PDCAサイクルとは?具体例や各ステップのポイントをわかりやすく解説

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会社員として働いている人であれば、「PDCAサイクル」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。PDCAサイクルとは、業務の改善や効率化を図るためのフレームワークの1つです。

本記事では、まずPDCAサイクルとは何か、具体例とともにわかりやすく解説します。さらに、PDCAの各ステップで実行すること、PDCAサイクルの歴史、導入するメリットと注意点、PDCAサイクルが役立つ場面、PDCAサイクルで大きな成果を上げるためのポイントを紹介します

 

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PDCAサイクルとは何か?

PDCAサイクルとは、業務改善や効率化のためのフレームワークです。以下の4つのステップを繰り返し行います

  1. Plan(計画)……明確な目標を設定し、そのための計画を立案する
  2. Do(実行)……計画通り取り組み内容を実行する
  3. Check(評価)……実施した結果を評価・分析する
  4. Action(改善)……評価結果から改善案を検討する

大きな成果につなげるためには、この4つのステップをただ繰り返すだけでなく、徐々にレベルアップさせていくことが大切です。「円」ではなく「螺旋」を描くようなイメージで回していきましょう。

PDCAサイクルの具体例

PDCAサイクルとはどんなものなのかをイメージしやすくするために、具体的な活用例を見てみましょう。

営業

まずは、営業の売り上げを向上させたいときのPDCAサイクル活用例です。

【Plan(計画)】

  • 目標:前期よりも売り上げを10%向上させる。
  • 計画:営業の訪問件数を〇〇件/月に増やす。営業部の社員にコミュニケーション研修を受けてもらう。

【Do(実行)】

  • 営業部の社員には訪問件数を増やしてもらい、件数は月報で報告してもらった。
  • 営業部の社員には全員コミュニケーション研修を受けてもらった。

【Check(評価)】

  • 前期よりも売り上げを7%向上させることができたが、目標は達成できなかった。
  • 営業担当者の事務作業が多く、訪問件数を増やせなかった社員がいた。

【Action(改善)】

営業担当者の事務作業の負担を減らすために、来期は営業効率化ツールを導入してみよう。

事務

次に、オフィス用品や消耗品にかかるコストを抑えたいときのPDCAサイクル活用例です。

【Plan(計画)】

  • 目標:オフィス用品や消耗品のコストを先月よりも20%削減する。
  • 計画:コピー代や紙の使用量を減らすために電子化を進める。

【Do(実行)】

  • 会議資料を紙媒体で配布することをやめた。議事録もデータで共有してもらうことにした。
  • 電子請求書システムを導入した。
  • 社内の各種資料やマニュアルをデータ化した。

【Check(評価)】

  • ペーパーレス化を進めたことで、オフィス用品や消耗品のコストを先月よりも20%削減ができた。
  • すべての顧客が電子請求書に対応できるわけではないため、一本化が難しく、経理の負担が増えてしまった。
  • カラーコピーを少なくすればコピー代をもう少し削減できそう。

【Action(改善)】

  • 経理の請求書発行の負担を減らすために、どの顧客が電子請求書に対応しており、どの顧客が紙媒体を希望しているかリストにまとめる。
  • どうしても印刷しなければならない書類については、できるだけ白黒印刷を推奨する。

PDCAの具体例は、以下の記事で詳しく紹介しています。

PDCAの具体例を企業別・職業別に解説!各ステップの進め方・ポイントも紹介

PDCA各ステップで実行すること

ここからは、PDCAの各ステップを具体的にどう進めていけば良いのか、ポイントとともに解説していきます。

1.Plan(計画)

Plan(計画)でやるべきことは2つ、目標の設定と、その目標を達成するための計画の立案です

まずは、明確な目標を立てます。目標には、「売り上げを10%向上させる」というように数値で表した定量目標と、「チームワークを高める」というように状態を言葉で表した定性目標の2種類があります。定性目標だけだと、Check(評価)のステップで結果の評価・分析がしにくくなるので、できるだけ定量目標を設定することがポイントです。

次に、以下の手順で目標を達成するための計画を立てていきます。

  1. 目標を達成するためにやるべきことを羅列する
  2. どの順番で行うと最適かを考える
  3. 各項目にどのくらい時間がかかるかを見積もる

計画段階では、取り組み期間とスケジュールを明確にすることがポイントです。

2.Do(実行)

Do(実行)は、Plan(計画)で決めたことを実際に行動に移すステップです。できるだけ計画に沿って、取り組み内容を実施していきましょう。

次のCheck(評価)のステップで正しく結果を評価・分析できるように、活動記録を細かく残しておくことがポイントです。計画どおりに進まなかったことや、実行するなかで見えてきた新たな課題、計画どおりに進められたことや、予想外に得られた成果、良かったことなども記録しておきましょう。

3.Check(評価)

Check(評価)は、実行した結果を評価・分析するステップです目標を達成できたかどうか、計画どおり実行できたかどうかよりも、「なぜこのような結果に至ったのか」を正しく分析することがポイントです。

具体的には、以下のような点を振り返り、評価・分析します。

  • 目標は達成できたか
    →それは計画を実施したことで達成できたのか
  • 計画どおり取り組みを実行できたか
    →実施できなかった部分があれば、それはなぜできなかったのか
  • 成果はあったのか
    →あった場合はどのような成果か、それは取り組みを実行したことによるものなのか

目標を達成できなかった、計画どおり取り組みを実行できなかったという場合は、そもそも取り組んだテーマが適切だったか、目標やスケジュールは妥当だったか、実施項目に不足はなかったかといった点もしっかり振り返り、次につなげていきましょう。

Check(評価)については、以下の記事で詳しく紹介しています。

PDCAサイクルのCheck(評価)プロセスの実施方法とポイントを紹介

4.Action(改善)

Action(改善)は、評価を踏まえて改善案を検討するステップです

このステップでのポイントは、改善案に優先順位をつけ、優先度が高い、または高い効果が得られそうなものから実行していくということです。改善案が複数ある場合、すべて一度に実行しようとすると、社員の負担が多くなりパンクしてしまうかもしれません。優先順位をつけて、次の計画に盛り込むものを絞り込みましょう。

特に、目標を達成できなかった、うまくいかなかったという場合は、改善のために「追加で何かする」ことばかり思い浮かびがちですが、「何かをやめる」「何かを変える」ほうが効果的な場合もあります。社員の負担も考慮して、実行可能な改善案を打ち出すことが大切です。

また、目標を達成できた、うまくいったという場合は、さらなる改善を図ります。たとえば、今回うまくいったことを全社で実施できるように標準化を目指す、より高い目標を設定するなどです。より大きな成果を上げるにはどうすれば良いかを考え、次につなげていきましょう。

参考:PDCAサイクルとOODAループ – 厚生労働省(PDF)

PDCAサイクルの歴史

PDCAサイクルは、アメリカの統計学者であるW・エドワーズ・デミング氏により提唱されたといわれていますが、実はこれは間違いです。日本に定着しているPDCAサイクルは、デミング氏の「デミング・サイクル」という品質管理の考え方がもとにはなっていますが、誰が「PDCAサイクル」と名付け、現在の形にしたのかは、はっきりわかっていません。

ここでは、日本のPDCAサイクルの歴史と、PDCAサイクルの起源ともいえる概念を紹介します。

【1939年】シューハートの「3段階環状径路」

まずは、ウォルター・A・シューハート氏により提唱された「3段階環状径路」という概念があります。

19世紀末~20世紀前葉のアメリカ産業界では、「仕様」「生産」「検査」の3つのプロセスを直線的につなげた「テイラー・システム」が各地の工場で導入されていました。テイラー・システムは、“科学的管理法の父”とも呼ばれているフレデリック・W・テイラー氏が提唱した生産性改善の手法です。テイラー・システムは、作業者は専門家や技術者が作った技術標準と作業標準に従って、命令されたとおり仕事をすれば良いという考え方でした。

しかし、1920年代~1930年代になると、働く人の問題が製品の品質や企業の利益に大きく影響することが判明します。シューハート氏はこの点を重く捉え、「モノ」の品質だけを重視するテイラー・システムを批判し、1939年に「3段階環状径路」を提唱したのです。

3段階環状径路は、「仕様」「生産」「検査」を直線ではなくカーブでつなぎ、円形になっています。生産工程全体を検査対象とし、それぞれの工程に関与する人々の努力で改善し続けていくという考え方です。

【1950年】デミングの「デミング・サイクル」

シューハート氏の3段階環状径路をもとに、W・エドワーズ・デミング氏が新たに提唱したのが「デミング・サイクル」という概念です。

デミング氏は、シューハート氏の弟子でした。デミング氏は、シューハート氏の3段階環状径路は生産者の立場からの発想であり、品質管理のためには、これにさらに消費者の視点が必要であると考えたのです。そして、1950年に「行動」(市場調査)のプロセスを追加して、「4段階環状径路」としました。これが、「デミング・サイクル」と呼ばれているものです。日本のPDCAサイクルは、このデミング・サイクルから生まれたと考えられています。

のちに、このデミング・サイクルの各ステップにイニシャルが付けられます。しかし、それはPDCAではなくPDSAでした。

  1. Plan(計画)
  2. Do(実行)
  3. Study(検討)
  4. Act(行動)

【1981年】日本でPDCAサイクルが誕生

PDCAサイクルの正式な命名者や誕生時期は、はっきりわかっていません。しかし、日本でこの言葉を初めて使ったのは、東京大学教授の石川馨氏ではないかと思われます。石川氏は、シューハート氏やデミング氏の品質管理論を再構成し、TQC(全社的品質管理)の構築に貢献した人物です。

石川氏は、1981年の著書『日本的品質管理 TQC とは何か』の中で、デミング・サイクルの4段階4工程を、以下のとおり4段階6工程に再構成しています。ここで、Plan・Do・Check・Actionの名称がつけられています。

1.Plan

1.目的と目標を決める。

2.目的を達成する方法を決める。

2.Do

3.教育と訓練を行う。

4.仕事を実施する。

3.Check

5.実施した結果をチェックする。

4.Action

6.処置をとる。

参考:音楽教育における PDCAサイクル活用の視点と可能性(1/2) – 名古屋芸術大学(PDF)

PDCAサイクルの起源ともいえる概念

シューハート氏やデミング氏が環状径路を生み出すよりも前に、管理マネジメントの分野でもPDCAサイクルに似た概念が存在していました。フランスの経営学者、ジュール・アンリ・ファヨールらは、1916年に「管理」とは以下の5つの要素で成り立っていると定義しています。

  1. Plan(計画)……目標を設定し、戦略と計画を立てる
  2. Organize(組織)……計画を実行するための組織体を設計、または再構築する
  3. Command(指揮)……各部門への指示を出す
  4. Coordinate(調整)……コミュニケーションの促進、チームの編成などにより全体を調和させる
  5. Control(統制)……計画どおり実行できているか、定期的に評価・モニタリングする

PDCAサイクルを回すメリット

PDCAサイクルを回すことで、具体的にどのような効果が得られるのでしょうか。ここでは、PDCAサイクルを回し続けるメリットについて解説します。

事業が改善される

PDCAサイクルは、業務の改善や効率化を図るフレームワークです。回し続ければ、事業そのものが改善され、効率も良くなるでしょう。

大きな成果につなげるためには、明確な目標を設定し、現実的な計画を立てて実行することがポイントです。目標と計画を明確にすることで、社員が「自分のやるべきこと」を理解しやすくなります。また、具体的な数値目標があることで、仕事に対するモチベーションも維持しやすくなるでしょう。

また、目標を達成できた場合も、一度で終わらせずにPDCAサイクルを回し続けていくことが大切です。得られた成果があったとしても、それは計画を実行したことによるものとは限りませんし、計画を実行するなかで、これまで見えていなかった新たな課題が明らかになることもあります。結果を正しく評価・分析し、次の計画に反映させることで、事業をどんどん改善していくことができるでしょう。

社内にノウハウを蓄積できる

PDCAサイクルを回すことで、「うまくいった」という経験と改善のノウハウが社内に溜まっていきます。なぜうまくいったのかをしっかり分析し、それを標準化してチーム全体または組織全体で実施できるようにすれば、次からは偶然ではなく必然的にうまくいくようになります。

ノウハウを蓄積するには、Check(評価)のステップで、良かったこと・うまくいったこともしっかり評価することが大切です。これらを見逃さないように、Do(実行)のステップでは、日々の活動の記録をできるだけ詳細に残しておくようにしましょう。

PDCAサイクルを回すときの注意点

前項でお伝えしたように、PDCAサイクルを回し続けることでさまざまなメリットが期待できますが、PDCAサイクルにはデメリットもあります。PDCAサイクルを導入するときは、以下の点に注意して上手に活用しましょう。

PDCAサイクルは「手段」であることを忘れない

PDCAサイクルのデメリットの1つに、「形だけになりがち」ということが挙げられます。PDCAサイクルを回すこと自体が目的になってしまうというパターンです

確かにPDCAサイクルは回し続けることが大切ですが、ただ回し続けてさえいれば成果が得られるというわけではありません。課題や目的を理解し、「何のために取り組むのか」を意識しながら1つひとつのステップに取り組むことが重要です。PDCAサイクルは、目的を達成するための「手段」であるということを忘れないようにしましょう。

PDCAサイクルの特徴を理解して活用する

PDCAサイクルには、新たなアイデアやイノベーションが生まれにくいというデメリットもあります。PDCAサイクルは、業務の改善や効率化を図るためのフレームワークであり、現状や過去のデータをもとに目標を設定して計画を立てるためです。

また、PDCAサイクルは、現状の分析や取り組み実行後の評価を、じっくり時間をかけて行います。組織やプロジェクトの規模にもよりますが、年間、半期、四半期、月次など比較的長いスパンでサイクルを回すので、効果が得られるまでにある程度時間がかかるという特徴もあります。

次項で詳しく解説していますが、PDCAサイクルが役立つ場面とそうでない場面があるので、PDCAサイクルの特徴を理解し、しっかりと場面を見極めて効果的に活用することが大切です。

PDCAサイクルが役立つ場面とは?

PDCAサイクルは、具体的にどんな場面で効果的に機能するのでしょうか。こからは、PDCAサイクルが適している場面、適さない場面をそれぞれ解説します。併せて、PDCAサイクルが適さない場面に活用できるフレームワークも紹介します。

PDCAサイクルが適している場面

PDCAサイクルが適しているのは、以下の3つの条件が揃っている場面です。

  • 何を達成すべきか(目標)が明確である
  • 目標は中長期的なものである
  • 外部環境に左右されない状況である

たとえば、業務改善や効率化、品質向上、採用力強化、顧客満足度の向上といったテーマが当てはまるでしょう。

PCDAサイクルが適さない場面

逆に、PDCAサイクルがあまり効果的に機能しないのは、以下のような場面です。

  • 緊急性の高い課題がある
  • 新たなアイデアが欲しい、イノベーションを起こしたい
  • 外部環境に左右されやすい状況にある

このような場面には、「OODAループ」や「PDRサイクル」といったフレームワークが適しています。これらは、「PDCAに代わる新たなフレームワーク」として紹介されることも多いですが、どれも決して万能なフレームワークというわけではありません。それぞれの特徴を理解し、目的や状況に応じて使い分けることで、大きな成果が生まれやすくなるでしょう。

OODAループ

OODA(ウーダ)ループとは、アメリカ空軍のジョン・ボイド氏により提唱された意思決定のためのフレームワークです。以下の4つのステップの頭文字を取って名付けられました。

  • Observe(観察)……自社が置かれている状況を観察し、生データを集める
  • Orient(状況判断)……集めた生データから、現在どういう状況なのかを判断する
  • Decide(意思決定)……状況判断に基づき、何をするかを決める
  • Act(行動)……決めたことを実行に移す

OODAループは、PDCAサイクルのように4つのステップをアルファベット順に回していくのではなく、各ステップを同時並行的に、ときには戻りながら進めていきます。また、OODAループにはPDCAサイクルのPlan(計画)のように、目標の設定と計画の立案のためのステップがありません。そのため、決めたことを行動に移すまでが早く、PDCAサイクルよりも高速で回すことができるため、環境の変化にも対応しやすいという特徴があります。

OODAループについては、以下の記事で詳しく紹介しています。

PDCAサイクルとOODAループとは?2つの違い、メリット・デメリットを解説

PDRサイクル

PRDサイクルとは、ハーバードビジネススクールの教授であるリンダ・ヒル氏により提唱されたフレームワークです。以下の3つのステップを繰り返し、業務改善や効率化を図ります。

  1. Prep(準備)……これから何をするのか、その理由や目的を考える
  2. Do(実行)……準備したことを行動に移す
  3. Review(評価)……実行した結果を振り返り、評価する

PDCAサイクルと同じく「P」で始まりますが、PDRサイクルはPlan(計画)ではなくPrep(準備)です。目標設定や計画に時間を割かないスピード重視のフレームワークであるため、PDCAサイクルよりも環境の変化に対応しやすいという特徴があります。

また、PDRサイクルにも「評価」のステップがありますが、CheckではなくReviewとなっています。PDCAサイクルのCheckは、取り組みを実行した組織またはチームで結果を振り返り、評価・分析を行いますが、PDRサイクルのReviewは、第三者に客観的に評価してもらうことを意味しています。

PDCAサイクルで成果を上げるための5つのポイント

PDCAサイクルは、4つのステップをただ繰り返すだけでなく、以下の5つのポイントを押さえて、徐々にレベルアップさせながら回し続けることで、より大きな成果が期待できます。

  1. 目的を共有する
  2. 目標を明確にする
  3. PDCAを「見える化」する
  4. Check(評価)は定期的に行う
  5. 継続して回し続ける

1つずつ詳しく見てみましょう。

1.目的を共有する

PDCAサイクルの最初のステップはPlan(計画)です。目標を設定し計画を立てることですが、このステップに入る前にやるべきことがあります。それは、「動機づけ」です。

どんなに明確な目標を立て、良い計画を立てても、経営者や管理者だけではそれを実行することはできません。組織またはチーム全体で取り組むために、社員のモチベーションを高めておく必要があります。そのために、まず目的を全員に共有しましょう。これが、PDCAサイクルをスムーズに回す重要なポイントです。

目的と目標の違い

目的と目標の違いを整理すると、このようになります。

  • 目的:組織(または個人)が目指すもの
  • 目標:目的を達成するための要件を具体化したもの

たとえば、「自社のサービスでお客様を喜ばせたい」「地域社会にできる企業になる」といったものが目的で、これを達成するために「サービスの品質を向上させる」「利益を上げて地域活性化につながる新規事業を始める」といったものが目標です。

目的を共有せずに、いきなり「サービスの品質を向上させてくれ」「もっと利益を上げてくれ」といわれて、モチベーションが上がる社員はあまりいないでしょう。まずは目的を共有し、達成できたら自分たちにどんなメリットがあるのか、誰にどのような影響があるのかを、社員に理解してもらうことが大切です。

2.目標を明確にする

目的を共有して動機づけしたら、Plan(計画)のステップに入ります目標はできるだけ明確に、定量的な目標を設定しましょう。そうすることで、Check(評価)のステップで結果の評価・分析がしやすくなるだけでなく、社員一人ひとりがやるべきことを理解しやすくなり、仕事に対するモチベーションの向上も期待できます。

SMARTの法則

目標設定の際は、「SMART(スマート)の法則」を活用してみましょう。SMARTの法則とは、具体的な目標を設定するための手法で、以下の5つの基準の頭文字を取って名付けられたものです

  • Specific(具体的な)……誰が聞いても理解できるような具体的な目標か
  • Measurable(測定可能な)……達成度を測れる目標か
  • Achievable(実現可能な)……努力次第で現実的に達成可能な目標か
  • Relevant(関連した)……組織の目的や個人の利益との関連性はあるか
  • Time-bound(期限を定めた)……達成期限が定められているか

5つの基準すべてを満たす必要はありませんが、SMARTの法則を活用することで、明確な目標を設定しやすくなります。

KPI

Plan(計画)のステップでは、目標と計画だけでなく、KPIも設定してみましょう。KPIとは、Key Performance Indicatorの略称で、日本語では「重要業績評価指標」と訳されます。設定した目標に向けてのプロセスをどのくらい達成できたのかを測定するための指標です。

たとえば、「1ヵ月の売上を先月よりも10%向上させる」という目標があるとします。これを達成するために必要な要因を具体化したものがKPIです。営業であれば新規顧客数やアポイント数、商談数、受注数といった指標が考えられます。

KPIを設定する際も、目標と同じくSMARTの法則を活用しましょう。

3.PDCAを「見える化」する

PDCAサイクルは、経営者や管理者だけで回すことはできません。組織またはチーム全員で回していくために、PDCAを「見える化」する仕組みをつくり、目的や目標・計画、取り組みの過程、実施後の評価、改善内容を全員で共有しましょう

管理者と現場の社員との間でしっかりと情報を共有しておかないと、PDCAサイクルが円滑に回らなくなります。特に重要なのが、Do(実行)のステップです。進捗状況をタイムリーに確認できる仕組みをつくっておかないと、報告・確認に手間がとられるだけでなく、気づかないうちに方向性がズレていた、なんてことにもなりかねません。

営業支援ツールなどを導入して、PDCAサイクルを「見える化」することで、計画したことを確実に実行できるようになり、サイクルを回すスピードも上がるでしょう。

4.Check(評価)・Action(改善)は定期的に行う

Check(評価)とAction(改善)は、Do(実行)がすべて終わった後に行うものと考えられがちですが、進捗確認と取り組みの細かい調整は、定期的に行うことが重要です。そうすることで、方向性にズレがあったときも速やかに軌道修正ができるようになり、PDCAサイクルをよりスムーズに回せるようになります。

組織やプロジェクトの規模にもよりますが、たとえば以下のように振り返りの時間をスケジュールに組み込み、評価と改善を習慣化するのがおすすめです。

  • 1日の終わりの5分
  • 1週間の終わりの15分
  • 1ヵ月の終わりの1時間

また、Check(評価)のステップではどうしても「ズレがないか」「うまくいっていないところはどこか」ばかりを探してしまいがちですが、「うまくいったこと」や「良かった点」を評価することも大切です。これらをしっかり記録して残しておくことで、社内に改善のノウハウを蓄積できます。

5.継続して回し続ける

PDCAサイクルは、計画の立案や取り組み実行後の評価・分析を、じっくり時間をかけて行います。組織やプロジェクトの規模にもよりますが、比較的長いスパンでサイクルを回すので、成果につながるまである程度時間がかかります。一度きりで終わらせてしまわずに、中長期的な視点で根気強く回し続けていきましょう

目標を達成できたという場合も、PDCAサイクルを回し続ける中で、これまで見えていなかった新たな課題が見つかることもあるかもしれません。また、改善を繰り返せば繰り返すほど、ノウハウも社内に蓄積していけます。うまくできたことを標準化して、組織やチーム全体で実施できるようにすれば、さらに大きな成果を生み出せるでしょう。

PDCAサイクルは、うまくいった場合もうまくいかなかった場合も、徐々にレベルアップさせながら回し続けることが大切です。

参考:「ざっくりPDCA」(著者:株式会社HRインスティテュート / 出版社:秀和システム)

企業のPDCAサイクル導入事例については、以下の記事で詳しく紹介しています。

企業のPDCAサイクル導入事例8選!業績アップや効率化につなげよう

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まとめ

業務の改善や効率化に役立つフレームワーク、PDCAサイクルについて解説しました。ただやみくもに回し続けるのではなく、各ステップのポイントを押さえて、「なんのために取り組むのか」をしっかり認識しながら回し続けることで、成果を生み出しやすくなります。

PDCAサイクルは、じっくり時間をかけて計画づくりや評価を行うので、効果が得られるまでにはある程度時間がかかります。そのため、緊急性の高い課題の解決には適していません。また、現状や過去のデータをもとに目標を設定して計画を立てるため、新たなアイデアやイノベーションは生まれにくいという特徴もあります。PDCAサイクルだけでなく、どんなフレームワークにもメリット・デメリットがあり、適した場面とそうでない場面があります。特徴を理解して、目的や状況に応じて上手に活用することが大切です。

 

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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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