社会人基礎力「前に踏み出す力」とは?3要素、メリット、伸ばす方法を解説

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社会人基礎力の1つ「前に踏み出す力」には、社会人として必須の「主体性」も含まれています。ビジネスパーソンとして仕事をスムーズに進めるためにも、前に踏み出す力が必須です。

本記事では、社会人基礎力における「前に踏み出す力」の概要、メリットや注意点、前に踏み出す力を伸ばす方法について解説します

 

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社会人基礎力とは

「前に踏み出す力」は、経済産業省が提唱した社会人基礎力における3つの要素のうちの1つです。社会人基礎力は、「前に踏み出す力」のほか、「考え抜く力」「チームで働く力」で構成されており、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」として提唱されました

日本の平均寿命は延びており、現代は「人生100年時代」ともいわれています。定年も引き上げられ、60歳を過ぎても働く人が今後増えていくでしょう。そんな現代には、ライフステージの各段階で活躍し続けるスキルが欠かせません。

社会人基礎力は社会人になる前の学生だけでなく、幅広い年齢層のビジネスパーソンにとって身につけておくべきスキルといえるでしょう。

出典:社会人基礎力(METI/経済産業省)

社会人基礎力については、以下の記事で詳しく紹介しています。

社会基礎力とは?構成要素や必要性、高めるために必要なこと

 

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「前に踏み出す力」とは

ここでは、社会人基礎力の1つ「前に踏み出す力」について詳しく解説します。

「前に踏み出す力」の定義

「前に踏み出す力」とは、失敗を恐れずに自分で試行錯誤しながら一歩前に踏み出して粘り強く取り組む力のことです。ビジネスパーソンとして成功するためには欠かせないスキルの1つといわれています。

「前に踏み出す力」に求められること

「前に踏み出す力」には、受容的にただ指示を待つのではなく、物事を能動的にとらえて自ら進んで行動できるようになることが求められます

また、仮に仕事で何か失敗したとしても、粘り強く挑戦し続ける力が求められます。このような「前に踏み出す力」には「主体性」「働きかけ力」「実行力」の3要素が必要といわれています。

「前に踏み出す力」に必要な3要素

「前に踏み出す力」に必要な要素は「主体性」「働きかけ力」「実行力」の3つです。それぞれについて詳しく解説します。

1. 主体性

「主体性」は、自らやるべきことを見つけて、積極的に取り組む力のことです。前に踏み出す力のなかで最も大切な要素といわれます

たとえば、周りが忙しそうにしているのにぼんやりして「言われてないからやっていない」という姿勢では主体性があるとはいえません。また、マニュアルがないと動けない、自分で考えて行動に移せない人も主体性が欠けているといえるでしょう。

主体性がなければ「仕事ができない人」という印象を与えがちです。そんな印象を変えるためには、周りの状況をよく観察し「今、自分は何をすべきか」を考えることが大切になります。

主体性は、日頃の習慣や考え方での積み重ねで身につくものです。仕事だけでなく、プライベートでも自分ができることはないか考え、行動するよう習慣づけましょう。

2. 働きかけ力

「働きかけ力」とは、周囲の人々を巻き込んで同じ目標に向かって引っ張っていく力のことです。他の人を巻き込んで「協力してもらう力」とも言い換えられます。

多くの仕事は、さまざまな人々と関わり、協力し合いながら進める必要があります。1人で仕事を抱え込んでしまうと心身の負担を大きくしてしまうだけでなく、目標を達成するのも困難になってしまうことがあるでしょう。

上司や同僚など協力を得られる人にタスクを割り振り、協働してもらうことで、効率よく仕事を進めることができます。体調不良で出勤できない人がいてもタスクを割り振りしていれば、他のメンバーがその役割を補うことが可能です。また、チームの中でも意欲を失っている人を巻き込み、その人のモチベーションを高めることも「働きかけ力」に含まれます。

働きかけ力がなく、仕事を1人で抱え込んでしまう場合は、体調不良など何か問題を生じたときにもサポートし合うことができません。周囲の人々を巻き込んで引っ張っていく力は、チームで仕事を進めるために大切なものといえるでしょう。

3. 実行力

前に踏み出す力における「実行力」とは、設定した目標を確実に実行する力のことを指します

目標を設定したにも関わらず、いつまでも行動に移さないのは実行力がないといえるでしょう。前に踏み出す力における「実行力」は、目標設定だけでなく、実際に行動に移せるかどうかがポイントになります。どんなに完璧に計画を立てたとしても、実行しなければ意味がありません。

「前に踏み出す力」を伸ばすメリット

ここでは「前に踏み出す力」を伸ばすことのメリットについて解説します。

1. 仕事を効率よく進められる

前に踏み出す力の中の「主体性」を備えると指示を待つ時間が不要なため、仕事を効率よく進められます。また「働きかけ力」で周囲を巻き込み、タスクを割り振ってチームで協力し合うことで、よりスムーズに仕事を進められるでしょう。

前に踏み出す力があることは、個人の負担を減らすだけでなく、チーム全体の効率アップにつながります。さらに、仕事を効率よく進められる実感をもつため、チームメンバーのモチベーションを高めることに役立てられるでしょう

2. コスト削減・売上の向上につながる

仕事を効率よく進められることで、他の仕事に時間を費やすことも可能になる場合もあります。タスクを並行して進められることにより、結果的に残業を減らすことやコスト削減にも貢献できるでしょう。

「効率よく仕事を進められる」ことは「多くの仕事をこなせる」ということです多くの仕事をこなすことで、売上の向上にもつながる可能性があります

3. 信頼を得られる

前に踏み出す力の「実行力」は、計画したことをしっかりと遂行できる力のことです計画通り行動できる人は、仕事において信頼を得ることができます

さらに信頼を得ることで、仕事や人間関係を円滑に展開できるようになるでしょう。そのため「前に踏み出す力」は、社内・社外問わずに欠かせないスキルの1つといえるでしょう。

「前に踏み出す力」における注意点

「前に踏み出す力」は、失敗を恐れず一歩前に踏み出して粘り強く取り組む力のことですが、いくつか注意点がありますので確認しておきましょう。

1. 自分の立場や状況を把握する

前に踏み出す力で最も大切なのは「主体性」ですが、求められていないことをやっても「余計なお世話」の思われてしまうかも。しっかりと自分の置かれる立場や状況を把握したうえで、主体的に進めることが大切です

まだ仕事に慣れておらず、やるべきことがわからない場合は、上司や先輩に「何をしたらいいですか?」と積極的に聞いてみましょう。求められていない状況で積極的に行動すると、状況判断力がない印象を与えてしまいます。

2. 自分1人で抱え込まない

「主体性がある」ということは、タスクをすべて1人で抱え込むことではありません。他の人に頼ることも大事であることを忘れないようにしましょう。前に踏み出す力における「働きかけ力」の要素を忘れないことが大切です。

仕事で大切なのは、チーム全体の効率を上げることですが、すぐに人に頼り、自分の仕事量を減らすことは「働きかけ力」とは異なります。チームメンバーの能力を見極めてタスクを振り、全員が同程度の仕事量で効率よく進める状態が理想です

3. ハードルを下げ過ぎない

目標や計画を立てる際に、実行しやすいようハードルを下げることで、自分の成長の機会を失ってしまう可能性があります。目標・計画を立てるのは、課題の解決を図るためです。周囲の信頼を得るためだけでは意味がありません。

目標や計画を立てる際は、自分が成長し、かつ会社の利益になるようやや高めのラインで設定することが効果的です。ただし、目的や計画を立てること自体が目的にならないように、設定したら必ず実行しましょう

「前に踏み出す力」を伸ばす方法

「前に踏み出す力」は日々意識をすることで伸ばすことが可能です。以下では「前に踏み出す力」の中でも特に重要な「主体性」に焦点を当て、その伸ばし方を紹介します。

1. 日頃から自分の考えをもつ

まず、日頃から「自分の考えをもつこと」が大切です。日常生活の中で「自分ならどうするか」を考え、自分なりの結論を導き出すように心がけましょう

自分の考えを上手くまとめられない場合は、紙に書き出すことがおすすめです。最初は上手く言語化できなくても、紙に書くことで思考が整理され、考えをまとめることができます。

2. 自ら判断する機会を増やす

次に自分の考えを確認したら、その考えに沿った行動に移す必要があります。仕事だけでなくプライベートにおいても、小さなことでも良いので、自分で判断する機会を増やしましょう

実践的なトレーニングの良い例は「一人暮らし」です。一人暮らしは、自分で住む場所を決め、家具や電子機器類を購入するなど、判断しなければならない機会がたくさんあります。生活の中でも「いつ掃除するか」「いつ洗濯するか」など、毎日小さな事柄でも自分で判断して行動すること必要になるため、一人暮らしは強制的にトレーニングを実践することになります。

3. 周囲を気にし過ぎない

周囲を気にし過ぎないことも、トレーニングの1つです。主体的に行動すると、どうしても他の人よりも目立ってしまうこともあります。しかし、周囲の視線を気にするあまり、必要な行動ができなければ、前に踏み出す力を伸ばすことは難しくなってしまうでしょう。

自分で想像するよりも周囲の人は興味をもっていないことが多いもの。自意識過剰にならないように意識することが大切です

4. 自分の役割を理解する

主体性をもって仕事に取り組むためには、自分の立ち位置や担当業務の役割を理解することが大切です

具体的には「社会の中で自社は、どのような役割を果たしているのか」という広義の部分から「会社の中で所属する部署はどのような位置づけなのか」「他部署とはどのような関係性なのか」「自分の業務はどのような役割を担っているのか」という段階を経て、役割を理解していくと良いでしょう。

そうすることで、自身のミッションが明確になり、当事者意識をもって仕事に取り組めるようになります。

5. リーダータイプの人を参考にする

前に踏み出す力における「働きかけ力」がある人は、いわゆるリーダータイプです。チームを上手にまとめるリーダータイプの人が身近にいる場合は、参考にしてみてください。

リーダータイプの人は、周囲の声がけやフォローを上手にこなしています。どのようなタイミングで声をかけているのか、どんな風にフォローしているのかを参考にし、自分自身の行動に取り入れてみましょう

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以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。

1.ロジカルシンキング研修

ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します。

学びのポイント

  • 小グループで得られた情報を論理的に整理し、確定情報・曖昧情報・不要な情報を選り分ける
  • 大グループで全体に必要な情報を論理的に判断・共有することや、自分たちに足りない情報を聞き出すことが求められる。

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2.クリティカルシンキング研修

クリティカルシンキング研修のアクティビティ「混乱する捜査会議からの脱出」では、推理ゲームで論理的に情報を整理するなかで証拠の違和感に気づき、仮説立てや検証を行って目標を達成します。

学びのポイント

  • 証拠品や証言など多くの情報を手分けして読み、組み合わせて論理的に結論を導き出す
  • フェーズが進むごとに情報が増え、複雑になっていくなかで必要な情報を取捨選択する
  • 出た結論に満足せず、常に新しい情報と照らし合わせて再検証する

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3.合意形成・アサーティブコミュニケーション研修

合意形成・アサーティブコミュニケーション研修のアクティビティ「コンセンサスゲーム」では、危機的な状況下でどの物資を優先して確保すべきかをチーム内で議論し、最適な結論を導きます。

学びのポイント

  • 各々が個人ワークで考えた答えを聞くことで、チームメンバーの状況に対する認識や物資の重み付けの違いを受講者が理解する
  • 話し手は自分の答えにいたった理由を論理的・説得的に説明する
  • より良い根拠を導き出すための比較検討をして、チーム全員が納得する結論を出す

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4.リーダーシップ研修

リーダーシップ研修のアクティビティ「グレートチーム」では、チームの運営を疑似体験することでリーダーシップやマネジメントを学びます。

学びのポイント

  • メンバーのリソース管理や育成、リーダーとしての決断を繰り返すことで、いろいろなリーダーシップの型を知ることができる
  • 現代に合わせたリーダーシップの発揮の必要性を知り、⾃分らしいリーダーシップを学べる

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まとめ

社会人基礎力の「前に踏み出す力」とは、失敗を恐れず、一歩前に踏み出して粘り強く取り組む力のことです。「主体性」「働きかけ力」「実行力」の3要素で構成されており、その中でも「主体性」は社会人として欠かせない要素といわれています。

この「主体性」がなければ、職場で活躍する機会を失いがちです。まずは、自分の存在意義や担当業務の役割をしっかり理解し、主体性をもって行動に移せるように取り組みましょう。

前に踏み出す力を備えることができれば、効率的に仕事を進めることができるため、周囲からの信頼も得られます。自分の立場や状況をわきまえたうえで行動することが大切ですが、失敗を心配し過ぎずに勇気を出して一歩前に踏み出してみましょう。

 

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この記事の著者

藤 琴乃

フリーランスのWebライター。大学卒業後はバレエダンサーや法人営業、Web編集職、Webディレクター職を経験。記事作成に限らず、企画立案やオウンドメディアの立ち上げ、オンライン事務など幅広い仕事に携わっています。

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