PDCAの具体例を企業別・職業別に解説!各ステップの進め方・ポイントも紹介

2023.09.27

PDCAは、生産性を高めるためのフレームワークです。ビジネスパーソンに広く知られており、一度は取り入れたことがあるという企業も多いのではないでしょうか。しかし、PDCAをうまく活用できず「あまり役に立たない」と思われてしまうこともあるようです。

実際は、PDCAはどのような組織・職種でも使えて汎用性が高く、改善のノウハウが蓄積されるとともに環境の変化に柔軟に対応できる有効な手法です。

今回は、PDCAとはなにか、うまく使いこなせない理由・注意点、各ステップの進め方・ポイント、企業別・職種別の具体例を紹介します

 

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PDCAとは

PDCAは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の4つのステップを繰り返し、業務改善や効率化を図る手法です。この一連の循環を繰り返すことで、継続的に成長していく点が PDCAサイクルの特徴です。

PDCAのポイントは、ただサイクルを回すだけでなく、改善を通して徐々にブラッシュアップを図っていくことです。PDCAを回すことで、改善のノウハウが蓄積されるとともに、環境の変化に柔軟に対応できるようになります

一般的には、製造業の工程改善やマネジメントの手法として活用されていますが、あらゆる会社や組織、また個人でも活用できるフレームワークです。

PDCAの概要については、以下の記事で網羅的に紹介しています。

PDCAサイクルとは?具体例や各ステップのポイントをわかりやすく解説

ここからは、それぞれのステップについて、簡単に見ていきましょう。

P:Plan(計画)

まずは、目標の設定とそのための計画づくりをします。ここで行うのは、最終的に到達したいゴールを決め、次にゴールに到達するための方法を決めることです。例えば山登りであれば、どの山に登りたいのか、いつまでに誰とどのような手法で登るのかを決めます。

計画を立てないとなにも始まりませんが、ここに時間がかかりすぎて動き出せないと意味がありません。わからないことについては仮説を立て、動きながら計画の精度をあげることも重要です。

D:Do(実行)

計画が決まったら実行に移ります。計画段階で、ゴールに到達するための方法を決めているので、このステップでは具体的な行動に落とし込んで実施します。ここで重要なのは、行動をできるだけ具体的なタスクに落とし込むことです。例えば「山に登るための体力をつける」ではなく「毎日朝7時に3キロジョギングをする」「毎週日曜日の午後5時からジムにいく」などスケジュールに組み込めるところまで明確にします。

C:Check(評価)

実施した結果を評価し、分析を行います。計画も実行も仮説にすぎません。それがゴールに向かうにあたり最適かどうかは、定期的に検証する必要があります。山登りの例であれば、体力はもう十分についており、それよりも装備を整えた方がいいかもしれません。もっと効率的な方法はないか、他に実行するべきことはないかなど、客観的な問いを持つことが求められます

A:Action(改善)

評価結果から、改善や対策を行い、次の計画につなげます。このステップで実行することは4種類あります。

ゴールレベルの調整

ゴールを変えたり、目標の期日を先延ばししたりする場合。ここまでに実行したPDCAは中止し、新たなPDCAが回り始めます。山登りの例であれば、富士山ではなく八ヶ岳に登る、登頂を1ヶ月後から3ヶ月後に延長する、など。

計画レベルの大幅な調整

いままで見えなかった課題が顕在化した場合。山登りなら、山小屋が使えないことが発覚したから山小屋を使わないルートに変更する、など。

解決案や行動レベルの調整

実行サイクルの微修正。計画は変えずに、実行することの優先度を変えたり、方法をブラッシュアップしたりします。山登りなら、体力づくりのジョギングをやめて筋トレをする、など。

調整不要

検証した結果、全てが順調に推移している場合。それまでに行ってきたことを継続します。

この一連のステップを繰り返し、より確実に効率的に目的の達成に近づいていきます。

参照:PDCAサイクルを実践して 生産性を高めよう│厚生労働省

参照:冨田和成(2016)『鬼速PDCA』(株式会社クロスメディア・パブリッシング)

PDCAをうまく使いこなせない理由・注意点

前の項目で見たように、PDCAは非常にシンプルなフレームワークです。しかし、使いこなせている組織は意外と多くありません。ここでは、なぜPDCAを有効活用できないのか、理由を解説します。

地道に継続することができていない

PDCAはシンプルで汎用性の高いフレームワークであるがゆえに、地味な印象を持たれやすく、他の手法と比較して軽視する人も少なくありません。しかしPDCAは一度サイクルを回せば終わりでなく、継続することでブラッシュアップしていくものです。

管理者向けのフレームワークだと認識している

PDCAは統計学者のウィリアム・エドワーズ・デミングが品質管理のために考案した手法であり、経営やプロジェクトマネジメントに絶大な効果を発揮します。そのため、マネジメント層以外には関係ないと思う方もいるかもしれません。しかしPDCAは対象を選ばず、どのような立場の仕事でも活かせます。

失敗するのはC(評価)が甘いからだと認識している

PDCAと聞いて「検証を定期的にきちんと行えないためにうまくいかない」と考える人は多いようです。しかし実際は、P(計画)を曖昧にしか立てておらず、振り返りが大雑把になっているケースがほとんどです。逆に言えば、綿密で定量的な計画を立てることができれば、PDCAは成功すると言っても過言ではありません。

いっときの改善が見られたら終了してしまう

どのような組織も、なにか問題が起きたら、知恵や知識を総動員して事態を解決します。しかしPDCAは、トラブルが起きたときにだけ活用すればいいというわけではありません。PDCAの強みは、最終的なゴールを達成するために、業務をブラッシュアップし続けることです。いっときの改善だけで終わるのはもったいないことです。

参照:冨田和成(2016)『鬼速PDCA』(株式会社クロスメディア・パブリッシング)

各ステップを進めるポイント

ここでは、それぞれのステップを実施するにあたってのポイントを詳しく解説します。

P(計画)のポイント

目標を明確にする

目標が明確に設定できていないと、評価が曖昧になります。また目標の立て方次第で、計画の内容が異なってきます。明確な目標とは、定量的なゴールです。定量的にすることで、進捗具合が確認しやすくなり、PDCAの精度をあげることができます

  • NG例:社員の定着率を向上する
  • OK例:社員の定着率を、昨年と比べて10%向上する

期間を明確にする

目標とともに、取り組む期間を設定することで、具体的なアクションにつなげることが容易になります。また、期日が1週間後なのか半年後なのかで、実行する内容も変わってきます。

D(実行)のポイント

できるだけ計画通りに実行する

いざ計画を立てても、行動に移せなければ意味がありません。しかし実際は、計画に自信がなかったり、後ろ倒しにしたりして、計画通りに進まないことはよくあります。ここでは「そもそも正解などない」「失敗してもまた改善すればいい」と発想を変えて、まずは行動することが重要です

活動記録を残す

Do(実行)したことは、この次のCheck(評価)ができるように、しっかり記録を残しましょう。手帳やノート、TODO管理アプリやエクセルなど、手法はなんでもかまいませんが、こまめに更新できるように使いやすいものがいいでしょう

うまくいかなかったケースや課題も記録する

実行したこと、計画通りに進んだことだけではなく、できなかったことや想定外の事態なども残しておきましょう。正しい記録がなければ、評価や改善も正しく行えないおそれがあります。

C(評価)のポイント

計画通り実行したかを評価する

まずは、計画通りにできたかを確認します。できなかった場合は、その要因を突き止めます。十分な時間をかけたか、かけても実行しきれなかったならなぜなのか。それとも時間をかけられなかったのか。「なぜ?」を繰り返して、課題を深堀りします

成果があったのかを評価する

計画通り実行した結果、想定する成果が出たかどうかを評価します。成果につながっていない場合、5W1Hの切り口で、課題を突き止めていきましょう。

【5W1Hで課題を突き止める質問例】

  • 「この時間・時期だったから問題だったのでは?」
  • 「この地域だったから問題だったのでは?」
  • 「この人だったから問題だったのでは?」
  • 「この情報だったから問題だったのでは?」
  • 「このターゲットだったから問題だったのでは?」
  • 「このコミュニケーションだったから問題だったのでは?」

また、成果があった点やその要因も分析しましょう。

ゴール・計画は妥当だったのかを評価する

実行した結果、目指していたゴールや、その計画を見直すこともあります。ゴールを見直す場合、選択肢は中止・変更・追加の3つです

また、ゴールは妥当でも、計画を修正した方がいいこともあるでしょう。ただし「想定通り実行できなかったから計画を見直す」というのは早計です。正しく検証するには、十分な実行が必要です。例えば電話を30件かけるという計画だったのに、10件しかかけられなかった場合、計画を見直す前に、できなかった要因を分析する方が先となります。

A(改善)のポイント

うまくいったことはさらに改善し、継続する

改善というと、うまくいかなかったことにフォーカスされがちですが、うまくいったことも同じくらい重要です。できたことは「なぜいい成果につながったのか」を分析し、手段と結果の因果関係を考え、さらにいい手法を検証して加えていきましょう。

うまくいかなかったことは改善案を検討して次の計画に反映する

検証結果を踏まえて、調整案を考えます。検証の段階で、計画通りにできなかった要因や成果の出なかった要因を分析しているので、ここではそれを引き継ぎ「どうやったらできるようになるか」を考え、リストアップしていきます

改善案が複数ある場合は優先順位をつける

リストアップした改善案が多くて、全てを次につなげるのが難しいなら、インパクトの大きいものやすぐに実行できるものに絞りましょう。PDCAで肝要なのは、次のサイクルにつなげることです。できるだけ早く次のP(計画)へ移行しましょう。

参照:PDCAサイクルを実践して 生産性を高めよう│厚生労働省

参照:冨田和成(2016)『鬼速PDCA』(株式会社クロスメディア・パブリッシング)

PDCAを活用する具体例【企業別】

続いて、実際にPDCAを実施している企業について見ていきましょう。具体例を知ることで、自社に取り入れるイメージがわきやすくなります。

トヨタ

日本を代表する会社であるトヨタ。その仕事の進め方は「トヨタ式」と呼ばれ、他企業でも参考にされています。トヨタ式のポイントは「始めたことはやりきる」「中途半端にしない」「フォローを怠らない」の3つ。フォローを重視し、改善を続けるやり方はPDCAF

(フォロー)と言われています。

トヨタ式で、もっとも時間をかけるのがP(計画)です。「なぜ」を5回繰り返して考えるという話は有名です。また計画を進めるにあたり、真摯で具体的な議論を交わします。

他のステップについても、もちろん手を抜きません。一つひとつの工程を徹底するところが、トヨタの強さと言えるでしょう。

  • P(計画)……問題を深掘りし、推測や思い込みを取り除いて計画を立てる。
  • D(実行)……反対や障害があっても断行する。とにかく実行する。とことん実行する。
  • C(評価)……結果を現地現物で見届ける。
  • A(改善)……問題があれば改善する。
  • F(フォロー)……いい改善ができれば標準化したり、他部署に展開したりする。失敗した場合は失敗のレポートを書いて共有する。

あえて困難に挑み、再挑戦の糧にした「クラウン」開発

トヨタのPDCAがよくわかる具体例の一つが、1957年「クラウン」アメリカへの輸出です。

当時の担当者はアメリカに視察に行き「いま日本車の実績をつくらなければ市場から締め出される」と危機感を抱きました。ほとんどの役員が時期尚早と反対するなか、商売はタイミングが必要であると説得し、計画を進めました。

結果は失敗。当時のクラウンは、アメリカで走るには馬力が足りず、販売は振るいませんでした。しかしこの経験を糧に、トヨタは対米輸出を意識した開発を続け、1967年にはカローラをベストセラー車にすることに成功しました。

参照:桑原晃弥(2016)『トヨタのPDCA+F』(株式会社大和出版)

無印良品(良品計画)

無印良品を展開する良品計画も、PDCAを活用している会社として知られています。2001年に社長に就任し、2年でV字回復を実現した松井忠三前会長は、無印良品にマニュアル「MUJI GRAM(ムジグラム)」を導入しました。

そのきっかけは、新店出店の際に起きた出来事でした。他店のベテラン店長が応援に来て売り場を直したのはよかったものの、その後に別の店長が来てまた直し始め、現場は混乱しました。100人の店長がいると、売り場づくりは100通りになる。そうではなく、誰が店長であってもベストの売り場がつくれるマニュアルが必要だ、と松井前会長は気づき、生み出したのが「MUJI GRAM」です。

PDCAで変化し続ける「MUJI GRAM」

MUJI GRAMには、店舗を運営するノウハウの全てが収められています。店では、誰もがマニュアルに沿って仕事をします。しかし、MUJI GRAMは絶対不変のものではありません。

社員が仕事をするなかで気づいた改善案は、店舗の端末から提案することができ、それが承認されるとMUJI GRAMが書き換えられます。この現場からの意見により、年間約12%が改訂。社員が自発性にPDCAを回し、常に最新の状態にアップデートしているのです。

参照:松井忠三(2017)『無印良品のPDCA』(毎日新聞出版)

ミートショップなかえ

PDCAを活用しているのは大企業ばかりではありません。「ミートショップなかえ」は、滋賀県大津市に店舗を展開する老舗のお肉屋さんです。近江牛の販売を中心に、地元の顧客を大事にし、地道な経営改善を続けています。

大津市は人口が増加傾向にあり、競争は激化。売上は近年ほぼ横ばいで、顧客開拓や従業員の効率的な管理が必要となっていました。

新たな取り組みで課題を解決

なかえが行った具体的な取り組みは、以下の3点です。

  • 若年層の顧客獲得を狙い、LINEを活用。二次元バーコード入りのPOPカードや包装紙を使った販促をスタートした。
  • 家族連れの顧客をターゲットに、クーポンなどを詰めたガチャマシーンを店頭に設置。
  • 店舗にカメラを据えつけ、タブレットやスマホから店内の様子を確認できるようにした。これにより経営者が出先から遠隔で指示を出せるようになった。

これらの取り組みは好評で、売上目標を達成することができました。そこでさらに、LINEによる積極的な情報発信、ガチャマシーンを使ったミニイベントの開催、他店舗へのカメラ設置などの改善案を検討しています。

参照:PDCAサイクルを実践して 生産性を高めよう│厚生労働省

企業のPDCAサイクル導入事例については、以下の記事で詳しく紹介しています。

企業のPDCAサイクル導入事例8選!業績アップや効率化につなげよう

PDCAを活用する具体例【職種別】

ここでは、職種別にPDCAを有効活用する具体例を見ていきましょう。

営業職編

まずは目標を設定し、その達成のための計画を立て、行動を見直しブラッシュアップしていきます。スピードを求められる実際のビジネスシーンでは、複数のD(実行)を同時に進めることも多いでしょう。

目標:半年以内に、同期の営業職のなかで1番の営業成績を出す

P(計画):3ヶ月後の新規開拓数を現在の2倍にする
D(実行):1ヶ月の新規顧客の商談件数を現在の2倍にする
C(評価):電話をかけても、出る相手が受付で、すぐに断られてしまう
A(改善):電話をかける時間帯を変える

D(実行):電話を始業前や夜にかける
C(評価):さまざまな人と話せるようになったが、会話が続かない
A(改善):相手にすぐにメリットが伝わるトークを考える

D(実行):一言で自社のメリットが伝えられるようになり、アポイント数が増えた
C(評価):アポイントが増えた結果、電話をかける時間が減った
A(改善):時間を有効に使うためにWEBでの商談を増やす

販売職編

続いて、アパレルの販売職を想定した具体例を見てみましょう。

目標:半年以内に、近隣エリアの店舗のなかで売上を1位にする

P(計画):3ヶ月以内に客単価を1.5倍にする
D(実行):購入を検討している客に声かけをし、商品をもう1つ提案する
C(評価):客との会話が弾まず、提案ができない
A(改善):会話が上手な店員に、声かけの仕方を教えてもらう

D(実行):客との会話が増え、提案できる機会が増えた
C(評価):提案商品に対する客の反応があまりよくない
A(改善):トレンドやおすすめ商品を勉強する

D(実行):提案商品の販売が増える
C(評価):単価が目標に到達しない
A(改善):より単価の高い自社ブランド商品を積極的に提案

事務職編

事務職も進め方は同じです。どのような職種や状況にも活用できるのが、PDCAの特長です。

目標:残業時間を3ヶ月後に半分に減らす

P(計画):現在業務にかかっている時間を、1ヶ月後に80%削減
D(実行):なににどのくらいの時間がかかっているのか記録する
C(評価):他部署からの問い合わせ対応にもっとも時間がかかっていることが判明
A(改善):よくある問い合わせ内容をまとめたマニュアルを作成

D(実行):マニュアルをリリース
C(評価):他部署でマニュアルがあまり浸透せず、問い合わせが減らない
A(改善):各部署のリーダーにマニュアルについて告知

D(実行):問い合わせが減り、時間ができたため、他の業務改善に取り組む
C(評価):複雑な業務を手作業で行っていることが判明
A(改善):よりスピーディーにミスなく作業できるシステムを導入

まとめ

PDCAは、多くのビジネスパーソンに知られている、業務改善のためのフレームワークです。しかし、シンプルであるために他の手段に目移りされてしまったり、物足りないと思われてしまったりして、うまく活用されていないケースが少なくありません。

PDCAは、回し続けることで業務をブラッシュアップし、ゴールに近づいていく考え方であり、どのような組織でも活かせる汎用性の高いフレームワークです。

実際にPDCAを通じて業務改善を行っている企業や、場面ごとの具体例を知ることで、PDCAに対する思い込みを廃し、有効活用できるようになります。仕事を前進させるツールとしてPDCAを使っていきましょう。

 

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この記事の著者

あそぶ社員研修編集部

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