アクティブラーニングとは?具体例や企業研修に導入するメリット・注意点を解説

2023.09.28
  • 学習法
    • アクティブラーニング

アクティブラーニングとは、「能動的学習」のことで、日本では主に学校教育において重要視されている概念です。アクティブラーニングは、座学のみで学習するよりも学びが定着しやすく、学習者同士のコミュニケーションも活性化されるため、近年は企業研修にも取り入れられるようになってきています。

本記事では、アクティブラーニングとは何か、注目されている背景や、具体例、企業研修にアクティブラーニングを導入するメリットと注意点を、わかりやすく解説します

 

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アクティブラーニングとは何か

アクティブラーニング(active learning)を直訳すると、「能動的学習」となります。文部科学省の用語集では、アクティブラーニングとは「教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学習者の能動的な学習への参加を取り入れた教授・学習法の総称」と説明されています。具体的には、発見学習や問題解決学習、体験学習、調査学習などが含まれます。また、グループ・ディスカッションやディベート、グループ・ワークなどもアクティブラーニングの方法として紹介されています。

参考:用語集 – 文部科学省(PDF)

アメリカでは古くからアクティブラーニングが教育に取り入れられてきましたが、1つの概念として確立されたのは1991年のことでした。チャールズ・ボンウェルとジム・エイソンという2人の人物は、アクティブラーニングを「学生が物事を行い、行っていることについて考えることに関するものすべて」と定義しています。

アクティブラーニングの特徴

文部科学省の資料「アクティブ・ラーニングに関する議論」では、アクティブラーニングの特徴として以下の6つが挙げられています。

  1. 学習者は授業を「聴く」以上のかかわりをしている
  2. 情報を伝えることよりも学習者のスキルの育成に重きを置いている
  3. 学習者は高次の思考(分析・総合・評価)にかかわっている
  4. 学習者の活動がある(読む、書く、話し合うなど)
  5. 学習者が自分自身の態度や価値観を探求することに重きを置いている
  6. 認知プロセスをアウトプットする機会がある(問題解決のために知識を使う、人に話す、発表する など)

参考:アクティブ・ラーニングに関する議論 – 文部科学省(PDF)

アクティブラーニングの目的

文部科学省は、先ほど紹介した用語集や資料のなかで、アクティブラーニングで「認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る」としています。アクティブラーニングの目的をわかりやすく表すと、「社会のなかで仕事をし、生活するための力を幅広く身につけること」といえるでしょう

また、2020年度から学習指導要領が新しくなりました。この新学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」という表現で、アクティブラーニングが盛り込まれています。新学習指導要領が目指すのは、以下の3つの柱からなる資質・能力を、総合的にバランスよく育んでいくことです。

  • 知識及び技能……社会のなかで生きて働くための力
  • 思考力、判断力、表現力など……未知の状況にも対応できる力
  • 学びに向かう人間性など……学んだことを人生や社会に生かそうとする力

これらを生徒たちに身につけてもらうために、新学習指導要領は、アクティブラーニングの視点から授業を改善することを重要視しています。

※学習指導要領とは……文部科学省が定めている教育課程の基準です。約10年ごとに改訂されており、これに合わせて教科書なども変わっています。小学校は2020年度、中学校は2021年度、高等学校は2022年度から新学習指導要領が始まっています。

アクティブラーニングの3つの視点

アクティブラーニングの3つの視点について、先ほどお伝えしたように、新学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」という表現でアクティブラーニングが盛り込まれており、この視点からの授業改善を重要視しています。

  1. 主体的な学び
  2. 対話的な学び
  3. 深い学び

この3つの視点について、1つずつ詳しく見てみましょう。

1.主体的な学び

主体的な学びとは、学ぶことに興味や関心を持って、将来就きたい仕事やなりたい自分の方向性と関連付けながら、見通しを持って根気よく取り組み、自らの学習活動を振り返って次の学習につなげていく学びのことです

たとえば、キャリア・パスポートなどを活用して学習状況を振り返ったり、「将来どうなりたいか」をじっくり考えたりすることなどが、主体的な学びに当てはまります。

※キャリア・パスポートとは……生徒が小学校から高等学校までのキャリア教育にかかわる活動を記入していくポートフォリオのことです。決まった様式はなく、生徒が自らの変容や成長を評価できるよう各学校で工夫されています。

参考:「キャリア・パスポート」の様式例と指導上の留意事項 – 文部科学省(PDF)

2.対話的な学び

対話的な学びとは、生徒同士で協力して目標を達成したり、教職員や地域の人と話したり、先人たちの考え方を手掛かりに考えたりすることを通じて、自己の考えを広げ深めていく学びのことです

たとえば、社会課題解決のためにどのような人たちが連携・協働しているのかを調べ、実際にその人たちに話を聞きに行き、自分の考えを広めたり、あらかじめ個人で考えたことをグループで議論したり、意見交換したりすることなどが、対話的な学びに当てはまります。

3.深い学び

深い学びとは、教科ごとの「見方・考え方」を相互に関連付けて、より深く理解したり、問題を見つけて解決策を考えたり、新しいものを造り出したりする学びのことです

たとえば、情報を精査して個人またはグループとしての考えを形成したり、ある事象のなかから問題を見つけて原因の追求や解決に取り組んだりすることなどが、深い学びに当てはまります。

新学習指導要領では、ここまでに紹介した3つの視点から授業改善を行うことで質の高い学びを実現して、生徒が学習内容を深く理解し、社会で生きていくために必要な資質・能力をバランスよく身につけ、生涯にわたって能動的に学び続けるようにすることを目指しています。

参考:平成29年度小・中学校新教育課程説明会(中央説明会)における文科省説明資料 – 文部科学省(PDF)

アクティブラーニングが注目されている背景

日本でアクティブラーニングの取り組みが始まったのは1970~1980年代といわれていますが、近年より重要視されるようになってきているのは、やはり2020年度から学習指導要領が新しくなったからでしょう。

今回学習指導要領が改訂されたのは、グローバル化や技術革新などの激しい変化に対応していくためです。今後は、これまで人が担っていた仕事の多くが自動化されていくでしょう。「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの半数以上は、自分が子どものころには存在していなかった職業に就くことになるだろう」と述べる専門家もいるそうです。変化が激しく予測困難な時代を生きていくためにはどのような資質・能力が必要かという点を踏まえて、学習指導要領は改訂されました。

参考:2020年度、子供の学びが進化します!新しい学習指導要領、スタート! | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン

また、近年アクティブラーニングは、学校の授業だけでなく企業研修にも導入されるようになってきています。企業研修に体験型のプログラムを取り入れることで、知識やスキルが定着しやすくなるだけでなく、社員同士のコミュニケーション活性化にもつながるためです。企業研修にアクティブラーニングを取り入れるメリットや、導入のポイントについては、記事の後半で詳しく解説します。

アクティブラーニングの具体例

アクティブラーニングには、非常に多くの手法があります。ここからは、アクティブラーニングの具体例として代表的な4つの手法を紹介します。

  1. ジグソー法
  2. PBL
  3. Think-Pair-Share
  4. ピア・レスポンス

1.ジグソー法

ジグソー法は、グループのメンバーが異なる内容を学び、最終的にそれを組み合わせてグループ全体で1つの答えを出す手法です。

【実施方法】

  1. グループ(ジグソーグループ)を数名ずつに分けて、それぞれがどの内容を担当するかを決めます。
  2. 一旦もとのグループ(ジグソーグループ)を離れて、同じ内容を担当する者同士で集まります(エキスパートグループ)。そこで資料を読み込み、お互いに教え合って理解を深めます。
  3. メンバーは、担当した部分の「専門家」として、もとのグループ(ジグソーグループ)に戻り、学んだことをほかのメンバーに伝えます。そして、それぞれが持ち帰った知識を、ジグソーパズルを完成させるように組み合わせて、グループとしての意見をまとめます。
  4. グループごとに意見を発表し、クラス全体で振り返ります。

2.PBL

PBLとは、Problem – based Learningの略称で、日本語では「問題解決学習」と呼ばれています。少人数のグループに分かれて、メンバー同士で協力して問題を解決していくというものです。

【実施方法】

  1. 少人数のグループに分かれて、取り組むテーマ(問題)を決定します。
  2. グループで話し合い、解決策を検討します。
  3. グループで話し合った内容をもとに、それぞれが調査や活動を行います。
  4. グループで実行したことの評価や振り返りを行い、計画を改善します。

PBLは、1回の授業のなかにも取り入れやすい手法ですが、複数回の授業に分けて1~4を繰り返し実施するのが望ましいとされています。

3. Think-Pair-Share

Think-Pair-Shareは、個人の考えをペアになった相手に伝え、さらにクラス全体へ広げていくというものです。

【実施方向】

  1. クラス全員に質問を提示し、その質問についてまずは個人で考えてもらいます(Think)。
  2. ペアに分かれて、質問に対する個人の意見を交換します(Pair)。
  3. ペアで話した内容をクラス全体で共有します(Share)。

これを、ペアではなく少人数のグループ(4~6人)で行う「Buzz Groups」という手法もあります。

4.ピア・レスポンス

ピア・レスポンス(またはピア・レビュー)は、2~3人ずつのグループに分かれて、お互いが書いた文章を読み合い、意見交換を行うというものです。

【実施方法】

  1. クラス全員に課題を与えて、レポートを執筆してもらいます。
  2. ペア(または3人のグループ)に分かれて、お互いが書いたレポートを読み合います。このとき、改善したほうが良いところがあれば、メモやコメントを残しておきます。
  3. お互いにレポートについての意見(メモ、コメント)を交換し合います。
  4. メンバーからもらった意見を参考に、自分のレポートを改善します。

企業研修にアクティブラーニングを導入するメリット

 

アクティブラーニングは、学生だけでなく社会人に対しても効果的です。ここからは、企業研修にアクティブラーニングを取り入れることでどのようなメリットがあるのかを解説します。

知識・スキルが定着しやすい

座学のみの研修だと、学んだことが実際の現場でどう生かされるのか、どうしてもイメージしにくいですが、研修に体験型のプログラムを取り入れることで、その知識やスキルをどう使うのか、どう役に立つのかが理解しやすくなります。

また座りっぱなしで講義を「聴く」以上の活動があることで、研修に対する集中力やモチベーションも維持しやすくなるというメリットもあります。体験型のプログラムがあることで、「あの研修で学んだことだ」というように、記憶を引き出しやすくもなるでしょう。

このようなことから、アクティブラーニングを取り入れることで、知識やスキルが身につきやすくなるといえます。

コミュニケーションが活発になる

アクティブラーニングにはさまざまな手法がありますが、ペアやグループで行うものが多いので、社員同士のコミュニケーションが自然に活発になるというメリットがあります。

2016年度に、神戸市外国語大学の「人間関係論1」の受講者33名を対象に、アクティブラーニング型授業におけるコミュニケーション活動の効果に関する調査が行われました。この調査では、授業を積み重ねるにつれて受講者のコミュニケーション不安が低減する、ディスカッションにおいて積極的な発言や質の高い発言が増える、ほかのメンバーの意見を理解しようとするポジティブな行為が増えるという結果が出ています。

参考:アクティブ・ラーニング型授業における コミュニケーション活動の効果 – 神戸市外国語大学 学術情報リポジトリ(PDF)

企業研修にアクティブラーニングを取り入れることで、社内コミュニケーション活性化やチームビルディングといった効果も期待できるでしょう。

問題解決力や発想力が向上する

出された問題を実際に解決するという体験をすることで、個人の問題解決能力の向上が期待できます。グループに分かれ、社員同士で協力して1つの問題を解決するプログラムを盛り込めば、チームとしての問題解決能力も鍛えられるでしょう。

また、自分以外の社員と意見を交換したり議論したりすることで、一人では思いつかなかったようなアイデアが生まれることもあるかもしれません。個人の発想力を向上させたい場合にも、アクティブラーニングは有効です。

企業研修にアクティブラーニングを導入する際の注意点

最後に、企業研修にアクティブラーニングを導入する際に注意するべきポイントを紹介します。

受講者の知識レベルやモチベーションを揃える

アクティブラーニングはペアやグループで行うものが多いので、参加する社員の知識レベルやモチベーションに差がありすぎると、学習効果に悪影響が出る可能性があります。対象者をある程度絞って、受講者の知識レベルを平均化すると、より高い効果を期待できるでしょう。

また、アクティブラーニングにはさまざまな手法がありますが、なかには実務とのつながりが見えにくいものもあります。社員のなかに「なぜこのようなことをする必要があるのか」という疑問が生まれれば、研修に対するモチベーションが下がってしまう可能性があるので、なぜ企業研修でアクティブラーニングを実施するのか、それが実務にどんな風に役立つのかを社員に明確に説明しておくことも大切です。

講師にはコーチングやファシリテーションについて学んでもらう

アクティブラーニングでは、講師に高いコーチングスキルやファシリテーションスキルが求められます講師は、受講者が自ら問題を見つけて解決できるように導かなくてはならないためです。

講師を担当する社員には、あらかじめ研修を受けてもらうなどして、コーチングスキルやファシリテーションスキルを学び習得してもらっておきましょう。

※コーチングとは……自らの力で目標を達成することができるように、相手の個性や強み、能力、可能性を最大限に引き出すコミュニケーションの取り方です。傾聴、承認、質問などのさまざまなスキルが求められます。
※ファシリテーションとは……話し合いや会議が円滑に進むように、進行したりサポートしたりすることをいいます。話しやすい雰囲気をつくり意見を引き出す、議論を「見える化」する、異なる意見をまとめるなど、さまざまなスキルが求められます。

まとめ

アクティブラーニングの視点が盛り込まれた新学習指導要領が2020年度にスタートしたことで、アクティブラーニングへの注目度が高まっています。体験型のプログラムを盛り込むことで、知識やスキルが定着しやすくなるだけでなく、問題解決力や発想力向上、さらにコミュニケーション活性化やチームビルディングといった効果も期待できるため、企業研修にもアクティブラーニングが導入されるようになってきています。社内コミュニケーションやチームワークに課題を抱えているなら、企業研修にアクティブラーニングの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

 

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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。
不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。
猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

あらたこまち

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