アクションプランとは?作り方・運用のポイントを解説

  • ビジネススキル

プロジェクトを成功させるためには、明確な数値目標を設定することが重要ですが、目標を掲げただけでは成果を上げることは難しいでしょう。大切なのは、目標達成までの具体的な行動計画を立てるということです。この行動計画を、「アクションプラン」といいます。

本記事では、アクションプランとは何か、作成するメリットや、作り方、効果的に運用するためのポイントについて、わかりやすく解説します

 

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アクションプランとは

アクションプランとは、英単語のAction(行動)とPlan(計画)が意味するとおり、目標を達成するまでの「行動計画」のことをいいます。プロジェクトを成功させるためには、明確な目標を設定するだけでなく、それを実現するためのプランが必要です。目標達成までのプロセスを具体的なタスクに分け、いつ、誰が、何をするのかをまとめることで、目標に着実に近づけるようになります。これらをまとめ、チームのメンバーで共有できるようにしたものが、アクションプランです。

プロジェクトによっては、「中期的な目標」と、それを達成するための「短期的な目標」を設定することがあります。この場合は、アクションプランも同様に「中期的なアクションプラン」と「短期的なアクションプラン」を設定します。また、アクションプランは、目標を達成するための「手段」ともいえますので、1つの目標に対して複数のアクションプランを設定することもあります。

アクションプランの具体例

アクションプランの作り方についてはのちほど詳しく紹介していますが、まずは具体的な数値目標とKPIを設定する必要がありますKPIとは、Key Performance Indicatorの略称で、日本語では「重要業績評価指標」といいます。目標に対する達成度合いを測定するために設定する指標のことです。

アクションプランとは何かをイメージしやすくするために、ここで、目標とKPI、アクションプランの具体例を見てみましょう。

【営業の例】

  • 目標:年間売上目標5
  • KPI:新規顧客獲得20
  • アクションプラン:訪問営業15 / 月、テレアポ60

【人事の例】

  • 目標:今期中にエンジニア経験者を5名採用
  • KPI:スカウト30人、面接10人、内定5
  • アクションプラン:候補者の選定 / スカウトメール送信 / 面接の日程調整 / 面接、選考

このように、目標を達成するために「具体的に何をすればいいのか」を示したものがアクションプランです。「いつまでに」「誰が」するのかも決めて、進捗状況もチーム全体で共有するようにしましょう。

アクションプランと混同しがちなビジネス用語

アクションプランと似ているビジネス用語に、「プランB」、「プロジェクト計画」、「To-Doリスト」があります。それぞれの意味を確認し、アクションプランとの違いを整理してみましょう。

プランB

プランBとは、簡単にいうと「代替プラン」のことです。プロジェクトを進め始めると、計画段階では気づけなかった課題が見えてきたり、問題が発生したりして、計画通りにプロジェクトが進められなくなることがあります。何らかの原因でもとの計画が失敗したり、頓挫したりしたときのために用意しておく第二のプランが、プランBです。あらかじめプランBも立てておくと、最悪の事態が発生したときでも、プロジェクトを中止することなく進められます

一方アクションプランは、目標を達成するために必要なアクションを詳細にまとめたもののことをいいます。

プロジェクト計画

プロジェクト計画とは、プロジェクト目標を達成するためにチームがクリアする必要がある主な要素をまとめた計画書のことです。プロジェクト計画を作成することで、プロジェクトにかかわるすべての人に、計画の正確な内容を伝えることができます。具体的には、以下のような内容を記載します。

  • プロジェクト概要:プロジェクトの名称、期間、目的、ゴールなど
  • プロジェクトの範囲と成果物:システムの範囲や成果物の定義
  • プロジェクト体制:プロジェクトにかかわる人それぞれの役割、責任の所在など
  • 予算:人件費、外注費、ソフトウェア費用、ハードウエア費用、備品費など
  • スケジュール:プロジェクトの全体像がわかるマスタスケジュール
  • 添付書類:WBS(作業分解構造図)、見積もりなど
  • コミュニケーションルール:会議体の定義、議事録やメールのルールなど
  • リスクと対策:想定されるリスクとその対応

プロジェクト計画を作成したら、目標達成までの手順をアクションプランにまとめます。

To-Doリスト

To-Doリストとは、「やることリスト」のことです。個人がこなすべきタスクをリストアップし、優先順位をつけて一覧にしたもののことをいいます。To-Doリストは、必ずしも目標の達成にかかわるものとは限りません。また、日々タスクが変化することもあります。

一方アクションプランは、目標を達成するためのアクションをまとめたものなので、そこに含まれるタスクも、すべて目標の達成にかかわるものです。順番も、決められたステップ通りに進めなければなりません。

 

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アクションプランを作成するメリット

アクションプランを作成することで、目標達成の確度が上がります。具体的にどのようなメリットがあるのか、詳しく見てみましょう。

業務を効率的に進められるようになる

アクションプランを作成することで、目標達成のために「やるべきこと」と「やらなくてもいいこと」が明確になるので、メンバーは効率よく業務を進められるようになります。逆に、これらが不明確だと、いくら具体的な目標を示されても、メンバーは何をすれば良いのかわからなくなってしまうでしょう。

いつ、誰が、何をやらなければならないかがわかっていれば、メンバーは自分がこなすべきタスクに向けた準備もしやすくなります。目標達成に必要な業務だけを行えるようになるので、その結果として業務が効率化し、生産性の向上も期待できるでしょう。

進捗管理が容易になる

アクションプランを作成することで、目標達成までのプロセスと達成度を「見える化」できるため、進捗状況が把握しやすくなります。遅れや問題が発生した場合も、「どのタスクがどれくらい遅れているのか」を容易に把握でき、「なぜ遅れているのか」「どうすれば遅れを取り戻せるか」なども分析しやすくなります。改善や軌道修正も、速やかに行えるようになるでしょう。

メンバーがモチベーションを維持しやすくなる

アクションプランは、目標達成までのプロセスを細かいタスクに分け、いつ、誰が、何をするのかをまとめたものです。メンバーは、アクションプランで自分に割り当てられたタスクを完了するたびに、小さな達成感を味わうことができます。1つひとつ着実に目標達成に近づいていることを感じられるため、目標達成に対するモチベーションを維持しやすくなるでしょう

アクションプランの作り方

アクションプランに決まった作り方はありません。ここでは、アクションプランの作り方の一例として、以下の5つのステップで進めていく方法を紹介します。

  1. 数値目標を設定する
  2. タスクを洗い出す
  3. リソースを割り当てる
  4. タスクの優先順位を決める
  5. 期日・マイルストーンを設定する

1.数値目標を設定する

アクションプランは、目標を達成するための行動計画です。まずは、明確な目標を設定しましょう

目標には、「年間売上目標5億」のように具体的な数値で示した「定量目標」と、「ワークライフバランスを実現する」のように状態を言葉で表した「定性目標」があります。定性目標では達成度の測定が難しいので、必ず定量目標を設定しましょう。

全体の目標が決まったら、次はそれを達成するための小さな目標を決めていきます。小さな目標も、同じく具体的な数値で示した定量目標としましょう。

また、目標は努力すれば達成できるレベルにすることも大切です。そうすることで、メンバーの目標達成に対するモチベーションも生まれやすくなります。

SMARTの法則

目標を設定する際は、「SMART(スマート)の法則」を活用することで、明確でわかりやすい目標を設定しやすくなります。「SMART」は、以下の5つの頭文字を取ったものです。

  • Specific(具体的な)……誰でも理解できるほど具体的である。
  • Measurable(測定可能な)……達成度を測定できる、
  • Achievable(実現可能な)……努力すれば達成できるレベルである。
  • Relevant(関連する)……組織の目的や個人の利益と関連性がある。
  • Time-related(期限を定めた)……達成期限が定められている。

設定した目標がこの5つの要素を満たせているか、確認してみてください。

なお、SMARTの法則については以下の記事で詳しく紹介しています。

SMARTの法則とは?目標設定の方法や活用例・ポイントを紹介

2.タスクを洗い出す

次に、設定した目標を達成するために必要なタスクを洗い出します。このとき、マイルストーン(中間目標)も考慮に入れておきましょう。そして、この段階でKPIも設定します。

タスクは、アクションを起こすことで目標達成につながるものであることが重要です。また、メンバーがすぐに行動できるよう、タスクも具体的でわかりやすいものとする必要があります。

3.リソースを割り当てる

タスクを洗い出せたら、各タスクを実行する人や、責任者を決めていきます。タスクを配分する際は、メンバーの適性や経験、スキルだけでなく、スケジュールに余裕があるかどうかという点も考慮しましょう。いくらそのタスクの業務に慣れている人でも、今抱えているタスクが多ければ、計画通りに実行できず、プロジェクトの進捗に遅れが生じることもあるかもしれません。

そして、各タスクを実行するために必要な工数や物資を正しく見積もり、予算、設備、ツールといったリソースを割り当てていきます。

場合によっては、アクションプランがスタートしてからでないとリソース配分ができない、申請しなければ資金が得られない、上層部の承諾がなければタスクに取りかかれないということもあるでしょう。このような場合は、リソースをアクション項目に加えてください。

4.タスクの優先順位を決める

リソースを配分できたら、チームのメンバーが最大限のパフォーマンスを発揮できるように、洗い出したタスクに優先順位をつけていきます。タスクのなかには、あるタスクを完了させないと取りかかれないタスクもあります。タスクに優先順位をつける際は、ただ重要度の高い順に並べるだけでなく、このようなタスク同士の相関性を明確にして、順序も考慮しなければなりません。そうしないと、計画段階では重要度が低いとされていたタスクが、のちに重要度の高いタスクの遅れの原因になることもあります。

5.期日・マイルストーンを設定する

タスクに優先順位をつけたら、すべてのタスクに期日を設定し、マイルストーンを定義します期日とマイルストーンを明確に示すことで、メンバーは自分がいつまでに、何をすればいいのかを理解しやすくなり、効率的に業務を進められるようになります。また、目標と自分の仕事とのつながりが理解できると、やる気も湧いてくるでしょう。メンバーの目標達成に対するモチベーションを引き出すためにも、期日とマイルストーンの設定は欠かせません。

期日は現実的なものとし、余裕のあるスケジュールを立てましょう。無理なスケジュールを立てると、予想外の事態が発生したときに対応できなくなり、進捗に遅れが発生してしまうかもしれません。それだけでなく、メンバーがモチベーションを維持できなくなる可能性もあります。スケジュールを立てる際は、メンバーに負担がかかりすぎないように配慮することも大切です。

アクションプランの全体像をつかみやすくするために、タイムラインやガントチャートを作るのもおすすめです。

アクションプラン運用のポイント

最後に、アクションプランを効果的に運用するためのポイントについて解説します。

進捗を管理する

せっかく良いアクションプランを作成しても、計画通りにタスクを実行できなければ、目標を達成することはできません。作成したアクションプランを着実に実行していくためには、進捗の管理をしっかり行うことが重要です

そのために、チームのメンバーには行動記録を残してもらいましょう。記録の付け方や、報告のタイミングなどを明確に決めておき、定期的に確認することで、進捗状況を正しく把握できます。また、新たな課題が見つかったり、問題が発生したりしたときには、行動記録に書かれていることをもとに原因を分析できます。行動記録を残しておけば、今後の計画の改善にも役立てられるでしょう。

ツールの導入もおすすめ

プロジェクト管理ツールやタスク管理ツールなどを導入すると、各タスクの進捗状況を、チームのメンバー全員がリアルタイムで確認できるようになります。タスクの追跡や、責任者の明示、タイムラインやガントチャートの作成なども簡単に行えるようになり、ツール内でメンバー同士がコミュニケーションをとることもできるので、アクションプランをスムーズに運用できるようになるでしょう。

なかには、アクションプランのテンプレートが付いているツールもあります。「アクションプランを一から作るのは大変そう」「もっとわかりやすくて見やすいアクションプランを作りたい」と感じているなら、テンプレート付きのツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

必要に応じて見直しをする

アクションプランは一度作成したらそれで終わりではなく、戦略変更やビジネス環境の変化などに合わせて見直しをしていく必要があります。定期的に見直しを行うために、アクションプランにもPDCAサイクルを取り入れましょう。

PDCAサイクルとは、以下の4つのステップを繰り返すことで、業務の改善や効率化を図るフレームワークです

  1. Plan(計画)……目標を設定し、その目標を達成するための計画を立てる。
  2. Do(実行)……計画を実行する。
  3. Check(評価)……結果を分析し、評価する。
  4. Action(改善)……評価をもとに、改善策を考える。

この4ステップを、ただ繰り返すだけでなく、螺旋のイメージで徐々にレベルアップさせながら繰り返すことで、大きな成果につながりやすくなります。

アクションプランを立て(Plan)、行動に移す(Do)だけでなく、定期的に見直しをして(Check)、計画通りに実行できていないタスクがあれば、原因を分析して、現状に合うタスクに改善していきましょう(Action)。見直しと改善を行うことで、目標達成の確度も上がります。

なお、PDCAサイクルについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

PDCAサイクルとは?具体例や各ステップのポイントをわかりやすく解説

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以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。

1.OODA LOOP研修

OODA LOOP研修では、瞬間的な判断力が求められる運動系のアクティビティである「サバイバルゲーム」または「チャンバラ合戦」を実施することで、意思決定のフレームワークである「OODA LOOP」を実践的に習得することを目指します。

学びのポイント

  • 敵チームをよく観察して作戦を練り、状況に応じた行動を素早く判断しながら、チームで共有して一体となって行動する
  • ミッションの勝利条件をもとに、観察、判断、行動を繰り返すことで、本当にすべき行動が何なのか、行動の最適化を行う

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2.PDCA研修

PDCA研修のアクティビティ「ロケットPDCAチャレンジ」では、パーツを組み合わせてロケットを制作し打ち上げ結果から原因を考えて、より良く飛ぶロケットに改善していき、目標の達成を目指します。

学びのポイント

  • 計画を立ててロケットを飛ばし、その結果から組み合わせの誤り・部品の不足・不良部品の有無を推察し、それを繰り返すことで組み合わせの精度を上げていく
  • 資金稼ぎ・パーツの選択・打ち上げの準備を繰り返し、作戦タイム振返りを経て行動を改善していくことで、最適化されていく

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3.交渉術・ネゴシエーション研修

交渉術・ネゴシエーション研修のアクティビティ「ワールドリーダーズ」では、利益を増やすことを目指し、自チームでの戦略構築や他チームとの交渉を行います。

学びのポイント

  • 配られた事業・資金・労働力などの資源だけで目的が達成できない場合に、他チームと交渉してそれらを手に入れるための交渉力を習得する
  • 他チームの情報を得てから相手にとって価値のあるものを提供し、自チームにとってさらに価値のあるものを引き出すことが求められる

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4.ロジカルシンキング研修

ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します。

学びのポイント

  • 小グループで得られた情報を論理的に整理し、確定情報・曖昧情報・不要な情報を選り分ける
  • 大グループで全体に必要な情報を論理的に判断・共有することや、自分たちに足りない情報を聞き出すことが求められる。

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まとめ

アクションプランとは、目標を達成するまでのプロセスを具体的なタスクに分けた「行動計画」です。アクションプランを作成することで、進捗の管理が容易になり、「やるべきこと」と「やらなくてもいいこと」が明確になるため、業務を効率的に進められるようになります。その結果、目標達成の確度が上がるだけでなく、生産性の向上も期待できるでしょう。

プロジェクト管理ツールやタスク管理ツールなどを導入すれば、進捗状況の把握や情報の共有もスムーズに行えるようになりますので、ツールの導入も検討してみてはいかがでしょうか。

 

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アクティビティが受講者の主体性を高めてコミュニケーションを促進させ、スキルアップやチームビルディングをはかれます。

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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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