新入社員研修の進め方|企画・準備からOJTへの引き継ぎまで7ステップに分けて解説
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新入社員研修は、一般的な研修テーマを並べるのではなく、「配属後に何ができてほしいか」から逆算して設計することが大切です。ただ、初めて担当する場合は、何を確認し、どの順番で決め、どこまで整理できれば次へ進んでよいのか迷いやすいでしょう。
本記事では、新入社員研修の進め方を7ステップに整理し、現場へのヒアリング、到達目標の設定、テーマの絞り込み、研修方法の選択、事前準備、当日運営、効果測定、OJTへの引き継ぎまで解説します。
新入社員研修は、社会人としての土台と同期のつながりを同時に築ける貴重な機会です。あそぶ社員研修の新入社員研修プログラムは、体験型アクティビティを通じて、学びと一体感の両方を実現します。
STEP1|前提条件を整理して研修ニーズを把握する
新入社員研修の内容を考える前に、まずは研修に使える時間や人員などの条件と配属後に求められる行動を整理する必要があります。そのうえで、現状との差を確認し、研修で扱うべき課題を絞り込みます。ここでは、研修の前提条件、配属先への確認事項、研修で扱う課題の決め方を解説します。
研修に使える条件を整理する
最初に研修を実施するうえで前提となる条件を整理します。
- 対象者の人数、配属予定、現在の知識・技能
- 研修に使える日数・時間
- 予算
- 社内講師を担当できる人
- 会場やオンライン環境、利用できる教材・機材
- 既存の研修や配属後のOJT
この段階では、具体的な研修テーマまで決める必要はありません。まず「どのような条件のなかで研修を設計するのか」を把握しましょう。
項目ごとに「決定済み」「未定」「要確認」に分けておくと、次に確認すべきことが見えやすくなります。例えば、配属先が決まっていない場合は職種別研修の詳細を後回しにし、全員に共通する内容から検討できます。
配属先が求める行動を確認する
前提条件を整理したら、経営層や配属先へヒアリングし、新入社員にどのような状態を求めているのかを具体化します。
「どのような研修をしてほしいですか」と聞くだけでは、「マナー研修」「コミュニケーション研修」など、研修テーマそのものが挙がりやすくなります。研修内容を決めるためには、実際の仕事で求める行動まで確認することが必要です。
例えば、次のように質問します。
- 配属直後にどのような業務を任せる予定か
- その業務を行うため、配属前に最低限できてほしいことは何か
- 例年、新入社員はどのような場面でつまずきやすいか
- 一定期間後、どのような行動ができていれば順調と判断するか
- 集合研修で教えてほしいことと現場で教えられることは何か
「報連相ができない」といった回答が出た場合も、そのまま研修テーマにせず、具体的な場面まで掘り下げましょう。例えば、「問題が起きても相談するタイミングが分からない」のか「相談するときに何を伝えればよいか整理できない」のかによって、必要な研修内容は異なるからです。
研修で扱う課題を決める
配属先へのヒアリングが終わったら、見つかった課題のうち、どこまでを研修で扱うか判断します。
まず「配属後にできてほしいこと」と「現状」を比べ、何が不足しているのかを整理しましょう。その不足が知識・技能・行動に関するものであれば、研修で扱う候補になります。
例えば、業務上の手順を知らないことが原因で作業できない場合は、研修やOJTで教える方法が考えられます。手順書そのものが整備されていない場合は、研修内容を増やすだけでは解決しないため、業務側の対応も必要です。
「何ができていないのか」→「なぜできていないのか」→「研修で身につけられる内容か」の順で確認すると、研修で扱うべき内容を絞りやすくなります。
「配属後に求める状態」「現在の状態」「不足していること」が整理され、研修で扱う課題が決まったら、次のステップへ進みましょう。
「そもそもチームビルディングとは?」「何から進めればいい?」という方のために、基本の考え方からチームづくりの5段階、すぐ使えるフレームワーク15選までを1冊にまとめた入門ガイドをご用意しました。
STEP2|研修の到達目標を設定する
研修で扱う課題が決まったら、「研修後に新入社員が何をできるようになればよいか」を具体化しましょう。到達目標は、その後の研修テーマや実施方法、評価方法を決める基準になります。「報連相を理解する」「ビジネスマナーを身につける」といった目標では、研修後に達成できたかを判断しにくくなります。
米国CDCでは、学習目標を受講者が何をできるようになるかという、観察・測定できる行動で示す考え方が紹介されています。米国CDCは感染症対策に加え、公衆衛生分野の人材育成にも取り組んでおり、研修の設計・評価に関するガイドも公開しています。目標を設定する際は、次の4点を確認すると具体化しやすくなるでしょう。
参考:Design Training: Learning Objectives|CDC
- 誰が行うのか
- どのような条件で行うのか
- どのような行動をするのか
- どの程度できれば達成とするのか
例えば、「報連相を理解する」という目標であれば、「業務上のトラブルを想定したケースで、状況・自分の判断・相談したい事項を整理して上司役へ報告できる」とすると、研修中の演習で達成度を確認できます。ビジネスマナーも同様です。「基本的なマナーを身につける」ではなく「自社で定めた手順に沿って来客対応を実演できる」など、実際の行動で表しましょう。
到達目標を作成したら、次の3点を確認します。
- STEP1で整理した課題の解決につながっているか
- 研修のなかで練習できる内容か
- テストや実演、観察などで達成度を確認できるか
「研修終了時に何ができれば目標達成なのか」が明確になり、テストや実演、観察などで確認できる状態になったら、次のステップへ進みましょう。
STEP3|研修テーマを選んでOFF-JTとOJTに分ける
到達目標を設定したら、それを達成するために必要な研修テーマを選びます。すべてを集合研修で扱うのではなく、配属前に学ぶ内容と実務のなかで身につける内容を分けることも必要です。ここでは、到達目標から研修テーマを絞り込む方法とOFF-JT・OJTへの振り分け方を解説します。
到達目標から研修テーマを絞り込む
まず、STEP2で設定した到達目標ごとに「その行動ができるようになるために、何を学ぶ必要があるか」を整理します。例えば、「トラブル発生時に状況・自分の判断・相談事項を整理して上司へ報告できる」という到達目標であれば、報告の基本だけでなく、状況を整理する方法やどの段階で相談するかといった内容が研修テーマの候補になります。
候補を洗い出したら、次の観点で必要性を確認しましょう。
- 到達目標の達成に直接必要か
- 配属前に身につける必要があるか
- 新入社員全員が学ぶ必要があるか
- 実務に入る前に練習しておく必要があるか
例えば、ビジネスマナー、コミュニケーション、PCスキル、会社理解など複数の候補が出た場合も、一律に扱うのではなく、STEP1で整理した課題とSTEP2の到達目標に照らして優先順位を付けましょう。
OFF-JTとOJTに振り分ける
テーマを絞り込んだら、配属前のOFF-JTで扱う内容と配属後のOJTで扱う内容に分けます。
配属前に共通の基準を身につけておきたい内容や実務に入る前に練習しておきたい内容は、集合研修などのOFF-JTで扱う方法があります。部署ごとに手順が異なる業務や、実際の仕事を通じて身につける必要がある内容は、OJTで扱うことを検討しましょう。全社員に共通する社内ルールや基本的な報告方法は配属前に扱い、部署固有の業務フローや使用するシステムの操作は、配属後に現場で教えるといった分け方です。
判断に迷う場合は、次の点を確認します。
- 配属前に身につけていないと業務開始時に困るか
- 部署を問わず共通して必要な内容か
- 実際の仕事や設備がなければ練習しにくい内容か
- 配属先ごとに教え方や手順が異なるか
到達目標に必要な研修テーマが絞り込まれ、それぞれをOFF-JTとOJTのどちらで扱うか決まったら、次のステップへ進みましょう。
STEP4|研修方法と実施体制を決める
研修テーマが決まったら、それぞれの到達目標に合わせて研修方法を選びます。あわせて、対面・オンライン、内製・外部研修などの実施形式や担当者も決めましょう。ここでは、到達目標に合った研修方法の選び方と実施体制を決める際の考え方を解説します。
到達目標に合う研修方法を選ぶ
例えば、知識を理解しているか確認したい場合は、講義や動画による説明と確認問題を組み合わせる方法があります。実際の対応や判断が求められる場合は、ケーススタディやロールプレイなど、受講者自身が考えたり行動したりする方法を検討しましょう。
同じ「電話対応」というテーマでも、到達目標によって適した方法は異なります。「電話対応の基本的な流れを説明できる」が目標なら、講義と確認問題で確認できます。「相手の用件を聞き取り、必要な情報を整理して取り次げる」が目標なら、実際のやり取りを想定したロールプレイなどが必要です。
研修方法を選ぶ際は、次の点を確認します。
- 到達目標を達成するために必要な練習ができるか
- 研修中に受講者の理解度や行動を確認できるか
- 対象人数や研修時間のなかで実施できるか
- 必要な講師、教材、設備を用意できるか
実施形式と担当者を決める
研修方法を選んだら、誰がどの形式で実施するかを決めます。内製・外部研修を選ぶ際は、次の項目を比較しましょう。
- 自社固有の内容か
- 社内に必要な知識や指導経験を持つ人がいるか
- 教材や演習を準備できるか
- 研修準備や当日運営に使える人員・時間があるか
- 外部へ依頼する場合の予算を確保できるか
例えば、自社の制度や社内ルールは社内の担当者が説明しやすい内容です。専門的な知識が必要なテーマや、社内で講師・教材・運営体制を用意するのが難しい場合は、外部研修も選択肢になります。
対面・オンラインについても利便性だけで決めるのではなく、研修内容との相性を確認します。実演や参加者同士のやり取りが多い場合は、それらを実施しやすい形式かを確認しましょう。知識のインプットが中心であれば、オンラインで実施できる内容もあります。
各研修テーマについて、研修方法、実施形式、担当者が決まり、具体的なカリキュラム作成へ進める状態になったら、次のステップへ進みましょう。
STEP5|カリキュラムを作り、実施準備を進める
研修方法と実施体制が決まったら、当日の流れを具体的なカリキュラムに落とし込みます。あわせて、講師や教材、会場など実施に必要な準備も進めましょう。ここでは、カリキュラムの作り方と研修当日までに確認しておきたい準備項目を解説します。
到達目標をもとにカリキュラムを作る
カリキュラムでは、単に「9時からビジネスマナー」「10時からグループワーク」のように時間割を作るのではなく、それぞれの時間で何を身につけるのかまで決めます。
研修テーマごとに、次の項目を整理します。
- 到達目標
- 具体的な研修内容
- 研修方法
- 所要時間
- 講師・担当者
- 使用する教材や機材
- 到達度の確認方法
所要時間は、先に研修日数へ内容を当てはめるのではなく、到達目標を達成するために必要な説明や練習から考えましょう。テーマを詰め込みすぎた場合は、STEP3で設定した優先順位へ戻り、「配属前に必ず扱う必要があるか」「OJTへ移せないか」を確認します。
到達度の確認方法も、到達目標と対応させて設定しましょう。
実施日から逆算して必要な準備を進める
カリキュラムが固まったら、実施日に間に合うように必要な準備を洗い出します。主な確認項目は次のとおりです。
- 講師や運営担当者の確定
- 会場やオンライン環境の手配
- 教材、配布資料、機材の準備
- 受講者への案内
- 事前課題がある場合の連絡
- 当日の役割分担
- テストや演習、アンケートなどの準備
準備時期を一律に「〇か月前」と決めるのではなく、実施日から逆算して期限を設定します。各作業について「誰が」「何を」「いつまでに行うか」を一覧にしておくと、準備の抜け漏れを確認しやすくなるでしょう。
カリキュラムが確定し、講師・会場・教材・機材・受講案内など、研修を実施するために必要な準備と担当者、期限が決まったら、次のステップへ進みましょう。
STEP6|研修を実施して理解度を確認する
研修当日は、予定した内容を順番どおりに進めるだけでなく、受講者が到達目標に近づいているかを確認することが大切です。確認結果によっては説明や進め方を調整する必要があります。ここでは、研修中に理解度を確認する方法とその結果を当日の進行に反映する方法を解説します。
到達目標に沿って理解度を確認する
研修の開始時には、研修の目的と到達目標を受講者へ共有します。そのうえで、講義を聞いて終わりにせず、確認問題や質問、演習、実演などを取り入れ、設定した到達目標にどこまで近づいているかを確認しましょう。
確認方法は、到達目標に合わせて選びます。知識の習得が目標なら確認問題や質問、実際の対応が目標ならロールプレイやケース演習などが考えられます。
確認するときは、正解・不正解だけを見るのではなく、「どの部分でつまずいているか」も把握しましょう。
確認結果に応じて進め方を調整する
理解度を確認したら、その結果を当日の進行に反映します。米国CDCでは、研修中に受講者の学習状況を確認し、その情報を研修の改善に活用する考え方が示されています。
例えば、理解が不十分な項目があれば、説明を追加したり具体例を示したり、もう一度演習する時間を設けたりしましょう。予定より早く進んでいる場合は、新しいテーマを追加するのではなく、到達目標に関連する質疑や振り返りに時間を使う方法があります。
グループワークが進まない場合も「受講者の積極性が足りない」と判断する前に、問いが抽象的ではないか、役割や進め方が明確かを確認しましょう。必要であれば、質問を具体化したり最初に個人で考える時間を設けたりして進め方を調整します。
当日に変更した内容や受講者がつまずいた箇所は記録しておきましょう。研修後に振り返ることで、次回のカリキュラムや教材を見直す材料として活用できます。
STEP6の完了条件は、設定した到達目標について受講者の理解度や実践状況を確認し、必要な補足・調整まで行えていることです。
参考:Evaluate Training: Measuring Effectiveness|CDC
STEP7|研修効果を確認し、配属後の育成へつなげる
研修が終わったら、到達目標を達成できたかを確認し、配属後の実践状況まで追います。確認した結果は、OJT担当者への引き継ぎや次回の研修改善にも活用しましょう。ここでは、研修直後の評価、配属後の確認、OJTへの引き継ぎ方法を解説します。
研修直後の到達度を確認する
STEP2で設定した到達目標をどこまで達成できたか確認しましょう。必要に応じて研修前後で同じ観点から確認すると、どの部分ができるようになったのかも把握しやすくなります。
結果は「達成できた項目」「追加で練習が必要な項目」などに整理しましょう。ここで把握した内容は、配属後のOJTで何を重点的に扱うかを決める材料になります。
配属後の実践状況を確認する
研修でできていても、実際の職場で同じ行動ができるとは限りません。配属後は、研修で学んだ内容を実務で使う機会があったか、その場面で実践できたかを確認します。確認する際は、本人だけでなく、必要に応じて上司やOJT担当者からも状況を聞きましょう。
研修後の評価時期は、一律に「1か月後」「3か月後」と決めるのではなく、実際に学んだ内容を使う機会が生じる時期に合わせます。
実践できていない場合も、すぐに「研修が不足していた」と判断するのではなく、実践する機会があったか、必要な時間や環境が整っていたかなども確認しましょう。そのうえで、追加のOJTや研修内容の見直しが必要か判断します。
OJT担当者へ到達状況を引き継ぐ
最後に、研修で確認した到達状況を、配属先の上司やOJT担当者へ共有します。「どの研修を受けたか」だけでは、現場で何をフォローすればよいのか分かりません。次のような項目を整理して引き継ぎます。
- 研修の到達目標
- 研修で扱った内容
- 達成できた項目
- 追加で練習が必要な項目
- 配属後に実践してほしい行動
- 上司やOJT担当者に確認してほしい場面
- 次に状況を確認する時期
研修直後の到達度を確認し、配属後に確認する内容と時期、OJT担当者へ引き継ぐ項目が決まったら、一連の研修設計と引き継ぎは完了です。
まとめ
新入社員研修は、一般的な研修テーマを並べるのではなく、配属後に求める行動から逆算して設計することが大切です。まずは対象者や日程、予算などの前提条件を整理し、配属先へのヒアリングを通じて「新人に何ができてほしいのか」を具体化しましょう。
そのうえで、到達目標を設定して必要な研修テーマを絞り込み、OFF-JTとOJTの役割を分けます。研修後も到達度や配属後の実践状況を確認し、OJTへ引き継ぐことで、研修を実施して終わりにせず、その後の育成へつなげられます。
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この記事の著者
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