主体性とは?自主性との違い・高い人の特徴・高める方法を紹介

  • 組織・人材開発

ビジネスパーソンに「主体性」が求められる時代となっています。主体性と似ている言葉に「自主性」がありますが、どのような意味の違いがあるのでしょうか。

本記事では、まず主体性とは何か、自主性との違いや社会人基礎力についても触れながら、言葉の意味を解説します。そして、ビジネスにおいて主体性が必要な理由、主体性が高い人・低い人それぞれの特徴、社員の主体性を高める方法を紹介します。

 

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主体性とは

主体性とは、自分の意志や判断に基づいて、責任を持って行動すること、またはそうしようとする性質のことをいいます。周りからいわれたから動くのではなく、自分で今何をすべきかを考えて自発的に取り組むことともいえるでしょう。

ビジネスにおいても、上司から指示されたことをただこなすだけでなく、自ら課題や目標を設定して、その解決・実現のために積極的に行動できる主体性の高い人材が求められるようになっています。

主体性と自主性の違い

冒頭でもお伝えしたとおり、主体性と混同しやすい言葉に、自主性があります。自主性とは、自分のやるべきことを、他人から指示される前に自分の意志で行うこと、またはそうしようとする性質のことをいいます

主体性も自主性も、自分の意志で行動するという点は同じですが、自主性は「やるべきこと」がある程度決まっています。一方、主体性は、「やるべきこと」を自分で考えて決めて、それを実行するという違いがあります。また、主体性は、自分の行動に「責任を持つ」ことが強調されているのも特徴です。

仕事に例えるなら、自分に与えられた仕事に率先して取り組むのは自主性です。そして、与えられた仕事以外にも、「こうすればもっと良くなるのじゃないかな。今度上司に提案してみよう。」というように「+α」を考えて、責任を持って実行するのは主体性であるといえるでしょう。

主体性も自主性も、どちらもビジネスパーソンには必要なものです。

社会人基礎力としての主体性

「社会人基礎力」とは、経済産業省が「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として、2006年に提唱したものです。そして、人生100年時代を踏まえて、2017年度にこれを再定義し、「人生100年時代の社会人基礎力」としています。

この社会人基礎力は、「前に踏み出す力(アクション)」「考え抜く力(シンキング)」「チームで働く力(チームワーク)」の大きく3つの能力に分けられ、全部で12の能力要素から構成されています。主体性は、このなかの「前に踏み出す力(アクション)」に含まれる能力要素の1つとされており、「物事に進んで取り組む力」と定義されています。

そして経済産業省は、この社会人基礎力を、社会人の「OS」としています。つまり、主体性を含む社会人基礎力は、業界・業種にかかわらず求められるスキルであり、初期の段階で身につけておく必要があるということです。

参考:社会人基礎力(METI/経済産業省)

なお、社会人基礎力については、以下の記事でも詳しく解説しています。

社会基礎力とは?構成要素や必要性、高めるために必要なこと

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ビジネスにおいて主体性が必要な理由

仕事には、「これが唯一の正解」という明確な答えがないものが多いです。さらに、環境や時代によって正解も変わっていきます。ひと昔前には正解だったやり方が、現代では通用しなくなってきたというケースも増えています。ビジネスで成果を上げ続けていくためには、そのときの状況を見て自分で考えてアクションを起こす力、つまり主体性が必要なのです。特に現代は、「VUCA時代」と呼ばれるほど将来の予測が難しい時代になっています。そのため、今後はより一層主体性が求められるようになっていくと考えられます。

また、働き方の多様化も、主体性が注目されている理由の1つではないでしょうか。新型コロナウイルス感染症が流行して以降、日本でも一気にテレワークが普及しました。フレックスタイム制などの柔軟な働き方を導入する企業も増えています。これにより、これまでの仕事の進め方が通用しなくなる場面も増え、上司が直接部下を指導したり、マネジメントしたりする機会も減りました。そのため、上司の指示がなくても自ら考えて行動して成果を上げられるような、主体性のある人材が求められるようになっていると考えられます

VUCA時代とは……「VUCA」は、Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の4つの英単語の頭文字をとったものです。環境が目まぐるしく変わり、将来を予測するのが困難な状況であることを意味しています。

主体性が高い人の特徴

次に、主体性が高い人に共通して見られる特徴を紹介します。

行動力がある

主体性が高い人は、指示をもらう前に自分で考えて行動できます。自分でアクションを起こし、成功体験を積み重ねていけるので、自分に自信を持っている人や、自己肯定感が高い人が多いです。

そして、自己肯定感が高まると、以前よりもさらに積極的に行動できるようになります。主体性が高い人は、自分でこのような好循環を生み出すことができる人が多いといえるでしょう。

「やりたいこと」が多く、いきいきしている

主体性が高い人は、与えられた仕事をただこなすだけでなく、自分で「何をすべきか」「何ができるか」を考えることができます。そのため、「やりたいこと」を常に複数持っている人が多いです。

そして、自分の行動に責任を持っている分、やりがいも感じることができるので、毎日いきいきしているという特徴があります

目標達成意欲が高い

主体性が高い人は、自分で解決すべき課題や達成すべき目標を設定し、その実現に向けて行動できます。その課題や目標は、自分の意志で設定したものなので、「必ず達成する」という意欲が強いというのも、特徴の1つです。強い目標達成意欲があるため、困難な状況に直面しても、あきらめずに取り組み続ける人が多いでしょう。

失敗をプラスに変えることができる

主体性が高い人は、基本的にプラス思考の人が多いです。何か失敗をしたとしても、「学びを得るために必要な経験だった」「次はもっとこうしてみよう」と、プラスに変えることができます。

また、主体性が高い人は、自分のことだけでなく、「組織やチームが成果を上げるにはどうすればいいか」を考えるのが得意です。そのため、自分が失敗から得た学びを、周りに共有できる人も多いといえるでしょう

主体性が低い人の特徴

次に、反対に主体性が低い人に共通して見られる特徴を紹介していきます。

指示がないと行動できない

主体性が低い人は、基本的に「受け身」の姿勢でいるため、指示がないと行動できない人が多いです。「自分で考える」ことをあまりしないため、今何をやるべきかがわからず、指示どおりにしか動けないのです。または、自分でやるべきことがわかっていても、どのように動けばいいかわからない、責任を持ちたくないなどの理由で、行動に移さないという人もいるでしょう。

周りに流されやすい

主体性が低い人は、周りの評価を気にする傾向があります。そのため、自分の意見を主張したり、自分で何かを決めたりするのが苦手で、周りに合わせてしまいがちです。

責任を持つことが怖いと感じる人も多く、自分で何かを成し遂げたいという気持ちもあまりないため、他人任せにしてしまいやすいという特徴もあります

モチベーションが低い

主体性が低い人のなかには、失敗したくない、仕事を増やしたくないと考える人もおり、指示された範囲を自ら超えようとしないという特徴もあります。そのため、主体性が高い人に比べると、仕事に対するモチベーションや、「成長したい」という意欲も低く見えてしまいがちです。

マイナス思考で失敗を引きずりがち

主体性が低い人は、マイナス思考で、何事もネガティブなほうに考えてしまいやすいです。自分に自信がなく、自己肯定感も低い人が多いといえます。ネガティブな考えに支配されて、失敗を長く引きずってしまうため、新しいことや難易度の高いことにチャレンジするのも得意ではありません

社員の主体性を高める方法

主体性は、生まれ持った性格によるところもありますが、誰でもトレーニングにより高めることができる「スキル」だといえます。最後に、社員の主体性を高めるために企業ができることを紹介します。

社員が自ら考えて判断できる機会を与える

主体性を高めてもらいたいなら、社員に「自分で考える」習慣をつけてもらうことが大切です。上司から与えられた仕事をただこなしているだけの状態では、なかなか主体性は高まりません。「どうすれば仕事をもっと早く終わらせられるだろう?」「どのような工夫をすれば商品の魅力がもっと伝わる資料になるだろう?」など、小さなことでも構わないので、「自分で考える」ことが社員の習慣になるように、その機会を与えてみましょう。

最初から細かいことまで指示を出してしまうと、社員は指示されたことをただこなすだけで、考えずともゴールにたどり着くことができてしまいますので、ある程度任せてサポートに回るのもポイントです。疑問点がある場合も、すぐに答えを教えるのではなく、「あなたはどう思う?」と逆に問いかけるなどして、まずは自分で考えてみてもらいましょう。

そして、社員が自ら考えて出した答えに対して、必ずフィードバックをすることも大切です。その際は、社員がどのような考えでその答えに至ったのかをしっかりと聞き、ポジティブな言葉をかけて成長を促します。結果よりもプロセスや努力を評価し、より良くするにはどうすれば良いかを上司も一緒になって考えることで、社員の主体性を高めることができるでしょう。

仕事の「意味」を伝える

社員の主体性が低いのではなく、主体性を発揮できていないだけという可能性もあります。そして、主体性が発揮できない原因が組織側にある場合もあるのです。

たとえば、企業理念やビジョンが浸透していないため、社員がどこを目指せば良いのか、何のために仕事に取り組むべきなのかを理解できていないというケースです。これらを改めて共有したり、1つひとつの仕事の「意味」を伝えたりすることで、社員の仕事に向き合う姿勢が変わるかもしれません

仕事に前向きに取り組めるようになると、主体性を発揮できるようになるだけでなく、仕事に対するモチベーションの向上や、ミスの軽減、業務効率化といった効果も期待できるでしょう。

チャレンジしやすい環境をつくる

主体性が低い人は、チャレンジしたり、自分の意見を発言したりするのが苦手な人が多いです。また、「責任を持ちたくないので、やりたくない」と考える人もいるかもしれませんが、組織側に原因があり、「やりたくても怖くてできない」という人もいるかもしれません。職場の心理的安全性を高め、チャレンジしやすい・発言しやすい環境をつくることで、このような人の主体性を引き出すことができるでしょう

心理的安全性とは、周りの人の目や反応に怯えることなく、思ったことをいえたり、行動できたりする状態のことをいいます。職場の心理的安全性が低いと、社員は自発的な発言や行動を控えるようになるため、主体性が低く見えてしまうのです。心理的安全性を高める具体的な方法としては、定期的に1on1を実施する、社員同士の気軽なコミュニケーションを促すツールや仕組みを導入するなどが挙げられます。

成功体験を積み重ねられるようにする

主体性が低い人は、自分に自信がなかったり、自己肯定感が低かったりする人が多いです。このような状態では、なかなか主体性を発揮できるようにはなりません。まずは自分に自信を持ってもらうために、社員が成功体験を積み重ねられるようサポートしましょう。

そのために、まずは社員に具体的な目標を立ててもらいます。そして、その目標達成までの間に、いくつか中間目標を設定し、「達成」を感じられるポイントを増やしていきましょう。中間目標の難易度が高すぎると、逆に今よりも自信をなくしてしまうこともありますので、努力次第で達成できるレベルに設定するのが重要です。小さな成功体験を積み重ねていくことで、次第に自分に自信が持てるようになり、主体性を発揮できるようになっていくでしょう。

また、主体性が低い、または発揮できない人は、周りの評価を気にするタイプの人が多いので、きちんとフィードバックをすることも大切です。

内発的モチベーションを引き出す

モチベーションには、外発的なものと内発的なものがあります。外発的モチベーションとは、評価や報酬、地位、褒美など、外から何かを与えられることにより生まれるモチベーションのこと。内発的モチベーションとは、「もっと知りたい」「挑戦したい」というように、自分の内側から湧き出してくるモチベーションのことをいいます。

主体性を発揮するためには、内発的モチベーションが欠かせないということが研究でわかっています(デシ博士の「ソマパズルの研究」)。

参考:「主体性がない」のはあなたのせいじゃない!指示待ち体質を生む3つの要因 | ニュースな本 | ダイヤモンド・オンライン

内発的モチベーションを引き出す方法はさまざまありますが、社員の自己決定感と自己効力感を高めるというのが1つのポイントです。

自己決定感とは、自分で決めて行動しているという感覚を指します。これを高めるためには、権限を社員に委ねる、社員の意見を取り入れる、ポジティブな声掛けを積極的に行うなどが有効です。

そして、自己効力感とは、自分ならできると思えるような感覚を指します。社員に日誌や日報をつけてもらうなどして「振り返り」を習慣にしてもらい、日々の業務のなかにある小さな成功を認識してもらうことで、これを高めることができるでしょう。

研修を受けてもらう

主体性を発揮できるようになるための研修を提供する研修会社もありますので、社員にこれを受講してもらうのも1つの方法です

内容は研修会社によってさまざまですが、主体性とは何か、主体性を発揮するための考え方や行動、自分自身をリードする「セルフリーダーシップ」などを、講義とワークで学ぶような研修が多いです。また、自分の主体性を発揮できるようになるだけでなく、部下の主体性の引き出し方を学ぶ上司や管理職向けの研修を実施している研修会社もあります。

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以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。

1.ロジカルシンキング研修

ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します

学びのポイント

  • 小グループで得られた情報を論理的に整理し、確定情報・曖昧情報・不要な情報を選り分ける
  • 大グループで全体に必要な情報を論理的に判断・共有することや、自分たちに足りない情報を聞き出すことが求められる。

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2.クリティカルシンキング研修

クリティカルシンキング研修のアクティビティ「混乱する捜査会議からの脱出」では、推理ゲームで論理的に情報を整理するなかで証拠の違和感に気づき、仮説立てや検証を行って目標を達成します

学びのポイント

  • 証拠品や証言など多くの情報を手分けして読み、組み合わせて論理的に結論を導き出す
  • フェーズが進むごとに情報が増え、複雑になっていくなかで必要な情報を取捨選択する
  • 出た結論に満足せず、常に新しい情報と照らし合わせて再検証する

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3.PDCA研修

PDCA研修のアクティビティ「ロケットPDCAチャレンジ」では、パーツを組み合わせてロケットを制作し打ち上げ結果から原因を考えて、より良く飛ぶロケットに改善していき、目標の達成を目指します

学びのポイント

  • 計画を立ててロケットを飛ばし、その結果から組み合わせの誤り・部品の不足・不良部品の有無を推察し、それを繰り返すことで組み合わせの精度を上げていく
  • 資金稼ぎ・パーツの選択・打ち上げの準備を繰り返し、作戦タイム振返りを経て行動を改善していくことで、最適化されていく

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4.OODA LOOP研修

OODA LOOP研修では、瞬間的な判断力が求められる運動系のアクティビティである「サバイバルゲーム」または「チャンバラ合戦」を実施することで、意思決定のフレームワークである「OODA LOOP」を実践的に習得することを目指します

学びのポイント

  • 敵チームをよく観察して作戦を練り、状況に応じた行動を素早く判断しながら、チームで共有して一体となって行動する
  • ミッションの勝利条件をもとに、観察、判断、行動を繰り返すことで、本当にすべき行動が何なのか、行動の最適化を行う

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まとめ

主体性も自主性も、どちらもビジネスパーソンに必要なものですが、変化の激しい現代においては、主体性の重要性がより高まっています。

主体性は、誰でもトレーニングにより鍛えることができますので、社員に主体性を高めてほしいと感じているなら、企業研修に主体性に関するプログラムを組み込んでみてはいかがでしょうか。また、社員の主体性が低いのではなく、組織側に原因があるため発揮できていないだけという可能性もあります。社員の育成に取り組むと同時に、職場環境やマネジメントスタイルも、一度見直してみてください。

 

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アクティビティが受講者の主体性を高めてコミュニケーションを促進させ、スキルアップやチームビルディングをはかれます。
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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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