体験型研修とは?代表的な形式やメリット・デメリットを紹介

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以前は、「研修」といえば、学校の授業のように講師の講義を聞く座学型研修がほとんどでした。しかし最近は、ディスカッションやロールプレイング、ビジネスゲームなど、受講者が学んだことを体験できるアクティビティが組み込まれた「体験型研修」を実施する企業が増えています。

本記事では、体験型研修とはどのような研修なのか、体験型研修の形式や、メリット・デメリットを解説します。さらに、体験型研修を進化させた「没入型」の研修サービスも紹介していますので、より効果的な研修を実施したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

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体験型研修とは

体験型研修とは、受講者が能動的かつ主体的に参加できるようなプログラムが組み込まれた研修のことをいいます

「研修」と聞くと、座って講義を聞くセミナー形式の研修を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。受講者に新しい知識をインプットしてほしい場合は、このような座学型研修が適しています。また、座学型研修は、一度に多くの情報を伝えることができるため、短時間で効率よく学んでもらえるという点もメリットといえるでしょう。しかし、座学型研修は、どうしても受講者が受け身になりがちです。その場では理解できたつもりでも、講義を聞くだけでは、なかなか実践につながりにくいでしょう。研修のなかにアクティビティを取り入れ、体験しながら学んでもらうことで、その知識やスキルが実際に現場でどのように生かせるのかを理解しやすくなります。

座学型研修にも、体験型研修にも、それぞれメリット・デメリットがあります。どちらが優れているというわけではなく、バランスよく組み合わせることが大切です。

体験型研修の形式

一口に「体験型研修」といっても、さまざまな形式があります。ここでは、代表的なものとして「ワークショップ」「ケーススタディ」「ブレインストーミング」の3つを紹介していきます。

ワークショップ

ワークショップとは、テーマに関するアクティビティを通して知識やスキルを学ぶという学習方法です。ワークショップは、基本的には、ファシリテーターが中心となり進めていきます。ファシリテーターとは、簡単にいえば研修の司会・進行役です。しかし、ただ流れに沿って進行するだけでなく、時には受講者に質問を投げかけて意見を引き出したり、気づきを与えたりなど、学習を促す役割も持っています。

ワークショップは、基本的には次の流れで進めていきます。

1.アイスブレイク

まず、気軽な質問を投げかけたり、クイズを出したりして、受講者の緊張をほぐします。研修の冒頭でアイスブレイクを実施することで、研修中も意見が出やすくなります。

2.アクティビティ

研修のテーマに関連するアクティビティ(学習活動)を行います。

3.振り返りと共有

アクティビティのなかで気づいたこと、感じたことを各自で振り返り、受講者同士で共有します。

アクティビティには、次に紹介するケーススタディやブレインストーミング、そのほかにも、ディスカッションやロールプレイ、フィールドワークなどさまざまな手法があります。

ケーススタディ

ケーススタディとは、過去に実際起きた事例を分析して解決方法を考えるという学習方法です。日本語では「事例研究」とも呼ばれています。事例を疑似体験することで、問題解決力や対応力、洞察力などが鍛えられます。ケーススタディは、グループでも、個人でも実施できます。

研修で実施する場合は、次のような流れで進めていきます。

1.導入

ケーススタディとは何か、なぜ研修で実施するのか、進め方などを説明します。

2.事例とテーマの発表

分析してもらう事例と、テーマ(例:問題の解決策を提示する、売り上げアップにつながる施策を提案する など)を発表します。

3.ケーススタディの実施

受講者はまず、資料などを読み込んで事例を正しく把握します。そのあと自分なりの結論をまとめ、全員で結論を共有します。グループで実施する場合は、ディスカッションを行うのもおすすめです。

4.まとめ

最後に、その事例では実際にどのように対応したのか、その結果どうなったのかを受講者に伝えます。

ケーススタディについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

ケーススタディとは?実施するメリットや進め方、注意点を解説

ブレインストーミング

ブレインストーミングとは、複数人で話し合って創造的なアイデアを生み出し、問題の解決を目指すという討議方法のことです。人数に決まりはありませんが、あまり多すぎると発言できない受講者が出てくるかもしれませんので、512人ずつのグループに分けて行うのがおすすめです。

ブレインストーミングは、自由な発想で新たなアイデアを生み出すことを目的としています。そのため、実施する際は「他者の意見を否定しない」「自由に発想する」「できるだけ多くの意見を出す」「他者のアイデアを活用する」という4つの原則を守らなければなりません。

研修でブレインストーミングを実施する場合は、次のような流れで進めていきます。

1.導入

ブレインストーミングとは何か、なぜ研修で実施するのか、進め方や原則などを説明します。

2.テーマの発表

ブレインストーミングで話し合ってもらうテーマを発表します。

3.ブレインストーミングの実施

受講者にテーマに関するアイデアや意見を自由に出してもらい、出揃ったら親和性で分類・整理していきます。

4.発表・まとめ

グループごとに発表を行い、全員で全体を振り返って研修を締めくくります。

 

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体験型研修のメリット

では次に、研修に体験型のプログラムを取り入れることで、具体的にどのようなメリットが得られるのか、詳しく見ていきましょう。

受講者の学びが定着しやすい

座学で学んだことを、さらに体験して学ぶことで、学習内容への理解がより深まるといわれています

ラーニングピラミッドという考え方があります。学習方法ごとの学習定着率を、ピラミッド型の図に当てはめたものです。これによると、座学(講義を聞く、本や資料を読む、映像・音声で学ぶ)による学習定着率は520%ですが、グループで討議することで50%、自ら体験することで75%になるとされています(※ただ、数値の根拠の乏しさは指摘されています)。

受講者には、研修でただ新しい知識をインプットしてもらうだけでなく、そのあとしっかり学んだことを生かせるようになってもらわなければなりません。体験を通して身体を使って学ぶことで、その知識を活用できる場面や、活用の仕方などをイメージしやすくなります。研修の翌日から、業務で実践できるようになるでしょう。

その場で受講者にフィードバックができる

座学型研修は、「一人の講師 対 複数人の受講者」という形で行われることが多いです。そのため、講師と受講者が一対一で向き合うことはほとんどありません。研修のなかで質問タイムが設けられることもありますが、積極的に手を挙げて質問する受講者ばかりとは限りません。仮にそのような受講者ばかりだったとしても、「多くのことを伝える」ことを重視する座学型研修では、一人ひとりの疑問にしっかり向き合うのは時間的にも難しいでしょう。

体験型研修では、受講者が「できるようになる」ことを重視するため、ファシリテーターが適切なタイミングで、チームや個人に対してフィードバックを与えていきます。受講者は、「実践する→フィードバックをもらう→改善する」というプロセスを体験できるため、学びが身につきやすくなるのです。間違いがある場合も、速やかに軌道修正することができるため、現場ではすぐに正しい方法で実践できるようになります。

コミュニケーションが活性化する

先ほど紹介したように、体験型研修にはさまざまな形式がありますが、個人ではなく複数人で課題に取り組んでもらうケースが多いです。そのため、受講者の間に自然にコミュニケーションが生まれるというメリットがあります

もちろん、受講者のなかには積極的に発言するのが得意ではない人もいるでしょう。体験型研修では、ファシリテーターが交流を促すサポートをしてくれるので、全員が主体的に研修に参加するようになります。

コミュニケーションが活性化し、受講者同士で良好な関係が築ければ、チームワークも高まります。業務が円滑に進むようになる、生産性が向上するといった効果も期待できるでしょう。

なお、コミュニケーションを活性化させる方法は、研修以外にもあります。詳しくは以下の記事で紹介していますので、参考にしてみてください。

社内コミュニケーションを活性化させる方法とは?施策例と成功事例を紹介

体験型研修のデメリット

研修に体験型プログラムを取り入れることで、さまざまなメリットが得られることがわかりました。しかし、体験型研修には、次のようなデメリットもあります。そのため、冒頭でもお伝えしたとおり、座学型研修とバランスよく組み合わせることが大切です。

研修の効果はファシリテーターに左右される

体験型研修は、ファシリテーターの存在が非常に重要ですファシリテーターの力量で、受講者が学習内容と体験をつなげられるか、体験から気づきを得られるか、実践につなげられるかどうかが変わってくるといっても過言ではありません。

先ほどお伝えしたように、ファシリテーターは単なる司会・進行役ではなく、受講者の学習を促す役割も持っています。多様な意見を理解し整理する力、受講者の意見を引き出す質問力、時間をコントロールする力など、ファシリテーターにはさまざまなスキルが求められます

最近は、ファシリテーターに必要な知識やスキルを身につけられる「ファシリテーション研修」を提供している研修会社もあります。研修でファシリテーターになってもらう社員には、あらかじめこのような研修を受けてもらい、必要な知識やスキルを習得してもらっておきましょう。または、社内にファシリテーションスキルが高い社員がいない場合は、研修会社から派遣してもらうのも1つの方法です。

多くの情報を伝えるのは難しい

体験型研修は「受講者が体験すること」、そしてそれを「できるようになること」を重視します。アクティビティやフィードバックに多くの時間を使えるように設計されることが多いため、座学型研修に比べて、受講者に伝えられる情報量はどうしても少なくなります。そのため、受講者に伝えたい情報が多い場合は、座学型研修のほうが適しているといえます。

まずは講義で基礎知識をインプットしてもらい、そのあとで関連するアクティビティを実施するというように、座学型と体験型をバランスよく組み合わせると、効率よく知識やスキルを習得してもらうことができるでしょう。

体験型研修を進化させた「没入型研修」とは

株式会社IKUSAは、体験型研修と座学型研修を組み合わせた、「没入型研修」という新しいスタイルの研修を提供しています。さまざまなテーマに関連する体験型のアクティビティが組み込まれています。どのアクティビティもチームで実施するものとなっており、チームビルディングにつながるように設計されているのが大きな特徴です。アクティビティを実施したあとは、関連する講義とグループワークを実施し、実践につながるスキルを身につけていただきます。

没入型研修なら、受講者が前のめりになって学習し、翌日からすぐに学んだことを実践できるようになるでしょう。

没入型研修の具体例3

没入型研修の具体例として、「PDCA研修」「ビジネスマナー研修」「ロジカルシンキング研修」の3つを紹介します。

1.PDCA研修

PDCA研修は、業務改善や効率化の基本的なフレームワークである「PDCAサイクル」の活用法を学ぶ研修プログラムです。まず、「ロケットPDCA」というアクティビティでPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の4ステップを回すことを体験し、そのあとでPDCA講義により理解を深めていきます。新入社員や若手社員におすすめの研修です。

【研修の流れ】

1.アクティビティ「ロケットPDCA

制限時間内にロケットの打ち上げ成功につながるパターンを見つけてもらいます。具体的には、資金の確保、部品の購入、打ち上げテストなどを行います。

2時間

2.講義・グループワーク

PDCAサイクルを回すうえでの注意点、行動計画の作り方、PDCAサイクルの活用シーンなどを講義とワークで学びます。

4時間

3.振り返り・フィードバック

各チームで研修を振り返ります。ファシリテーターからのフィードバックも実施します。

1時間

※時間は目安

なお、PDCAサイクルについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

PDCAサイクルとは?具体例や各ステップのポイントをわかりやすく解説

2.ロジカルシンキング研修

ロジカルシンキング研修は、近年注目を集めているロジカルシンキング(論理的思考法)の基礎や、実務での生かし方を学ぶ研修です。まず、ジグソー法を用いたアクティビティ「リアル探偵チームビルディング」でロジカルシンキングの重要性を体験し、そのあとでロジカルシンキング講義により実践的なスキルを身につけていきます。こちらも、新入社員や若手社員におすすめの研修です。

【研修の流れ】

1.アクティビティ「リアル探偵チームビルディング」

大グループのなかに小グループがあり、小グループごとに異なる情報が与えられます。それぞれが持ち寄った情報を整理・分析し、大グループとしての答えを出すというアクティビティです。

2時間

2.講義・グループワーク

ロジカルシンキングに必要なフレームワーク(MECE、ロジックツリーなど)を講義で学び、グループで課題に取り組んでもらいます。

3時間

3.振り返り・フィードバック

各チームで研修を振り返ります。ファシリテーターからのフィードバックも実施します。

1時間

※時間は目安

なお、ロジカルシンキングについては、以下の記事でも解説しています。

ロジカルシンキングとは?思考法やツールをわかりやすく解説 

3.交渉術・ネゴシエーション研修

交渉術・ネゴシエーション研修は、交渉における事前準備の重要性や、コンセンサスをとるための話し方、対応力などを身につける研修です。まず、ビジネスカードゲーム「ワールドリーダーズ」で交渉することを体感し、そのあとで講義・グループワークを行い実践につなげます。若手社員や中堅社員におすすめの研修です。

【研修の流れ】

1.アクティビティ「ワールドリーダーズ」

企業の経営者となり、与えられた資金や労働力、情報を使い、利益を拡大させていくというビジネスカードゲームです。

2.53.5時間

2.講義・グループワーク

さまざまなシーンにおける交渉術の活用法を、座学やグループワークで学びます。

1.53.5時間

3.振り返り・フィードバック

各チームで研修を振り返ります。ファシリテーターからのフィードバックも実施します。

0.5時間

※時間は目安

まとめ

研修のなかに、聞く・見る以上の「体験」があることで、受講者の主体性を引き出すことができ、学習内容も定着しやすくなります。ただ、体験型研修は「できるようになること」を重視する研修スタイルであるため、受講者に多くの情報を伝えたいという場合は、座学型研修のほうが適しているでしょう。体験型、座学型にそれぞれメリット・デメリットがあります。より効果的な研修にしたいなら、両方をバランスよく組み合わせることが大切です。

 

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アクティビティが受講者の主体性を高めてコミュニケーションを促進させ、スキルアップやチームビルディングをはかれます。
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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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