネスマナー研修
ビジネスマナー研修のアクティビティ「ビジトレ」では、実践形式・クイズ形式のアクティビティを通して、ビジネスマナーを楽しく学びます。
学びのポイント
- 堅い内容になりがちなビジネスマナー研修にゲーム形式を取り入れることで、受講者が没入して学べる
- 名刺交換や報連相などを実行し、動作・マナーに慣れることで、翌日から実践できるようになる
9.防災研修
防災研修のアクティビティ「先が見えない防災訓練からの脱出」では、チームで協力して、防災のアイテムや知識を使用しながら謎解きゲームのクリアを目指します。
学びのポイント
- 謎解きの答えが災害時のNG行動にまつわる内容となっており、解説時になぜ行なってはいけないかもセットで学ぶ
- 被災時は様々な情報が飛び交うため、情報を取得する際にどのようにすれば惑わされないかを学ぶ
10.OODA LOOP研修
OODA LOOP研修では、瞬間的な判断力が求められる運動系のアクティビティである「サバイバルゲーム」または「チャンバラ合戦」を実施することで、意思決定のフレームワークである「OODA LOOP」を実践的に習得することを目指します。
学びのポイント
- 敵チームをよく観察して作戦を練り、状況に応じた行動を素早く判断しながら、チームで共有して一体となって行動する
- ミッションの勝利条件をもとに、観察、判断、行動を繰り返すことで、本当にすべき行動が何なのか、行動の最適化を行う
この記事の著者
あそぶ社員研修は、企業の研修担当者向けのお役立ち情報を発信するメディアです。研修に関するノウハウ、組織・人材開発の手法、ビジネススキルなどをわかりやすく紹介します。






