ジグソー法とは?やり方やメリットと注意点を紹介

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企業では、一つの仕事を社員ひとりで担当することは少なく、チームで仕事の完成を目指すことや、他部署と連携して業務を行うことが多いでしょう。お互いに知識やスキルを補いながら業務を遂行することで、生産性や品質の向上が期待できます。

チームのメンバー同士が、些細なことでも相談できる関係性であれば、チームの生産性は大きく向上しますが、なかには気軽に相談できる環境ではないこともあります。

今回紹介するジグソー法は、メンバー同士が教え合いながら学習効果を高める方法です。ジグソー法を取り入れた研修を行うことで、社員同士が連携して業務を行うスキルが身につきます。

本記事では、ジグソー法のやり方やメリット、注意点をお伝えするとともに、ジグソー法をもとにした研修サービスを紹介します

 

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ジグソー法とは

ジグソー法とは、アメリカの社会心理学者エリオット・アンソロン氏が提唱したもので、「アクティブラーニング」の要素を持つことから、教育現場で取り入れられることもあります。

ジグソー法では、各メンバーが共通のテーマや課題について分担をして調べたり学んだりして知識を深めます。その後、調べて学んだ内容を他のメンバーに説明するため、自主的かつ能動的に考える力が鍛えられるとともに、協調性を築く効果が期待されます。

ジグソー法は、チームで仕事をするうえで役立つスキルを身につけられることから、社員研修などに使用されるケースもあります。

ジグソー法のやり方

ジグソー法は、基本的には以下の3つのステップに沿って進められます。詳しく見ていきましょう。

1.ホームグループを作る

まずは参加者をグループ分けします。このグループをホームグループと呼び、メンバーが属するグループのことを指します。ホームグループのメンバーが決まったら、取り上げたいテーマや課題について担当を分担しましょう。

このとき、1グループの人数は、4人程度が効果的だといわれています。4人以上になると、資料を読む時間や自分が知り得た知識を他のメンバーに説明する時間が増えるため、効率が悪くなる可能性が高いためです。

一方、グループの人数が少なすぎても、メンバー間で活発なコミュニケーションが生まれにくくなり、十分な学習効果が得られにくいといわれています。なるべく4人程度のホームグループを作るようにしましょう。

2.エキスパート活動を行う

ホームグループを作成し、各メンバーの役割を決めたら、それぞれが担当する課題やテーマについて「エキスパート」になるための活動をします。これをエキスパート活動と呼びます。

エキスパート活動では、各ホームグループで同じ課題やテーマを担当したメンバーが集まり、エキスパ-トグループを作ります。例えば、ホームグループAでテーマ1を担当した人は、ホームグループBCDでテーマ1を担当する人とエキスパートグループを作り、課題やテーマについて学びます。エキスパートグループのメンバー同士で、感想を伝え合ったり、問題の解決策を考えたりすることで、与えられたテーマや課題に対する知識を深めることができるでしょう。

3.ジグソー活動を行う

エキスパート活動で担当したテーマや課題について深く学んだら、ホームグループに持ち帰りメンバーと情報共有します。グループ内でコミュニケーションを図りながらテーマや課題の解決を進めましょう。

すべてのホームグループが課題を終了したら、メンバー個人やグループ活動の内容に関して、フィードバックを行います。フィードバック後に活動に関する採点を行う場合、原則的には、次のような方法で採点されます。

  • メンバー個人における採点と、フィードバックのみ実施。
  • グループにおける採点と表彰のみを実施。
  • 活動後にテストを行い、結果によって個人の理解度をチェックする。

ただし、採点方法には様々な見解があり、他の方法で評価されることもあるようです。いずれにしても、課題を終えた後に、テーマや課題の進め方や活動について振り返りを行い、理解を深めることが大切です。

ジグソー法の4つのメリット

ジグソー法では、能動的で活動的な姿勢と、お互いの協力が求められます。そのため、ジグソー法を使った学習や研修を行うことで、以下のようなメリットがあります。

1.社員が自主的に考える能力が高まる

ジグソー法は、講師が一方的に説明するセミナーなどとは違い、メンバー自身が与えられたテーマや課題について解決方法を見出すという学習法です。メンバーの一人ひとりが自主的に動き、お互いに問題解決に向かって切磋琢磨することが求められます

ジグソー法を取り入れた研修では、自分で課題に関する資料を読み込み、内容を理解したうえで、他のメンバーと話しあったり協力したりしながら、課題解決を目指します。そういった活動のなかで、他人や周りを頼るだけではなく、自分の役割を理解して知識を深める能力が鍛えられるでしょう。また、自分の考えをメンバーに伝える必要があるため、与えられた仕事に関して自主的に考える練習になるのもメリットといえます。

2.社員の積極的な問題解決能力が鍛えられる

ジグソー法はテーマや課題の解決に向けて、個人がさまざまな知識を身に付けたり、自分の吸収した内容を他のメンバーに説明したりしながら、一緒に問題を解決することが鍵となります。メンバー全員がそれぞれに答えを導き出すまでの過程を体感することで、問題解決能力が鍛えられるでしょう

また、答えにたどり着くまでに「なぜ特定の考えを持つに至ったのか」など、論理的な思考も生まれます。

3.社員同士のコミュニケーション力が向上する

ジグソー法では、メンバー間でコミュニケーションを積極的にとらなければなりません。なぜなら、ジグソー法はメンバーそれぞれの知識や考え方を共有することなしには、前に進めない学習法だからです。

他のメンバーの話を聞き、情報をまとめながら課題の解決に向かうという一連の流れを繰り返すことで、コミュニケーションの大切さを学ぶことができるでしょう

4.社員の発想力が磨かれる

ジグソー法では、資料などを見ながら情報を他者に伝えたり、メモを取ったりすることができないルールとなっています。得た情報は口頭のみで説明を行い、頭の中で正確に整理することになります。

資料やメモを使わないやり取りを繰り返すことで、受け取った情報を自分の知識として取り入れられるとされています。その結果、今まではイメージできなかったアイディアや発想を生み出すための力が磨かれるのです

ジグソー法を行う際の注意点

ジグソー法はメンバー個人の考えを大切にしながらも、他のメンバーと知識を分け合ったり、協力しながら課題をこなしたりします。そのため、テーマや課題を意識的に解決しようとする能力を身につけられるでしょう。しかし、ジグソー法はメンバー全員が役割を持つゆえに、気を付けるべき点があります。ここでは、ジグソー法を行う際の注意点について見ていきましょう。

1.  実施時間がかかる

ジグソー法は、共通の課題やテーマに対してメンバーそれぞれが知識を得たり、自分の考えを説明したりする過程を踏まなければなりません。また、そこに至るまでには、資料を読み込んだうえに他のメンバーに分かりやすく意見を伝える方法を考える必要があります。

また、準備をする企業側も社員が理解しやすい課題やテーマを選定したり、難易度が高すぎない資料の提供などを計画したりする必要があります。そのため、準備から実施するまでに時間がかかる点や、実施時間が長くなりやすい点は、念頭に置いておく必要があるでしょう。

2.  自主的な行動を苦手とする社員もいる

人はそれぞれ、性格や考え方が異なります。社員のなかには、積極性がある人もいれば、受け身な人もいるでしょう。しかし、ジグソー法は「自ら学んだことを他人に伝えて行く」という特徴を持つため、積極的に行動することが苦手な社員にとっては負担が大きいと感じる場合があります。

ジグソー法を企業が実施する際には、コミュニケーションをとるのが苦手な社員もいる、ということを理解し、社員同士の人間関係が悪くならないよう十分に気を配ることが大切です。

3.  おしゃべりや自主学習の場になってしまう恐れがある

ジグソー法は、グループ内のメンバーとテーマや課題についてディスカッションすることが重要です。考え方や意見を聞いたり話したりして、課題に取り組む経験をすることが大きなメリットですが、それはメンバー全員が積極的に課題やテーマに取り組んでいる場合に限ります。

もし、メンバーの大半がテーマや課題へ真剣に取り組んでいなければ、ただのおしゃべりの場となることもあるでしょう。それを防ぐためにも、メンバーが興味のあるテーマや課題を実施者側が事前に把握しておくことが大切です。

また、ジグソー法はメンバーの自主的な学習を重視します。しかし、メンバーが配布された資料を読み込む振りをして、違う作業を行ってしまうケースもあるかもしれません。活動のすべてをメンバーのみに任せるのではなく、実施する側もサポートしたり、特定のルールを設けたりするなどの工夫が必要です。

ジグソー法を体験できる研修サービス2

ジグソー法を参考に開発されたサービスを活用することで、効果的にジグソー法を取り入れることができ、企業側は研修の準備をする時間や手間を省けます。ここでは、ジグソー法を取り入れた研修関連サービスを2つ紹介します。

1.   リアル探偵チームビルディング

リアル探偵チームビルディングは、メンバーに与えられた課題やテーマをそれぞれのメンバーが理解したうえで、他のメンバーに自分が吸収した知識を説明し合ったり、協力したりしながら1つの答えにたどり着くロジカルシンキング研修です。

メンバー同士が、積極的に意見を交わしながら情報を分析する過程を経験するため、自主性や問題解決能力を高めることが可能です。

進め方

各大グループの中に、4つの小グループを作ります。各小グループに異なる情報が与えられ、小グループのメンバーは対策を話し合います。その後、小グループで得た情報を大グループで共有し、推理を進めます。

その後、もう一度小グループに戻り、話し合った内容を分析したり、仮説を立てたりしながらディスカッションをします。この過程を経て、大グループにて最終的な答えを決定し、最後に小グループに戻って、答えの解説が行われた後、振り返りを行います。

2.アクティブ・ブック・ダイアローグ®

竹ノ内 壮太郎氏が開発した、ジグソー法を取り入れた読書法です。1冊の本を、メンバー全員で分担しながら読み込んでいきます。それぞれのメンバーが分担する箇所が決まっているため、事前に指定の本を全て読んでおく必要はなく、負担や時間がかかりません。

メンバー全員で自分が担当した箇所の共有や発表、本が伝えたいポイントは何なのかなどを話し合うことで、自主性やコミュニケーション能力が鍛えられます。

進め方

アクティブ・ブック・ダイアローグは、原則的に以下の6つの流れを取ります。

1.チェックイン:集まったメンバーが小グループに分かれ、現在の気持ちをグループ内で共有します。

2.オリエンテーション:ファシリテーターが、説明や流れの紹介をします。

  1. コ・サマライズ:取り上げる本を決め、メンバーごとに担当する箇所の割り振りを行います。割り振られた部分の文章を各自で読み進め、要約文をそれぞれ作成します。
  2. リレー・プレゼン:各メンバーが作った要約を、リレー形式で発表し合います。
  3. ダイアログ:発表された内容に対し、感想や質問、疑問点などについてメンバーで話し合いながら、内容を深く理解していきます。

6.チェックアウト:感想や振り返りを共有します。

参考:アクティブ・ブック・ダイアローグ®が未来の扉をあける

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まとめ

企業で仕事をする際には、メンバー同士がそれぞれの役割を担い、知識を分け合いながら協力して進めていく必要があります。同じ課題に向かって、メンバーが自主的に活発な意見を交わすことで、問題解決能力や発想力が磨かれます。その能力が結果的に、企業の発展につながっていくでしょう。

ジグソー法を活用した研修を導入して、社員の能動性や仕事に対する柔軟な考え方、姿勢を育ててみてはいかがでしょうか。

 

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この記事の著者

久木田(くきた) みすづ

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