社会人基礎力「考え抜く力」とは?3つの能力要素、鍛え方や、低下させる要因を解説
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大学卒業後、クラシック音楽業界にて制作・マネジメント・プロデュースに従事し、アートと教育の融合をテーマに、「体験を学びとして届ける」手法を追求してきた。
その後、体験型コンテンツ会社を経て、株式会社IKUSAにクリエイティブプロデューサーとして入社。
現在は研修事業部の責任者として、体験型・ゲーム型の社員研修事業を統括している。
ユーザー視点に立ったサービス開発を得意とし、「楽しさが行動変容を生む」という信念のもと新しい研修体験を創出している。
「考え抜く力」は経済産業省が提唱した社会人基礎力の1つです。将来の予測が困難な現代の中、日本は人生100年時代を迎えています。このような時代でも人生を通して活躍し続けるためには「考え抜く力」は非常に重要な要素といわれています。
本記事では、社会人基礎力における「考え抜く力」の概要から、考え抜く力が必要とされる理由や研修などで鍛える方法、考え抜く力を低下させる要因まで解説します。
考え抜く力とは?
「考え抜く力」は、経済産業省が提唱した社会人基礎力のなかの1つです。直面した課題に対して論理的に考え、解決方法を導き出す力のことを指します。ただ考えるだけではなく、納得できるまで考え抜ける自律的な行動が必要です。
経済産業省が提唱した「社会人基礎力」とは
社会人基礎力は「考え抜く力」のほか、「前に踏み出す力」「チームで働く力」の3つの能力から構成され、さらに12の能力要素に細分化されています。
人生100年時代といわれており、以前より組織や社会との関わりが長くなっている現代、ライフステージの各段階で活躍し続けるためにできることを考えなくてはなりません。
そこで定義されたのが社会人基礎力です。社会人基礎力の「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)を発揮することが、自らのキャリアを切り開いていくうえで必要とされています。
社会人基礎力については、以下の記事で詳しく紹介しています。
関連記事:社会基礎力とは?構成要素や必要性、高めるために必要なこと
考え抜く力における3つの能力要素
考え抜く力は、「課題発見力」「創造力」「計画力」の3つの要素で構成されています。それぞれについて詳しく解説します。
①課題発見力
考え抜くには、まず現状を分析して、目的や課題を明らかにする力が必要です。
たとえば仕事で失敗した際に、ただ「失敗した」と落ち込むのではなく「なぜ失敗したのか」「何が課題なのか」と考え抜く力が課題発見力だといえるでしょう。失敗するとそのことに自体に意識が向きがちですが、課題や問題を分析しないとまた同じ失敗を繰り返してしまいます。
自ら問題を解明し、改善することで、失敗を活かせるビジネスパーソンになっていきます。
②創造力
「創造力」とは、新しい価値を生み出す力のことです。従来の考えにとらわれずに、適切な解決方法を見出していく力が必要です。また、新しいものを生み出そうと常に勉強し続ける姿勢も大切です。
たとえば、動画制作に特化した職業YouTuber(ユーチューバー)は、常に新しいことを企画し、ユーザーを楽しませる動画を作り続けなければなりません。創造力がなければ成り立たない職業の1つです。
インターネットの普及に伴い、環境は目まぐるしく変化しています。従来のルールのままでは、変化に乗り遅れてしまうでしょう。現代では、1つの物事に固執することなく、新たな価値を生み出す力が必要になります。
③計画力
考え抜く力の要素の1つ「計画力」も重要です。仕事における「計画力」とは、期限内に完了できるよう仕事の見通しを立てて、トラブルにも対応できるように未来を予想できる力を指します。突発的・直観的ではなく、事前に考えたプロセスに沿って計画的に進める力が大切です。
具体的には、与えられた仕事をいつまでに完了するか期日を決め、その決めた期日に間に合わせるために、期日までの日々の過ごし方について計画を立てることです。計画に沿って「本日中に何をすればいいのか」「誰に協力を依頼するのか」などを考えます。協力を依頼したい人が体調不良で出勤できないなど、不測の事態も起こり得るでしょう。そのような事態の際にも期日内に必要な仕事を完了するためには、計画力はかかせません。「とりあえずやっていれば終わるだろう」とがむしゃらに仕事を進めるのは、計画力がないといえるでしょう。
いくら「課題を発見する力」や「創造力」があったとしても「計画力」がなければ仕事はスムーズに進みません。考え抜くためには、計画的に対応できる力が必要です。
考え抜く力が必要な背景
こちらでは、考え抜く力が必要な理由について詳しく解説します。
将来の予測が困難な時代になっている
現代は先行きが不透明で、将来の予測が困難な状況といわれています。しかし、その状況にも関わらずスピーディーな行動が求められているのも事実です。このように将来の予測が困難な状況の中、素早く的確に現状を判断し、必要な行動を実行に移すためには考え抜く力が欠かせません。考え抜く力を備えることで、困難な状況下に陥ったときでも、課題や問題を自力で解決できるようになります。
リカレント教育が推奨されている
リカレント教育とは、学校教育から離れた社会人がそれぞれのタイミングで学び直し、仕事で求められる能力について学ぶことです。厚生労働省では、経済産業省・文部科学省等と連携して、リカレント教育を推奨しています。具体的な取り組みとして挙げられるのは、学び直しのきっかけになるキャリア相談や、学びにかかる費用の支援などです。
テクノロジーの進化により、需要の高い職種や業界は年々変化しています。その中で社会の需要の変化に対応できる人材の育成は欠かせません。そのため、社会人になっても考え抜く力を備え、仕事で求められる能力を磨き続けることが重要になるでしょう。
国内外での競争に対応するため
国内・国外での企業の競争は激化しています。この競争に生き残れず、倒産している企業があるのも事実です。このような激化した企業の競争に対応するためには、考え抜く力が必要です。
たとえば、自社の商品やサービスにブランド力をつけられるよう考え抜いたり、サービスを提供するだけでなく新しい価値を創造したりするなど競争に勝つ手段を検討したりすることです。考え抜く力の要素「課題発見力」「創造力」「計画力」の3つを満たすことで、企業競争で勝ち抜く力を身につけられるでしょう。
研修などで考え抜く力を鍛える方法
考え抜く力は、一朝一夕で身につくものではありませんが、日々取り組むことで鍛えることが可能です。ここでは、研修などで考え抜く力を鍛える方法を4つ紹介します。
1.常に疑問を持つ
常に「なぜだろう」と疑問を持つことが、考え抜く力を鍛えるための第一歩です。
まずは、あらゆる情報に対して「なぜ?」と深く掘り下げ、なぜそうなっているのか因果関係を考えることを習慣づけていきましょう。テレビやSNSで流れてくるニュースをただ漠然と眺めるのではなく「なぜこのようなことが起こったのか」と疑問を持ち、考えることが大切です。
2. 論理的に思考する
考え抜く力を高めるためには、論理的思考力を身につけることも大切です。あらゆる課題を解決するためには、物事を論理的に考え、分析する力が必要になります。
論理的思考力は、まず自身の「思い込みや先入観」を排除しなければなりません。そして同時に「自分の思考の癖」に気づくことが重要です。
思考の癖を改善するためには、クリティカルシンキングが有効です。クリティカルシンキングは直訳すると「批判的思考」ですが、あらゆる物事に対して「本当にこれで正しいのか」という視点を持ち、より正しい論理につなげていく思考法のことを指します。クリティカルシンキングを鍛えることで、主観や先入観にとらわれず、物事を見る力が身につくでしょう。
3. フレームワークで考える方法を身につける
考え抜く力を伸ばすには、思考のスピードも重要になります。ビジネスフレームワークを使えるようになると、思考のスピードが格段に上がるでしょう。
たとえば、顧客ニーズや競合の動きなどを分析する際に用いる「3C分析」では、顧客・競合・自社の関係性を理解できるようになります。また、自社を取り巻く環境を把握するための「PEST分析」では、外部環境を政治・経済・社会・技術の4つの要因に分類し、自社に与える影響を読み解くことを可能にします。
仕事に役立つフレームワークを積極的に取り入れることで、思考スピードを向上させ、考え抜く力を高めることにつなげられるでしょう。
4. 勉強会や研修に積極的に参加する
考え抜く力を鍛えるためには、社内だけでなく社外の勉強会や研修に参加することも大事です。論理的思考力やフレームワークの使い方などは、独学よりもしっかりと専門家から教えてもらうほうが早く習得できるため、勉強会や研修には積極的に参加しましょう。
また、勉強会や研修に参加することで、多くの人の意見や考え方に触れられるようになります。他人との交流で気づきを得られることも多いので、考え抜く力をより鍛えあげられるでしょう。
考え抜く力を低下させる4つの要因
実は、考え抜く力を低下させてしまう要因もあります。以下に当てはまっていないか確認してみましょう。
1. 受け身で消極的
与えられた情報に対して「なぜ」と疑問に思わずに「ただ鵜呑みにしてしまうこと」は、考え抜く力を低下させます。受け身で消極的な姿勢では、考え抜く力は身につきません。
自分なりに考え抜き「この方がいい」と提案しても意見を受け入れてもらえなかった経験があると、考えること自体を辞めてしまう人もいるでしょう。
人にはそれぞれ「思考の癖」があるため、上司や先輩からの指示や助言は、常に正しいとも断言できない場合もあります。状況に応じて自分の提案が却下されたとしても、常に疑問を持ちながら考える姿勢を維持することが大切です。
2. 常識やルールにこだわりすぎる
常識やルールはとても大切ですが、そればかり縛られると自分で考え抜く力も失われていきます。
「こうであるべき」などの先入観にとらわれないようにするためには、クリティカルシンキング(批判的思考)を持つことが大事です。常識やルールを鵜呑みにせず「本当にこれで正しいのか」という視点を常に忘れないようにしましょう。
3. 成長意欲や向上心がない
現状に満足してしまい、成長意欲や向上心がなければ、自分で考える機会は少なくなります。考え抜く力は常に疑問を持ち、考える練習を繰り返さなければ鍛えられません。
ときには、自分1人で考えても解決できないような課題に直面することもあるでしょう。しかし、このような困難な状況でも、すぐに諦めずに、周りにも意見を求めながら粘り強く考え抜くことがスキル向上の第一歩です。
4. ミスや失敗の原因を考えない
ミスや失敗に対して改善しようとする気持ちがなく、ただ漠然と過ごしていては、考え抜く力は低下してしまいます。「失敗した」で終わらせずに「なぜ失敗したのか」と根本となる問題を解決できるよう常に考え抜くようにしましょう。
まとめ
今回は「考え抜く力」について詳しく解説しました。この力は、現代を生き抜くために必要な社会人基礎力の1つであり「課題発見力」「創造力」「計画力」の3要素で構成されています。これらは、一朝一夕で身につけることはできませんが、常に疑問を持つ姿勢を維持しながら、論理的思考力を養うことで向上させることができます。論理的な思考力を養いたいときには、フレームワークの使い方などを学べる勉強会や研修に積極的に参加するとよいでしょう。
以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。
1.合意形成研修
合意形成研修のアクティビティ「コンセンサスゲーム」では、危機的な状況下でどの物資を優先して確保すべきかをチーム内で議論し、最適な結論を導きます。
学びのポイント
- 各々が個人ワークで考えた答えを聞くことで、チームメンバーの状況に対する認識や物資の重み付けの違いを受講者が理解する
- 話し手は自分の答えにいたった理由を論理的・説得的に説明する
- より良い根拠を導き出すための比較検討をして、チーム全員が納得する結論を出す
2.PDCA研修
PDCA研修のアクティビティ「ロケットPDCAチャレンジ」では、パーツを組み合わせてロケットを制作し打ち上げ結果から原因を考えて、より良く飛ぶロケットに改善していき、目標の達成を目指します。
学びのポイント
- 計画を立ててロケットを飛ばし、その結果から組み合わせの誤り・部品の不足・不良部品の有無を推察し、それを繰り返すことで組み合わせの精度を上げていく
- 資金稼ぎ・パーツの選択・打ち上げの準備を繰り返し、作戦タイム振返りを経て行動を改善していくことで、最適化されていく
3.戦略思考研修
戦略思考研修のアクティビティ「ワールドリーダーズ」では、労働力や資本を使って事業を設立し、利益を稼ぐことを目指します。
学びのポイント
- 不確実な状況のなかで自チームにとって最適な行動方針を考え、実行していく
- 戦略を決めるために与えられた手段のなかでどの情報を取得していくかの優先順位決めが求められる
4.コミュニケーション研修
コミュニケーション研修のアクティビティ「謎解き脱出ゲーム」では、チームでコミュニケーションをとりながら問題に隠された法則を発見する謎解きゲームのクリアを目指します。
学びのポイント
- 受講者が「自分しか見えていない情報・問題・解き方」をチームで共有することでコミュニケーション促進やスキルアップにつながる
- 突飛な発想・ヒラメキをチームのなかで積極的に発言できる心理的安全性の高い環境づくりが求められる
5.ロジカルシンキング研修
ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します。
学びのポイント
- 小グループで得られた情報を論理的に整理し、確定情報・曖昧情報・不要な情報を選り分ける
- 大グループで全体に必要な情報を論理的に判断・共有することや、自分たちに足りない情報を聞き出すことが求められる
6.クリティカルシンキング研修
クリティカルシンキング研修のアクティビティ「混乱する捜査会議からの脱出」では、推理ゲームで論理的に情報を整理するなかで証拠の違和感に気づき、仮説立てや検証を行って目標を達成します。
学びのポイント
- 証拠品や証言など多くの情報を手分けして読み、組み合わせて論理的に結論を導き出す
- フェーズが進むごとに情報が増え、複雑になっていくなかで必要な情報を取捨選択する
- 出た結論に満足せず、常に新しい情報と照らし合わせて再検証する
7.リーダーシップ研修
リーダーシップ研修のアクティビティ「グレートチーム」では、チームの運営を疑似体験することでリーダーシップやマネジメントを学びます。
学びのポイント
- メンバーのリソース管理や育成、リーダーとしての決断を繰り返すことで、いろいろなリーダーシップの型を知ることができる
- 現代に合わせたリーダーシップの発揮の必要性を知り、自分らしいリーダーシップを学べる
8.ビジネスマナー研修
ビジネスマナー研修のアクティビティ「ビジトレ」では、実践形式・クイズ形式のアクティビティを通して、ビジネスマナーを楽しく学びます。
学びのポイント
- 堅い内容になりがちなビジネスマナー研修にゲーム形式を取り入れることで、受講者が没入して学べる
- 名刺交換や報連相などを実行し、動作・マナーに慣れることで、翌日から実践できるようになる
9.防災研修
防災研修のアクティビティ「先が見えない防災訓練からの脱出」では、チームで協力して、防災のアイテムや知識を使用しながら謎解きゲームのクリアを目指します。
学びのポイント
- 謎解きの答えが災害時のNG行動にまつわる内容となっており、解説時になぜ行なってはいけないかもセットで学ぶ
- 被災時は様々な情報が飛び交うため、情報を取得する際にどのようにすれば惑わされないかを学ぶ
10.OODA LOOP研修
OODA LOOP研修では、瞬間的な判断力が求められる運動系のアクティビティである「サバイバルゲーム」または「チャンバラ合戦」を実施することで、意思決定のフレームワークである「OODA LOOP」を実践的に習得することを目指します。
学びのポイント
- 敵チームをよく観察して作戦を練り、状況に応じた行動を素早く判断しながら、チームで共有して一体となって行動する
- ミッションの勝利条件をもとに、観察、判断、行動を繰り返すことで、本当にすべき行動が何なのか、行動の最適化を行う
この記事の著者
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