クロスファンクショナルチームとは?成功事例や導入するメリットをわかりやすく紹介

2023.11.22
  • 組織・人材開発

近年、日本でも社内横断的なチーム「クロスファンクショナルチーム」を導入する企業が増えてきます。

本記事では、クロスファンクショナルチームとは何か、導入するメリットと課題、導入手順や、企業の事例をわかりやすく紹介します

 

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クロスファンクショナルチームとは

多くの企業には、営業部や人事部、経理部、マーケティング部など、複数の部署があります。クロスファンクショナルチームとは、さまざまな部署から多様なスキルを持つメンバーを集めて結成されるプロジェクトチームのことです英語表記は「Cross Functional Team」で、「CFT」という略称で呼ばれることもあります

クロスファンクショナルチームは、一時的なプロジェクトチームとして期間限定で結成される場合が多いですが、1つの部署のような形で常設される場合もあります。

一般的に、プロジェクトを進めるときは、複数のプロジェクトチームが結成されます。チームごとに受け持つ側面が異なり、チームからチームへプロジェクトを受け渡していきながら目標達成を目指しますが、クロスファンクショナルチームの場合は、プロジェクトのあらゆる側面を受け持ちます

クロスファンクショナルチームの歴史

もともとクロスファンクショナルチームは、1980年代にアメリカで理論化されたものです。昔から日本の企業では、部署間で連携して課題の解決に取り組む傾向がありました。クロスファンクショナルチームは、そんな日本の企業の体制を参考にまとめられたものだといわれています。

これが逆輸入され、日産自動車株式会社の元会長であるカルロス・ゴーン氏が「日産リバイバルプラン」を実行するためにクロスファンクショナルチームを導入したことで、日本でもクロスファンクショナルチームというものが広く知られるようになりました。近年は大企業を中心に、クロスファンクショナルチームを導入する企業が増えています。

なお、日本でクロスファンクショナルチームが普及するきっかけになった日産自動車株式会社の取り組みについては、のちほど詳しく紹介します。

クロスファンクショナルチームを導入するメリット

クロスファンクショナルチームを導入することで、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。1つずつ詳しく見ていきましょう。

全体として最適な答えにたどりつける

たとえば何か解決すべき課題があるとき、各部署から出される改善案は、どうしてもその部署にとって最適なものになってしまうことが多いといえます。しかし、企業の成長のためには、全体として最適な改善案を出す必要があります。クロスファンクショナルチームは、さまざまな部署からメンバーが集められているため、部分最適ではなく、全体最適な改善案を提案できるようになるでしょう

また、クロスファンクショナルチームは、普段はあまり接点がない多様な経験やスキルを持ったメンバーが集まって結成されるため、これまでにないような新たなアイデアが生まれやすくなるというメリットもあります。そのため、組織改革や社内体制の刷新のためにクロスファンクショナルチームを導入するケースもあるようです。

企業の課題を素早く解決できる

クロスファンクショナルチームは、経営トップ直轄のチームであるため、迅速な意思決定が行えるという特徴があります。また、前項でお伝えしたとおり、多様なメンバーが集まっているため新たなアイデアも生まれやすく、全体として最適な答えにたどりつけるようになるため、課題解決のスピードも上がるでしょう。

現代の日本企業の多くは縦割りの構造となっていますが、縦割り組織は意思決定に時間がかかるというデメリットがあります。変化の激しい現代においては、ビジネスにもこれまで以上にスピードが求められるようになってきおり、クロスファンクショナルチームの注目度も高まっているのではないでしょうか。

参加メンバーのスキルが向上する

クロスファンクショナルチームは、プロジェクトのあらゆる側面を受け持つため、次世代リーダーの育成にも最適です。具体的には、メンバー個人の以下の3つのスキルの向上が期待できるでしょう。

  • 課題を分析し、解決する力
    クロスファンクショナルチームは、全社的なプロジェクトや課題解決のために結成されるケースが多いです。そのため、経営視点でものごとを分析し、答えを出す力が身につきます。
  • 周りを巻き込む力
    クロスファンクショナルチームには、年齢や役職、専門分野もさまざまなメンバーが集まっています。多様なメンバー同士で認識をすり合わせながらプロジェクトを進めていくなかで、関係者を巻き込みながら仕事を進めていく力が身につきます。
  • ファシリテーション力
    クロスファンクショナルチームでは、さまざまな経験やスキルを持ったメンバーが集まり意見を出し合います。議論を活性化させるためには、メンバーに発言を促したり、異なる意見をまとめたりする役割が必要になります。この役割を担うことで、ファシリテーション力が身につきます。

クロスファンクショナルチームの課題

クロスファンクショナルチームを導入することで、さまざまなメリットが期待できることがわかりましたが、クロスファンクショナルチームには課題(デメリット)もあり、成果につなげられていないケースも多いようです。ハーバードビジネスレビューの記事では、クロスファンクショナルチームの75%が機能不全であるという調査結果が紹介されています。

参考:75% of Cross-Functional Teams Are Dysfunctional | Harvard Business Review

特に難しいといわれているのが、メンバーのモチベーションの維持と、チームのメンバー構成です。1つずつ、詳しく見てみましょう。

モチベーションの維持が難しい

クロスファンクショナルチームのメンバーには、それぞれ所属部署があります。そのためメンバーは、クロスファンクショナルチームでの活動と通常の業務を兼務しなければならなくなります。負担が大きくなり、繁忙期は特にモチベーションの維持が難しくなるでしょう

また、クロスファンクショナルチームは全体最適を目指して活動しますが、やはりメンバー個人の意見は、自分の所属部署に有利なほうに傾きやすくなるものです。そのため、意見がなかなかまとまらなかったり、問題が起こったりすることもあるかもしれません。活動がスムーズに進まないと、メンバーのモチベーションも下がってしまうでしょう。

このようなことを考えると、メンバーにモチベーション高くクロスファンクショナルチームの活動に取り組んでもらうためには、企業全体の働き方を変えていく必要があるといえます。基本は所属部署に席をおき、週に12日だけクロスファンクショナルチームとして活動するというような形では、メンバーのモチベーション維持だけでなく、チームの運営自体が難しくなると考えられます。

または、部署ごとにインセンティブを与えるというのも、メンバーのモチベーションを維持する1つの方法です。

メンバー構成が難しい

若手でチームを構成したほうが、自由で斬新なアイデアは生まれやすいといえますが、若手ばかりだと、ライン部門に蓄積されたナレッジを引き出すのは難しいでしょう。また、スタッフ部門のメンバーばかりにすると、ライン部門にとって実行するのが難しい解決案となることが多くなりますし、逆に、ライン部門のメンバーばかりを集めると、実行しやすさが重視された案ばかりになりがちです。

どのようなメンバー構成とすべきかについては、プロジェクトの内容にもよりますが、できるだけ役職や年齢、経験、スキルもさまざまなメンバーを集めたほうがよいでしょう。また、以下の3つは、クロスファンクショナルチームのメンバーに共通して欠かせない能力といえます。メンバーを選ぶ際は、この能力も重視してみてください。

  • コミュニケーション能力
    普段からメンバーと積極的にコミュニケーションをとり、良好な関係が築けるかどうか。
  • 説明責任
    自分のミスを素直に認め、プラスに変えられるかどうか。
  • 適応性
    さまざまな変化に対して臨機応変に対応できる力があるかどうか。

クロスファンクショナルチームの導入手順

次に、クロスファンクショナルチームの導入手順を紹介します。クロスファンクショナルチームの導入は、次の3ステップで進めていきます。

  1. チームを設計する
  2. メンバーを選出する
  3. チームを運営する

1つずつ、詳しく見ていきましょう。

1.チームを設計する

チームを設計するにあたり、まずは、何のプロジェクトや課題に取り組んでもらうのか、クロスファンクショナルチームをつくる目的を設定しましょう目的が明確になったら、期間限定なのか常設なのか、メンバーは何人集めるのか、業務の負担はどのくらいかかるのかなど、細かくチームを設計していきます。

2.メンバーを選出する

チーム設計ができたら、「メンバーの選定が難しい」の項で紹介したような能力も考慮しながら、メンバーを選出していきます。適切なメンバー構成とするために、日頃から社員がどのようなスキル、経験を持っているのかを把握しておくことが重要です。

また、クロスファンクショナルチームは普段あまり接点がないメンバー同士が集められたチームであるため、リーダーには多様なメンバーをまとめられる強いリーダーシップと責任感を持った人材を選びましょう

3.チームを運営する

メンバーが決まったら、実際に運営を始める前に、行動規範やルール、ポリシーなどをまとめたチームマニュアルを作成しましょう。活動がスタートすると知識やノウハウも蓄積されていくので、マニュアルは随時アップデートすることも大切です。

また、クロスファンクショナルチームは、普段は別々の部署で働いているメンバーで構成されるため、はじめは意見が出づらいかもしれません。司会進行役をつけるなどして、発言しやすい雰囲気をつくると、スムーズに活動を進められるでしょう。

クロスファンクショナルチームの成功事例

ここからは、クロスファンクショナルチームの導入により成果を上げた企業の事例を紹介します。

日産自動車株式会社

まずは、日本でクロスファンクショナルチームが広まるきっかけとなった、日産自動車株式会社の事例です。

1990年代末、フランスの自動車メーカーであるルノーから日産自動車株式会社に、カルロス・ゴーン氏が送り込まれました。カルロス・ゴーン氏は、当時倒産寸前の危機にあった日産自動車株式会社を立て直すため、「日産リバイバルプラン」を打ち出します。商品ラインナップの刷新や、購買コスト削減、生産や研究開発の効率向上などが、目標に掲げられました。そして、これを実行するために、クロスファンクショナルチームが9つつくられます。1チームの人数は10人余りで、のちに1チーム増えて10チームとなりました。2ヶ月半で、1チームあたり約100個ものアイデアが生まれたそうです。

工場の閉鎖や人員の削減、商品ラインナップの見直しなどを行った結果、抱えていた約2兆円の有利子負債も、2003年までに返済し終えることができました。

横浜・F・マリノス

横浜・F・マリノスは、神奈川県横浜市、横須賀市、大和市をホームタウンとするサッカーJ1リーグチームです。日産自動車株式会社でクロスファンクショナルチームの一員として活動していた嘉悦朗氏が、2009年、横浜・F・マリノスの再建を託されました。

当時の横浜・F・マリノスは、リーマンショックの影響もあり、年俸の高い選手は移籍させる、有名な選手は取らないという極端なコスト削減を行っていたため、成績も低迷していました。さらに、年間で約1000回もの地域貢献活動を行っているにもかかわらず観客数も減少するという、悪循環に陥っていたのです。

この状況を変えるために、嘉悦朗氏は社長に就任した際、3つのクロスファンクショナルチームをつくりました。ホームタウン活動はホームスタジアム(日産スタジアム)がある港北区にフォーカスを当てる、近隣の施設とコラボレーションする、東京ディズニーランドの研修を受けるなど、1ヶ月半で55個のアイデアが生まれました。

採用したアイデアを実行した結果、翌年の2010年には集客が16%アップしました。さらに、次は売上アップを目指して6つのクロスファンクショナルチームをつくり、2009年比で収益計60%アップも実現しています。

参考:ゴーンの懐刀が挑む、マリノス改革の全貌 | 東洋経済オンライン

クロスファンクショナルチームを導入している企業

日本でも、大企業を中心にクロスファンクショナルチームを導入する企業が増えていますが、どのような目的のために導入するに至ったのでしょうか。最後に、クロスファンクショナルチームを導入している企業を紹介します。

株式会社りそなホールディングス

株式会社りそなホールディングスは、202041日付で、グループ戦略部内にクロスファンクショナルチームを設置しました。顧客の困りごとや社会課題を起点とした新たなビジネスの創造と、ビジネスモデル、業務プロセスの再構築に向けた取り組みなどを促進することを目的としています。

参考:組織改正について|ニュースリリース|りそな銀行

また、クロスファンクショナルチームが集まる拠点として、同年9月には「Resona Garage(りそなガレージ)」も開設しています。新たなワークスタイルを実現するために、固定電話は原則廃止、服装は自由となっており、カフェ併設エリアやミーティングエリアも設けられるなど、空間も工夫されています。

参考:オープン・イノベーション共創拠点「Resona Garage」の開設について|ニュースリリース|りそな銀行

住友化学株式会社

住友化学株式会社は、2050年カーボンニュートラル実現に向けて、202121日付で「カーボンニュートラル戦略審議会」と、「カーボンニュートラル戦略クロスファンクショナルチーム」を設置しました。

「カーボンニュートラル戦略クロスファンクショナルチーム」は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた戦略の策定や取り組みの推進などを行う「カーボンニュートラル戦略審議会」の事務局という位置づけです。リーダーは技術・研究企画などを統括する役員が務め、海外拠点からもメンバーを招集しています。

参考:カーボンニュートラルの実現に向けた推進体制を構築 | サステナビリティ | 住友化学株式会社

まとめ

日本の企業を参考にしてアメリカが理論化したクロスファンクショナルチームが、近年日本でも広がりつつあります。クロスファンクショナルチームは、さまざまな部署から多様な経験やスキルを持ったメンバーが集められるので、新たなアイデアも生まれやすく、部分最適ではなく全体最適な答えにたどりつけるようになります。参加メンバーのスキル向上も期待できるため、次世代リーダーの育成にも効果的です。

モチベーションの維持や、メンバー構成が難しいという課題はありますが、現在の企業の体制や業務プロセスに課題を感じているなら、クロスファンクショナルチームの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

参考:「戦略マネジメント入門」(著者:小泉修平 / 出版社:三恵社 / 発売:2009年)

 

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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。
不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。
猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

あらたこまち

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