ロジックツリーとは?作り方・注意点・テンプレートを解説

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「ロジックツリー」は、ロジカルシンキングのフレームワークのひとつです。問題の原因や解決策を網羅的に洗い出すことができる代表的なフレームワークであるため、見聞きしたことがある方も多いことでしょう。

本記事では、ロジカルシンキングをはじめ、ロジックツリーの概要から、ロジックツリーのメリット・作り方まで具体例を挙げて解説します

 

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ロジカルシンキングとは

ロジカルシンキングは、わかりやすく言い換えると「論理的な思考方法」のことです

具体的な流れは、まず問題や状況について「各種の要素や要因を重複なく、もれなく、わかりやすく整理して体系化すること」からはじめ、客観的に分析します。そして、それを通し「全体を把握し、ステップごとに原則に基づき論理的に解析を行い、問題や状況に対してより的確な判断や解決策などの結論を導き出す」ための思考方法のことです。

ロジカルシンキングが力を発揮するのは、「新しい戦略・戦術の立案や企画の立案時」「その内容を他者に伝えるプレゼンテーション」などです。その他にも、ビジネスパーソンが直面するさまざまなシーンで活用できます。

参考:図解入門ビジネスロジカル・シンキングがよーくわかる本(書籍)

1.   ロジカルシンキングが必要な理由

ロジカルシンキングが必要な理由には、現代社会の環境の変化が関係しています。

ダイバシティー実現をめざす企業においては、宗教、文化、生活習慣、ビジネス習慣などの多様性を重視しているため、「誰もが自分と同じ価値観、意見をもっている」という環境ではなくなりました。そのため、これまで通りの発想や思考を維持したままでは、対応が難しくなることが考えられます。

そんな現代社会で期待される成果を出すは、ロジカルシンキングを理解し、実際に身につけて使えるようになることが必要です。ロジカルシンキングは、情報収集後の現状分析をはじめ、その分析によって導き出された問題・原因の解決、顧客への企画立案や上司への報告書作成など、さまざまな場面で活用できます。活躍したいビジネスパーソンにとって、不可欠な思考方法といえるでしょう

参考:事務局説明資料(グローバル社会の実現)|経済産業省(PDF)

2.   ロジカルシンキングの4つの手法

ロジカルシンキングには、以下4つの思考方法があるので、それぞれの特徴をご紹介しましょう。

ロジカルシンキングの4つの手法のなかでも、モレのない状態で全体を整理し、分析できる思考法が「フレームワーク(枠組み)思考法」です。代表的なフレームワークとしては「ロジックツリー」があります。ビジネスシーンでは、目標達成や経営戦略、課題解決などのために役立てられるでしょう。

思考法

特徴

ゼロベース(リセット)思考

すべての既成概念を取り払い、ゼロ(白紙の状態)にリセットして新しい方向性のもと、物事を考える思考法

フレームワーク(枠組み)思考

物事それぞれを最適なフレーム(枠)に当てはめ、関連要因や要素の漏れのない状態で全体を整理し、分析することで適切な結論を導き出す思考法

オプション(選択肢)思考

はじめに十分に吟味されて、甲乙つけがたい選択肢を想定し、それぞれの案について議論や客観的評価を通して厳しく評価することで最終的に1つを選択する思考法

プロセス(過程)思考

時間の概念を取り入れて事象をとらえ、事象全体を一連の流れ(過程)として把握し、整理して考える思考法

参考:図解入門ビジネスロジカル・シンキングがよーくわかる本(書籍)

 

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ロジックツリーとは

ロジックツリーは、ロジカルシンキングの手法「フレームワーク思考」で用いる、問題解決のためのツールです複雑な問題をシンプルな階層構造に分解し、それぞれの要素や関係を整理することに役立ちます。ロジックツリーで大きな目標や問題を小さな部分に分割して考えることにより、論理的な洞察を得る手助けになるでしょう。

ロジックツリーの種類

ロジックツリーには4つの種類があります。目的に応じて使い分けましょう。

ロジックツリーの種類

内容

What:要素分解ツリー

  • 問題の「発生個所」を特定するためのロジックツリー
  • 物事の要素を分解していき、要素を網羅的に洗い出して把握できる

Why:原因追求ツリー

  • 問題発生の「原因」を追究するためのロジックツリー
  • ある問題に対して原因を挙げていき、根本となる原因が何なのかを突き止める

How:問題解決ツリー(イシューツリー)

  • 「問題解決策の洗い出し」と「優先順位決定」のためのロジックツリー
  • 解決したい問題に対して、改善策を挙げることができる

KPIツリー

  • 問題解決策の各要素にKPIで設定した数値を関連づけ、行動管理を目指すためのロジックツリー
  1. KGI(経営目標達成指標)を設定
  2. KGIを達成するための中間目標であるKPI(重要業績評価指標)を設定
  3. KPIを達成するためのKPIを設定

ロジックツリーを作成するメリット5

ロジックツリーを作成することで、以下のようなメリットがあります。

①  問題の全体を把握できる

ロジックツリーを作成することで、複雑な問題を階層的に分解し、全体像を整理することが可能です主題や問題の中心から外れずに、関連する要素や側面を包括的にとらえることができます。ロジックツリーで思考を整理することにより、問題の範囲や影響を理解しやすくなるでしょう。

また、メンバー間での共有も容易になります。「そもそも問題を把握できていない」「問題の定義がメンバー間で異なる」などのズレがなくなる効果が期待できます。

②  問題を深掘りすることで原因が特定できる

ロジックツリーは、問題を細かな要素に分割するため、深掘りした分析ができます原因と結果の関係を明確にし、問題の根本的な原因を特定する手助けになるでしょう。このようなアプローチは、問題を解決するための効果的な戦略を立てる際に不可欠です。

たとえば、「会社の売り上げが悪い」という問題に対して、すぐに原因を特定することは難しいはずです。ロジックツリーを活用すれば、問題の全体から徐々に掘り下げて、問題を構成している原因をリストアップできます。

③  解決策を考えやすい

ロジックツリーは、問題の各要素や側面に1つずつ焦点を当てながら原因を突き止めていくため、解決策を考えやすくなります各要素の影響や関係性を把握したうえで、効果的な解決策を検討できるでしょう。

戦略の策定をより的確に進められることがメリットです。

④  優先順位が明確になる

ロジックツリーを構築する際には、要素や側面を階層的に整理することになります。このとき、重要度や影響度に応じて優先順位をつけることが可能です。問題解決やプロジェクトの進行において、何に重点を置くべきかが明確になります

優先順位が視覚的にわかりやすくなる点も、メリットの1つです。

⑤  メンバーと共有しやすい

ロジックツリーは情報を視覚的に表現する手段として優れており、チームメンバーや関係者と共有する際に効果的です図やグラフで表現されたフロー図は、複雑な概念を理解しやすくし、コミュニケーションをスムーズにします

たとえば、仕事でただ作業内容を指示するだけでは、相手にその作業の必要性を理解してもらうことに時間と労力を費やしてしまいます。ロジックツリーがあれば、その作業が設定される経緯を一目で理解できるため、目的が揺るぐことなく、各メンバーが指示通りに作業を実行できるでしょう。

ロジックツリーは、共通の枠組みを提供することで、メンバー間の理解度や意見の整合性を高めることにも役立ちます。

ロジックツリーの作り方と具体例

ここでは、ロジックツリーの作り方を紹介します。

ステップ①検討するテーマを決める

ロジックツリーを作成する前に、まず扱う「テーマ」を明確にします

たとえば、「営業部の売上目標が達成できない問題」では、「営業チームの能力やモチベーションの低下」と「営業戦略の不適切さ」では扱うテーマが異なります。

設定したテーマにより、ロジックツリーの展開も変化し、解決方法も異なるため、議論の中心となるテーマを明確にする必要があります。はじめに、ロジックツリーを作成する目的を定め、その目的に沿ったテーマを設定することが大切です。

ステップ②構成する要素を考える

テーマを明確にした後は、構成する「要素」を考えます。問題を解決するためのロジックツリーを作成する場合では、個人の意見が反映される可能性があるため、注意が必要です。

まずは問題の構造を把握するための「What:要素分解ツリー」を作成しましょう。その後、洗い出された各要素に対して「Why:原因追求ツリー」を作成する手順がおすすめです。

ステップ③モレなくダブりなくツリーを作成する

ロジックツリーを作成する際は、ロジカルシンキングの概念であるMECE(ミーシー)を意識しましょうMECE(ミーシー)とは「Mutually Exclusive Collectively Exhaustive」の頭文字をとったものです。以下4つの要素から構成されています。

  • Mutually:相互に
  • Exclusive:重複せず
  • Collectively:全体として
  • Exhaustive:モレがない

つまり、MECEは「モレなく、ダブりなく」という状態のことです。

ロジックツリーは、各要素に抜けや重複があると、正確な分析ができません。「Yes」「No」で答えられる問いで要素に分解する方法がおすすめです。

ステップ④具体的な解決策に落とし込めるまで続ける

具体的な解決策に落とし込めるまで、要素の分解を続けましょう

ただし、ロジックツリーを作成しただけで業務に反映できないと意味がありません。ロジックツリーの目的は、「要素を分解すること」ではなく、「解決策を見つけ出すこと」です。

ロジックツリーには「What:要素分解ツリー」「Why:原因追求ツリー」「How:問題解決ツリー」「KPIツリー」などさまざまな種類があります。どのロジックツリーを活用しても、最終的に具体的な解決策や改善策に落とし込めるようにすることが大切です。

業務に反映できるロジックツリーを作成することで、ロジックツリーの意義やメリットをより実感できるでしょう。

ロジックツリー作成時の5つの注意点

ロジックツリーを作成する際は、いくつか注意点がありますので解説しましょう。

①  問題のテーマを明確にする

ロジックツリーは、最初に設定する問題のテーマを明確にしなければ、最適な解決策を見つけ出せません中心となるテーマが異なる場合、分解した要素や解決策は変化するでしょう。

テーマがあいまいなまま進めてしまうと、ロジックツリーを作成する意味がなくなってしまいます。

②  MECEを徹底する

ロジックツリーを作成するにあたり、MECEは非常に重要です。モレなくダブりなく要素を分解できることが、ロジックツリーの最大のポイントといえるでしょう。ロジックツリーを作成時は、「他に分解できる要素はないか」「下位の要素は、上位の要素と重複してないか」と、細心の注意を払いながら進めることが大切です。

ただし、MECEが徹底できているかどうかを1人で判断するのは難しいものです。ロジックツリーは複数人で作成するか、作成した後に信頼できる人にチェックしてもらうのがおすすめです。

なお、要素分解を進める際は、同じ階層の粒度・具体性・分類する基準がそろうように意識することで、ツリー全体の階層が崩れることを防げます。また、要素の抜けや重複についても気づきやすくなるでしょう。

③  具体的な行動に結びつくまで分解する

ロジックツリーは、最後の枝分かれした要素が「具体的な行動に結びつくまで」分解しましょう。特に「How:問題解決ツリー」を活用する場合は、「どの行動を優先すべきか」を決定することが重要になるため、具体的な行動に落とし込む必要があります

行動に移せなければ、作成したロジックツリーが無駄になってしまうかもしれません。実現できる行動レベルまで、要素を分解していきましょう。

④  正確な情報を反映する

ロジックツリーの作成時は必ず正確な情報のみを反映しましょう

誤った情報や仮定を基にツリーを構築すると、最終的に誤った結論や戦略が導かれる可能性があります。そのため、ロジックツリーに含まれる情報は、正確で信頼できるものであることが必須です。

⑤  複雑になりすぎないよう注意する

ロジックツリーで要素の分解を進めていくと、内容が細かくなりすぎて複雑になる場合があります適切なレベルで情報をまとめ、過度にツリーの階層が深くなりすぎないように注意することも大切です。

また、ロジックツリーは視覚的な手法であるため、できる限り要素は簡潔な内容にしましょう。適切な図や記号を用いることで、よりわかりやすくなります。

ロジックツリーが簡単にできる「テンプレート」3

ロジックツリーはExcelCanvaなど、テンプレートを使えば初心者でも簡単に作成することができます。紙に書き出す方法もありますが、Web上に作成すれば共有も容易です。以下では、ロジックツリーを簡単に作成できるテンプレートを紹介します。

①  Excel

ExcelSmartArt機能を活用することで、簡単にロジックツリーを作成することができます。

はじめに、「挿入」タブから「SmartArt」を選択しましょう。

「階層構造」というカテゴリに、ロジックツリーのテンプレートがそろっています。現状の問題に合ったものや、使いやすいものを選びましょう。

②  Canva

Canvaは誰でも簡単にデザインができる無料のツールです。ユーザーはポスター、バナー、プレゼンテーション、SNS投稿などの、さまざまなデザインを簡単に作成できます。

テンプレートにロジックツリーが入っているので、検索して使用しましょう。おしゃれなデザインでロジックツリーを作成したい場合におすすめです。

参考:Canva

③  Lucidchart

ロジックツリー専用のテンプレートを豊富にそろえているのが「Lucidchart」です。Lucidchartのロジックツリー作成ツールは、そのまま図形をドラッグ&ドロップできるため、Excelよりも短期間で作成できます。

まずは無料ではじめられるため、使用感を確かめることも可能です。気になる方は試用してみましょう。

参考:Lucidchart

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以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。

1.ロジカルシンキング研修

ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します。

学びのポイント

  • 小グループで得られた情報を論理的に整理し、確定情報・曖昧情報・不要な情報を選り分ける
  • 大グループで全体に必要な情報を論理的に判断・共有することや、自分たちに足りない情報を聞き出すことが求められる。

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2.クリティカルシンキング研修

クリティカルシンキング研修のアクティビティ「混乱する捜査会議からの脱出」では、推理ゲームで論理的に情報を整理するなかで証拠の違和感に気づき、仮説立てや検証を行って目標を達成します。

学びのポイント

  • 証拠品や証言など多くの情報を手分けして読み、組み合わせて論理的に結論を導き出す
  • フェーズが進むごとに情報が増え、複雑になっていくなかで必要な情報を取捨選択する
  • 出た結論に満足せず、常に新しい情報と照らし合わせて再検証する

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3.PDCA研修

PDCA研修のアクティビティ「ロケットPDCAチャレンジ」では、パーツを組み合わせてロケットを制作し打ち上げ結果から原因を考えて、より良く飛ぶロケットに改善していき、目標の達成を目指します。

学びのポイント

  • 計画を立ててロケットを飛ばし、その結果から組み合わせの誤り・部品の不足・不良部品の有無を推察し、それを繰り返すことで組み合わせの精度を上げていく
  • 資金稼ぎ・パーツの選択・打ち上げの準備を繰り返し、作戦タイム振返りを経て行動を改善していくことで、最適化されていく

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4.OODA LOOP研修

OODA LOOP研修では、瞬間的な判断力が求められる運動系のアクティビティである「サバイバルゲーム」または「チャンバラ合戦」を実施することで、意思決定のフレームワークである「OODA LOOP」を実践的に習得することを目指します。

学びのポイント

  • 敵チームをよく観察して作戦を練り、状況に応じた行動を素早く判断しながら、チームで共有して一体となって行動する
  • ミッションの勝利条件をもとに、観察、判断、行動を繰り返すことで、本当にすべき行動が何なのか、行動の最適化を行う

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まとめ

ロジカルシンキングは、グローバル化が進み、さまざまな価値観や思考が混在している現代に必要不可欠な思考法です。ロジカルシンキングのなかでも、特にフレームワーク「ロジックツリー」は、問題全体を把握したり、問題の原因を特定したりする際に役立ちます。

しっかりと検討するテーマを明確にしたうえで構成要素を考え、モレなくダブりなくロジックツリーを作成することで、問題の解決策を適切に洗い出せるでしょう。ロジックツリーの初心者も、ぜひ当記事を参考にロジックツリーの作成に挑戦してみてください。

 

あそぶ社員研修」は、受講者全員が没入して取り組むアクティビティと専門講師の講義・振り返りをブリッジすることで、翌日から業務で活用できる知識・スキルが身につく研修プログラムです。

アクティビティが受講者の主体性を高めてコミュニケーションを促進させ、スキルアップやチームビルディングをはかれます。

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この記事の著者

藤 琴乃

フリーランスのWebライター。大学卒業後はバレエダンサーや法人営業、Web編集職、Webディレクター職を経験。記事作成に限らず、企画立案やオウンドメディアの立ち上げ、オンライン事務など幅広い仕事に携わっています。

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