協調学習とは?具体例や企業が取り入れるメリットを解説
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社員の育成のために、研修を実施している企業は多いでしょう。しかし、「いまひとつ効果を感じられない」「受講者の学習意欲が低い」「知識・スキルの習得と同時に、コミュニケーション活性化にもつなげたい」このような悩みを抱えているなら、研修に協調学習を取り入れてみてはいかがでしょうか。
本記事では、協調学習とはどのような学習なのか、近年注目されている理由や、研修に取り入れるメリットを解説します。さらに、協調学習を支援する方法の1つである「ジグソー法」の基本的なやり方や注意点、ジグソー法を取り入れた研修プログラムも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
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協調学習とは
協調学習とは、学習者同士で意見を交換し、協力し合って与えられた課題を解決しようとする学習形態を指します。講師(先生)から一方的に教えてもらうのではなく、自分で説明したり、学習者同士で確認し合ったりすることで、学びを深めていきます。
学校の教育現場で広まっているものですが、企業の研修にも取り入れることが可能です。学習テーマに関する理解が深まるだけでなく、学び合いを通じてさまざまなビジネススキルが鍛えられる、学習者同士の交流を促せるといったメリットもあります。
協調学習と似ている用語
協調学習の他に、「協働学習」「協同学習」「共同学習」「学び合い」といった用語も、近年よく耳にするようになりました。これらは研究者によって説明が異なり、さまざまな定義が存在します。しかし、いずれも「ペアやグループに分かれて、学習者同士でコミュニケーションをとり、協力し合って学習すること」を重視している学習形態であると考えられます。
本記事では、そのような学習形態をまとめて「協調学習」と呼ぶこととします。用語別の定義の詳細、それぞれの違いを知りたい方は、専門書を参考にしてください。
【参考】協調・協同・協同・共同の言葉そのものの意味
前項で協調学習と似ている用語を挙げましたが、それらの「学習」を除いた部分の言葉自体の意味を、参考として紹介します。
- 協調……利害や立場などが異なる者同士で協力し合うこと
- 協働……同じ目的に向かって複数の者が協力して働くこと
- 協同……複数の人や団体などが力を合わせて何かを行うこと
- 共同……複数の人や団体などが一緒に何かを行ったり、同じ条件や資格で所有や利用をしたりすること(協同と同じ意味)
協調学習の具体例
では具体的に、協調学習ではどのようなことを行うのでしょうか。いくつか例を挙げてみましょう。
【協調学習の具体例】
- 勉強会
- グループワーク
- ディスカッション
- ディベート
- ケーススタディ
- ロールプレイング など
内容によっては、Web会議ツールなどを使ってオンラインで実施することも可能です。
このように、協調学習にはさまざまなやり方がありますが、学習のなかで上記のような活動をただ行えばよいというものでもありません。協調学習は、自分にはない価値観や考え方、感性に触れ、他の学習者から刺激を受けて自分を成長させるようなものであるべきです。実施するならば、そのような仕掛けを用意する必要があります。
協調学習が注目されている理由
協調学習が注目されているのは、文部科学省が「協働的な学び」を推進しているためではないでしょうか。「協働的な学び」とは、“探究的な学習や体験活動などを通じ、子ども同士で、あるいは地域の方々をはじめ多様な他者と協働しながら、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、さまざまな社会的な変化を乗り越え、持続可能な社会の創り手となることができるよう、必要な資質・能力を育成する”ものとされています。
出典:2.育成を目指す資質・能力と個別最適な学び・協働的な学び:文部科学省
また、「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニングの視点からの授業改善)」という言葉も用いられることがあります。
- 主体的な学び……学ぶことに対して興味・関心を持ち、自身のキャリア形成を見通し粘り強く取り組み、学習を振り返り次につなげる。
- 対話的な学び……学習者同士、講師やその他かかわる人との対話により、自分の考えを広げ、深める。
- 深い学び……知識を関連付けて理解を深めたり、問題を見つけて解決策を考えたり、思い・考えをもとに意味や価値を創造したりする。
出典:主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニングの視点からの授業改善)について(イメージ):文部科学省(PDF)
文部科学省がこのような学習を推進しているため、学校教育において学習者同士で学び合う学習形態(この記事でいう協調学習)が広まり、それが企業の研修にも取り入れられるようになってきていると考えられます。
「そもそもチームビルディングとは?」「何から進めればいい?」という方のために、基本の考え方からチームづくりの5段階、すぐ使えるフレームワーク15選までを1冊にまとめた入門ガイドをご用意しました。
企業が協調学習を取り入れるメリット
次に、企業が研修に協調学習を取り入れるメリットについて解説します。
学習テーマに対する理解が深まる
ビジネスにおいては、研修などで学んだ知識やスキルを現場で「使えるようになる」ことが求められます。しかし、内容をただインプットするだけではそのレベルに達することは難しいでしょう。そのため、研修のなかでもアウトプットを行うことが重要となります。協調学習は、その機会として活用できます。
まず講義を聞く、動画を見るなどの方法で知識や情報をインプットしたあと、協調学習を行い、学んだことを他者に説明する、実際に活用して問題を解決するなどしてアウトプットします。このような流れで研修を進めることで、テーマに対する理解が深まり、翌日から現場で使えるようになることが期待できます。
「ラーニングピラミッド」という、学習方法別の学習定着率を示した図があります。これを見ても、協調学習を取り入れたほうが、座学だけの研修よりも学習定着率が高くなることがわかります。

出典:あそぶ社員研修
さまざまなスキルを鍛えられる
協調学習は、学習テーマに対する理解をより深められるだけでなく、ビジネスで求められる以下のようなスキルも鍛えられる可能性があります。
コミュニケーション能力
協調学習は、学習者同士でコミュニケーションをとりながら、お互いに協力して学びを深めていくものです。活動を通じて、自分の意見をわかりやすく相手に伝える力、相手の意見をしっかり聴く力、より深く理解しようとする力、フィードバックスキルなどが向上する可能性があります。ライティングやエディティングを含む課題を用意すれば、文章でのコミュニケーション能力も鍛えられるでしょう。
関係構築力
協調学習では、与えられた課題をクリアするために自分以外の学習者と協力しなければなりません。活動を通じて、他者と協力することの大切さや、信頼関係の築き方を学ぶことができるでしょう。その結果、職場に戻っても周りと協力して仕事を進められるようになることが期待できます。
問題解決力・思考力
与えられた問題・課題に対する最善の解決策を導き出すためには、その問題・課題を俯瞰し、情報の分析や意見の評価などを行う必要があります。これを個人ではなくグループで行うことで、自分にはない視点や考え方にも気づくことができ、思考の幅が広がる可能性があります。その結果、問題や課題を解決する力や、思考力も磨かれることが期待できます。
発想力
複数人で話し合い、意見やそれぞれが持っている知識を出し合うことで、一人では思いつかなかったような斬新なアイデアが生まれることがあります。協調学習で他者から刺激を受けることで、個人の発想力も磨かれる可能性があるでしょう。
学習意欲を高められる
座って講義を聞くだけ、テキストや動画を見るだけといった受動的な学習では、学習者が退屈しやすい傾向があります。そこで、ディベートやグループワークなどの協調学習を取り入れ、学習者自身が「体験」しながら学べる研修にすることで、学習意欲の向上が期待できます。主体的に参加できる場を設けることで、前向きに学習へ取り組む姿勢も生まれやすくなるでしょう。さらに、ゲームやアクティビティといった「楽しい」の要素をプラスすることで、学習意欲をより一層高められる可能性があります。
また、協調学習には、他の学習者の存在が刺激となり、意欲向上につながる側面もあります。たとえば、知識や理解の深い学習者との対話を通して、「この人のようになりたい」「自分も負けたくない」といった気持ちが生まれ、学習へのモチベーションが高まることもあるでしょう。
自信を得られる
ともに学び合うなかで、自分の意見やアイデアが他の学習者に認められると、自分に自信を持てるようになります。また、グループでの話し合いや作業を通じて、自分では気づいていなかった強みや価値に気づくこともあるでしょう。協調学習を通じて自信や気づきが得られると、学習や仕事に対する姿勢、意欲がより高まることも期待できます。
社員同士で交流を深められる
協調学習を取り入れた研修は、社員同士の交流を深める貴重な機会にもなります。活動を通してお互いの考え方や価値観の違いを知ることで、相互理解が進み、良好な関係を築きやすくなります。その結果、日常業務におけるコミュニケーションや連携もスムーズになることが期待できます。また、グループに分かれて1つの課題に取り組むことで、自分の役割やメンバーを思いやる姿勢、協力することの大切さを再認識でき、チームワークの向上にもつながるでしょう。
協調学習を支援する「ジグソー法」
協調学習を支援する方法の1つに、ジグソー法があります。ジグソー法とは、アメリカの社会心理学者であるエリオット・アンソロン氏により提唱された学習法です。学習者が持つそれぞれの情報をジグソーパズルのように組み合わせて、グループで1つの答えを導き出します。
最後に、このジグソー法のやり方や注意点、ジグソー法を取り入れた研修プログラムを紹介します。
※なお、学校の教育現場などで広く活用されているのは一般社団法人教育環境デザイン研究所(CoREF)が独自に開発した「知識構成型ジグソー法」で、このあと紹介するものとは少しやり方が異なります。「知識構成型ジグソー法」については、一般社団法人教育環境デザイン研究所のホームページをご覧ください。
基本的なジグソー法のやり方
ジグソー法は、以下の3ステップに沿って進めていくのが基本です。
- ステップ1:ホームグループ
- ステップ2:エキスパート活動
- ステップ3:ジグソー活動
1つずつ見ていきましょう。
ステップ1:ホームグループ
まずは課題を発表し、学習者を少人数のグループに分けます。このグループを「ホームグループ」といいます。
1グループの人数は、4人程度が目安です。人数が多すぎると、それぞれが学習する時間や、学んだことを他のメンバーに説明する時間が長くなり、効率が悪くなります。反対に人数が少なすぎると、グループ内のコミュニケーションが少なくなり、十分な学習効果が得られない可能性があります。
ステップ:エキスパート活動
次に、各グループでエキスパート(専門家)を作る活動を行います。手順は以下の通りです。
- 各グループに、課題に関する異なる資料を配布する。
- それぞれが個人で自分に与えられた資料を読む。
- 同じ資料を与えられた他のグループのメンバーと集まり、ホームグループとは別のグルプを作る(このグループを「エキスパートグループ」といいます)。
- エキスパートグループでディスカッションをし、学びを深める。
ステップ3:ジグソー活動
最後に、もともとのホームグループに「自分が担当した資料のエキスパート」として戻ります。そして、それぞれがエキスパート活動で学んだことを他のメンバーに共有し、最初に与えられた課題に対するグループとしての答えを出します。
ここまでが基本的なジグソー法の流れですが、最後にまとめとしてグループごとの発表や全体の振り返り、フィードバックなどを行う時間を設けると、より学習の効果を高めることができるでしょう。
ジグソー法を実施するときの注意点
次に、ジグソー法を効果的に実施するための2つの注意点について解説します。
適切な時間配分を考える
ジグソー法の実施には、全体で60分程度の時間がかかります(※参加人数、グループの数、扱うテーマによっても変わります)。また、お伝えしたように学習の効果を高めるためには、最後にグループごとの発表やフィードバックを行う時間を設けることが望ましいです。ジグソー法は、十分な時間を確保したうえで実施しましょう。
また、3つのステップのなかでも、特に時間をかけるべきなのがステップ3のジグソー活動です。効果的に実施できるよう、時間配分にも注意しましょう。
学習者の興味を引くような課題を用意する
ジグソー法では、学習者が「知りたい」「考えたい」と思えるような課題を提示することが重要です。課題が学習者の興味を引くようなものでなければ、学習がはかどらない、コミュニケーションが生まれない、話が脱線するといった状況に陥りやすくなります。これでは当然、高い効果は得られません。
あらかじめ学習者の興味・関心ごとを把握しておき、それに沿った課題を用意しておきましょう。
なお、ジグソー法については以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてください。
ジグソー法とは?やり方やメリットと注意点を解説 – あそぶ社員研修
ジグソー法を取り入れた「あそぶ社員研修」のプログラム
株式会社IKUSAが提供するあそぶ社員研修の「ロジカルシンキング研修」には、ジグソー法に基づき開発されたアクティビティ「リアル探偵チームビルディング」が取り入れられています。
まず参加者は大グループと小グループに分かれ、小グループで異なる情報を受け取ります。その情報を大グループで共有して、1つの正解を導き出すというロジカルシンキングゲームです。プラン(ストーリー)は、探偵になりきって事件を解決する「消えた資料と不明な持ち主」と、戦国をテーマとした「関ヶ原凸大軍議」の2種類から選択いただけます。
「ロジカルシンキング研修」は、まずこのアクティビティで論理的思考を実践していただき、そのあとアクティビティの振り返り、ロジカルシンキングに関する講義・ワーク、まとめという流れで進められます。
対象は新人・若手社員で、対面・オンラインの両方で実施が可能です。「研修にジグソー法を取り入れてみたい」と考えているなら、ぜひあそぶ社員研修の「ロジカルシンキング研修」をご検討ください。
まとめ
文部科学省が推奨する「協働的な学び」が学校教育の現場において広がっており、企業の研修にも取り入れられるようになってきています。学習者同士で協力して課題の解決に取り組む協調学習を研修に取り入れることで、ビジネスに必要なさまざまなスキルも鍛えられる可能性があります。また、社員同士の交流の機会にもなり、相互理解の促進やコミュニケーション活性化といった効果も期待できます。
研修で協調学習を実施してみたいけれど、「どのように取り入れればよいのかわからない」「何を準備すればよいのかわからない」などとお悩みなら、株式会社IKUSAにお気軽にご相談ください。
「あそぶ社員研修」は、受講者が主体の研修。心理的安全性が保たれた場で、ワークを通じて「成功と失敗」を擬似体験できます。自ら気づきを得るから、研修後の行動が変わります。
「どの研修が自社に合うかわからない」という方は、お気軽にご相談ください。目的やご予算に合わせて最適なプログラムをご提案します。
この記事の著者
あそぶ社員研修は、企業の研修担当者向けのお役立ち情報を発信するメディアです。研修に関するノウハウ、組織・人材開発の手法、ビジネススキルなどをわかりやすく紹介します。






