リーダーシップにおける「フレームワーク」をわかりやすく解説

2023.10.20
  • フレームワーク
    • リーダーシップ

現代社会において、組織を効率的に運営するためには、リーダーシップスキルを持つ人材が不可欠です。しかし、リーダーシップが具体的にどのようなスキルを指すのかについて明確にされているとはいえません。

リーダーシップを詳しく理解するためには、その歴史や研究内容について学ぶ必要があります。リーダーシップに関する研究は1900 年代からアメリカを中心に行われており、時代に合わせてその形を変化させ続けてきました。

長い時を経てリーダーシップの形は多岐に渡っており、組織の形態などによりあるべきリーダーシップ像も異なります。そのため、リーダーシップスキルを身に付けるには、リーダーシップの枠組みや構造を理解し、自身に合ったリーダーシップの形を見つける必要があるでしょう。

本記事では、リーダーシップにおける代表的なフレームワークを紹介します

 

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リーダーシップとは

リーダーシップのフレームワークを理解するためには、リーダーシップとは何かを知っておくことが大切です。さまざまなタイプが存在するリーダーシップですが、その本質は「組織やチームを主導し、成果に繋げる能力」にあります

リーダーシップスキルを有しているリーダーの元では、組織やチームが活発化することで、フォロワー(リーダーが管理する社員)が最大限に力を発揮でき、大きな成果をあげることができます。また、リーダーシップは、リーダー職に就いている人のみが身に付けるべき能力ではなく、さまざまな立場や役割において必要なものであることが、近年のリーダーシップ研究の通説です。つまり、リーダーシップとは、組織に属する全ての人が身に付けるべき能力であるといえるでしょう。 

リーダーシップと聞くと、生まれついてのカリスマ性や才能などに依存した能力であると思われている方もいるかもしれません。しかし、近年リーダーシップへの研究が進む中で、リーダーシップはさまざまなスキルや思考の集合体であり、後天的に身に付けることのできる技術であるとの考え方が主流となっています。

参考:01_リーダーシップを発揮しよう テキスト (mhlw.go.jp)

リーダーシップについては、以下の記事で詳しく紹介しています。

リーダーシップとは?定義や理論をわかりやすく紹介

リーダーシップのフレームワーク

具体的なリーダーシップスキルを身に付けるためには、さまざまなリーダーシップ理論を理解し、リーダーシップにおけるフレームワークを知る必要があります。ここでは、時代とともに変化してきた、さまざまなリーダーシップ理論に基づくフレームワークを紹介します。

特性理論

「特性理論」とは、1940 年代までにリーダーシップのフレームワークとして考えられていた、古典的な理論です。特性理論では、「リーダーは作られるものではなく、生まれながら持つ資質である」とし、リーダーが持つ以下の特性について研究が行われていました。

  • 知性:知識や判断力、創造能力に関する高い能力を持つ
  • 行動力:判断力、協調性、社交性、適応力があり、目標を達成するための行動力がある
  • 信頼感:自信や責任感を持ち、メンバーとの信頼関係を構築できる

上記のような、強烈な個性や人を惹きつける魅力などを始めから持っていることが、特性理論におけるリーダーシップを有する人物に該当します。しかし、このような特性に該当しないリーダーシップを有するリーダーが現れ始めたことで、特性理論は理想論であると考えられるようになりました。現在では、リーダーシップとは後天的に身に付けられるスキルであるという考え方が主流となっています。

行動論

1940年以降は、リーダーシップスキルを学び身に付けるためのフレームワークとして、「行動論」が主流となり始めました。行動論では、「生産をあげる行動」と、「人間関係を良好にする行動」がリーダーシップスキルであると考えられています。この行動論における代表的な理論が、社会心理学者の三隅二不二によって提唱された「PM理論」です。PM理論は、現代のリーダーシップ論に近いものであり、基礎的なリーダーシップのフレームワークといえるでしょう。

PM理論」

PM理論」とは、「P 機能」(performance:課題達成)と「M 機能」(maintenance:集団維持)の2つの指標を用いて、リーダーシップのスタイルを4つに分類するフレームワークです。目標を達成する力である「P機能」と、集団をまとめる力である「M機能」の2つの強弱によって、リーダーの特徴を見極めます。

リーダーシップのスタイル

リーダーシップの特徴

PM

理想的なリーダーシップ。組織をまとめ、目標を達成することができる。

Pm

求心力が弱いリーダーシップ。組織をまとめることはできないが、目標を達成することができる。

pM

課題達成が弱いリーダーシップ。メンバーからの信頼を獲得し、組織をまとめられるが、目標を達成することができない。

pm

課題達成・集団維持ともに弱いリーダーシップ。メンバーからの信頼を得られておらず、目標を達成することもできない。

 

PM理論を活用し、自身のリーダーシップの種類や特徴を把握することで、リーダーとして足りていない部分が見えてきます。PM型リーダーを目指し、問題点の改善や不足しているリーダーシップスキルを学習しましょう。

PM理論については、以下の記事で詳しく紹介しています。

リーダーシップに必要なPM理論とは?その内容や活用方法などについて解説

コンティンジェンシー理論

現代社会では、ビジネスが多様化しており、リーダー側の行動のフレームワークである「行動論」だけではリーダーシップを発揮することが難しい状況が増加しています。そのため、リーダー側の視点ではなく、環境やフォロワーのスキルなどの条件に適応する、新たなフレームワークである「コンティンジェンシー理論」が提唱され始めました。ここでは、コンティンジェンシー理論の代表的なものである、「パス・ゴール理論」と「SL理論」を紹介します。

「パス・ゴール理論」

「パス・ゴール理論」とは、ロバート・ハウス氏によって提唱された、メンバーの特性やチームの状況に応じて、あるべきリーダーの形を4つに分類するフレームワークです。ここでは、「パス・ゴール理論」におけるリーダーシップのスタイルと特徴、そのスタイルを活用すべきチームやメンバーの状況を紹介します。

リーダーシップのスタイル

特徴

活用すべきチームやメンバーの状況

指示型

目標達成に向け、方法や手順を具体的に指示する

メンバーの経験値や能力が低く、チームにまとまりがない状況

支援型

メンバーやチームのサポートに徹する

メンバーが明確な考えやアイデアを持っており、チーム内での権限がはっきりしている状況

参加型

意思決定を行う際には、リーダーの独断ではなく、メンバーの意見を取り入れる

メンバーの能力や経験値が高く、責任感を持ち、問題に取り組むチーム状況

達成志向型

達成困難な目標を与えることで、メンバーのモチベーションを高める

メンバーの能力や経験値は高いが、チームに課せられた業務内容が困難な状況

 

「パス・ゴール理論」におけるリーダーは、目標(ゴール)と道筋(パス)をメンバーに示すことで、チームを目標達成に導きます。リーダーは、1つのスタイルにこだわるのではなく、チームやメンバーの状況変化に合わせて、4つのリーダーシップスタイルを使い分けることが大切です。パス・ゴール理論で示されている状況と、自身のチームメンバーが置かれた状況を当てはめることで、必要なリーダーシップの形を見極められます。

SL理論」

SL理論」とは、行動科学者であるポール・ハーシー氏と経営コンサルタントのケネス・ブランチャード氏が共同で提唱した、状況に応じて4つのリーダーシップスタイルを使い分けるフレームワークです。「SL理論」では、メンバーの「業務習熟度」と、リーダーの接し方である「援助行動」(※)「指示行動」の高低によって、適切なリーダーシップを見極めます。

リーダーシップスタイル

業務習熟度

援助行動

指示行動

活用すべきメンバーの状況や、リーダーの取るべき行動

指示型

経験値が低いメンバーに対して有効なスタイル。リーダーは、具体的な指示を与える必要がある

コーチ型

ある程度の経験を積んだメンバーに対して活用すべきスタイル。メンバーの持つ疑問を解消し、メンバー自身の考えを尊重することで、成長を促す

援助型

経験豊富なメンバーに対して活用できるスタイル。具体的な指示を減らし、サポート役に徹する

委任型

リーダーとして自立できる程の経験を持つメンバーに対して活用できるスタイル。業務を一任し、「ひとり立ち」を促す

 

リーダーがSL理論を活用するためには、メンバーの業務習熟度や援助行動の必要性を把握しておかなければなりません。また、メンバーの一人ひとりの業務習熟度に合わせた対応は、チーム内での不平等感を生み出してしまう危険性もあります。リーダーシップを発揮するためのフレームワークとしてSL理論を用いる場合は、各メンバーやチーム内でのコミュニケーションを促進させることが必要です。

※援助行動……フォロワーとリーダーの信頼関係構築に向けた行動

コンセプト理論

コンティンジェンシー理論を基に、より具体的なリーダーシップのフレームワークを示したものが「コンセプト理論」です。コンセプト理論では、リーダーの適性やその環境によって、さまざまなリーダーシップの形が存在しています。ここでは、代表的な5つのリーダーシップスタイルを紹介しますので、自身の性質や周辺環境と当てはめ、必要とされているリーダースタイルの見極めに活用してください。

変革型リーダーシップ

変革型リーダーシップでは、「不安定な環境下において、明確なビジョンを示しフォロワーを導くことで、組織を変革するための行動を実行できる」資質を持つ人材こそが、リーダーであると考えられています。このような特性から、変革型リーダーシップは、組織の危機的状況を打開しなければならないケースにおいて、求められるリーダーシップのスタイルです。また、変革型リーダーシップを発揮するリーダーには、組織の内外を問わず協力関係を築ける高い「対人スキル」や、フォロワーを導いて変革を起こし、それを継続するための「情熱」などが必要とされています。

コッターによる「リーダーシップ論」では、リーダーシップを発揮し変革を起こすための8つのステップが提唱されています。直ぐに変わらなければならないといった状況下においては、8つのステップを活用した変革型リーダーシップがフレームワークとして役立つでしょう。

カリスマ型リーダーシップ

カリスマ型リーダーシップとは、「フォロワーにカリスマであると認識されることで、フォロワーを目標達成に導く」形のリーダーシップです。つまり、カリスマ型リーダーシップにおけるリーダーとは、生まれ持ったカリスマ性のある人材ではなく、フォロワーにカリスマと認知されるような影響力を与えられるスキルを持った人材であるといえるでしょう。また、カリスマ型リーダーシップを発揮できるリーダーには、次のような特性が求められます。

  • 組織ビジョンの明確化
  • リスクが取れる判断力
  • 並外れた行動力・発想力

このような特徴から、カリスマ型リーダーシップは、挑戦的なプロジェクトのリーダーなどに求められるリーダーシップのスタイルだといえます。さまざまなフォロワーの能力を最大限に発揮し、独自の発想力が求められるリーダー職に任命された場合は、カリスマ型リーダーシップがフレームワークとして最適でしょう。

サーバント型リーダーシップ

サーバント型リーダーシップとは、「奉仕によってフォロワーを導き、フォロワーの能力を肯定することで、お互いの利益になる信頼関係を築いていく」リーダーシップスタイルです。このリーダーシップスタイルのメリットは、次のようなものが挙げられます。

  • メンバーが主体的に行動する
  • チームの一体感とモチベーションが上がる
  • 生産性が向上する

また、サーバント型リーダーシップでは、従来の支配型のリーダーシップとは違い、リーダーの立場はフォロワーの下といった位置づけになります。そのため、リーダーシップの特徴を活かすには、「フォロワーの高い能力や豊富な経験値」、「リーダーとフォロワー間の信頼関係の形成」が不可欠です。このような条件に合致し、自身が奉仕の精神を持ってフォロワーと接することのできるリーダーであれば、サーバント型リーダーシップがフレームワークとして活用できるでしょう。

以下の記事では、サーバント型リーダーシップについて詳しく紹介しています。

サーバントリーダーシップとは?特徴や10の特性について解説

EQ 型リーダーシップ

EQ型リーダーシップとは、ダニエル・ゴールマンにより提唱された、「組織メンバーの感情への働きかけを優先する」リーダーシップスタイルですEQ型リーダーシップにおけるリーダーは、業績面や組織を変革する能力を持つ人材ではなく、フォロワーの感情など内面を正しく導くことができる人材である点が特徴です。

EQ型リーダーシップをフレームワークとして活用するためには、さまざまな状況に合わせた、以下の6つのリーダーシップスタイルを使い分ける必要があります。

  • ビジョン型リーダーシップ:明確なビジョンを示すことで、フォロワーのポジティブな感情を引き出す
  • コーチ型リーダーシップ:フォロワーの長所を引き出し、モチベーションを向上させる
  • 関係重視型リーダーシップ:フォロワーとのコミュニケーションを重視し、組織を円滑に運営する
  • 民主型リーダーシップ:組織の方向性をフォロワーとの対話で決定することで、積極性を引き出す
  • ペースセッター型リーダーシップ:リーダー手本となる高い業務遂行力を示すことで、フォロワーの能力を引き出す
  • 強制型リーダーシップ:緊急時など、早急な意思決定が必要な際に、フォロワーへ一方的な指示を行う

EQ型リーダーシップは、他のリーダーシップとは違い、人間関係やコミュニケーションなどを重視したリーダーシップスタイルです。そのため、コミュニケーションスキルなどを学ぶことで、誰もがリーダーシップのフレームワークとして活用することができます。まずは、フォロワーとの信頼関係を構築し、メンバーに必要なリーダーシップスタイルを見極めましょう。

参考:組織のリーダーとして成功を収めるにはEQ(こころの知能指数)が不可欠である ダニエル・ゴールマン 心理学者 | リーダーシップ|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

ファシリテーション型リーダーシップ

組織内において、リーダーが中立的な立場を取ることで、メンバーの率直な意見を引き出すように働きかけるリーダーシップが「ファシリテーション型リーダーシップ」です。ファシリテーション型リーダーシップを発揮するためには、メンバー一人ひとりの意見を尊重し、フラットな関係を築ける組織体系であることが求められます。また、ファシリテーション型リーダーシップにおけるリーダーには、多様性を認め、さまざまな意見を傾聴し、それらを一つにまとめる能力が必要です。

メンバー全員の主体性を養い、メンバー主導の組織づくりを行う際には、ファシリテーション型リーダーシップがフレームワークとして役立ちます。多様化が進み、さまざまなニーズが生まれている現代社会において、あらゆるメンバーの意見を取り入れるファシリテーション型リーダーシップは、大きな成果を生み出す可能性を持つリーダーシップスタイルであるといえるでしょう。

まとめ

リーダーシップにおけるフレームワークは、状況や環境などに応じて変化し続けています。さまざまなリーダーシップフレームワークを知ることで、自身の立場や環境にあった、リーダーシップの形を知ることができるでしょう。

また、リーダーシップとは、先天的に持った特性ではなく、後天的に身に付けられるスキルであると解明されています。つまり、誰もがフレームワークを理解し、スキルを学ぶことで、リーダーシップを身に付けることが可能です。自身がリーダーに向いていないと思われている方も、一度リーダーシップのフレームワークを学び、自身に合ったリーダーシップの形を探してみると良いでしょう。

 

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この記事の著者

あそぶ社員研修編集部

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