社会基礎力とは?構成要素や必要性、高めるために必要なこと

2023.09.26
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    • 社会人基礎力

経済産業省が2006年に提唱した社会人基礎力は、企業の採用活動や研修活動において注目を集めています。また、社会人基礎力は時代の流れに応じて進化し、「人生100年時代」に対応するために、2018年には新たな視点が追加されました。

本記事では、社会人基礎力とは何か、3つの能力と12の能力要素、企業が取り入れる必要性、社員の社会人基礎力を高めるために必要なことについて詳しく紹介します

 

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社会人基礎力とは

「社会人基礎力」とは、「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)から構成される能力のことです。「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として経済産業省が2006年に提唱し、近年、企業における採用プロセスや入社後の人材育成において重視されています

「社会人基礎力」は、どのような組織・企業においても、人材が自らの能力を最大限発揮するための基礎力といわれています。人材としての「基盤(OS)」ともされる概念で、社会人として必要、かつ初期から身に付けておくべき能力です。

なお、同じく人材の「基盤」と呼ばれるものには、「キャリア意識/マインド」などが該当します。

社会人基礎力における3つの能力と12の能力要素

経済産業省によると、社会人基礎力は大きく3つの能力に分類され、さらに各能力は「12の能力要素」に分かれます。それぞれについて見ていきましょう。

【社会人基礎力の3つの要素と12の能力要素】

出典:社会人基礎力に関する緊急調査|経済産業省(PDF)

前に踏み出す力(アクション)

1:主体性

指示を待つのではなく、自らやるべきことを見つけて積極的に取り組める力です。具体的には以下のような能力があります。

  • 物事に進んで取り組む力
  • 変化に前向きに対処する力
  • 範囲を限定せずに主体的に動く力 など

主体性は周囲の状況を把握し、積極的に学んだり必要な行動を起こしたりすることにつながります。

2:働きかけ力

他人に働きかけ巻き込む力のことです。「やってみよう」と呼びかけ、目的に向かって周囲の人々を動かしていくことで、具体的には以下のような要素や能力があります。

  • 協業力
  • ネットワーキング行動
  • 多様な人たちとの繋がり
  • パートナー力
  • 相手との壁を越えて多様性を活かす対話力
  • 人間関係資本
  • 関係構築能力
  • 異文化集団に飛び込み(混沌、未知、異文化を受け入れ)信頼を勝ち得る(周囲を巻き込む)力 など

働きかける力があれば、チームメンバーが持っている力を合わせ、強みを生かし合いながら仕事をこなせます。

3:実行力

目的を設定し確実に行動する力です。言われたことをやるだけでなく、自ら目標を設定し、失敗を恐れず行動に移し、粘り強く取り組む力を指し、具体的には以下のような能力があります。

  • 詰める力
  • やり切る力
  • 組織に隷属せず高い志を持ちピンで立てる力
  • チャレンジする力 など

目標を設定する際は、少し高めの目標とすることで、行動する際に「達成のために必要なことは何か」「どう工夫するべきか」などの成長につながる行動を模索します。

前に踏み出す力(アクション)については、以下の記事で詳しく紹介しています。

社会人基礎力「前に踏み出す力」とは?3要素、メリット、伸ばす方法を解説

考え抜く力(シンキング)

4:課題発見力

現状を分析し目的や課題を明らかにする力で、例えばプロジェクト目標に対して、「目標達成のためにはここに問題があり、解決が必要だ」と提案する力を指します。具体的には以下のような能力があります。

  • 問題発見能力
  • システムとして物事を考える力
  • ソーシャルとビジネスを融合する力
  • 見えない課題が見える力 など

課題を発見するだけでなく、その解決方法まで考えていくとことが重要です。課題を解決する方法が見つからないこともあるかもしれませんが、解決策を探す姿勢を持つことが今後の成長につながります。

5:計画力

課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力で、例えば課題の解決に向けた複数のプロセスを明確にしたうえで、「その中で最善のものは何か」を検討、それに向けた準備をすることです。具体的には以下のような能力です。

  • 高い倫理観を持ち正しい選択をする力
  • 詰める力
  • 金融的投資能力
  • 未来を予想する力 など

計画を立てるうえで重要なのは、自分の力量に応じた段取りやプロセスを組むことです。身の丈に合わない計画では適切なプロセスを構築できず、意味がありません。しかし一方で、現在の力量で遂行できる計画ばかりでは成長につながりませんので、少し厳しい計画を立てることで、自分自身を進化させていくことが大切です。

6:創造力

新しい価値を生み出す力で、例えば既存の発想にとらわれず、課題に対して新しい解決方法を考えることです。具体的には以下のような能力です。

  • 抽象思考力
  • 価値判断力 など

新しいアイデアや価値観を生み出すのは簡単なことではありません。普段から物事を多角的にとらえることや、多くの情報を集める姿勢を持ちます。仮に小さなアイデアやちょっとした思いつきでも大切にしましょう。組み合わせ次第で大きなイノベーションに結びつくかもしれません。また、今までのやり方を疑う姿勢も求められます。

考え抜く力(シンキング)については、以下の記事で詳しく紹介しています。

社会人基礎力「考え抜く力」とは?3つの能力要素、鍛え方や、低下させる要因を解説

チームで働く力(チームワーク)

7:発信力

自分の意見をわかりやすく整理し、相手に理解してもらうように的確に伝える力です。例えば、相手の理解度や立場に応じた説明ができることや、グラフや表を用いる工夫などが該当するでしょう。また、相手の立場を想像することや、相手の理解を深めるためのコミュニケーションも重要です。

8:傾聴力

相手の意見を丁寧に聴く力で、例えば相手の話しやすい環境をつくり、適切なタイミングで質問するなど相手の意見を引き出すことです。

相手の話を引き出す質問をするためには、話の意図や要所を理解することが必要です。そのためには自分自身の知識もなくてはなりません。

9:柔軟性

意見の違いや立場の違いを理解する力で、自分のルールややり方に固執するのではなく、相手の意見や立場を尊重し理解することです。時には自分のやり方と異なる場合もあるかもしれませんが、相手の意見を理解し受け入れることによって、より豊かな対話や意見交換が実現するでしょう。

柔軟性を深めるためには、自分と異なるバックグラウンドや世代の人との付き合いや対話が有効です。

10:情況把握力

自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力で、チームで仕事をするとき、自分がどのような役割を果たすべきかを理解しながら動くことです。チーム内の助け合いは仕事をするうえで必須です。チームメンバーの様子を観察し、「自分が力になれるか」「果たすべき役割はあるか」を判断し、必要に応じて積極的に動きます。

情況把握力については、以下の記事で詳しく紹介しています。

情況把握力とは?状況把握力との違い、高めるメリット・方法を紹介

11:規律性

社会のルールや人との約束を守る力です。状況に応じて、かつ、社会のルールに則って自らの発言や行動を適切に律します。単にルールを守るだけでなく、自分の仕事対して真摯に取り組むこと、メンバーや社外の関係者に対して礼儀正しくふるまうことなども含まれます。社会人として重要な力で、この能力が欠けていると周囲の信頼を得づらくなります。

12:ストレスコントロール力

ストレスの発生源に対応する力で、ストレスを感じることがあっても、成長の機会だとポジティブに捉えて肩の力を抜いて対応することです。仕事の負荷や上司の叱責を成長や学びの機会と捉え、前向きなエネルギーに転換するマインドを持ちましょう。

チームで働く力については、以下の記事で詳しく紹介しています。

社会人基礎力「チームで働く力」とは?概要と高める方法を紹介

人生100年時代の社会人基礎力

出典:人生100年時代の社会人基礎力について|経済産業省(PDF)

「人生100年時代」とは、漫然と長生きすることではないとされます。内閣主導で推進していた人生100年時代構想会議では「高齢者から若者まで、全ての国民に活躍の場があり、全ての人が元気に活躍し続けられる社会、安心して暮らすことのできる社会をつくることが重要な課題」としていました。

個人はこれまで以上に長く、各ライフステージで活躍し続けることが求められるため、年齢に関わらず学び、主体的にキャリアを形成していかなければならないでしょう。より長期的なキャリアを生成していくためには、全ての年代で社会人基礎力を意識していくことが求められ、重要性がこれまで以上に高まります。

このような時代の変化を踏まえて「人生100年時代の社会人基礎力」として、上述した3つの能力に加え、次の視点が新たに加わりました。

1.【目的】どう活躍するか

自己実現や社会貢献に向けて、企業内外で主体的にキャリアを切り開いていく視点です。企業外には家庭、社会への貢献、もしくは自己実現などがあります。

アンケート調査から見える現状の課題

経済産業省の「新・社会人基礎力(仮称)アンケート調査結果」によると、5年後10年後に「実現したい仕事」や「キャリアへの希望」があると回答したのはわずか半数にとどまっています。 希望がない理由として、

「時間的・心理的余裕がない」という回答が約6割に上っています。

また、キャリアを企業に依存できないフリーランスには「セルフブランディング力」も重視されます。今後は企業に属す人材であっても、キャリアを企業に依存しないキャリア自律が求められるといえます。

2.【学び】何を学ぶか

学び続ける力のことで、社会人としての「基盤」であるキャリア意識やマインドセットを絶えず持ち続けます。かつ、社内や業界等の特性に応じた能力を磨いていきます。例えば新入社員であれば・自らが付加価値を生み出すための学びはなにか考えますし、中堅社員であれば「強みを伸ばし、弱みを克服する学びはなにか」のような視点で学ぶことを選択していきます。

アンケート調査から見える現状の課題

経済産業省の同アンケート調査によると、働き手は約7割が「スペシャリスト」を志向しています。にも関わらず、今実際に将来取り組みたいこととして上位に上がっているのは「趣味や生活に関する学び」でした。理想のキャリアパスであるスペシャリストになるためには「大学院進学等のための自己啓発休業」が重要ですが、該当項目への取り組みたいと回答した割合は最も低かったのです。

働き手自身の「理想のキャリアパス」と「学び直す内容」にギャップが存在していることが見て取れます。

3.【組合せ】どのように学ぶか

リフレクションと体験・実践、多様な能力を組み合わせる視点です。上記3つのバランスをとりながら、個人が自律的にキャリアを切り開いていくことが重要です。

アンケート調査から見える現状の課題

兼業・副業、独立、転職などの選択肢が考えられます。しかし経済産業省の同アンケート調査によると、全年代において「兼業・副業志向」は高いものの、「独立志向」は低い割合です。また転職については、若い世代は「入社後の待遇」に不安を感じ、年代が上がると「自分の専門性が活かせるかどうか」に対する不安が高まります。さらに「学び直し」については若いほど意欲が高いものの、長時間労働や費用負担に課題を感じています。

多様な体験や実践への意欲があっても、行動につなげるためには心理面や経済面での課題があることがわかります。

出典:新・社会人基礎力(仮称)アンケート調査結果|経済産業省(PDF)

企業が社会人基礎力の考え方を取り入れる必要性

社会人基礎力の考え方を企業が取り入れ、従業員へのサポートを行う必要性を紹介します。。

1.社員エンゲージメント向上における必要性

社会人基礎力を高めるサポートを行うことで能力が高まれば成長を実感しますし、より重要な仕事を任せられるようになることで承認欲求も満たされます。それらによって「働きがい」の向上が見込まれますし、企業と従業員の信頼関係強化にもつながります。また、エンゲージメント向上による人材定着も期待できます。

社会人基礎力を高めるサポートは、結果として多様な人材が継続して学び働ける場を提供することにもつながるため、企業としての多様性を確保することもできるでしょう。

2.人材育成における必要性

経済産業省の「社会人基礎力に関する緊急調査」によると、特に、「働きかけ力」「課題発見力」「ストレスコントロール力」について、企業が求める人物像と若手社員の能力の間にギャップがあるとされています。

若手社員に不足している能力に重点を置いて人材育成をすることで、社員のスムーズなキャリア形成に寄与します。また、キャリア自律への支援にもつながります。

なお、前章「【学び】何を学ぶか」の部分で述べた「理想のキャリアパス」と「学び直す内容」のギャップについても企業側が理解することで、従業員にとって価値のある人材育成を提供できるでしょう。

出典:社会人基礎力に関する緊急調査|経済産業省(PDF)

3.採用活動における必要性

社会人基礎力の能力要素を知り採用活動に取り入れることで、採用要件を策定する際に求める人物像が明確になります。求める人物像を明確化することは選考で人材を見極める際にも役立ち、入社後に活躍できる人材の確保につながります。明確化は、採用プロセスの効率化にもつながるでしょう。

参考:大学生の「社会人観」の把握と「社会人基礎力」の認知度向上実証に関する調査|経済産業省(PDF)

社員の社会人基礎力を高めるために必要なこと

社員の社会人基礎力を高めるためには、個人のキャリア自律が必要である一方、企業がそれをサポートすることも重要です。上述のように、社員の主体性やモチベーションが向上して成長を促進し、社員から企業に対するエンゲージメント(貢献意欲)の向上にもつながるからです。

以下では、経済産業省が公開している資料「人生100年時代の社会人基礎力について」を参考に、「個人が主体的に行うこと」、「企業ができるサポート」について紹介します。

出典:人生100年時代の社会人基礎力について|経済産業省(PDF)

 

1.個人が主体的に行うこと

個人が取り組むべきこととして以下があります。

  • キャリアの棚卸
  • 継続的な学び
  • 体験総量を増やす
  • 没頭・越境体験
  • リカレント教育
  • 人的ネットワークの構築

これらによって自らのキャリアと向き合い、主体的なキャリア構築が叶うでしょう。従業員が主体的に業務に取り組むことやモチベーションアップにもつながると考えられるため、企業にとってもメリットがあります。

2.企業ができるサポートの意義

個人が主体性にできることは数多くありますが、完全に個人(従業員)で行おうとすると「学びを提供する場所を調べる」「申し込み方法や日程を調べる」「仕事の調整を行う」など、大変な労力が必要となります。

企業側から情報提供や仕事の調整ができる制度を整えるなどすれば、従業員が行動しやすくなるでしょう。これは「人生100年時代の社会人基礎力」の「1.【目的】どう活躍するか」で述べた時間的・心理的余裕のなさや、「3.【組合せ】どのように学ぶか」で述べた行動を阻む心理面や経済面での課題解決に寄与します。

3.企業ができる具体的サポート

企業側は、従業員が主体的なキャリア構築できるように、以下のサポートに取り組めます。

人事配置・評価報酬システムの見直し

  • 既存の型にはまらない人材配置で適所適材の実現。職務を明確化し、能力や業務による公平な評価報酬システムの構築など。

柔軟な人事制度、人材活用方針

  • 柔軟な勤務時間・出勤形態などで多様な人材が働きやすくなるようする。

タスク分解などの経営・業務改革

  • 業務の無駄を廃したり、個々の業務の最適化を図ったりすることで業務効率化を目指す。長時間労働や残業の削減で、従業員が学べる時間を確保。

個人のキャリア自律を理解し、支援する体制

  • 社会人基礎力の新たな要素(どう活躍するか、何を学ぶか、どのように学ぶか)の視点も盛り込んだ研修。社外の学びでも費用補助を行うなど。

オープンイノベーションのための社内外の活躍の場の提供

  • 出向、副業推進、社内起業、もしくは異文化体験など。これらに興味がある人材が実際に動けるよう、積極的な情報提供や相談窓口を設置。

これらのサポートによって、エンゲージメントの向上による自社業務の生産性向上、優秀な人材の確保、自社の競争力向上なども期待できます。なお、これらの取り組みを積極的に発信することで、自社の魅力づけにもつなげていきましょう。

参考:人生100年時代の社会人基礎力について|経済産業省(PDF)

まとめ

社会人基礎力は個人が主体的に、かつ生き生きと働くために必要な能力だといえます。同時に企業にとっても、採用・人材育成に役立てることが可能です。自社従業員が社会人基礎力を有することで、組織活性化や生産性の向上にもつながります。従業員と企業が同じ方向へ向かって互いに補いなうことで、大きな効果を発揮させていきましょう。

 

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この記事の著者

あそぶ社員研修編集部

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