情況把握力とは?状況把握力との違い、高めるメリット・方法を解説
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大学卒業後、クラシック音楽業界にて制作・マネジメント・プロデュースに従事し、アートと教育の融合をテーマに、「体験を学びとして届ける」手法を追求してきた。
その後、体験型コンテンツ会社を経て、株式会社IKUSAにクリエイティブプロデューサーとして入社。
現在は研修事業部の責任者として、体験型・ゲーム型の社員研修事業を統括している。
ユーザー視点に立ったサービス開発を得意とし、「楽しさが行動変容を生む」という信念のもと新しい研修体験を創出している。
情況把握力とは、自分自身と周囲の人(メンバー)の特徴をよく理解し、取り巻く物ごとの関係性を把握する能力のことです。経済産業省が提唱する「社会人基礎力」のひとつである情況把握力は、近年の仕事において重要な要素だとして注目されています。
この記事では、社会人基礎力における要素のひとつである情況把握力とは何か、「状況把握力」との違いや、情況把握力が高い人の特徴、情況把握力を高めるメリット、4つの方法、情況把握力を高める方法について紹介します。
情況把握力とは?
自分自身と周囲の人(メンバー)の特徴をよく理解し、取り巻く物ごとの関係性を把握する能力である「情況把握力」は、ただ状況を把握するだけの能力ではありません。社員自身やチームのメンバーがどう感じているか、どのように関わっていけば良いのかという理解が求められます。
そもそも、なぜチームで働くうえではお互いの「理解」が必要になるのでしょうか? 理由は、チームがひとつの目標に向かって進んでいるからに他なりません。
目標にたどり着く過程では、さまざまな課題や問題が起こるでしょう。たとえトラブルが起こったとしても、お互いを理解できるチームは、話し合うことで問題を解決することができます。具体的にどういった行動をしていけばよいのかを共有するためにも、情報把握力は大切なのです。
情況把握力は「社会人基礎力」のひとつ
情況把握力は、2006年に経済産業省において「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として提唱された「社会人基礎力」の中のひとつです。
社会人基礎力は、「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの能力から構成されており、情況把握力は、「チームで働く力」に含まれています。
出典:社会人基礎力|経済産業省
社会人基礎力については、以下の記事で詳しく紹介しています。
関連記事:社会基礎力とは?構成要素や必要性、高めるために必要なこと
情況把握力と状況把握力の違いとは
情況把握力と似た言葉に「状況把握力」があります。読み方は同じですが、それぞれ以下のような違いがあります。
- 情況把握力:自分自身を理解することはもちろん、周囲のメンバーの内面や関係性にも気を配る能力のこと
- 状況把握力:自分自身やその立場、環境などを正しく観察する能力のこと
情況把握力は、自分が置かれた環境で何ができるのかを積極的に考え、行動する力を持つことです。自分のことだけではなく他のメンバーに関しても全体像を把握し、最適な方法を自主的に選択できるスキルをいいます。
一方、状況把握力は、自分とメンバーの内面や関係性にまで焦点を当てていません。さらに、自主的に行動するとも限らないとされています。そのため、個人の状況把握力が高くても、必ずしもチーム内が活動的・流動的になる保証はない点が、情況把握力との大きな違いです。
情況把握力が高い人の特徴

情況把握力が高い人は、いくつかの特徴を持っています。具体的にみていきましょう。
自分とメンバーについて理解している
情況把握力の高い人は、自分の性格や得意・不得意分野についてしっかりと把握しています。さらに、自分のことだけではなく、一緒に働くメンバーについてもそれらを把握する能力に長けています。自分やメンバーの特性を客観的に見つめられるため、「メンバーが困っている時に自分が出来ること」、「自分が困っている時にどういった助けが必要なのか」といったことを考え、メンバーに対して意思表示できます。
状況に応じた行動ができる
周囲を観察するだけでなく、効果的に仕事が進む方法を考えて自主的に行動できることも、情況把握力が高い人の特徴です。
情報把握力が低い人は、たとえ周囲で起こっている問題を把握できても、自ら行動に移せない傾向にあります。メンバー内において活発な意見交換がしづらいため、問題を解決するのは難しいでしょう。
情況把握力の高い人は、周囲を観察し、現在における優先事項をすばやく把握できます。問題を解決するための具体的な行動を起こせるので、より良い方向に導ける傾向があります。
ハプニングを普段から予測している
仕事にはハプニングや突発的な問題がつきものです。そのため、情況把握力の高い人は、仕事をするうえで「問題が起きないことはない」と考えています。問題が起きた際には、まず自分は何をすれば良いのか、メンバーと一緒に出来ることはあるかなどを想定し、日頃から問題への対処法についてシミュレーションを行っている傾向があります。
情況把握力を高めるメリット
続いて、情報把握力を高めるメリットについて考えてみましょう。

チーム力の向上
情況把握力が高いと、チームメンバー間において円滑なチームワークや信頼関係が生まれます。そのため、仕事の効率やパフォーマンスの向上が期待できます。
適材適所の実現
情況把握力が高い社員は、メンバーの特徴を理解しているため、誰がどの仕事を担当すればよいのか、サポートするべき点は何なのかについて把握しています。メンバーの性格や得意・不得意分野を把握している社員が業務の分担を適切に行うと、メンバーは自分に適した業務を担当できます。適材適所が実現できることで、仕事への意欲が高まる効果も期待できるでしょう。
問題点や課題の把握
情況把握力が高い社員は、現在の仕事の問題点や課題もすばやく把握できます。早い段階で、問題点や課題を適切に分析し対処法や計画を立てることができれば、ミスを未然に防いだり、より良い結果につなげたりすることができるでしょう。
社員の情況把握力を高める4つの方法

社員の情況把握力を高めるに、企業側は何ができるのでしょうか。ここでは、企業が社員の情況把握力を高める方法について見ていきましょう。
1.周囲の情況を理解してもらうための環境づくり
社員自身を含め、周囲のメンバーのことを知るためには、現在どのような情況の中にいるのかを理解することから始めることが有効です。つまり、それぞれの立場や役割をはじめ、何に取り組み、どのような目標に向かっているのか、目標を達成するにはどのような行動をすべきかについて明確に把握する必要があるのです。
企業ができることとしては、チームの進捗状況を可視化できる仕組みづくりが必要でしょう。プロジェクトごとの進捗やメンバーの工数などを一元的に管理し、チーム全体の状況をいつでも把握できるような仕組みを構築します。社員が定期的にチェックするよう意識づけをすると、チーム全体の情況を把握できるため、社員の情報把握力が高まりやすくなります。
2.社員自身が長所や得意分野を把握できるようにする
チームの仕事は、自分自身の強みを活かしたり、苦手な分野は他のメンバーにフォローしてもらったりしながら進めます。仕事を円滑に進めるためにも、自分の長所や得意分野をしっかりと把握しておく必要があるでしょう。しかし、社員の中には、自身の強みに気が付いていない人もいるのではないでしょうか。
企業としてできることは、自己分析やスキルの棚卸しを通して、社員が自身の強みに気が付けるようサポートすることです。社員が自身の情況を把握できるように、「自己分析シート」の活用やキャリアアップのための「スキルの棚卸し」などを行ってみることが有効です。
3.先入観を持たない習慣を身につけてもらう
先入観は、時として情況把握力の妨げになる危険性があります。なぜなら、先入観が頭の中を占めていると、「仕事の流れや方法は、既存のやり方で必ず進めなければならない」と思い込んでしまうからです。
思い込みは、客観的な視点や冷静な判断をゆがめてしまう原因にもなりかねません。先入観を持ち続けたゆえに、現在の情況を把握するのが難しくなり、誤った選択をしてしまうこともあり得るでしょう。
企業としては、先入観にとらわれない思考力を身につけるための研修やセミナーなどを開催することで、社員の情況把握力の向上をサポートできます。
4.収集した情報を共有する仕組みづくり
情況把握力を高めるには、なるべく多くの情報を集めて物ごとの全体像を把握することが有効です。「どのようにしたら成果に結びつくか」「自分自身がどの分野に力を入れて進めていけばよいのか」などを、常日頃から社員自身が考えるためにも、周りの情報は積極的に取り入れていく必要があります。
情報を集めるなかで、疑問に感じたことや詳しく知りたいと思った場合、社員自身が調べて自己解決したり、近くのメンバーや上司に確認したりするでしょう。さらに、収集した情報を共有できる仕組みを作るのも有効です。
企業ができることは、グループチャットや朝礼などを活用して、社員同士が情報交換できる場や仕組みを作るとよいでしょう。さらに、チームリーダーや管理者が、社員が共有した情報の活用方法をアウトプットすることで、社員全体の情報把握力が高まりやすくなります。
まとめ
チームで行う仕事において社員は「自分が出来ることは何なのか」「どのような方向性で問題や課題を解決していくのか」を考える力が必要です。周囲のメンバーの考えや情況を理解することなしに個々の社員が頑張ったとしても、仕事の効率やパフォーマンスを劇的に向上させるのは難しいでしょう。
社員一人ひとりが情況把握力を身につけることで、生産性や目標の達成率を高めることに繋がっていきます。
以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。
1.合意形成研修
合意形成研修のアクティビティ「コンセンサスゲーム」では、危機的な状況下でどの物資を優先して確保すべきかをチーム内で議論し、最適な結論を導きます。
学びのポイント
- 各々が個人ワークで考えた答えを聞くことで、チームメンバーの状況に対する認識や物資の重み付けの違いを受講者が理解する
- 話し手は自分の答えにいたった理由を論理的・説得的に説明する
- より良い根拠を導き出すための比較検討をして、チーム全員が納得する結論を出す
2.PDCA研修
PDCA研修のアクティビティ「ロケットPDCAチャレンジ」では、パーツを組み合わせてロケットを制作し打ち上げ結果から原因を考えて、より良く飛ぶロケットに改善していき、目標の達成を目指します。
学びのポイント
- 計画を立ててロケットを飛ばし、その結果から組み合わせの誤り・部品の不足・不良部品の有無を推察し、それを繰り返すことで組み合わせの精度を上げていく
- 資金稼ぎ・パーツの選択・打ち上げの準備を繰り返し、作戦タイム振返りを経て行動を改善していくことで、最適化されていく
3.戦略思考研修
戦略思考研修のアクティビティ「ワールドリーダーズ」では、労働力や資本を使って事業を設立し、利益を稼ぐことを目指します。
学びのポイント
- 不確実な状況のなかで自チームにとって最適な行動方針を考え、実行していく
- 戦略を決めるために与えられた手段のなかでどの情報を取得していくかの優先順位決めが求められる
4.コミュニケーション研修
コミュニケーション研修のアクティビティ「謎解き脱出ゲーム」では、チームでコミュニケーションをとりながら問題に隠された法則を発見する謎解きゲームのクリアを目指します。
学びのポイント
- 受講者が「自分しか見えていない情報・問題・解き方」をチームで共有することでコミュニケーション促進やスキルアップにつながる
- 突飛な発想・ヒラメキをチームのなかで積極的に発言できる心理的安全性の高い環境づくりが求められる
5.ロジカルシンキング研修
ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します。
学びのポイント
- 小グループで得られた情報を論理的に整理し、確定情報・曖昧情報・不要な情報を選り分ける
- 大グループで全体に必要な情報を論理的に判断・共有することや、自分たちに足りない情報を聞き出すことが求められる
6.クリティカルシンキング研修
クリティカルシンキング研修のアクティビティ「混乱する捜査会議からの脱出」では、推理ゲームで論理的に情報を整理するなかで証拠の違和感に気づき、仮説立てや検証を行って目標を達成します。
学びのポイント
- 証拠品や証言など多くの情報を手分けして読み、組み合わせて論理的に結論を導き出す
- フェーズが進むごとに情報が増え、複雑になっていくなかで必要な情報を取捨選択する
- 出た結論に満足せず、常に新しい情報と照らし合わせて再検証する
7.リーダーシップ研修
リーダーシップ研修のアクティビティ「グレートチーム」では、チームの運営を疑似体験することでリーダーシップやマネジメントを学びます。
学びのポイント
- メンバーのリソース管理や育成、リーダーとしての決断を繰り返すことで、いろいろなリーダーシップの型を知ることができる
- 現代に合わせたリーダーシップの発揮の必要性を知り、自分らしいリーダーシップを学べる
8.ビジネスマナー研修
ビジネスマナー研修のアクティビティ「ビジトレ」では、実践形式・クイズ形式のアクティビティを通して、ビジネスマナーを楽しく学びます。
学びのポイント
- 堅い内容になりがちなビジネスマナー研修にゲーム形式を取り入れることで、受講者が没入して学べる
- 名刺交換や報連相などを実行し、動作・マナーに慣れることで、翌日から実践できるようになる
9.防災研修
防災研修のアクティビティ「先が見えない防災訓練からの脱出」では、チームで協力して、防災のアイテムや知識を使用しながら謎解きゲームのクリアを目指します。
学びのポイント
- 謎解きの答えが災害時のNG行動にまつわる内容となっており、解説時になぜ行なってはいけないかもセットで学ぶ
- 被災時は様々な情報が飛び交うため、情報を取得する際にどのようにすれば惑わされないかを学ぶ
10.OODA LOOP研修
OODA LOOP研修では、瞬間的な判断力が求められる運動系のアクティビティである「サバイバルゲーム」または「チャンバラ合戦」を実施することで、意思決定のフレームワークである「OODA LOOP」を実践的に習得することを目指します。
学びのポイント
- 敵チームをよく観察して作戦を練り、状況に応じた行動を素早く判断しながら、チームで共有して一体となって行動する
- ミッションの勝利条件をもとに、観察、判断、行動を繰り返すことで、本当にすべき行動が何なのか、行動の最適化を行う
この記事の著者
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