コンセンサスゲームを研修で活用するメリットと注意点を解説

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コンセンサスゲームは、危機的な状況をテーマとして設定し、46人程度のグループで話し合って物の優先順位を決めるゲームです。コンセンサスを取ることの難しさや重要性を体験を通じて実感し、具体的な方法について学ぶことができます。

本記事では、コンセンサスゲームの概要、代表的なコンセンサスゲーム「NASAゲーム」、具体的な進め方、活用する目的・メリット、ポイント・注意点、合意形成研修について紹介します

 

コンセンサスゲームとは

コンセンサスゲームは、危機的な状況における物の優先順位に関してグループで話し合い、コンセンサスを取るまでのプロセスを体験するゲームです。異なる意見を持つメンバーが、話し合いを通じて目的や重要性を整理し、最終的にコンセンサスを取ることができます。

コンセンサスゲームでは多くの場合に、各メンバーが自分で考えた答えよりも、グループでコンセンサスを取った結論のほうが専門家の解答例に近づきます。そのため、自分だけで考えるのではなく、グループで議論や相談をしながらコンセンサスを取ることの重要性を体験を通じて実感することができます。

また、コンセンサスゲームを実施する際には、メンバーが自分の意見を押し通そうとしたり、多数決で結論を出したりすることができず、議論を通じてコンセンサスを取る方法を実践的に学べます。研修では、コンセンサスを取るまでの具体的な方法や、改善点などを講師が解説することができるため、コンセンサスを取ることに関する理解を深めることができます。

※コンセンサス:「合意」を指す。意見を一致させることを指す使い方は、「コンセンサスを取る」、「コンセンサスを得る」。

 

 

代表的なコンセンサスゲーム「NASAゲーム」

コンセンサスゲームにおける世界的に最も有名なゲームは「NASAゲーム」であるとされていますNASAゲームは、アメリカの航空宇宙局であるNASAが公開しているコンセンサスゲームで、「Survival on the Moon(月でのサバイバル)」として紹介されています。

ストーリーのポイントを要約すると、「LSMAのスラスターに問題が生じて月の前哨基地から約80キロ(50マイル)離れた場所に着陸し、グループで話し合ってその前哨基地にたどり着くために必要な物の優先順位を決める」となります。

NASAゲームの公式解答としては、専門家2名の解答例が紹介されています。明確な答えはなく、あくまでも参考として提示されている解答です。

NASAゲームで検討する「15個の物」

  1. 5キログラム(100ポンド)の酸素ボンベ2
  2. 宇宙食
  3. 水(38リットル)
  4. ソーラー発電式無線送受信機
  5. 月面地図
  6. ソーラー充電式ライト
  7. 救急箱(鎮痛剤、感染症治療薬が入った基本的なもの)
  8. 救命いかだ
  9. スペースブランケット
  10. 宇宙服補修キット
  11. 携帯用ミラー
  12. パラシュート(絹)
  13. ナイロン製のロープ(15m
  14. マッチ箱
  15. 方位磁石

なお、NASAゲームについては、下記の記事でも詳しく紹介しています。

関連記事:NASAゲームとは?ストーリー・公式解答・進め方やポイントを解説

コンセンサスゲームの進め方

  1. グループ分け
  2. ルール説明
  3. 個人ワーク
  4. グループワーク
  5. 解答の発表
  6. 解説・振り返り

コンセンサスゲームの進め方は、上記の流れが基本となります。

コンセンサスゲームをおこなう際は、ルール説明や全体の進行をおこなうファシリテーターが必須となります。ファシリテーターがゲーム演出をおこなって没入感を高めたり、円滑に進行したりすることで、主体性の向上や理解促進などにつながります。

また、コンセンサスゲームをおこなっている際に、各グループを回って、会話を促したりアドバイスを伝えたりしてサポートをする人員がいることも重要です。コンセンサスゲームの効果を十分に高められる体制を整えましょう。

詳しい進め方については、以下の記事で紹介しています。

関連記事:コンセンサスゲームとは?効果や進め方、具体例を解説

コンセンサスゲームを研修で活用する目的・メリット

以下では、コンセンサスゲームを研修で活用する目的や得られるメリットについて紹介します。

合意形成研修の理解促進

コンセンサスゲームを活用することで、コンセンサスについて実践的に学び、合意形成研修における受講者の理解を深めることができます

コンセンサスゲームでは、異なる意見を持つメンバーが、各々の解答を導き出した理由を開示し、話し合いをおこないます。コンセンサスを取るまでのプロセスを体験し、具体的にイメージすることができるため、講義の内容を理解しやすくなります

受講者の主体性の向上

ゲームを活用することで、コミュニケーションに双方向性が生まれ、受講者の主体性が向上します。講義のみをおこなう研修では、受講者は受け身となり、主体性が低下しやすくなります。一方、体験型のゲームでは各々が主体的に発言・行動することが求められるため、自然と主体性が高まります

心理的安全性の向上

心理的安全性とは、各々が安心して自分の意見が言える状態を表す指標です。安心して意見を伝えられる関係性が構築されていれば、「心理的安全性が高い」と言えます。コンセンサスゲームでは、全員が自分の意見を言うことが必須となります。また、他者の意見を受け入れ、尊重することもポイントとなるため、自然と心理的安全性が向上するゲーム設計となっています。

コンセンサスゲームを研修で活用する際のポイント・注意点

以下では、コンセンサスゲームを研修で活用する際に押さえたいポイントや注意点を紹介します。

コンセンサスゲームの学びの要素と関連する研修テーマで実施する

コンセンサスゲームにおける根本的な学びは、コンセンサスを取るプロセスや重要性です。そのため、合意形成研修のように、「コンセンサスを取ること」がテーマとなる研修で活用することがポイントとなります。

また、コンセンサスゲームでは、コミュニケーションスキルや、論理的思考力なども求められるため、コミュニケーション研修や、ロジカルシンキング研修などにも適しています。コンセンサスゲームの要素に関連付くテーマの研修で活用することが大切です。

ファシリテーターがゲームを演出する

コンセンサスゲームを実施している際に主体性を高めるには、ファシリテーターや講師が演出をおこなうことが重要なポイントとなります。コンセンサスゲームの没入感を高めるには、受講者がゲームの世界に取り込まれるように世界観を演出することが大切です。

具体的な演出方法としては、ルール説明をする際の演技や音響による演出や、会場装飾による空間演出などがあります。コンセンサスゲームには、テーマやストーリーがあります。それらに合わせて演出をおこなうことで、受講者がゲームの世界に引き込まれ、没入感が高まります。

グループごとに振り返りをおこなう

コンセンサスゲームを研修で活用する際には、ゲームによる体験を、学びに落とし込むことが大切です

ゲームが楽しかったという感想や、グループの結論が模範解答に近かったという結果だけでなく、「どのようにしてコンセンサスを取ったのか」という具体的なプロセスや、「どのような課題があったか」という改善点などを振り返ることが学びを深めるために重要なポイントとなります。

また、振り返りを通じて学びを深めるには、受講者の一人ひとりが理解したかを確認しながら進めることが重要です。コンセンサスゲームの終了後だけでなく、講義やワークの後にも講師が振り返りをおこないましょう。

コンセンサスゲームを活用した研修「合意形成研修」

合意形成研修では、コンセンサスゲームによる実践と講義を組み合わせることで、受講者がコンセンサスを取るプロセスや重要性を深く理解することができます。また、ゲームを活用することで受講者の主体性が高まり、講義やワークに集中して取り組むことを促せます。

合意形成研修で活用するコンセンサスゲームのテーマは、「ジャングルでの遭難」、「大地震発生」、「ゾンビ襲来」の種類から1つを選択する形となります。目的やコンセンサスを取るための重要なポイントなどが異なり、研修の目的や受講者の特徴などを考慮して選ぶことができます。また、アサーティブコミュニケーションやリーダーシップなどの要素を加え、課題や目的に応じて研修全体の内容をカスタマイズすることも可能です。

 

【事例】SATO社会保険労務士法人様|新入社員研修でコンセンサスゲーム「ジャングルサバイバル」を実施

日本最大規模を誇る社会保険労務士事務所「SATO社会保険労務士法人」様の新入社員研修で、ジャングルでの遭難がテーマのコンセンサスゲーム「ジャングルサバイバル」を実施しました。

前半はコンセンサスゲームに取り組み、後半はその内容を振り返りつつ、ワークや講義を経てコミュニケーションスキルを習得しました。

事例の詳細はこちらからご覧いただけます。

新入社員が主体的に発信する力を身につける。アクティビティと講義を掛け合わせたコミュニケーション研修 | あそぶ社員研修

 

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まとめ

コンセンサスゲームを研修で活用することで、受講者がコンセンサスを取るまでのプロセスを体験し、具体的な方法やポイントを実践的に学ぶことができます。合意形成に関する学びやチームビルディングなどを目的とした研修の実施を検討している方は、ぜひIKUSAにご相談ください。

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以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。

1.合意形成・アサーティブコミュニケーション研修

合意形成・アサーティブコミュニケーション研修のアクティビティ「コンセンサスゲーム」では、危機的な状況下でどの物資を優先して確保すべきかをチーム内で議論し、最適な結論を導きます。

学びのポイント

  • 各々が個人ワークで考えた答えを聞くことで、チームメンバーの状況に対する認識や物資の重み付けの違いを受講者が理解する
  • 話し手は自分の答えにいたった理由を論理的・説得的に説明する
  • より良い根拠を導き出すための比較検討をして、チーム全員が納得する結論を出す

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2.PDCA研修

PDCA研修のアクティビティ「ロケットPDCAチャレンジ」では、パーツを組み合わせてロケットを制作し打ち上げ結果から原因を考えて、より良く飛ぶロケットに改善していき、目標の達成を目指します。

学びのポイント

  • 計画を立ててロケットを飛ばし、その結果から組み合わせの誤り・部品の不足・不良部品の有無を推察し、それを繰り返すことで組み合わせの精度を上げていく
  • 資金稼ぎ・パーツの選択・打ち上げの準備を繰り返し、作戦タイム振返りを経て行動を改善していくことで、最適化されていく

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3.戦略思考研修

戦略思考研修のアクティビティ「ワールドリーダーズ」では、労働力や資本を使って事業を設立し、利益を稼ぐことを目指します。

学びのポイント

  • 不確実な状況のなかで自チームにとって最適な行動方針を考え、実行していく
  • 戦略を決めるために与えられた手段のなかでどの情報を取得していくかの優先順位決めが求められる

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4.コミュニケーション研修

コミュニケーション研修のアクティビティ「謎解き脱出ゲーム」では、チームでコミュニケーションをとりながら問題に隠された法則を発見する謎解きゲームのクリアを目指します。

学びのポイント

  • 受講者が「自分しか見えていない情報・問題・解き方」をチームで共有することでコミュニケーション促進やスキルアップにつながる
  • 突飛な発想・ヒラメキをチームのなかで積極的に発言できる心理的安全性の高い環境づくりが求められる

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5.ロジカルシンキング研修

ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します。

学びのポイント

  • 小グループで得られた情報を論理的に整理し、確定情報・曖昧情報・不要な情報を選り分ける
  • 大グループで全体に必要な情報を論理的に判断・共有することや、自分たちに足りない情報を聞き出すことが求められる

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6.クリティカルシンキング研修

クリティカルシンキング研修のアクティビティ「混乱する捜査会議からの脱出」では、推理ゲームで論理的に情報を整理するなかで証拠の違和感に気づき、仮説立てや検証を行って目標を達成します。

学びのポイント

  • 証拠品や証言など多くの情報を手分けして読み、組み合わせて論理的に結論を導き出す
  • フェーズが進むごとに情報が増え、複雑になっていくなかで必要な情報を取捨選択する
  • 出た結論に満足せず、常に新しい情報と照らし合わせて再検証する

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7.リーダーシップ研修

リーダーシップ研修のアクティビティ「グレートチーム」では、チームの運営を疑似体験することでリーダーシップやマネジメントを学びます。

学びのポイント

  • メンバーのリソース管理や育成、リーダーとしての決断を繰り返すことで、いろいろなリーダーシップの型を知ることができる
  • 現代に合わせたリーダーシップの発揮の必要性を知り、自分らしいリーダーシップを学べる

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8.ビジネスマナー研修

ビジネスマナー研修のアクティビティ「ビジトレ」では、実践形式・クイズ形式のアクティビティを通して、ビジネスマナーを楽しく学びます。

学びのポイント

  • 堅い内容になりがちなビジネスマナー研修にゲーム形式を取り入れることで、受講者が没入して学べる
  • 名刺交換や報連相などを実行し、動作・マナーに慣れることで、翌日から実践できるようになる

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9.防災研修

防災研修のアクティビティ「先が見えない防災訓練からの脱出」では、チームで協力して、防災のアイテムや知識を使用しながら謎解きゲームのクリアを目指します。

学びのポイント

  • 謎解きの答えが災害時のNG行動にまつわる内容となっており、解説時になぜ行なってはいけないかもセットで学ぶ
  • 被災時は様々な情報が飛び交うため、情報を取得する際にどのようにすれば惑わされないかを学ぶ

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10.OODA LOOP研修

OODA LOOP研修では、瞬間的な判断力が求められる運動系のアクティビティである「サバイバルゲーム」または「チャンバラ合戦」を実施することで、意思決定のフレームワークである「OODA LOOP」を実践的に習得することを目指します。

学びのポイント

  • 敵チームをよく観察して作戦を練り、状況に応じた行動を素早く判断しながら、チームで共有して一体となって行動する
  • ミッションの勝利条件をもとに、観察、判断、行動を繰り返すことで、本当にすべき行動が何なのか、行動の最適化を行う

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この記事の著者

あそぶ社員研修編集部

あそぶ社員研修は、企業の研修担当者向けのお役立ち情報を発信するメディアです。研修に関するノウハウ、組織・人材開発の手法、ビジネススキルなどをわかりやすく紹介します。

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