ピアラーニングとは?メリットと注意点、ポイントを解説
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学校教育で広がっている「ピアラーニング」という学習方法が、企業の人材育成にも活用されるようになってきています。ピアラーニングを効果的に実施するためには、その特徴を理解し、ポイントを押さえたうえで取り入れることが重要です。
本記事では、ピアラーニングとはどのような学習方法なのか、従来の学習との違いや具体例、ピアラーニングが注目されている理由、メリットと注意点、企業研修で実施するときのポイントを解説します。さらに、最後に「社員の主体性を高めたい」と考えている人材育成の担当者様に向けておすすめの研修も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
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ピアラーニングとは
ピアラーニングとは、学習者同士でお互いに協力しながら学び合う学習方法です。英単語のピア(peer)には、仲間、同僚、対等者などの意味があります。ピアラーニングにおいては、“自分以外の学習者”が“ピア”になります。
ピアラーニングは、もともとは学校教育の現場で広まった学習方法ですが、最近では社会人教育や企業の人材育成などにも活用されるようになってきています。企業がピアラーニングを取り入れるメリット(効果)については、のちほど詳しく解説します。
従来の学習との違い
従来の学習は、講師(先生)が学習者(生徒)に教えるスタイルが主流でした。具体的には、「講師が講義をして学習者に知識や情報を伝達する」「学習者が論文やレポートを書き、講師が評価・アドバイスをする」などです。
しかしピアラーニングでは、基本的には講師から学習者に知識や情報を与える、講師が学習者を一方的に評価するといったことは行いません。ピアラーニングは、学習者同士の「対話」に重きを置いた学習方法であり、学習者の主体的な学びをサポートするのが講師の役割になります。
ピアラーニングの種類
ピアラーニングは、さまざまなやり方があります。その一例として、「ピアリーディング」と「ピアレスポンス」という2つの方法を紹介します。
ピアリーディング
ピアリーディングとは、学習者同士で一緒にテキストや資料を読みながら、対話により学習を深めていく方法です。具体的には、
- それぞれで要約を作成する
- 内容を確認し合う
- わからないところを質問し合う
- 内容について意見交換をする
- 結末がどうなるのか予測する
などの活動により、テキストや資料に対する理解を深めていきます。学習者同士で協力することを通じて、自己理解と他者理解を深め、学習者自身が自律的に学ぶことを目指す学習方法です。
ピアレスポンス
ピアレスポンスは、作文を学習者同士でお互いに読み合い、フィードバックを行うという方法です。誤字脱字や文法、表現に誤りがあればそれを指摘したり、改善案を提案したりすることで、作文をブラッシュアップしていきます。
他者からフィードバックを受け取ることで、新たな視点や気づきが得られることがあります。また、他者の作文を批判的に読む活動を通じて、自分の作文活動も改めて振り返ることができるでしょう。
企業におけるピアラーニングの例
企業が人材育成にピアラーニングを取り入れるなら、社員を対象とした研修で、前項で紹介したピアリーディングやピアレスポンスなどの活動を行うという方法が考えられます。基本的には対面で行いますが、オンラインでも実施することは可能です。
また、企業が実施する研修や教育ではなく、社員が主体的に行う学習もピアラーニングといえるでしょう。たとえば、「社員が自主的に開催する勉強会」や、「エンジニア同士で開発したソースコードを共有し、バグの指摘や改善点、注意点などの情報を共有する」といった活動です。
このほか、ソーシャルラーニングもピアラーニングの一種とされることもあります。ソーシャルラーニングとは、ソーシャルメディア(SNS、ブログ、Q&Aサイトなど)を活用した学習のことです。たとえば、「わからないことをソーシャルメディアで質問し、ほかの参加者がそれに回答する」という形の学習は、ソーシャルラーニングになります。ソーシャルラーニングも、教える側と教わる側に分かれるのではなく、参加者同士で協力して学び合うという特徴があります。
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ピアラーニングが注目されている理由
近年ピアラーニングが注目されているのは、アクティブラーニングの重要性が高まっているためであると考えられます。
アクティブラーニングとは、文部科学省の用語集によると“教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学習者の能動的な学習への参加を取り入れた教授・学習方法の総称”です。具体例としては、問題解決学習や体験学習、グループ・ディスカッション、ディベートなどが挙げられます。
現代は「VUCA時代」と呼ばれるほど変化が激しく、将来の予測が難しい時代となっています。このような時代を生き抜いていくためには、主体的に考える・行動できる力や問題を解決する力、新しいものを生み出す力などが必要であり、これらを育むためにアクティブラーニングの重要性が高まっているのです。
学習者同士の対話を重視するピアラーニングは、アクティブラーニングにつながると考えられています。そのため、まず学校教育に取り入れられるようになり、社会人教育や企業の人材育成にも広がってきたのではないでしょうか。
アクティブラーニングについては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。
アクティブラーニングとは?具体例や企業研修に導入するメリット・注意点を解説 – あそぶ社員研修
ピアラーニングのメリット
ここからは、企業の人材育成にピアラーニングを取り入れるメリットを解説していきます。
学習の効果が高まる
研修にピアラーニングを取り入れることで、学習の効果が高まる可能性があります。ラーニングピラミッドという考え方をご存じでしょうか。これは、学習方法別の学習定着率を、以下のようなピラミッド型の図で示したものです。

出典:あそぶ社員研修
この図を見ても、一方的に講義を聞く、動画などを見るといった従来の学習よりも、学習者同士で話し合ったり(グループ検討)、質問をし合ったり(他の人に教える)することで、学習内容が定着しやすくなることがわかります。よって、研修にピアラーニングを取り入れることで、学習内容が定着しやすくなると考えられます。
社員には、研修で学んだことを現場で「実践できる」ようになってもらわなければなりません。新しいことをただ覚えるのではなく、定着させることで、実践にもつながりやすくなるでしょう。
社員の主体性が高まる
社員の主体性を高めたい場合にも、ピアラーニングはおすすめです。講義を聞く、テキストを読む、動画を見るといった学習方法は、どうしても学習者が受け身の姿勢になりがちです。さらに、これらはコミュニケーションも講師から学習者への一方向であり、学習者側からのアクションがないため、集中力やモチベーションも維持されにくいという特徴があります。何らかの「体験」があったほうが、学習者の姿勢も前のめりになりやすいでしょう。
また、ピアラーニングは自分以外の学習者との活動を通じて学びを深めていきます。そのため、ほかの学習者から刺激を受けて学習意欲が高まることもあるでしょう。たとえば、優秀な社員と同じグループになることで「自分もあの人みたいになりたい」と感じたり、積極的に学ぼうとするほかの学習者の姿を見て「自分も負けていられない」と感じたりして、学習に積極的に取り組んでくれるようになる可能性があります。
社員の成長につながる
ピアラーニングを取り入れることで、活動を通じてさまざまなビジネススキルが鍛えられる可能性があります。たとえば、コミュニケーション能力です。学習者同士で対話をするなかで、自分の考えをわかりやすく伝える力、相手の意見をしっかりと聴いて理解する力などが養われるでしょう。また、自分と異なる考えや価値観に触れ、新しい視点に気づくこともあります。多様な視点でものごとを捉える力・考える力も磨かれるでしょう。
ピアラーニングを取り入れることで、このような現代のビジネスパーソンにとって重要なスキルが鍛えられ、社員の成長につながる可能性があります。
社員同士の交流を促せる
ピアラーニングは、学習者同士で協力して学び合う学習方法であるため、自然にコミュニケーションが生まれます。活動を通して交流を促せるという点も、企業にとっては大きなメリットといえるでしょう。研修にピアラーニングを取り入れることで、チームのメンバーや同期同士のつながりを強化できる可能性があります。
また、普段の業務のなかで生まれる交流は限られています。組織を活性化させるためには、社員同士で交流ができる機会を、企業側で意図的に設けることも重要です。ピアラーニングを定期的に実施(社員同士で学び合う場を提供)すれば、普段はあまり接点がない社員同士の距離も縮まり、学習の場以外でも交流が生まれやすくなるのではないでしょうか。その結果として、職場全体の雰囲気が明るくなる、連携がスムーズに行えるようになるなどの効果も期待できます。
ピアラーニングの注意点
ピアラーニングは企業研修にもおすすめの学習方法ですが、以下のような注意点もあります。
学習効果はメンバーによって変わる
ピアラーニングは学習者同士の対話を重視する学習方法であるため、メンバーによって学習の効果が変わってしまうことがあります。ここで、悪い(効果が低くなる)例をいくつか挙げてみましょう。
- 学習者のなかに自己主張が強すぎるメンバーがいる
→その人がずっと自分の意見ばかりを主張し、ほかのメンバーが発言できない。または対立が生まれて口論になる。 - 「初対面の人と話すのが苦手」というメンバーが多い
→活発な話し合いが行えず、無言の状態が延々と続く。 - メンバー間でテーマについて理解度に差がある
→理解度の高い学習者は時間を持て余す。理解度の低い学習者は不安や焦りを感じる、モチベーションが下がってしまう など。
また、ピアラーニングを初めて実施する場合は、いきなり「自由に話し合ってください」と言われても、困惑してしまう学習者が多いでしょう。そのため最初は、なかなか効果も感じにくいかもしれません。
狙った効果が得られない可能性がある
ピアラーニングは学習者を主体とした学習方法であるため、予想通りに進まないこともあります。たとえば、一人ひとりが発言はできているものの、的がずれている、ただの雑談の時間になってしまうといったケースが考えられます。また、ほかの学習者から教えてもらったことや、指摘・アドバイスが間違っていることもあります。間違いに気づかずに学習を進めると、そのグループ内に間違った知識や情報が定着してしまう恐れもあるでしょう。
研修は目的(狙う効果)を明確にし、費用対効果も考えたうえで実施することが大切ですが、ピアラーニングの場合は特に、狙い通りの効果が得られるとは限りません。ただ、逆に予想外の効果(学び)が生まれる可能性もあります。効果的に実施するためには、学習者に丸投げするのではなく、講師が適切に介入してフォローすることが重要です。
ピアラーニングを実施するときのポイント
次に、企業研修でピアラーニングを実施するときのポイントを解説します。
課題や環境に合うやり方を考える
先ほどピアラーニングの種類や企業における例を紹介しましたが、ピアラーニングには「決まったやり方」というものはありません。扱う課題や実施する環境、学習者の状況などによっても、最適な方法や手順は変わってくるでしょう。効果的なやり方を決め、環境をデザインすることが講師(教える側)の大切な役割といえます。企業研修でピアラーニングを実施するときも、課題や環境に合うやり方を考えることが重要です。
社員にピアラーニングについて説明しておく
研修を受ける社員が「そもそもピアラーニングとは何か?」や、その有用性等を理解できていないと、効果的に実施することはできません。まずは研修の前にこれらを社員に丁寧に説明し、ピアラーニングについて理解してもらうことも大切です。
あわせて、何のためにピアラーニングを研修で行うのかも伝えておきましょう。そうすることで、研修当日は社員が意欲的に学習に取り組んでくれることが期待できます。
はじめにテーマ・目標を共有する
テーマや目標を共有しておかないと、学習者は何について話し合えばよいのか困ってしまいます。活発な話し合いが行えるように、はじめにテーマや目標は共有しておきましょう。
テーマ・目標を決めるところから学習者自身に行ってもらう場合もありますが、最初は企業側から課題として提示したほうがよいでしょう。明確なゴールがあることで、質の高い話し合いが行えるようになります。話が脱線した際も、「ずれている」ことにすぐに気づき、速やかに軌道修正ができるでしょう。
学習者が意見しやすい雰囲気をつくる
活発な意見交換を行うためには、学習者が「ここでは気兼ねなく自分の意見を言える」という安心感を得られるような雰囲気づくりも重要です。具体的には、以下のような方法があります。
- はじめに講師から、「考え方や価値観は一人ひとり違うもの」「認め合いながら意見交換をすること」を留意事項として明確に伝えておく。
- ルールを決めておく(他者の意見を否定しない、話を遮らない、発言する順番や時間を決めておく など)
- 本題に入る前にアイスブレイクを実施する。
社員の主体性を高めたいなら研修もおすすめ
お伝えしたように、ピアラーニングはメンバーによって学習効果が変わります。主体性が高いメンバーがいると周りのメンバーも良い影響を受け、学習効果が高まる可能性があります。しかし、反対に消極的なメンバーがいると、学習効果にばらつきが生じたり、ほかのメンバーのモチベーションが低下してしまったりすることも考えられます。企業の人材育成にピアラーニングを取り入れることを検討しているなら、効果的に実施するためにも、普段から主体性の高い人材の育成に取り組んでおくとよいでしょう。
社員の主体性を高めたいなら、研修がおすすめです。「あそぶ社員研修」は、新入社員や若手社員、中堅社員・リーダーを対象とした「主体性の発揮研修」を提供しています。セルフリーダーシップや自分と会社の重なりを広げていくことの重要性を、1日かけて学ぶ研修です。リアル・オンラインの両方に対応していますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
学習者同士で協力して学びを深める学習方法、ピアラーニングについて解説しました。ピアラーニングは、学習者同士の対話を重視するのが大きな特徴です。学校教育の現場で広まったものですが、学習効果が高いことや、学習者の主体性が高まる、コミュニケーション能力や考える力が養われる、学習者同士のコミュニケーションを促進できるなどのメリットがあることから、企業研修にも取り入れられるようになってきています。
効果的に実施するためには、課題や学習者の状況に合ったやり方を選択し、環境をデザインすることが重要です。また、学習中も学習者に丸投げするのではなく、講師が適切に介入・フォローを行いましょう。
「あそぶ社員研修」は、受講者が主体の研修。心理的安全性が保たれた場で、ワークを通じて「成功と失敗」を擬似体験できます。自ら気づきを得るから、研修後の行動が変わります。
「どの研修が自社に合うかわからない」という方は、お気軽にご相談ください。目的やご予算に合わせて最適なプログラムをご提案します。
この記事の著者
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