空雨傘とは?役立つシーンや活用するメリットを紹介
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「空雨傘」という有名なフレームワークがあります。問題の解決策を考えるときや、何かを説明しなければならないとき、情報を整理するときなど、さまざまな場面で活用できます。
本記事では、「空雨傘」とはどのようなフレームワークなのか、ビジネスのなかで役立つシーン、活用するメリットを解説します。「空雨傘」はロジカルシンキング(論理的思考法)の基本のフレームワークでもあります。最後に、ロジカルシンキングを学べる研修も紹介していますので、最後までお読みいただければ幸いです。
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「空雨傘」とは
「空雨傘」は、コンサルティング企業であるマッキンゼーの日本支社が開発した、問題解決のフレームワーク(思考の型)です。3つの漢字は、それぞれ以下を意味しています。
- 空:空を見ると、どんよりと曇っている。(事実)
- 雨:雨が降りそうだ。(解釈)
- 傘:傘を持っていこう。(行動)
つまり、「空を見るとどんよりと曇っていて、雨が降りそうだから、傘を持っていこう」ということです。「空雨傘」は、まず事実を確認して(空)、その事実を解釈し(雨)、そのうえで行動する(傘)というフレームワークです。3つの要素が揃っていればいいというわけではなく、「事実→解釈→行動」の順に考えていきます。
「空雨傘」は、問題解決に取り組むときだけでなく、話の構成を考えるときや、情報を整理するときにも役に立ちます。
ではここからは、「空」「雨」「傘」の3つの要素を、もう少し詳しくみていきましょう。
空(事実)
まず「空」では、事実を確認します。現状目で見てわかることや、数値データなどの情報を、客観的に正しく認識することが大切です。
【事実の具体例】
- 空が曇っている(晴れている)
- 業績が上がった(下がった)
- 客足が伸びている(伸び悩んでいる) など
「そんなこと簡単だ」と思われるかもしれませんが、事実だけをみるというのは意外と難しいものです。事実だけをみているつもりでも、次項で解説する解釈が混ざってしまうことがあります。たとえば、
「自分の言い方がよくなかったから、提案が通らなかった」
この場合、事実は「提案が通らなかった」の部分だけで、「自分の言い方がよくなかったから」は、個人の解釈(もしくは推測)です。
「空」のステップでは、まず事実のみを正しく把握しましょう。
雨(解釈)
「雨」では、「空」で確認した事実を解釈します。解釈とは、事実を自分なりに理解したり、事実に基づく仮説を立てたりすることを意味します。
事実をどのように解釈するかは人によって変わりますが、正しい解釈をすることが大切です。たとえば、
- 空を見ると、どんよりと曇っている。(事実)→だから、午後からは晴れそうだ。(解釈)
上記の場合、「なぜそう思うのか?」と疑問に感じる人が多いでしょう。このように、筋が通らないものはNGです。
前項で「自分の言い方がよくなかった(解釈)から、提案が通らなかった(事実)」という例を挙げましたが、「自分の言い方がよくなかった」の根拠となる事実がなければ、こちらもやや飛躍した解釈といえます。「資料がよくなかった」「他によい提案があり、比較した結果そちらを採用した」など、他に原因がある可能性も考えられます。
事実を正しく解釈するためには、「空」の段階で情報やデータをできるだけ多く集めて、客観的に把握することが大切です。
傘(行動)
「傘」では、解釈に対する行動を決めます。こちらも、飛躍させないことが大切です。たとえば、
- 空を見ると、どんよりと曇っている(事実)。雨が降りそう(解釈)だから、洗濯物は外に干したまま出かけよう。(行動)
上記の場合、せっかくきれいに洗った洗濯物が、また雨に濡れて汚くなってしまいます。「なぜそうなるのか?」「普通は出しっぱなしで出かけないだろう」と、多くの人が疑問に思うはずです。
ただ、解釈に対する行動は一つではありませんので、「正解」があるわけではありません。上で挙げた例の場合、「洗濯物を取り込んでから出かけよう」「乾燥機で乾かそう」「洗濯は明日まとめてやろう」など、複数の行動が考えられます。
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「空雨傘」が役立つシーン
「空雨傘」は、ビジネスのさまざまなシーンで役に立ちます。ここからは、具体的な活用シーンを紹介していきます。
問題の解決策を考えるとき
お伝えしたように、「空雨傘」は問題解決のフレームワークです。何か解決するべき問題・課題があるとき、対策を考えるときなどに役立に立ちます。
たとえば、「〇ヵ月連続で客数が減っている」という事実(空)があるとします。この場合は、まず「なぜ客数が減っているのか」という解釈(雨)を明らかにする必要があります。そして、最終ゴールは「客数を増やすこと」ですので、そのために必要な行動(傘)を考える、というように活用します。
解釈(雨)を誤ると、決めた行動(傘)を実行しても狙った効果が得られない可能性が高いでしょう。正しく解釈するためには、まず事実を正しく認識する必要があります。そのためには、しっかりと情報を集めることが重要なポイントです。
何かを伝えるとき
「空雨傘」は、言葉や文字で何かを伝えるときにも活用できます。ビジネスのなかでは、上司への報告・連絡・相談や提案、書面での情報共有など、何かを伝えなければならない場面が多々あります。そのようなときに「空雨傘」を活用すると、必要な情報をわかりやすく伝えられるようになります。
以下は、「空雨傘」を用いて上司に提案する場合の具体例です。
【例】
- 事実(空):〇ヵ月連続で客数が減っています。
- 解釈(雨):近くに「〇〇〇」という新しい店がオープンしたのですが、お客様がそちらに流れてしまっているようです。会員になると〇〇〇という特典があるようなので、「お得だ」と感じる方が多いのかもしれません。
- 行動(傘):うちの店も会員様の特典を見直し、新規会員獲得のためにキャンペーンを実施するのはどうでしょうか。
空→雨→傘の順番通りでなくてもよい
冒頭で、「空雨傘」は「事実(空)→解釈(雨)→行動(傘)」の順番に考えていくフレームワークだとお伝えしましたが、コミュニケーションで使うときは、この順番通りでなくても構いません。前項で挙げた例の場合は、以下のような伝え方もできます。
- 行動(傘):会員様の特典を見直し、新規会員獲得のためにキャンペーンを実施するのはどうでしょうか。
- 事実(空):なぜなら、〇ヵ月連続で客数が減っているためです。
- 解釈(雨):近くに「〇〇〇」という新しい店がオープンしたのですが、お客様がそちらに流れてしまっていることが影響していると考えられます。そちらのお店では、会員になると〇〇〇という特典があるようなので、「お得だ」と感じる方が多いのかもしれません。
もちろん状況によっても変わりますが、ビジネスコミュニケーションは「結論から伝える」ことが基本とされています。「空→雨→傘」の順番で伝えると、結論(行動:傘)までが長いので、聞き手としては途中で「結局何が言いたいの?」と感じてしまう可能性もあるでしょう。
3つの要素は必ず含める
お伝えしたように、コミュニケーションで「空雨傘」を活用する際は順番通りでなくても構いませんが、3つの要素は必ず含めるようにしてください。揃っていないとどうなるのか、よくある失敗を2つ紹介します。
【よくある失敗1】
新入社員に特に多いのが、何か調べものを頼まれて、事実(情報・データ)だけで報告してしまうケースです。もちろん、それが求められる場合もありますが、だから何なのか(解釈)、どうすればよいと思うのか(行動)まで、セットで報告できるようになりましょう。
【よくある失敗2】
もう一つは、根拠が抜けているケースです。ビジネスでは相手に提案をする場面が多々ありますが、アクション(行動)を示すだけでは「なぜそうする必要があるのか」が伝わらず、なかなか受け入れてもらえないでしょう。また、「選択肢は他にもあるのに、なぜそれを選んだのだろう?」と疑問を持たれることもあります。提案を受け入れてもらうためには、行動だけでなく、根拠として事実と解釈もきちんと伝える必要があります。
話し合いをするとき
ビジネスのなかでは、会議やミーティングなど、関係者で集まって話し合いにより答えを出さなければいけない場面が多々あります。そのようなときにも、「空雨傘」は役に立ちます。
話し合いをするときは、「空雨傘」の流れで進めることを意識してみてください。具体的には、「まず現状を確認する(事実)→ 事実を分析して仮説を立てる(解釈)→ どのような対策が必要かを考える(行動)」という流れで進めていきます。これを意識することで、話し合いが効率よく進むようになるでしょう。
自社の会議やミーティングが非効率な進め方になっていないか、一度「空雨傘」に当てはめて確認してみてはいかがでしょうか。
話を整理するとき
会議やミーティングなど、複数人で話し合う場所では、いろいろな発言が飛び交います。これをきちんと整理しないと、何が重要な情報なのかがわからなくなり、適切な答えを導きだすことが難しくなります。
話し合いをするときは、「空雨傘」を使って、頭のなかで発言を事実・解釈・行動に分けて整理してみましょう。このとき分類が難しいのが、解釈です。解釈は、客観的な事実に基づくものなのか、それとも単なる個人の「意見」や「感想」「推測」ではないかを、しっかりと見極める必要があります。
会議やミーティングなどでは、自分の意見を主張するのが上手い人や、立場が上の人の意見が重視されてしまうことがあります。しかし、それでは問題や課題を根本から解決することはできません。きちんと情報を整理したうえで、結論を出すことが大切です。
「空雨傘」を活用するメリット
次に、普段からビジネスのなかで「空雨傘」を意識することで、どのようなメリットがあるのかを解説します。
事実・解釈・行動を分けて考えられるようになる
普段から「空雨傘」を意識することで、事実・解釈・行動を分けて考えられるようになります。そして何かを説明するときも、情報を事実・解釈・行動に分けてわかりやすく伝えられるようになります。
「それくらいできる」と思われるかもしれませんが、これは意外と難しいことです。特に、事実に解釈が混ざっているケースがよくみられます。また、先ほどお伝えしたように、事実に基づく解釈なのか、単なる個人の「意見」「感想」「推測」なのかも、区別するのが難しいことがあります。
普段からさまざまなシーンで「空雨傘」を意識すると、これらを分けて考える習慣がつくでしょう。さらに、問題の解決策を考えるときは、「空→雨→傘」の流れも意識することで、論理的に結論を導きだせるようになります。
コミュニケーションが円滑になる
「空雨傘」は、言葉や文字で相手に情報を伝えるときにも役に立ちます。コミュニケーションの際、普段からこのフレームワークを意識することで、意見や考えをわかりやすく共有できるようになるでしょう。
また、コミュニケーションの際に「空雨傘」を活用することで、事実・解釈・行動の3つの要素を漏れなく伝えられるようになり、説得力が増すというメリットもあります。
「空雨傘」を活用するときのポイント
「空雨傘」を活用するときは、まず初めに事実を客観的に正しく把握することが何よりも重要です。そうしないと、間違った解釈をしてしまい、行動が意味のないものになってしまう可能性があります。ビジネスの場合は、解釈・行動を誤ると問題が解決されないだけでなく、それがきっかけでトラブルが発生する恐れもあります。
【リモートワークにおけるトラブルの例】
- 事実(空):部下から提出された資料に間違いがあった。最近この部下は、メールの返信も遅くなることが多い。
- 間違った解釈(雨):上司は本人の状況を確認することなく、「上司の目がないから手を抜いているのだろう」と解釈した。
- 行動:部下をきつく叱った。
上司は部下の状況を確かめようともせず、上記のように解釈し、行動しました。しかし実際は、業務量が多く、部下はキャパオーバーになりかけていたのです。そうとも知らずに部下をきつく叱ってしまったため、この上司と部下は、関係が悪くなってしまいました。
事実を正しく把握するためには、しっかりと情報を収集することが重要です。上記の例であれば、まず部下に話を聞くべきでしょう。また、解釈は一つではなく複数あります。「〇〇〇だからこうだろう」と決めつけるのではなく、「他の解釈はできないだろうか」と考えてみることも大切です。
「空雨傘」はロジカルシンキングのフレームワーク
「空雨傘」は、ロジカルシンキングの基本的なフレームワークとしても知られています。ロジカルシンキングとは、日本語では「論理的思考法」と呼ばれる思考法です。直感や感覚で物事をとらえるのではなく、体系的に情報を整理し、筋道を立てて考え、結論を導き出す思考法です。
ロジカルシンキングができるようになると、分析力や問題解決力、プレゼンテーション能力なども向上します。ビジネスパーソンなら、身につけておきたいスキルです。
ロジカルシンキングのフレームワークは、「空雨傘」以外にもさまざまなものがあります。詳しくは以下の記事で紹介していますので、こちらも参考にしてみてください。
ロジカルシンキングとは?思考法やツールをわかりやすく解説
ロジカルシンキングを学べる研修
ロジカルシンキングを学ぶ方法はさまざまありますが、基礎から学ぶなら、研修がおすすめです。
株式会社IKUSAでは、チームビルディングにつながるアクティビティと、ロジカルシンキングの講義・ワークを組み合わせた独自のロジカルシンキング研修を実施しています。
この研修で実施するアクティビティは、「リアル探偵チームビルディング」というジグソー法を使ったゲームです。グループ内で情報を共有し、全員で協力して一つの正解を導き出します。アクティビティを通じて、論理的に考えること・説明することを、体験しながら学ぶことができます。自分が持っている情報をグループのメンバーに伝えるときや、グループ内で情報を整理するときなどに、「空雨傘」を意識してみるとよいでしょう。
講義・ワークでは、ロジカルシンキングの代表的なフレームワークであるMECEやロジックツリーを学びます。研修の内容は、カスタマイズすることも可能です。お気軽にご相談ください。
まとめ
「空雨傘」は、もともとはマッキンゼーの日本支社が開発した問題解決のフレームワークですが、何かを伝えるときや、発言や情報を整理するときなど、ビジネスのさまざまなシーンで活用できます。普段から「空雨傘」を意識すると、物事をロジカルに考え、説明できるようになります。コミュニケーションが円滑になり、仕事が進めやすくなるでしょう。
「あそぶ社員研修」は、受講者が主体の研修。心理的安全性が保たれた場で、ワークを通じて「成功と失敗」を擬似体験できます。自ら気づきを得るから、研修後の行動が変わります。
「どの研修が自社に合うかわからない」という方は、お気軽にご相談ください。目的やご予算に合わせて最適なプログラムをご提案します。
この記事の著者
あそぶ社員研修は、企業の研修担当者向けのお役立ち情報を発信するメディアです。研修に関するノウハウ、組織・人材開発の手法、ビジネススキルなどをわかりやすく紹介します。






