成長意欲を高める方法14 選!高めるポイントや注意点、低下することで生じる問題も紹介
- 組織・人材開発
成長意欲とは、スキルアップに取り組んだり、自分の仕事の質を積極的に改善したりするなど、能力を高めるために能動的に取り組もうとする気持ちです。社員の成長意欲を高めることで、企業の業績・成果やエンゲージメントの向上につながります。
本記事では、成長意欲を高める方法やポイント、取り組むうえでの注意点、成長意欲が低下することで起こる問題を解説します。
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成長意欲とは
成長意欲とは、自分の能力(知識・スキル)を高めるために自ら行動しようとする気持ちです。
業務の質をブラッシュアップしたり、セミナーや研修を受講して学びを深めたりすることを積極的にできる人は成長意欲が高いといえます。
成長意欲が高い人材は業務の質が高く、また周りの社員にもよい刺激をもたらすことが期待できるため、そのような社員を増やしていくことで、企業力の底上げにつながるでしょう。
成長意欲と上昇志向の違い
上昇志向は、自分の社会的地位や生活レベルなどの水準を常に上げていこうとする考え方を指します。上昇志向が強い人は、上司や同僚から認められたい、社会的地位や生活水準をより高めたいという思いが原動力になっているとされています。
どちらも高みを目指すという点では共通していますが、成長意欲は自分の能力を高めること、上昇志向は水準を高めることに重きを置いている点が異なります。
成長意欲と向上心の違い
向上心は、より優れた人を目指して努力しようとする気持ちを指します。
成長意欲は能力、上昇志向は水準を高めることに関する用語ですが、向上心はどちらも包含しているといえます。
成長意欲を高めるポイント
成長意欲を高めるためのポイントを紹介します。
社員の自己肯定感を高める
自己肯定感とは、ありのままの自分を肯定できる感情です。自己肯定感が高まることで、自分自身や自分の行動に自信が持てるようになります。
自分の行動に対して「よくやっている」と肯定的に捉えることができると、仕事のモチベーションアップにもつながり、能力や成果を高めていこうと成長意欲が上がるでしょう。
社員の自己肯定感を高めるためには、社員一人ひとりの努力をきちんと評価し、周囲に認められているという認識を持ってもらうことが大切です。
社員の自己効力感を高める
自己効力感とは、目標を達成するための能力を自分が持っていると信じられる感情です。
自己効力感が高まることで、仕事に対して自信を持って取り組むことができ、気持ちが前向きになります。仕事に対する自信を持つように促すことで、成長意欲を自然と高められるでしょう。
成長意欲を高める具体的な方法14選
成長意欲を高める具体的な方法を紹介します。
内発的動機づけ(内発的モチベーション)については、以下の記事でも詳しく紹介しています。
内発的動機づけとは?従業員のモチベーションを高める方法を紹介
1.成果を評価する
社員が出した成果を正当に評価することが成長意欲を高めるうえで大切です。成果を出しても待遇などに全く反映されない環境であれば、よりよい成果を出そうとは考えにくくなります。
ポイント・注意点
- 評価の基準を明確にし、社員に十分説明する
- 成果を褒める際には、ミーティングや社内報を利用するなど、周囲にも分かる形で行う
2.プロセスを評価する
社員が出した結果だけではなく、過程にも目を向けて評価しましょう。成果自体が芳しくなくても、できたところに目を向けて褒めることで、次は結果を出そうという前向きな気持ちを持ってもらえ、成長意欲を高められます。
ポイント・注意点
- 過程を見るためには普段のコミュニケーションが大切であるため、定期的なミーティングで進捗を確認する
- 業務に従事していると、評価するタイミングを逸してしまう恐れがあるため、評価するチェックポイントを決めておく
3.成功体験を積んでもらう
目標を達成する経験は、成功体験として社員に大きな自信を与えます。これを積み重ねることで、仕事に対するモチベーションが上がり、成長意欲が高まるでしょう。
経験を積む社員が増えることは、他の社員の模範になったり、指導できる社員が増えたりするため、企業全体に大きなメリットがあります。
ポイント・注意点
- 最終目標を達成するまでには時間と労力がかかるため、プロジェクトの中間でいくつか目標を定め、小さな成功体験を積ませる
- その人にとって難易度が高すぎると自信につながりにくいため、1人で遂行できる適切な難易度の業務を割り振る
4.目標を設定させる
何のために努力するかを明確にするため、社員に目標を設定してもらうことが大切です。到達点が見えることで、自分の現状が明確化し、目標に達しようと意識できるため成長意欲が高まるでしょう。
ポイント・注意点
- 目標は企業や上司が定めるのではなく、社員自ら決めてもらうことで、主体性が持て、達成しようという意欲がより芽生える
- 目標が達成できなかった場合、どのようにしたら達成できたか、振り返りの時間を設ける
5.成功しているロールモデルを見せる
ロールモデルとは自分の模範や目標となる人を指します。仕事をするうえで目標となる同僚や上司がいると、自分の理想をより具体的に理解できるため、成長意欲が高まるでしょう。
成功モデルの行動や思考を真似することで業務への向き合い方を改善できます。短時間で成長を遂げることが期待でき、さらに成長したいと意欲的になることにもつながるでしょう。
ポイント・注意点
- 社内で成果を出している社員との交流の機会を設けたり、インタビュー記事を社内報に載せたりして、他の社員の成長意欲を高めることが期待できる人の考え方を広く発信する
- 身近にロールモデルがいなければ、同業の著名人を参考として提案する
6.成果への褒賞を明確にする
成果を出した社員や特筆すべき利益をもたらした社員を讃え、評価を与える褒賞制度を充実させるなど、成果を出すメリットを明確化させることが大切です。
どれだけ努力しても給与や待遇に改善が見込めないと、今以上の成果を出そうという気になれずに成長意欲が削がれてしまう可能性があります。
ポイント・注意点
- 成果に見合う褒賞を用意し、社員が受け取りたいと心から思えるものを与えられるように予算を割く
- 評価基準を明確にする
7.働きやすい環境を整える
良好な人間関係や、プライベートと両立しやすい労働環境が整備されていると、働きやすさを社員に感じてもらえます。
環境が整えられていることで、社員が「ここで活躍したい、この組織に貢献したい」という思いを持て、成長意欲を高められるでしょう。
ポイント・注意点
- 子育てや介護を行なっている社員には、業務時間の配慮を特に心がける
- 社員同士で安心して意見を交わせるよう、風通しのよい職場づくりに力を入れる
8.個性を尊重し、適材適所を心がける
社員それぞれの特性上、どうしても苦手な業務があるかもしれません。自分の能力が発揮しにくい業務に長期間に渡って従事していると、モチベーションを保ちにくくなり、成長意欲が高まることを期待できません。
社員一人ひとりの個性を尊重し、得意分野の業務を割り振るよう意識することが大切です。
ポイント・注意点
- その時従事している業務について思っていることや、今後挑戦したいことを社員からヒアリングして把握する
- 日々の業務の振り返りでは「集中して取り組めること」「トラブルなくできたこと」といったトピックを立て、その社員が何を得意としているかを明確にする
9.成長意欲を高める研修を取り入れる
成長意欲を高めるのに大切な、自己肯定感や自己効力感を高める研修を取り入れることが重要です。
自分では気づけない考え方の癖を理解したり、仕事を成功させるために必要なスキルを習得したりすることで、身につけた力を発揮したいと考えるきっかけになるため、成長意欲が高まります。
ポイント・注意点
- 自分を受け入れるための心理学的アプローチを採用したロールプレイングや、他者へ抱く感情の成り立ちを理解することで自己肯定感を高め、関係改善を図る研修を実施する
- 自己効力感を高めるには、過去の経験を振り返り、自分が持つ資質の相乗効果を考えるストレングスファインダー研修が効果的
10.相手の価値観に理解を示す
企業に自分の価値観を受け入れてもらえていると社員が安心できれば、企業へ貢献したいというエンゲージメントの向上につながり、成長意欲を高められます。
多様性が重視される社会において、経営層が社員の価値観を受け入れる姿勢を持つことは、企業自体の魅力にもなります。
ポイント・注意点
- 指導する際は、相手の考えに理解を示したうえで、他の考え方を提案するといった伝え方を意識する
- 経営層や指導する立場の社員は、世代を超えた交流の機会を定期的に設け、自分たちにはない考え方に積極的にふれるよう心がける
11.業務について振り返る機会を定期的に設ける
仕事がルーティンの作業にならないよう、振り返りの機会を定期的に設けましょう。
さらに、取り組んでいる仕事の意義や業務がもたらす社会への影響も定期的に伝えて意識してもらうことで、仕事へのモチベーションを維持でき、成長意欲を高められます。
ポイント・注意点
- 前回から新たにできるようになったことや成果を伝えることで、成長実感を得てもらう
- 振り返りでは具体的なキャリアビジョンを提示し、成長を続けた先のイメージを持ってもらう
12.メンター制度を取り入れる
メンター制度とは、直属の上司とは別に、歳の近い先輩社員が専属で社員についてサポートする制度です。
親しみやすい関係性になれることが多いため、相談相手として機能するほか、親密な人間関係を築くことで企業へのエンゲージメントが上がり、成長意欲を高める効果が期待できます。
ポイント・注意点
- 社員とメンターの相性を考慮する
- メンターにとっては業務量が増えるため、過度な負担とならないようにフォローする
13.前向きな企業文化を醸成する
社員同士で協力し合える前向きな環境は、社員にとって働きやすく、仕事に対しても意欲的になります。
例えば、褒め合う文化をつくったり、企業の方針と社員の考えの擦り合わせを丁寧に行なったりすることで、推進力があり前向きな企業文化を醸成できます。
ポイント・注意点
- チームビルディングを促進するために、会議を行う際は冒頭にアイスブレイクを取り入れる
- 可能な情報開示は積極的に行い、風通しのよい環境をつくる
14.心理的安全性を高める
心理的安全性とは、組織の中において、自身の考えを誰に対しても安心して発言できる状態を指します。
心理的安全性が確保されている職場は信頼関係が構築できているといえるため、仕事へのモチベーションを保ちやすく、成長意欲の向上につながるでしょう。
ポイント・注意点
- 社員が満遍なく発言できる環境が大切であるため、ミーティングなどでは一人ひとりに発言を促すよう留意する
- 適切な頻度で飲み会や打ち上げの機会を設け、打ち解けた関係を育めるよう工夫する
心理的安全性については、以下の記事で詳しく紹介しています。
心理的安全性とは?作り方・高め方、計測方法、ぬるま湯組織との違いを解説
成長意欲が低下する理由
成長意欲が低下する理由を解説します。
目標が持てない
社員が目的意識を持って仕事に取り組めないと、日々の業務がルーティン化してしまい、成長意欲が低下しやすくなります。
社員全員が主体的に目標を持てるとは限らないため、上司が短期的な目標の立て方をレクチャーしたり、成長意欲が高い社員の考え方を伝えたり、工夫する必要があります。
努力が適切に評価されない
自分が出した成果に見合った評価を受けていないと感じると、成長意欲が低下します。それを避けるためには、客観的な評価基準を明確化し、賞与・社内表彰制度の充実を図りましょう。
社内表彰制度では代表的なものとして「永年勤続表彰」や「定年退職表彰」などが挙げられますが、この場合は世代や勤続年数以外を基準とした評価を設けるのがおすすめです。特に優れた業績を上げた社員には「MVP賞」、社員同士高め合う姿勢を見せたチームには「チーム賞」、ほかの社員の模範となるような日々の努力を見せた社員には「努力賞」など、社員の仕事ぶりを直接評価する制度を取り入れてみましょう。
企業の方針に共感できない
社員は企業が示す方針に納得できないと、成長意欲を持ちにくくなります。また、普段の業務の成果が社員自身の目指すところとは異なる場合、業務に従事する価値を見出せなくなります。
経営層は企業理念を丁寧に説明する姿勢をもち、またそれを体現して見せることが大切です。
成長意欲が低いことで生じる問題
成長意欲が低いことで生じる問題を解説します。
離職率が高まる
成長意欲を持てないと社員が感じれば、その組織で得られるものがこれ以上ないという判断につながり、離職率が高まる恐れがあります。
離職率が高まると、採用や教育に一層コストがかかり、企業にとって大きな負担となります。
エンゲージメントが低下する
社員が業務への意欲を保てないと、企業へのエンゲージメントが低下します。企業に魅力を感じられず、転職を検討するか、場当たり的な仕事に甘んじる社員が増え、業績向上は期待できにくくなるでしょう。
エンゲージメントは働きやすさややりがいの有無、経営指針への共感を図る重要な要素であり、エンゲージメントの低下は企業力の低下につながるため注意が必要です。
エンゲージメントについては、以下の記事でも詳しく紹介しています。
エンゲージメントとは?ビジネスにおける意味や重要性を解説
成長意欲を高めるうえでの注意点
成長意欲を高める取り組みを推進するうえでの注意点を解説します。
放任的な指示を出さない
社員と信頼関係を築くうえで、仕事を任せることは大切ですが、「自分で対処して」と丸投げする態度は避けましょう。社員に無責任と捉えられると、業務へのモチベーションが下がり、成長意欲を削ぐ恐れがあります。
不明点が生じた場合は相談できる環境を整え、段階的に成長していけるようサポートする姿勢を大切にしましょう。
答えを先に示さない
業務上で問題が発生した際に、解決方法を指示すれば物事が早く進む場面もあるかもしれませんが、すぐに答えを示してしまうと、主体的に考える姿勢が身につきません。
社員が自分で解決できたという実感が、自信につながり、ひいては成長意欲を高めるため、上司は指導方法に留意しましょう。
成長意欲を高めることにつながる研修5選
「あそぶ社員研修」は、受講者全員が没入して取り組むアクティビティ・振り返り・講義をブリッジすることで学びを最大化させ、翌日から業務で活かせる知識・スキルが身につく講義・アクティビティ一体型の研修プログラムです。
以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。
1.コミュニケーション研修
コミュニケーション研修のアクティビティ「謎解き脱出ゲーム」では、チームでコミュニケーションをとりながら問題に隠された法則を発見する謎解きゲームのクリアを目指します。
学びのポイント
- 受講者が「自分しか見えていない情報・問題・解き方」をチームで共有することでコミュニケーション促進やスキルアップにつながる
- 突飛な発想・ヒラメキをチームのなかで積極的に発言できる心理的安全性の高い環境づくりが求められる
2.PDCA研修
PDCA研修のアクティビティ「ロケットPDCAチャレンジ」では、パーツを組み合わせてロケットを制作し打ち上げ結果から原因を考えて、より良く飛ぶロケットに改善していき、目標の達成を目指します。
学びのポイント
- 計画を立ててロケットを飛ばし、その結果から組み合わせの誤り・部品の不足・不良部品の有無を推察し、それを繰り返すことで組み合わせの精度を上げていく
- 資金稼ぎ・パーツの選択・打ち上げの準備を繰り返し、作戦タイム振返りを経て行動を改善していくことで、最適化されていく
3.ロジカルシンキング研修
ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します。
学びのポイント
- 小グループで得られた情報を論理的に整理し、確定情報・曖昧情報・不要な情報を選り分ける
- 大グループで全体に必要な情報を論理的に判断・共有することや、自分たちに足りない情報を聞き出すことが求められる。
4.クリティカルシンキング研修
クリティカルシンキング研修のアクティビティ「混乱する捜査会議からの脱出」では、推理ゲームで論理的に情報を整理するなかで証拠の違和感に気づき、仮説立てや検証を行って目標を達成します。
学びのポイント
- 証拠品や証言など多くの情報を手分けして読み、組み合わせて論理的に結論を導き出す
- フェーズが進むごとに情報が増え、複雑になっていくなかで必要な情報を取捨選択する
- 出た結論に満足せず、常に新しい情報と照らし合わせて再検証する
5.合意形成・アサーティブコミュニケーション研修
合意形成・アサーティブコミュニケーション研修のアクティビティ「コンセンサスゲーム」では、危機的な状況下でどの物資を優先して確保すべきかをチーム内で議論し、最適な結論を導きます。
学びのポイント
- 各々が個人ワークで考えた答えを聞くことで、チームメンバーの状況に対する認識や物資の重み付けの違いを受講者が理解する
- 話し手は自分の答えにいたった理由を論理的・説得的に説明する
- より良い根拠を導き出すための比較検討をして、チーム全員が納得する結論を出す
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まとめ
成長意欲とは課せられた仕事をただこなすのではなく、改善やクオリティ向上の意欲を持って取り組む姿勢です。社員が成長意欲を高めることで、前向きな空気感となり、高い成果につながるでしょう。
成長意欲を高めるポイントを押さえ、紹介した方法をぜひ普段の業務に取り入れてみてください。
「あそぶ社員研修」は、受講者全員が没入して取り組むアクティビティ・振り返り・講義をブリッジすることで学びを最大化させ、翌日から業務で活かせる知識・スキルが身につく講義・アクティビティ一体型の研修プログラムです。
アクティビティが受講者の主体性を高めてコミュニケーションを促進させ、スキルアップやチームビルディングをはかれます。