コンセンサスゲームとは?効果や進め方、具体例を紹介

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コンセンサスゲームは、企業研修にもよく取り入れられているビジネスゲームです。コンセンサスゲームを実施することで、仕事に必要なさまざまなスキルの向上が期待できます。

本記事では、コンセンサスゲームとは何か、実施することで得られる効果、基本的な進め方、コンセンサスゲームでしてはいけない3つのNG行動、コンセンサスゲームの具体例を紹介します

 

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コンセンサスゲームとは

コンセンサス(consensus)は、「意見の一致」や「総意」などの意味を持つ英単語です。「コンセンサスを得る」、または「コンセンサスをとる」とは、ある事柄について全員の合意を得ることをいいます。話し合いにより意見の一致を図ることは、「合意形成」ともいわれます。

コンセンサスゲームとは、コンセンサスを得る過程を学べるビジネスゲームのことです。コンセンサスゲームの基本的な実施手順はのちほど詳しく解説していますが、少人数のチームに分かれ、まずは出されたお題に対する答えを個人で考えます。そして、そのあとにチーム全員で話し合って、今度はチームとしての答えを出す という流れで進められます。

しかし、価値観や考え方は人それぞれ違います。チームで話し合うなかで、意見が1つにまとまらなかったり、対立が生まれてしまったりすることもあるでしょう。そんなときも、トップダウンや多数決で決めるのではなく、話し合いにより全員が納得できる答えを出さなくてはなりません。

ビジネスの場においては、会議や取引先との商談など、コンセンサスを得なければならない場面に多々直面します。コンセンサスゲームを実施することで、コンセンサスのとり方や、コンセンサスを得るために必要なスキルを学ぶことができます。

コンセンサスゲームの効果

次に、企業研修にコンセンサスゲームを取り入れることで、具体的にどのような効果が得られるのかを紹介します。

1.他者の意見を尊重することの大切さを学べる

私たちは、一人ひとり異なる考え方や価値観を持っています。コンセンサスゲームで、与えられたお題についてチームのメンバーと意見を交換するなかで、自分と他者のものごとの捉え方や感じ方の違いを知ることができます

自分の意見を押し通すのではなく、他者の意見を受け入れることで得られる気づきもあります。何か課題に直面したときも、他者と協力して考えることで、より良い解決案が浮かぶこともあるかもしれません。コンセンサスゲームを通して、他者の意見を受け入れ、尊重することの大切さを学ぶことができるでしょう。

2.ロジカル・シンキングが鍛えられる

ロジカル・シンキングとは、日本語では「論理的思考法」と呼ばれているものです。簡単に表すと、「ものごとを体系的に整理して全体を把握し、的確な答えを導き出すスキル」といえるでしょう。さらに、ビジネスにおいては、その導き出した答えを、他者に筋道を立ててわかりやすく伝えることも求められます。

コンセンサスゲームでは、まずお題に対する答えを個人で考えます。そしてその後は、自分の出した答えと、「なぜその答えになったのか」という理由を、チームのほかのメンバーに説明しなければなりません。このとき、理由が「なんとなく」では、メンバーの理解を得るのは難しいでしょう。コンセンサスゲームを行うことで、論理的に答えを導き出し、それを相手にわかりやすく説明する力が鍛えられます。ロジカル・シンキングや、プレゼンテーション力の向上も期待できるでしょう

3.コミュニケーションスキルが向上する

チームのなかには、自分の意見を述べたり、積極的にコミュニケーションをとったりするのが苦手という人もいるでしょう。コンセンサスゲームは、メンバー同士でコミュニケーションをせざるを得ないルールになっているので、コミュニケーションのトレーニングにもなります

また、全員が納得していなかったり、多数決で答えを出したりした場合は、「コンセンサスを得た」ことにはなりません。メンバー同士で話し合うなかで、自分の意見を押し付けない、相手を否定しないなど、気持ちよく仕事をするために必要なコミュニケーションスキルも学ぶことができます。具体的には、共感力や聴く力、交渉力、調整力などです。

4.チームビルディングにつながる

チームビルディングとは、チームのメンバー全員が持てる力を最大限に発揮しながら目標を達成できるような、強いチームをつくるための取り組みのことです。業務効率化や生産性の向上、さらにエンゲージメントの向上にもつながるとして、注目されています。

コンセンサスゲームは、最終的な答えを出すためにはメンバー同士で意見交換をしなければならないため、自然とコミュニケーションが活発になります。お互いの意見を受け止め合うことで、相互理解も深まるでしょう。また、コンセンサスゲームを通して、チームとしての答えの出し方や、課題に対する向き合い方というものも学べます。よって、コンセンサスゲームは、チームビルディングにも効果的といえるでしょう。

5.リーダーやファシリテーターを育成できる

コンセンサスゲームは、限られた時間内にメンバーのさまざまな意見をまとめ、チームとしての答えを出さなければならないため、リーダーやファシリテーターのような「まとめ役」の存在が非常に重要です。「異なる意見がある場合はどのようにすれば全員が納得できるか」「メンバーの本音を引き出すにはどうすればいいのか」などを、コンセンサスゲームを通して学ぶことができるでしょう。よって、コンセンサスゲームは、リーダーシップ研修やファシリテーター研修にもおすすめです。

コンセンサスゲームの進め方

ここからは、コンセンサスゲームの基本的な実施手順を紹介していきます。

  • 用意するもの:ランキングシート、ホワイトボードまたはパソコン(各チームのランクを集計するためのもの。プロジェクタがあればなお良い)
  • 所要時間の目安:1時間~

進め方は、以下のとおりです。

  1. チーム分けと説明
  2. 個人ワーク
  3. グループワーク
  4. 発表と振り返り

1つずつ詳しく見ていきましょう。

1.チーム分けと説明

まずは、参加者を少人数のチームに分けます。1チームの人数は、46人が目安です。チーム分けは、コンセンサスゲームを実施する目的に合わせて工夫しましょう。たとえば、

  • 職場のコミュニケーションを活発にしたい場合 → 普段の業務のなかであまり接点がない人同士を集める
  • チーム力を高めたい場合 → 部署別、プロジェクトチーム別に分ける

というような具合です。

チームに分かれたら、ファシリテーターがコンセンサスゲームのお題や進め方などを説明します。コンセンサスゲームは、話し合いによりチームとしての答えを出してもらうことが重要なので、お題は「正解」がないものでも構いません。たとえば、「現代のリーダーに求められるスキルは何か」「自社に今必要なものは何か」などです。

2.個人ワーク

チーム分けとお題の提示、進め方の説明が終わったら、次は個人ワークです。参加者は、まず個人でお題について考え、自分なりの答えを出します。このあとメンバーと意見交換を行うので、「なんとなく」で答えを決めるのではなく、論理的に考え、「なぜこの答えになったのか」をしっかり説明できるように、自分の意見をまとめなければなりません。

3.グループワーク

次に、個人で出した答えをメンバーと共有し、話し合いによりチームとしての答えを出して、ランキングシートに書き込んでいきます。コンセンサスゲームで重要なのは、正解することよりも「コンセンサスを得る」ことなので、「なぜそうなるのか」を、メンバー全員が納得できるまで話し合いましょう。正解なしのお題の場合も、多数決で決めたり、誰かが妥協したりすることがないように、意見をまとめていきます。

考え方や価値観は人それぞれ違うため、意見交換を行うなかで対立が生まれることもあります。チームのなかに、リーダーシップやファシリテーションスキルが高いメンバーがいると、異なる意見があってもまとまりやすいでしょう。

4.発表と振り返り

グループワークが終わったら、チームごとの答えと、正解ありのお題の場合は正解も発表します。そして、全員で結果を振り返ります。ほかのチームの答えを聞いて気づいたことや、もっと違った考え方はできないかなどを話し合ってみましょう。正解ありのお題の場合は、個人の答えとチームの答えが正解からどのくらいズレがあったかを計算し、個人で考えるよりもチームで考えることでどのような効果があったかも考えてみてください。

最後に、参加者全員でコンセンサスゲーム全体を振り返り、学んだことや改善点などを話し合います。締めくくりとして、ファシリテーターから各グループの良かった点を伝えるのもよいでしょう。

参考:「組織変革ファシリテーター」(著者:堀公俊 / 出版社:東洋経済新報社 / 発売:2006年)

コンセンサスゲームにおける3つのNG行動

コンセンサスゲームを実施するときに、してはいけない行動が3つあります。この行動をとると、せっかくコンセンサスゲームを実施しても、狙った効果が得られなかったり、逆効果になったりする可能性もあります。コンセンサスゲームを行う際は、参加者にこの3つのNG行動もあらかじめ伝えておきましょう。

1.多数決で決める

コンセンサスとは、話し合いにより全員の合意を得ることです。意見がまとまらないからといって、多数決で決めてはいけません。多数決で決めてしまうと、その答えがたとえ正解であったとしても、「コンセンサスを得た」ことにはならないので、実施する意義が失われてしまいます。コンセンサスゲームは、全員が納得できる答えを話し合いにより導き出すことが重要です

2.直感で決める

個人やチームとしての答えを出すときには、直感で決めるのではなく、論理的に考え、ほかの参加者に「なぜその答えになったのか」を明確に説明できるようにしましょう。これを意識することで、ロジカル・シンキングも鍛えられます。

3.他者の意見を否定する

コンセンサスゲームでは、自分と異なる意見があっても、それを否定してはいけません。相手の意見を理解できないという場合でも、まずは受け止め、そのうえで質問をしたり、自分の考えも伝えたりしながら、お互いが納得できるポイントを探していきます。こうすることで、メンバー同士の相互理解も深まり、チームビルディングにもつながるでしょう。

コンセンサスゲームの具体例

最後に、企業研修におすすめのコンセンサスゲームを3つ紹介します。いずれも正解(模範解答)ありのコンセンサスゲームで、進め方は先ほど紹介した流れのとおりです。

1.合意形成研修コンセンサスゲーム

「合意形成研修コンセンサスゲーム」は、さまざまな「あそぶ研修」を提供している株式会社IKUSAが開発した、オリジナルのコンセンサスゲームです。参加者は物語の登場人物となり、あるシチュエーションにおけるアイテムの優先順位を、チーム全員で話し合って決めていきます。

チームビルディングにもおすすめの「ジャングルサバイバル」と、防災も学べる「帰宅困難サバイバル」の2つのプランがあります。

【お題】

  • ジャングルサバイバル
    ジャングルをクルージング中に船が壊れ、遭難してしまいました。生き延びるためには、近くの村まで歩いていかなければなりません。しかし、船に積まれている荷物をすべて持っていくこと不可能です。ジャングルのなかで生き残るために必要なものはどれか、アイテムに優先順位をつけましょう。
  • 帰宅困難サバイバル
    都市直下型地震が発生。自分の身と周囲の安全を守りながら無事に帰宅するためには何が必要か、物資に優先順位をつけましょう。

正解発表のあとには、コンセンサスを得るための要点の解説もあります。より実践的な研修を実施したいと考えている企業におすすめのコンセンサスゲームです。

2.砂漠からの脱出

「砂漠からの脱出」は、砂漠で遭難してしまったという設定のコンセンサスゲームです。

【お題】

小型飛行機が砂漠に不時着し、大破してしまいました。皆さんは幸い怪我もなく無事でしたが、最も近い町までは約110kmもあり、日中の気温は約43℃まで上がると予想されています。小型飛行機が燃えてしまう前に、皆さんは12個のアイテム取り出すことに成功しました。この危機を脱し、無事に生き延びるためにはどうすれば良いか考え、12個のアイテムに優先順位をつけてみましょう。

12個のアイテム一覧】

  • 懐中電灯(乾電池4本入り)
  • ガラス瓶に入った食塩
  • 地域の航空写真の地図
  • 1リットルの水×人数分
  • 大きめのビニールの雨具
  • 砂漠の食用動物に関する本
  • 磁石の羅針盤
  • 軽装コート×人数分
  • 45口径のピストル(弾薬入り)
  • 化粧用の鏡
  • パラシュート(赤・白)
  • ウォッカ約2リットル

実施する際には、専門家による模範解答があります。その模範解答との差が最も小さいチームが勝利となります。

3.雪山での遭難

「雪山での遭難」は、その名のとおり雪山で遭難してしまったという設定のコンセンサスゲームです。

【お題】

あなたたちを含むスキー客を乗せた飛行機が雪山に墜落しました。機体は湖の底に沈んでしまいましたが、運よく皆さんは無傷で脱出することに成功し、手元には10個のアイテムがあります。最も近い町までは32km、夜の気温はマイナス40℃まで下がると予想されています。全員が生き残るためにはどうすれば良いか考え、10個のアイテムに優先順位をつけてみましょう。

10個のアイテム一覧】

  • ライフル銃1
  • 大箱のマッチ1
  • 朝刊5日分
  • 方位磁石
  • スキーセット1
  • サバイバルナイフ
  • 板チョコ10
  • 大型懐中電灯
  • ウィスキー1
  • 固形油が入った金属缶

こちらも、「砂漠からの脱出」同様に専門家による模範解答があり、模範解答との差が最も小さいチームが勝利となります。

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まとめ

コンセンサスを得る過程を学べるビジネスゲーム「コンセンサスゲーム」の効果や進め方、具体例などを紹介いたしました。正解があるお題の場合でも、チームの答えが正解に近かったがどうかよりも、「チーム全員が納得できる答えを出せたかどうか」「話し合いから学びが得られたか」という点が重要です。コンセンサスゲームを行うことで、チームとしての答えの出し方を学ぶことができるでしょう。

また、コンセンサスゲームは、ロジカル・シンキングやコミュニケーション能力、リーダーシップやファシリテーションスキルといった、個人のスキルも鍛えられます。社員のこれらのスキルを向上させたいと考えているなら、企業研修の1つのプログラムとして、コンセンサスゲームの実施を検討してみてはいかがでしょうか。

 

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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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