段取り力とは?ビジネスにおける重要性や高める方法を紹介

  • ビジネススキル

働き方改革により、企業には業務を効率化し、残業時間を削減しながら生産性を向上させることが求められるようになっています。その実現のために、従業員に高めてもらいたいスキルがあります。それが、「段取り力」です。

本記事では、段取り力とはどのようなスキルなのか、ビジネスにおける重要性をまず解説し、段取り力が高い人の特徴と、段取りを組む手順、段取り力を高める方法を紹介します

 

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段取り力とは

「段取り」とは、これからやることをスムーズに進めるために、どんな順番で何を行うのかを決めたり、必要な準備をしたりすることをいいます。段取り力は、これを行うスキルのことです。

まずは、段取り力がビジネスパーソンにとってどれほど重要なものなのか、段取り力が足りないとどのような問題が起こる可能性があるのかを、詳しく見ていきましょう。

ビジネスパーソンにとって段取り力が重要な理由

「段取り八分、仕事二分」という言葉を聞いたことはないでしょうか。 これは、「段取りがきちんとできていれば、仕事の8割は終わったようなもの」ということを意味しています。この言葉からも、仕事をうまく進めていくためには、段取りが非常に重要であることがわかります。

段取り力がある人は、まずやるべきことを洗い出し、優先順位をつけて、きちんと計画を立ててから仕事に取りかかります。また、あらかじめあらゆるリスクを想定して、それらに対する準備もしておくため、途中で何かトラブルが発生したとしても、対処に手間取ることなく、スムーズに仕事を進めていけるのです。段取り力を高めることで、今よりも仕事を効率的に進められるようになるでしょう。仕事を効率化できれば、ワークライフバランスも実現しやすくなります。さらに、段取りをきちんとすることで仕事の精度も高まるので、周りから高い評価を得られるようになるでしょう。

そして、企業には働き方改革が求められるようになっていますが、就業時間を短くするだけでは、負担が翌日以降に繰り越されていくだけです。企業としても、従業員の段取り力を高めることで、残業時間の削減だけでなく、業務効率化と生産性向上も期待できるでしょう。

段取り力が低いことで起こりえる問題

段取り力が低い人は、目の前にあるタスクや、自分がやりやすいもの(慣れているもの)から手をつけがちです。仕事の全体を把握しないまま進め始めてしまうので、抜け・漏れが発生しやすくなります。そして、途中でトラブル等が起こることも想定していないため、予期せぬ事態が発生した時には、対処に時間がかかってしまいます。その結果、仕事の質が下がってしまったり、期限や納期に間に合わなくなったりすることもあるかもしれません。

また、従業員の段取り力が足りないと、その仕事にかかわる社内外のさまざまな人に迷惑がかかり、職場の人間関係や企業の信頼度にも影響が出てしまう恐れがあります。さらに、仕事に時間がかかり、残業時間が増えれば、その分コストも発生することになります。

このような問題の発生を防ぐためにも、企業として、従業員の段取り力向上に取り組んでいきましょう。

 

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段取り力が高い人の特徴

では、段取り力が高い人とはどのような人を指すのでしょうか。ここからは、段取り力が高い人の特徴を紹介していきます。

事前準備を怠らない

ビジネスに限らず、何事も成功させるためには事前準備が重要です。段取り力が高い人は、この事前準備を怠りません

たとえば、商談に出向く場合であれば、次のような事前準備が必要になります。

  • 相手にアポを取る。
  • 当日出向く場所と、そこまでの行き方・所要時間を調べる。
  • 必要な資料(提案書、見積書等)を準備する。
  • 相手の情報を集める。

このような事前準備をできているかどうかで、当日の流れや、得られる結果も変わってくるでしょう。

また、期待した結果が得られなかったとしても、事前にしっかり準備してから臨むことで、相手に「この人は仕事に全力で取り組んでいる」という印象を与えることができます。熱心に取り組んでいる姿勢を見せるためにも、きちんと事前準備をしておくことが大切です。

あらゆることへの対処法を考えている

段取りを組むためには、目の前のことだけを見るのではなく、一歩先のことを考える必要があります。いざ仕事を進めてみると、計画通りにいかないことや、何らかのトラブルが発生することもあるからです。むしろビジネスにおいては、計画通りにスムーズに進むことのほうが珍しいかもしれません。

段取り力が高い人は、あらゆるトラブルやリスクを想定して、あらかじめ対策や代案を考えて準備しておきます。そのため、途中で計画を変更する必要が生じても、柔軟に素早く対応することができるのです。

周りの人に気配りができる

段取り力が高い人は、コミュニケーション力が高い人が多いです。周りの状況をよく見ており、小さな変化にもすぐに気づいて、声掛けなどを行うことができます

どのような仕事であっても、一人で進められるものというのはほとんどありません。社内外の関係者と協力しながら進めていく必要があります。普段から周りに気を配り、良好な関係を築いておくことで、周りの人からの協力を得やすくなります。何かトラブルが発生したとしても、関係者と連携しながら、スムーズに対処できるようになるでしょう。

常にアンテナを張って情報を集めている

段取り力が高い人は、普段からあらゆる方向にアンテナを張って、いろいろな情報を集めています。たくさんの情報を持っていれば、それらを活かして的確な段取りを組めるようになります。今後どうなるのか、どういったことが起こりえるのかという予測も立てられるようになるでしょう。

また、トラブルが発生した時に、とっさに適切な判断・行動をするためにも、多くの情報を持っておくことは大切です。

時間の使い方がうまい

限られた就業時間のなかで与えられた仕事をこなすためには、「時間の使い方」が非常に重要なポイントになります。この時間の使い方がうまいというのも、段取り力が高い人の特徴の1つです

段取り力が高い人は、まず抱えているタスクをすべて洗い出し、そのタスク1つひとつの所要時間を把握して、優先順位をつけて取り組みます。そのため、無駄なことに時間を使うことがありません。やるべきことが予定よりも早く終わってスケジュールに空きが出た時も、その空き時間内にこなせるタスクをピックアップして、効率よく片づけることができます。

時間を有効に使うスキルは、「タイムマネジメント」とも呼ばれています。段取り力を高めたいなら、タイムマネジメントを学ぶのもおすすめです。なお、タイムマネジメントについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

タイムマネジメントとは?実践方法やポイントを解説

段取りを組む手順

では、「段取り」とは、具体的に何をすればよいのでしょうか。ここからは、段取りの基本的な組み方を紹介していきます。段取りを組む手順は、以下の通りです。

  1. 仕事の目的・目標を明確にする
  2. タスクを洗い出す
  3. タスクに優先順位をつける
  4. 必要な準備をする

各ステップで何をするのか、詳しく見ていきましょう。

1.仕事の目的・目標を明確にする

最終的なゴールがわからなければ、段取りも組みようがありませんので、まずはゴールを明確にします。ゴールというのは、仕事の目的・目標のことです。たとえば、「新規の受注を〇件獲得する」「プレゼンテーションを成功させて企画を承認してもらう」などです。どのような仕事にも、目的・目標があるはずですので、これを改めて確認しましょう。この時、あわせてそれをいつまでに達成すればよいのかという期限も明確にしておくことが重要です。

そして、ゴールを明確にできたら、そのゴールに到達した姿を具体的にイメージしてみます。そして、到達までに必要なこと、起こりえることなどを書き出してみましょう。

2.タスクを洗い出す

次に、ゴールに到達するためにこなさなければならないタスクを、すべて洗い出しましょう。そして、それぞれのタスクの内容と所要時間、フロー、関係者等を整理し、仕事を「見える化」してみます。これを行うことで、現在自分が抱えている仕事の全体像を把握することができます。

タスクの洗い出しには、「ロジックツリー」というロジカルシンキングのフレームワークを使うのもおすすめです。ロジックツリーの作り方については、以下の記事で詳しく紹介していますので、参考にしてみてください。

ロジックツリーとは?作り方・注意点・テンプレートを解説

また、チームでタスクの洗い出しを行う際は、ブレインストーミングもおすすめです。ブレインストーミングとは、複数人で自由な発想で意見を出し合い、新たなアイデアを生み出そうとする会議の手法で、日本語では「集団発想法」とも呼ばれています。これによりタスクを洗い出すことで、チームのメンバー同士で「やるべきこと」を改めて確認することができますし、自分が見落としていたタスクに気づけることもあるでしょう。

3.タスクに優先順位をつける

タスクをすべて洗い出せたら、次はそのタスクに優先順位をつけていきます。この際は、「アイゼンハワー・マトリクス」というフレームワークを活用してみましょう。このフレームワークは、下図のように縦軸を「重要度」、横軸を「緊急度」とし、タスクを4つに分類していくというものです。「緊急度と重要度のマトリクス」とも呼ばれています。

洗い出したタスクが、それぞれどこに分類されるかを考えてみます。何を重要とするかは業務内容によっても変わってきますが、重要度を判断する際は、社内なのか社外なのか、顧客対応や関係者との連携が必要かどうかなども考慮しましょう。

タスクを分類できたら、次はタスクに優先順位をつけていきます。優先すべきなのは、緊急性の高い上段に分類されるタスクです。下段のタスクは、本当にやる必要があるのか、ほかの人に任せられないかなども検討してみましょう。

4.必要な準備をする

タスクの優先順位が決定したら、次は必要なことを準備していきます

まずは、スケジュールの作成です。ゴールから逆算して、何を・いつまでに・どのような順番でやるべきかを具体的に決めていきましょう。いざ仕事に取りかかると、思い通りにいかないことや、トラブルが発生することもあります。そのような時にも修正しやすいように、スケジュールはある程度余裕を持たせておきましょう。また、あらゆるリスクを想定して、その対処法を考えておくことも重要です。

そして、仕事を段取りよくこなしていくためには、スケジュールやタスクをきちんと管理しながら進めていくことが大切なので、To Doリストやガンドチャートを作成して、全体のスケジュールややるべきことを可視化しておくとよいでしょう。ほかの人に任せる仕事があれば、誰に・何を・いつまでにやってもらうのかがわかるようにしておきます。

準備が整ったら、スケジュールに沿ってタスクを実行していきましょう。進めるなかで、計画通りにいかないことや、想定外の事態が発生することもあるので、定期的に取り組みを振り返り、スケジュールの見直しをすることも重要です。

段取り力を高める方法

前項で紹介した手順を意識して、普段から段取りを組むようにすれば、徐々に段取り力は高まっていくはずです。そのほかにも、段取り力を高める方法としては、以下のようなものがあります。

毎日振り返りの時間を設ける

段取り力を高めるために、振り返りの時間は毎日設けるようにしましょう。今日はスケジュール通り仕事を進めることができたか、得られた成果やイレギュラーはあったか、良かった点・悪かった点を、終業時に振り返ることを習慣にします。これを毎日繰り返していると、今の自分がこなせる仕事量や、どこをどのように改善すべきかが見えてくるので、より効率的な段取りを組めるようになるでしょう。

メモを取る習慣をつける

普段からメモを取る習慣をつけることも、段取り力を高めるためのポイントです。

たとえば、何か作業をしている途中で、上司から指示をされることもあるでしょう。「後でやらなくては」とその時は思っても、再び作業に集中すると、指示を忘れてしまうこともあります。そんな時も、指示されてすぐにメモを取る習慣がついていれば、抜け・漏れが発生するのを防ぐことができます

また、チームで取り組む仕事の場合、スムーズに進めていくためには、「報告・連絡・相談」が特に重要です。必要な情報をチーム内で共有できていないと、トラブルに発展することもあるかもしれません。「あれを報告するのを忘れていた」ということにならないためにも、メモを取る習慣をつけておきましょう

そして、前項でもお伝えした通り、段取り力を高めるためには、毎日振り返りをすることも大切です。メモを取る習慣がついていれば、メモを見返しながら振り返りができるので、大切な情報を見落としにくくなります

便利なツールを活用する

最近は、個人のタスクやチームのプロジェクトを管理できる、さまざまなツールがあります。仕事を段取りよく進めていくために、このような便利なツールを活用するのもおすすめです。特に、チームで進めるプロジェクトの場合は、チームメンバーのタスクのすべてを把握・管理する必要がありますので、プロジェクト管理ツールで可視化しておけるとよいでしょう。導入することで、進捗確認やタスクの割り当て、メンバーとのファイルの共有なども容易に行えるようになるので、より効率的に仕事を進めていけるようになります。

搭載されている機能はツールによってさまざまですが、高度で豊富な機能が搭載されているツールほど良いというわけではありません。プロジェクト管理ツールは、チーム全員で使うものですので、チームのメンバー全員にとって使いやすいものを選ぶことが大切です。

研修を受ける

段取り力を高めたいなら、研修を受けるというのも1つの方法です。自社で企画・実施することも可能ですが、段取り力はすべてのビジネスパーソンに求められる基本的なスキルであるため、これらを学べる研修を実施している研修会社も多数あります。「段取り力研修」や「タイムマネジメント研修」で検索し、探してみてはいかがでしょうか。

株式会社IKUSAでは、「段取り研修(マネジメント基礎)」を実施しています。準備をするのが苦手な人や、自分の段取りの組み方が正しいのかわからないという人、もっと効率的な段取りを組めるようになりたい人などにおすすめの研修です。ビジネスにおける段取りの重要性や段取りのルールを学べるだけでなく、研修を通して今の自分の段取りスキルの傾向を知ることができます。研修内容はカスタマイズも可能ですので、お気軽にご相談ください。

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以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。

1.戦略思考研修

戦略思考研修のアクティビティ「ワールドリーダーズ」では、労働力や資本を使って事業を設立し、利益を稼ぐことを目指します

学びのポイント

  • 不確実な状況のなかで自チームにとって最適な行動方針を考え、実行していく
  • 戦略を決めるために与えられた手段のなかでどの情報を取得していくかの優先順位決めが求められる

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2.クリティカルシンキング研修

クリティカルシンキング研修のアクティビティ「混乱する捜査会議からの脱出」では、推理ゲームで論理的に情報を整理するなかで証拠の違和感に気づき、仮説立てや検証を行って目標を達成します

学びのポイント

  • 証拠品や証言など多くの情報を手分けして読み、組み合わせて論理的に結論を導き出す
  • フェーズが進むごとに情報が増え、複雑になっていくなかで必要な情報を取捨選択する
  • 出た結論に満足せず、常に新しい情報と照らし合わせて再検証する

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3.リーダーシップ研修

リーダーシップ研修のアクティビティ「グレートチーム」では、チームの運営を疑似体験することでリーダーシップやマネジメントを学びます。

学びのポイント

  • メンバーのリソース管理や育成、リーダーとしての決断を繰り返すことで、いろいろなリーダーシップの型を知ることができる
  • 現代に合わせたリーダーシップの発揮の必要性を知り、⾃分らしいリーダーシップを学べる

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4.交渉術・ネゴシエーション研修

交渉術・ネゴシエーション研修のアクティビティ「ワールドリーダーズ」では、利益を増やすことを目指し、自チームでの戦略構築や他チームとの交渉を行います。

学びのポイント

  • 配られた事業・資金・労働力などの資源だけで目的が達成できない場合に、他チームと交渉してそれらを手に入れるための交渉力を習得する
  • 他チームの情報を得てから相手にとって価値のあるものを提供し、自チームにとってさらに価値のあるものを引き出すことが求められる

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まとめ

段取り力を高めることで、仕事をこなすスピードも、仕事の質も高まります。企業としては、従業員の段取り力が高まれば、残業時間の削減はもちろん、業務効率化や生産性の向上が期待できます。働き方改革を推進するためにも、従業員の段取り力向上に取り組んでみてはいかがでしょうか。

 

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アクティビティが受講者の主体性を高めてコミュニケーションを促進させ、スキルアップやチームビルディングをはかれます。
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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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