リーダーシップの種類と特徴をわかりやすく解説

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リーダーシップとは、簡単に言うと「組織やチームをまとめ、目標達成に向けて導いていく力」のことです。リーダーシップに関しては多くの研究や理論があり、中には「〇〇型」のようにリーダーシップを種類分けしているものがあります。

本記事では、その代表的な例として、クルト・レヴィンのリーダーシップ3種類、ダニエル・ゴールマンのリーダーシップ6種類、PM理論のリーダーシップ4種類、パス・ゴール理論のリーダーシップ4種類、SL理論のリーダーシップ4種類、「支援型」と呼ばれるサーバントリーダーシップを、わかりやすく解説します

 

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リーダーシップとは

リーダーシップ(leadership)とは、統率力や指導、指導者などの意味を持つ英単語です。

リーダーシップには、さまざまな定義があります。たとえば、「マネジメントの父」として知られている社会生態学者のピーター・F・ドラッカー氏は、リーダーシップとは生まれ持った資質やカリスマ性に左右されるものではなく、「仕事」であると考えています。そして、「組織の使命を考えぬき、それを目に見える形で明確に確立すること」がリーダーシップであり、リーダーとは「目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者」であると定義しています

また、厚生労働省は、資料「リーダーシップを発揮しよう」の中で、リーダーシップを「目標達成しようとするグループで、リーダーが目標達成に役立つ影響を与えること」と定義しています。さらに、リーダーの役割に就いていなくても、メンバーに多くの影響を及ぼしている人、メンバーから頼られている人などもリーダーであり、固定されているものではないと説明しています。

参考:01_リーダーシップを発揮しよう テキスト – 厚生労働省(PDF)

このように考え方はさまざまなものがあり、リーダーシップに関する研究や理論の中には、リーダーシップをいくつかの種類に分けて考えているものもあります。その中から、広く知られている理論を次項から詳しく紹介していきます。

 

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クルト・レヴィンのリーダーシップ3種類

「社会心理学の父」と呼ばれるクルト・レヴィン氏は、行動は個人の特性だけでなく、その人が置かれた状況(学校、職場、家庭など)によって決まるという「場の理論」を提唱しています。

1939年、レヴィン氏の研究チームは、リーダーシップを以下の3種類に分けて、子どもたちにそれぞれのリーダーのもとで作業をしてもらうという実験を行いました。これが、「レヴィン・アイオワ研究」と呼ばれているものです。

  • 専制型リーダーシップ
  • 民主型リーダーシップ
  • 放任型リーダーシップ

それぞれについて、実験結果とともに詳しく見ていきましょう。

専制型リーダーシップ

リーダーがメンバーに明確な指示(何を・いつまでに・どうするか)を出し、組織やチームを監督するというのが専制型リーダーシップです。メンバーに意見を求めることはほとんどなく、意思決定もリーダーがすべて行います。

【実験の結果】

  • リーダーと子どもたちの間に壁が生まれた。
  • 子どもたち同士の関係も悪化した。
  • 短期的に生産性を上げることはできるが、創造性はほぼないことがわかった。

専制型リーダーシップは、未熟なメンバーが多い組織・チームや、早急に意思決定しなければならない場面などに適しているリーダーシップであるといえるでしょう。

民主型リーダーシップ

リーダーもメンバーとともに作業や業務に参加し、メンバーから意見を聞きつつ指示を出すというのが民主型リーダーシップです。最終的に意思決定をするのはリーダーですが、リーダーが一人ですべて決めてしまうのではなく、メンバーにも意思決定への参加を求めます。

【実験の結果】

  • チームの雰囲気が良かった。
  • 作業の質も高かった。
  • 生産性は専制型リーダーシップよりも低かった。

実験では、専制型リーダーシップよりも民主型リーダーシップのほうが生産性は低くなりましたが、長期的に見ると、3種類のリーダーシップの中で最も生産性が高くなるのは民主型リーダーシップであることがわかっています。メンバーの参加意識が高まる、創造性が発揮できるようになるなどのメリットもあります。

放任型リーダーシップ

すべてをメンバーに任せ、指示も出さず、意思決定もしないのが放任型リーダーシップです

【実験の結果】

  • リーダーへの要望が多くなった。
  • 自分一人で作業をすることができず、メンバー同士で協力することもほとんどなかった。
  • 3種類のリーダーシップの中で、最も生産性が低くなった。

何も指示をもらえないと、多くの場合、メンバーは自分の役割ややるべきことがわからなくなり、やる気も維持できなくなります。ただ、一人ひとりのメンバーが高い能力・スキルを持っており、成熟したチームである場合には、放任型リーダーシップが有効な場合もあります。

参考:「一冊でつかむ心理学」(著者:ポール・クライマン 翻訳:坂田由紀子 / 出版社:河出書房新社)

ダニエル・ゴールマンのリーダーシップ6種類

心理学者のダニエル・ゴールマン氏は、EQ(こころの知能指数)を提唱した人物です。EQとは、優れたリーダーに求められる資質のことで、「自己認識」「自己抑制」「動機付け」共感性」「ソーシャル・スキル」の5つの要素で構成されています。

ダニエル・ゴールマン氏は、2000年に発表した論文「Leadership that Gets Results」(邦訳:EQリーダーシップ)の中で、EQを基盤にリーダーシップを以下の6種類に分類しています。

  • 強圧型リーダーシップ
  • 権威主義型リーダーシップ
  • 親和型リーダーシップ
  • 民主主義型リーダーシップ
  • 先導型リーダーシップ
  • コーチ型リーダーシップ

この中のどれか一つのスタイルに固執するのではなく、優れたリーダーは状況に応じて複数のリーダーシップを使い分けていると、ダニエル・ゴールマン氏は主張しています。

参考:組織のリーダーとして成功を収めるにはEQ(こころの知能指数)が不可欠である ダニエル・ゴールマン 心理学者 | リーダーシップ|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

強圧型リーダーシップ

指示や命令に即座に従うことを要求するのが強圧的リーダーシップです。メンバーには、なぜそうする必要があるのかという理由は説明しません。メンバーが疑問を持ったとしても、リーダーはメンバーからの質問や意見も受け付けず、いつも強圧的です。メンバーの失敗や落ち度は指摘しますが、成果を出しても褒めることはしません。

強圧型リーダーシップは、メンバーの自尊心やモチベーション、エンゲージメントを低下させる非効率なリーダーシップスタイルであるといえます。リーダーとメンバーの関係だけでなく、メンバー同士の人間関係も悪化してしまうことが多いでしょう。

しかし、危機的な状況にあるときや、早急に解決しなければならない問題があるときには効果を発揮します。その場合も、ほかのスタイルと組み合わせることで、チームの団結力を高めることができます。

権威主義型リーダーシップ

組織やチームのビジョンに向かって、メンバーを動かしていくのが権威主義型リーダーシップです。リーダーは、メンバーに対してビジョンは語りますが、そこに到達するまでの方法は押し付けません。あくまでもメンバーの自主性を重視します。

チームの中にリーダーよりも知識や経験が豊富なメンバーがいると、権威主義型リーダーシップを発揮してビジョンを語っても大げさに聞こえてしまい、メンバーがついてこなくなることもあります。また、「私について来い」という発言や態度を強圧的に感じてしまう場合もあるという点が、権威主義型リーダーシップのデメリットです。

しかし、6種類のリーダーシップの中で最も前向きで、総合的に見て最も有効なスタイルであるといえます。チームへの帰属意識の向上も期待できるでしょう。

親和型リーダーシップ

チームで目標を達成することよりも、メンバーの感情面のニーズを重視するのが親和型リーダーシップです。自分の感情をメンバーと共有して信頼関係を築き、さらにメンバー同士を結び付けて調和を図ります。

親和型リーダーシップは、メンバーに気を使いすぎて積極的にフィードバックができなくなったり、対立を避けるようになったりする傾向があります。また、チームの人間関係や雰囲気を重視するあまり、課題の解決や目標達成が後回しになりがちで、ほかのスタイルと併用することが有効です。

親和型リーダーシップは、メンバーのやる気を引き出したいときや、チーム全体のモラルを高めたいとき、信頼関係を再構築したいときなどに、特に高い効果を発揮するリーダーシップスタイルです。

民主主義型リーダーシップ

リーダーもメンバーとともに作業や業務に参加し、意思決定の際にはメンバーにも意見を求めて合意を形成するのが民主主義型リーダーシップです。最終的な結果よりも、そこに至るまでのプロセスを重視します。

新人ばかりのチームや結成したばかりのチームのように、知識や能力が低いメンバーが多い場合には、民主主義型リーダーシップを発揮しても、メンバーからは何も得られないことが多いでしょう。また、意見交換が活発になれば、メンバー同士が衝突する可能性もあり、結論が出にくく、緊急性の高い場面には不向きといえます。

しかし、リーダーだけでは決断するのが難しいときや、新たなアイデアが欲しいとき、チームの実態を把握したいときなどには、民主主義型リーダーシップが高い効果を発揮します。

先導型リーダーシップ

難易度が高く、かつやりがいのある目標を設定して、チームで達成を目指すのが先導型リーダーシップです。リーダー自らが高いパフォーマンスを発揮してメンバーの良い手本となり、メンバーにもスピーディーに成果を出すことを求めます。

先導型リーダーシップは、結果を求められることでメンバーがプレッシャーを感じてしまうことがあります。リーダーにメンバーを思いやる気持ちがないと、信頼関係が壊れてしまうかもしれません。また、リーダーがすべて一人でこなしてしまうとメンバーが成長できないので、そのバランスにも注意が必要です。

先導型リーダーシップは、早急に結果を出したいときや、優秀なメンバーが揃っているチームに適しています。権威主義型リーダーシップや、親和型リーダーシップと併用することで、より高い効果を期待できるでしょう。

コーチ型リーダーシップ

メンバーの個々の希望を組織やチームの目標に結び付けて、個人を成長させていくのがコーチ型リーダーシップです

コーチ型リーダーシップは、メンバーとの1対1のコミュニケーションがとても重要です。メンバーの成長を促すためには、リーダーがメンバーのことを深く理解している必要があります。さらに、メンバーを指導するスキルや専門知識、メンバーを思いやる心など求められることも多いため、コーチ型リーダーシップを発揮できるリーダーは非常に少ないと思われます。また、メンバーのモチベーションが低いと、高い効果は期待できません。

コーチ型リーダーシップは、メンバーのモチベーションが高い場合や、長期的な試みに対して効果的なリーダーシップスタイルです。個人の目標や夢と仕事をつなげることができれば、メンバーも仕事に対するモチベーションを維持しやすくなるでしょう。

参考:リーダーシップのスタイル byダニエル・ゴールマン|四国地区大学教職員能力開発ネットワーク:SPOD(PDF)

PM理論のリーダーシップ4種類

PM理論とは、社会心理学者の三隅二不二(みすみ じゅうじ)氏により1966年に提唱された理論です。リーダーシップは課題達成能力(Performance)と集団維持機能(Maintenance)の2つの能力要素で構成されているというもので、それぞれの能力の頭文字をとって「PM理論」と名付けられました。

  • P:課題達成機能……目標達成に向けて成果を上げるための機能(計画の立案、メンバーへの指導など)
  • M:集団維持機能……メンバーをまとめて士気を高める機能(メンバーとのコミュニケーション、メンバーが抱える悩みの解決のサポートなど)

三隅二不二氏は、PとMの2軸でマトリックス化し、リーダーシップを以下の4種類に分類しています。

高↑

課題達成機能

↓低

「Pm型リーダーシップ」

成果は上げられるが、メンバーをまとめられない

「PM型リーダーシップ」

メンバー全員が協力して成果を上げることができる

「pm型リーダーシップ」

メンバーをまとめることも、成果を上げることもできない

「pM型リーダーシップ」

メンバーはまとめられるが、成果を上げられない

低 ← 集団維持機能 → 高

リーダーはPM型でなければいけないのか

PM理論では、PM型が理想的なリーダーシップであり、それ以外は業績面か人間関係面で能力が足りていないとされています。しかし実際には、そのほかの型でも「優秀」とされるリーダーは多く存在しています。

たとえば、急激に業績を上げた企業があるとします。リスクを冒してさらなる成長を目指すよりも現状を維持したいと企業が考えれば、よりM(集団維持機能)の能力が高いリーダーが「優秀」とされるでしょう。すると、PM型ではなく、pM型でも良いということになります。

逆に、「とにかく業績をもっと拡大させたい」「メンバーに多少負担をかけるが、このチャンスは逃したくない」というような場面であれば、P(課題達成機能)が高いリーダー、つまりPm型のリーダーが「優秀」とされることもあるでしょう。

つまり、組織やチームの置かれた状況により短期的にPM型以外のリーダーが求められることもあるということです。

やはり、長期的に見たときに理想的なのはPM型ですが、誰しも向き・不向きがありますので、一人のリーダーにPとMの2つの能力を求めるのは難しいかもしれません。一人ではなく、二人以上のリーダーで役割分担をしてPM型を完成させるというのも、リーダーシップのあり方の一つといえるでしょう。

PM理論については、以下の記事で詳しく紹介しています。

PM理論とは?リーダーシップ理論の内容・活用方法を紹介

パス・ゴール理論のリーダーシップ4種類

パス・ゴール理論とは、1971年にロバート・ハウス氏が提唱したもので、目標を達成するためには、リーダーがメンバーに道筋(パス)を示す必要があるという考えに基づく条件適応理論です

条件適応理論とは、環境に合わせてリーダーが行動を変化させていくことで良い結果につながりやすくなるという考え方で、英語で「コンティンジェンシー(contingency)理論」ともいわれます。

ロバート・ハウス氏は、リーダーが置かれている状況を「環境的な条件」と「メンバーの個人的な特性」の2つの側面から分析し、リーダーの行動がこの2つの側面と調和する場合にうまくリーダーシップが発揮できるとしました。「環境的な条件」とは、業務の明確さや組織の体制など、「メンバーの個人的な特性」とは、自主性や経験、能力などです。

さらに、ロバート・ハウス氏は、リーダーシップを以下の4種類に分類しています。

  • 指示型リーダーシップ
  • 支援型リーダーシップ
  • 参加型リーダーシップ
  • 達成志向型リーダーシップ

それぞれ詳しく見ていきましょう。。

指示型リーダーシップ

メンバーに期待を示し、目標を達成する方法や仕事の進め方などを、リーダーから具体的に指示するのが指示型リーダーシップです

指示型リーダーシップは、経験値や能力が低いメンバーが多い場合や、市場の変化が激しくメンバーのスキルが追い付かないというような場合に適しています。タスクの分配や役割分担があいまいでメンバーのストレスが多いときにこのリーダーシップを発揮すると満足度向上につながるでしょう。

逆に、メンバーのやるべきことが明確で、それを個々がしっかり理解できている場合には、指示型リーダーシップはあまり適していません。経験豊富で能力も高いメンバーが多いと、細かい指示がメンバーのストレスになる可能性があります。このような場合には、メンバーが自分の権限だけでは実行できないような部分(資源の調達、交渉など)のみをリーダーが支援して補ってあげるのが効果的です。

ただ、メンバーの経験や能力にかかわらず、結成されたばかりのチームのようにメンバー同士の人間関係が確立されていない段階では、リーダーが指示を与えたほうが、仕事を円滑に進められるかもしれません。

支援型リーダーシップ

まずはメンバーと信頼関係を築き、メンバーの意見やアイデアを尊重して感情にも配慮しながら、仕事を進めやすい体制をつくるのが支援型リーダーシップです

支援型リーダーシップは、やるべきことが明確で、メンバーがそれぞれのタスクを遂行しているときに高い効果を発揮します。また、リーダーとメンバーの権限がはっきりと分かれているような場合も、指示を与えるよりも支援的な行動をとったほうが、メンバーの満足度を高められるでしょう。

参加型リーダーシップ

意思決定の前にメンバーにもアイデアや意見を求め、それらをできるだけ反映させて決定を下すのが参加型リーダーシップです

たとえば、非常に専門性が高く、かつ迅速な対応を求められるような仕事であれば、ある程度メンバーに権限を委ねなければ、なかなか成果を上げることは難しいでしょう。このような場合、メンバーに一定レベル以上の能力・スキルが備わっているのであれば、メンバーが「自分は意思決定権を持っている」という意識を持てるように働きかけ、そのうえで参加型リーダーシップを用いてチームを導いていくと、成果につながりやすくなるでしょう。

このように参加型リーダーシップは、メンバーの能力・スキルや経験値、自律性、自己解決意欲が高い場合に効果的なスタイルであるといえます。

達成思考型リーダーシップ

非常に高い目標を設定して、それを達成するための努力をメンバーに求めるのが達成思考型リーダーシップです

達成思考型リーダーシップは、先ほどご紹介しましたダニエル・ゴールマン氏の6種類のリーダーシップの中の「先導型リーダーシップ」と同じと考えてよいでしょう。

成果を上げるためには、一つのリーダーシップスタイルに固執するのではなく、環境の変化に合わせて最適なリーダーシップを選択することが大切です。

SL理論のリーダーシップ4種類

SL理論は、1977年にハーシィ氏とブランチャード氏により提唱された条件適応理論です。SL理論のSは状況や状態などの意味を持つ「Situational」、Lは 「Leadership」の頭文字をとったもので、日本語では「状況対応型リーダーシップ」とも呼ばれることがあります。

SL理論では、協働的行動と指示的行動の2軸でマトリックス化し、リーダーシップを以下の4種類に分類しています。メンバーの成熟度に合わせて、S1からS4までリーダーシップのスタイルを変化させていくという考え方です。

高↑

援助行動↓低

↓「S3:援助型リーダーシップ」

指示を減らし、メンバーを援助することで成長を促す。

←「S2:コーチ型リーダーシップ」

メンバーの疑問に答える、メンバーの考えを尊重するなどして、仕事に必要な能力を養う。

「S4:委任型リーダーシップ」

業務をメンバーに委ね、ひとり立ちをさせる。

↑「S1:指示型リーダーシップ」

具体的な指示を与えて、メンバーを管理する。

低 ← 指示的行動 → 高
高 ← メンバーの成熟度 → 低

メンバーを育成したい場合には、S1→S2→S3→S4の順にリーダーシップのスタイルを変えて対応していきます。

S1:指示型リーダーシップ

メンバーに具体的な指示を与えて、細かく監督するのが指示型リーダーシップです。援助が全くないわけではありませんが、指示が多く、メンバーには指示したこと以外(応用)は求めません。いわゆるトップダウン型なので、新人教育などメンバーの成熟度が低いときに適しているリーダーシップスタイルです。

緊急性の高い場面などでは、S4のメンバーに対しても指示型リーダーシップで対応することもあります。

S2:コーチ型リーダーシップ

リーダーがやり方を決めて案も準備しますが、メンバーからの疑問や意見も受け入れ、それに答えるのがコーチ型リーダーシップです。この段階では、援助・指示ともに多くなります。定型的な仕事に慣れてきた若手メンバーなどに適しているリーダーシップスタイルです。

職場や仕事内容が変わればSのレベルも変わりますので、場合によってはS3、S4の実力を持つメンバーに対しても、新しい環境や仕事に慣れるまではS2として対応したほうが、本人のストレスを減らせることもあります。

S3:援助型リーダーシップ

具体的な指示を少なくして、援助によりメンバーの成長を促すのが援助型リーダーシップです。援助型リーダーシップは、非定型的な仕事もこなせるようになってきた中堅メンバーなどに適しています。

S4:委任型リーダーシップ

目的やビジョンだけを共有して、具体的な取り組み方などはメンバーに任せるのが委任型リーダーシップです。この段階では、援助・指示ともに少なくなります。メンバーにひとり立ちしてもらい、新しいリーダーをとして活躍できるようになることを目指す段階です。

SL理論を実践する際は、メンバーが現時点でどのレベルに該当するのかをしっかりと見極めることが重要です。いきなりリーダーシップスタイルを変えるのではなく、メンバーの成長に合わせて徐々に対応を変えていきましょう。

参考:「図解入門ビジネス最新リーダーシップと実践がよーくわかる本」(著者:杉山浩一 / 出版社:秀和システム)

「支援型」のサーバントリーダーシップとは

近年、サーバントリーダーシップという考え方が注目されています。サーバントリーダーシップは、1970年にグリーンリーフ氏により提唱された、「サーバント(奉仕)こそがリーダーシップの本質である」というものです

メンバーに指示や命令を与えて管理するという従来のリーダーシップは、「支配型」と呼ぶことができるでしょう。これに対してサーバントリーダーシップは、「支援型」だといわれています。メンバーに奉仕し、サポートすることで信頼関係を築き、目標へと導いていくスタイルです。

支配型と支援型を比較してみると、このようになります。

支配型リーダーシップ

支援型リーダーシップ(サーバントリーダーシップ)

特徴

  • メンバーを管理する。
  • リーダーは、これまでの組織のやり方や自身の経験に基づいて行動する。
  • コミュニケーションは指示や説明、アドバイスが中心。
  • メンバーが失敗すれば、叱ったり罰を与えたりする。
  • メンバーをサポートする。
  • メンバーの自主性を重視する。
  • メンバーの話をよく聴き、信頼関係を築く。
  • メンバーが失敗したときは、リーダーも一緒に失敗を振り返り、共に学ぶ。

メンバーの行動

  • リーダーに言われてから、言われたとおりに行動する。
  • 自分がやりたくなくても、リーダーに対する恐れや義務感から行動する。
  • リーダーに「従っている」感覚を持っている。
  • リーダーへの信頼は弱い。
  • リーダーに言われる前に自主的に行動する。
  • 行動するときは、自分が「そうしたい」と思っている。
  • リーダーと「共に活動している」感覚を持っている。
  • リーダーを信頼している。

サーバントリーダーシップを発揮できると、メンバーの自主性や主体性を伸ばせる、モチベーションや生産性が向上する、メンバーや顧客の意見が反映されやすくなるというメリットがあります。しかし、メンバーにある程度経験がなければ高い効果は期待できません。

サーバントリーダーシップの10の特性

サーバントリーダーシップには、以下の10の特性があります。

  • 傾聴:メンバーの話をよく聞いて、どんなサポートができるかを考える。
  • 共感:メンバーの立場になって気持ちを理解する。
  • 癒し:メンバーの心にアプローチして本来の力を取り戻させる。
  • 気づき:メンバーに気づきを与える。メンバーから気づきを得る。
  • 納得:メンバーには納得したうえで行動してもらう。
  • 概念化:夢やビジョンをメンバーに伝える。
  • 先見力:将来どうなるかを予想する。
  • 執事役:自分が利益を得るより、メンバーに利益を与えることに喜びを感じる。
  • メンバーの成長:メンバー一人ひとりの資質・特性を把握し、成長を促す。
  • コミュニティづくり:メンバー同士が良い関係を築き、一人ひとりが成長できるようなコミュニティをつくる。

サーバントリーダーシップについては、以下の記事で詳しく紹介しています。

サーバントリーダーシップとは?特徴や10の特性について解説

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学びのポイント

  • 証拠品や証言など多くの情報を手分けして読み、組み合わせて論理的に結論を導き出す
  • フェーズが進むごとに情報が増え、複雑になっていくなかで必要な情報を取捨選択する
  • 出た結論に満足せず、常に新しい情報と照らし合わせて再検証する

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3.合意形成・アサーティブコミュニケーション研修

合意形成・アサーティブコミュニケーション研修のアクティビティ「コンセンサスゲーム」では、危機的な状況下でどの物資を優先して確保すべきかをチーム内で議論し、最適な結論を導きます。

学びのポイント

  • 各々が個人ワークで考えた答えを聞くことで、チームメンバーの状況に対する認識や物資の重み付けの違いを受講者が理解する
  • 話し手は自分の答えにいたった理由を論理的・説得的に説明する
  • より良い根拠を導き出すための比較検討をして、チーム全員が納得する結論を出す

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4.OODA LOOP研修

OODA LOOP研修では、瞬間的な判断力が求められる運動系のアクティビティである「サバイバルゲーム」または「チャンバラ合戦」を実施することで、意思決定のフレームワークである「OODA LOOP」を実践的に習得することを目指します。

学びのポイント

  • 敵チームをよく観察して作戦を練り、状況に応じた行動を素早く判断しながら、チームで共有して一体となって行動する
  • ミッションの勝利条件をもとに、観察、判断、行動を繰り返すことで、本当にすべき行動が何なのか、行動の最適化を行う

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まとめ

一口にリーダーシップといっても、理論や考え方によっていろいろな種類のリーダーシップがあることがわかりました。現在も、国内外でリーダーシップに関する研究が進められています。今後も、また新たなリーダーシップの型が生まれるかもしれません。

リーダーシップを種類ごとにみると、改めてリーダーには業績面、人間関係面で非常に多くの能力やスキルが必要であることがわかります。さらに近年は、グローバル化やIT化によりビジネス環境が非常に速いスピードで変化しているため、対応力もリーダーに求められるようになっています。これからは、一人のリーダーに多くの機能や能力を求めるのは困難になってくるかもしれません。二人以上でリーダーの役割を分担してチームを導いてもらうというのも、一つの方法ではないでしょうか。

 

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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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