ピラミッドストラクチャーとは?作り方や活用の具体例を紹介

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現代のビジネスパーソンに求められるスキルの1つに、「ロジカルシンキング(論理的思考法)」があります。ロジカルシンキングは、さまざまなツールを使って物事を整理し、論理的に答えを導き出す思考法です。「ピラミッドストラクチャー」は、ロジカルシンキングの代表的なツールの1つです。今回は、このピラミッドストラクチャーについて、詳しく解説します。

ピラミッドストラクチャーとはどのようなツールなのか、ロジックツリーとの違いや、活用シーン、活用するメリットや、基本的な作り方、作成するときのポイントについて、詳しく見ていきましょう

 

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ピラミッドストラクチャーとは

ピラミッドストラクチャーとは、何かを主張するときに、その論理をわかりやすく説明するためのフレームワークです。英単語のストラクチャー(structure)には、「構造」の意味があります。そのため、「ピラミッド構造」とも呼ばれています。

ピラミッドストラクチャーは、元マッキンゼー・アンド・カンパニー(経営コンサルティング会社)のバーバラ・ミント氏が、著書「The Mint Pyramid Principle」(考える技術・書く技術)で紹介したことで、広く知られるようになりました。

ピラミッドストラクチャーの基本の「型」は、以下のとおりです。

このように、一番上に置かれた主張が複数の根拠に支えられており、その名のとおりピラミッドのような形をしています。上から下へ「Why So?(それはなぜ?)」、下から上へ「So What?(○○(根拠)だから××(結論))」の関係でつながっているというのが、ピラミッドストラクチャーの大きな特徴です。上から下の場合は「(主張)です。なぜなら、(根拠1)、(根拠2)、(根拠3)だからです」、下から上の場合は「(根拠1)、(根拠2)、(根拠3)。よって(主張)です」というように、説明できるような構造になっています。

ピラミッドストラクチャーの具体例

ビジネス文書を作成する際も、まずはピラミッドストラクチャーで考えを整理し、それを文章に書きなおすことで、わかりやすいビジネス文書を作成できるようになります。具体例として、ビジネス文書においてピラミッドストラクチャーになっていない例と、ピラミッドストラクチャーになっている例を紹介します。

ピラミッドストラクチャーになっていない例は、根拠(データ)の部分が秩序無く列挙されているため、最終的な結論を支えていないのに対し、ピラミッドストラクチャーになっている例では、根拠のカテゴリ別に整理されており、主張が伝わりやすいといえます。

ピラミッドストラクチャーになっていない

〇〇業界への参入について、ご報告いたします。

  • 近年、〇〇業界は市場が拡大しています。
  • 既存市場の伸び率はマイナスとなっています。
  • 〇〇業界は、今後10年は市場が拡大していくと予想されています。
  • 競合企業としては△△社がありますが、わが社には△△社にも勝る技術があります。
  • 顧客のニーズが変化しており、既存市場で大きな収益をあげることが難しくなっています。
  • これまでの事業で培ってきたブランドイメージやチャネルを、〇〇業界でも活用できます。

以上の理由から、〇〇業界へ新規参入すべきだと考えます。

ピラミッドストラクチャーになっている

「〇〇業界への参入の可否」について検討した結果をご報告いたします。結論から申し上げますと、今後のわが社の発展のために、〇〇業界へ参入すべきと考えます。

  • 〇〇業界はわが社にとって魅力的です。

 -近年、〇〇業界は市場が拡大しています。

 -〇〇業界は、今後10年は市場が拡大していくと予想されています。

  • わが社の強みを活かせます。

 ―競合企業としては△△社がありますが、わが社には△△社にも勝る技術があります。

 ―これまでの事業で培ってきたブランドイメージやチャネルを、〇〇業界でも活用できます。

  • 既存市場で大きく売上を伸ばすのは困難です。

 ―既存市場の伸び率はマイナスとなっています。

 ―顧客のニーズが変化しており、既存市場で大きな収益をあげることが難しくなっています。

ピラミッドストラクチャーとロジックツリーの違い

ピラミッドストラクチャーと形が似ているものに、ロジックツリーがあります。ロジックツリーも、ロジカルシンキングの代表的なツールの1つです。

ピラミッドストラクチャーとロジックツリーは、形こそ似ていますが、まったくの別物ですピラミッドストラクチャーは、自分の主張とその根拠を相手にわかりやすく説明するために用いられます。対してロジックツリーは、問題の原因や解決方法を見つけるために使われることが多いです。

ロジックツリーは、ピラミッドの一番上に問題や課題を置き、MECE(※)の考え方に基づいて、構成要素に分解していくというものです。原因を探る場合は「Whyツリー」、対策や方法論なら「Howツリー」、課題解決なら「Whatツリー」と、何を目的とするかで異なる名前で呼ばれることもあります。

ロジックツリーは、基本的にはトップダウンで問題や課題を分解していきます。対して、ピラミッドストラクチャーは、ボトムアップで組み立てることが多いです。

このように、ピラミッドストラクチャーとロジックツリーは、使用する目的や作り方がまったく違いますので、状況に応じて使い分けられるようになりましょう。

MECEとは……Mutually(相互に)、Exclusive(排他的で)、Collectively(集合的に)、Exhaustive(網羅的な)の頭文字をとったもの。わかりやすく表すと「漏れ・重複がない状態」。ロジカルシンキングの基本となる考え方。

なお、ロジックツリーについては以下の記事でも詳しく解説しています。

ロジカルシンキングとは?定義・必要性・基本的な手法「MECE(ミーシー)」について解説

ピラミッドストラクチャーの活用シーン

ピラミッドストラクチャーは、ビジネスのさまざまなシーンで活用することができるフレームワークですが、特に役立つのが、プレゼンテーションや交渉、提案、指示、依頼などを行うときです

これらは、「契約してもらう」「指示のとおりに動いてもらう」など、相手に行動変容や態度変容を促すことを目的としています。そのためには、相手に納得してもらわなければなりません。相手に納得してもらうためには、ただ思い付きの主張を述べるだけでなく、その根拠もわかりやすく伝える必要があります。ピラミッドストラクチャーを活用することで、自分の主張とその根拠を論理的に伝えられるようになるので、相手の理解を得やすくなるでしょう。

 

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ピラミッドストラクチャーを活用するメリット

では、ピラミッドストラクチャーを活用できるようになると、ビジネスにおいてどのようなメリットが得られるのでしょうか。

自分の考えを整理できる

ピラミッドストラクチャーを活用して、自分の主張とその根拠を図式化することで、自分の考えを整理できます。整理することで、根拠が弱い、データが不十分など、足りない部分も見つけやすくなります。

自分で自分の考えに納得できなければ、相手を納得させることはできません。相手に伝える前に、論理の妥当性を確認できるというのも、ピラミッドストラクチャーのメリットといえるでしょう。

自分の意見が相手に伝わりやすくなる

先ほどお伝えしたように、ピラミッドストラクチャーは、上から下の場合は「(主張)です。なぜなら、(根拠1)、(根拠2)、(根拠3)だからです」、下から上の場合は「(根拠1)、(根拠2)、(根拠3)。よって(主張)です」というように説明できます。きちんと自分の考えを整理して、このとおりに説明していくことで、伝えたいことが相手に伝わりやすくなります明確な根拠も示せるようになるため、説得力も増すでしょう。

また、ビジネスシーンでは、文書で何かを報告をしなければならない場面も多々あります。先ほど「ピラミッドストラクチャーの具体例」の項で紹介したように、ピラミッドストラクチャーは、わかりやすい文書を作るうえでも役立ちます。

仕事がスムーズに進むようになる

複数人で話し合いをすると、議論がなかなかまとまらず、いつまでたっても結論が出ないという状況に陥ってしまうことがあります。お互いが主張や思い、感覚ばかりをぶつけ合っていては、議論がまとまるはずはありません。議論で大切なのは、根拠を示すことです。ピラミッドストラクチャーを活用できるようになれば、根拠を重視するようになるので、話し合いを効率よくスムーズに進められるようになるでしょう

また、ピラミッドストラクチャーを活用できるようになると、論点にきちんとフォーカスを当てて考えられるようになるので、話し合いだけでなく、報告や提案、文書作成などもスピーディーに行えるようになります。

ピラミッドストラクチャーの作り方

ここからは、ピラミッドストラクチャーの作り方を紹介していきます。ピラミッドストラクチャーの基本的な作成手順は、以下のとおりです。

  1. イシューを見極める
  2. 論理の枠組みを設定する
  3. So What?(だから何?)」でメッセージを引き出す
  4. Why So?(それはなぜ?)」で整合性をチェックする

各ステップを、詳しく見ていきましょう。

1.イシューを見極める

「イシュー」とは、何を考えるべきなのか、最終的に何を明らかにすべきなのかという「問い」のことです

実際に考え始めると、途中でイシューを忘れてしまうことがあります。実際に、会議で本題とは関係ない話を延々としてしまったり、何か調べものをしていて、明らかにすべきこととは別のことを調べ始めてしまったりした経験はありませんか。こうした事態にならないように、まずはイシューを明らかにして、常にイシューを意識しておくようにしましょう。そして、イシューを考える際は、その答え(主張)もイメージしておきます。

たとえば、先ほど「ピラミッドストラクチャーの具体例」の項で紹介したビジネス文書の例でいうなら、イシューと主張のイメージは以下のようになります。

  • イシュー:「〇〇業界に参入すべきか否か?」
  • 主張のイメージ:「参入すべき」または「参入すべきではない」

2.論理の枠組みを設定する

論理の枠組みとは、簡単に表すと「イシューに対する答えを出すために判断しなければならないこと」です。または、「イシューに答えるための小さな問い」ともいえるでしょう。小さな問いに答えていくことで、だんだんとイシューの答えも見えてくるようになります。

枠組みを設定しないと、入手できた情報のみで結論を出してしまったり、自分に都合の良い方に考えてしまったりしやすくなります。または、イシューにあまり関係がない情報が多くなり、混乱してしまうこともあるかもしれません。そうならないように、抜け・漏れのない枠組みをきちんと設定することが重要です。

枠組みを設定する際は、以下のポイントを意識してみましょう。

  • どのような結論になるとしても、必ず考慮しておかなければならない論点は何かを考える。
  • 小さな論点の類似性や因果関係を考える。
  • 相手が反論してきそうなことをイメージして、論点を追加できないか考える。
  • 既存のフレームワークも参考にする(※ただし、フレームワークの特徴をしっかり理解したうえで活用することが重要)。
  • 枠組みがイシューにダイレクトに関係しているかどうかも重視する。

枠組みが設定できたら、必要なデータや情報を集めてグルーピングしましょう。

3.So What?(だから何?)」でメッセージを引き出す

次に、グルーピングした情報に「So What?(だから何?)」を問いかけて解釈を引き出し、ピラミッドストラクチャーの2段目(根拠13)のメッセージを設定します。そして、同じやり方でそこからさらに1段目(主張)のメッセージまで作り上げていきましょう。

なお、メッセージは「項目」や「見出し」ではありません。具体的に何がわかるのか、何を主張したいのかがわかる内容にしましょう。たとえば、先ほどのビジネス文書の例でいうなら、「〇〇業界の状況について」ではなく、「〇〇業界はわが社にとって魅力的です」となります。

参考:「改訂3版 グロービスMBAクリティカル・シンキング」(著者:グロービス経営大学院 / 出版社:ダイヤモンド社 / 発売:2012年)

4.Why So?(それはなぜ?)」で整合性をチェックする

ピラミッドストラクチャー自体は、1つ前のステップで完成です。ただ、適切な構造になっていない可能性もあるので、最後に、完成したピラミッドが上から下へ「Why So?(それはなぜ?)」の関係になっているか、チェックしましょう。

「(主張)である。なぜなら(根拠1)、(根拠2)、(根拠3)。」と、上から順番に読み上げてみます。これで納得感があればOKですが、違和感があったり、反論が浮かんだりするなら、メッセージが間違っているか、抜け・漏れがある可能性が高いです。今一度、見直してみましょう。

ピラミッドストラクチャーを作成するときのポイント

ピラミッドストラクチャーを作成するときは、以下の2点のポイントを意識してみましょう。そうすることで、相手によりわかりやすく自分の意見を伝えられるようになります。

相手の視点で考える

プレゼンテーションや交渉、提案などをするときは、どうしても自分の言いたいことばかりを主張してしまいがちになります。しかし、主張が相手のニーズや関心に沿った内容になっていなければ、納得してもらうのは難しいでしょう。相手に何か行動を求めるなら、相手の視点に立って考えることが重要です。ピラミッドストラクチャーを作成する際も、この点を意識しましょう。

たとえば、自社の商品を小売店に売り込むとします。営業の経験がない新入社員や、経験が浅い社員は、「これだけ材料にこだわっています」「製造過程にもこだわりがあります」など、商品の特徴や魅力を延々と説明してしまいがちです。しかし、小売店として最も知りたいのは、恐らく「その商品が売れるかどうか」ではないでしょうか。他社製品よりもどのような点が優れているか、どのようなプロモーションを行っているかなどを説明した方が、「うちでも取り扱ってみよう」という気持ちになりやすいでしょう。

ピラミッドストラクチャーを活用する・しないにかかわらず、相手の立場に立って物事を考えられるようになると、成果につながりやすくなります。

根拠は多ければ良いというわけではない

相手の理解を得るためには、主張だけでなく根拠を示すことが重要ですが、根拠は多ければ良いというわけではありません。多すぎると、かえって話が入ってこなくなることもあります。

Yahoo!アカデミア学長の伊藤羊一氏は、ピラミッドの2段目は3つが目安で、3段目は1つの根拠に対して1つか2つで良いと述べています。

さらに、1段目は「結論」、2段目は「根拠」、3段目は「たとえば」と考えると、わかりやすくなるとも述べています。「私はこう考えます(1段目)。なぜならこのような3つの根拠があるからです(2段目)。1つめの根拠は、たとえばこういうことです(3段目)。」というようなイメージです。

ピラミッドストラクチャーを作成する際は、ぜひこの点も意識してみてください。

参考:自分の話を“超一言”で包み込め。1分で人を動かし、記憶に残る「伝え方の極意」|新R25 – シゴトも人生も、もっと楽しもう。

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以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。

1.ロジカルシンキング研修

ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します

学びのポイント

  • 小グループで得られた情報を論理的に整理し、確定情報・曖昧情報・不要な情報を選り分ける
  • 大グループで全体に必要な情報を論理的に判断・共有することや、自分たちに足りない情報を聞き出すことが求められる。

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2.クリティカルシンキング研修

クリティカルシンキング研修のアクティビティ「混乱する捜査会議からの脱出」では、推理ゲームで論理的に情報を整理するなかで証拠の違和感に気づき、仮説立てや検証を行って目標を達成します

学びのポイント

  • 証拠品や証言など多くの情報を手分けして読み、組み合わせて論理的に結論を導き出す
  • フェーズが進むごとに情報が増え、複雑になっていくなかで必要な情報を取捨選択する
  • 出た結論に満足せず、常に新しい情報と照らし合わせて再検証する

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3.PDCA研修

PDCA研修のアクティビティ「ロケットPDCAチャレンジ」では、パーツを組み合わせてロケットを制作し打ち上げ結果から原因を考えて、より良く飛ぶロケットに改善していき、目標の達成を目指します

学びのポイント

  • 計画を立ててロケットを飛ばし、その結果から組み合わせの誤り・部品の不足・不良部品の有無を推察し、それを繰り返すことで組み合わせの精度を上げていく
  • 資金稼ぎ・パーツの選択・打ち上げの準備を繰り返し、作戦タイム振返りを経て行動を改善していくことで、最適化されていく

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4.OODA LOOP研修

OODA LOOP研修では、瞬間的な判断力が求められる運動系のアクティビティである「サバイバルゲーム」または「チャンバラ合戦」を実施することで、意思決定のフレームワークである「OODA LOOP」を実践的に習得することを目指します

学びのポイント

  • 敵チームをよく観察して作戦を練り、状況に応じた行動を素早く判断しながら、チームで共有して一体となって行動する
  • ミッションの勝利条件をもとに、観察、判断、行動を繰り返すことで、本当にすべき行動が何なのか、行動の最適化を行う

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まとめ

ロジカルシンキングの代表的なツールの1つ、ピラミッドストラクチャーを紹介しました。ピラミッドストラクチャーは、プレゼンテーションや交渉、提案、文書作成など、さまざまなシーンで役立ちます。活用できるようになると、主張の説得力が増すだけでなく、仕事をスピーディーにこなせるようになるでしょう。

 

あそぶ社員研修」は、受講者全員が没入して取り組むアクティビティと専門講師の講義・振り返りをブリッジすることで、翌日から業務で活用できる知識・スキルが身につく研修プログラムです。
アクティビティが受講者の主体性を高めてコミュニケーションを促進させ、スキルアップやチームビルディングをはかれます。
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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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