人材育成とは?階層別のポイント、課題と解決策をわかりやすく解説

2023.12.07
  • 組織・人材開発

変化の激しい時代のなか、企業を成長させていくために欠かせないのが、社員(人)です。採用に力を入れることももちろん大切ですが、人材の獲得競争はどんどん激しくなっていくことが予想されますので、人材育成に取り組み、既存社員を成長させていくことが重要です。

今回は、そもそも人材育成とは何か、なぜ重要なのかをまず解説し、人材育成の手法や、階層別のポイント、多くの企業が抱えている人材育成の課題とその解決策を紹介します

 

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人材育成とは

人材育成とは、企業の目標やビジョンの達成に貢献できるような社員を育てる取り組みのことです。人材育成は、企業が成長するために欠かせません。社員一人ひとりが最大のパフォーマンスを発揮できるようになると、生産性が向上し、業績アップも期待できます。また、人材育成に取り組むことで、育成対象の社員だけでなく、指導する側も成長できます。さらに、人材育成は全社で取り組むものなので、協力し合う組織風土も醸成されやすくなるでしょう。

人材育成と聞くと、新入社員を育てるというイメージを持たれるかもしれませんが、人材育成は、さまざまな階層を対象に行われます。一般的に、次のような目標のために行われることが多いです。

対象

目標

新入社員

社会人として必要な知識やスキルの習得

中堅社員・管理職

専門的な知識やスキルの習得、リーダーシップやマネジメント能力の向上など

人材育成の手法についてはのちほど詳しく紹介していますが、基本となる「OJT」「Off-JT」「自己啓発」の3つは、「人材育成の3本柱」といわれています。

人材教育や人材開発との違い

人材育成と意味が似ている言葉に、人材教育と人材開発があります。それぞれの意味を確認していきましょう。

まず、人材教育とは、社員に知識やスキルを教えることをいいます。「人材教育は人材育成の手段の1つ」と整理されることが多いです。

そして、人材開発とは、社員個人の能力を開発することをいいます。人材育成も人材開発も、どちらも社員を成長させるための取り組みですが、人材育成は対象の社員全員を一定のレベルまで引き上げるもの、人材開発は個人の能力を最大化させるもの、というイメージです。人材育成は、対象の社員全員を同じゴールに向けて育成しますが、人材開発は、個々の社員がそれぞれゴールを設定してスキルや能力の向上を目指します。

なぜ人材育成が重要なのか

少子高齢化の影響で、多くの業界で人手不足が深刻化しており、今後はより一層、人材の獲得競争が激化することが予想されます。そのようななかでも企業を成長させていくためには、社員一人ひとりの能力を高め、生産性を向上させていかなければなりません

また、バブル世代が定年を迎えるとともに、経営幹部の世代交代が加速することが予想されます。そのため、次世代のリーダー(経営幹部)の育成も、多くの企業で課題となっているようです。加えて、現代はテクノロジーの進展により、VUCA時代(※)と呼ばれるほど変化の激しい時代となっています。このようななかで競争を勝ち抜いていくためには、変化にも迅速かつ適切に対応できる次世代リーダーの育成が急務といえます。

これら理由から、人材育成の重要性は年々高まっています。企業が今後も成長し続けていけるよう、人材育成に力を入れていきましょう。

VUCA時代……「VUCA」は、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取ったものです。変化が激しく、将来を予測することが難しい状況であることを表しています。

人材育成の手法

ここからは、人材育成の具体的な手法を紹介していきます。

OJT

OJTとは、「On-The-Job Training」の略称で、職場で実務を通して行われる教育や訓練のことです日本語では「職場内訓練」と呼ばれることもあります

OJTは、基本的にはマンツーマンで行われ、指導者を「トレーナー」、育成の対象者を「トレーニー」といいます。実践的なスキルが身につく、トレーニーの踏力や理解度に合わせた指導ができる、指導するなかでトレーナーも成長できるなどのメリットがあります。

実務を通して教えるといっても、トレーニーにいきなり業務をやらせる、仕事を見て覚えさせるなどというものではありません。OJTは、基本的にShow(やってみせる)→Tell(説明する)→Do(やらせてみる)→Check(評価・追加指導)の4ステップで進めていきます。

なお、OJTについては、以下の記事で詳しく解説しています。

OJTとは?Off-JTとの違いやメリット・デメリット、効果を高めるポイントを紹介

Off-JT

Off-JTとは、「Off-The-Job Training」の略称で、職場から離れて行われる教育全般を指します日本語では「職場外研修」と呼ばれることもあります

Off-JTの具体例

Off-JTは、「集合型研修」と「eラーニング」の2種類に分けることができます。

集合型研修

複数人の対象者を1つの会場に集めて行う研修のことです。階層別に行われるものだけでなく、営業研修やエンジニア研修のような業務・職種別の研修や、コミュニケーション研修、リーダーシップ研修のようなスキル別の研修もあります。

eラーニング

インターネットを利用した学習のことです。受講者は、時間と場所を選ばずに学習できます。テキストや動画だけでなく、アニメーションやCGVRなどを使って教材を作成するケースもあります。

 Off-JTは、複数人を一斉に教育できる、指導にバラツキが出にくい、受講者同士のコミュニケーション活性化につながるなどのメリットがあります。

Off-JTを実施する目的は企業によってさまざまですが、業務に必要な知識やスキルをインプットしてもらうために行われることが多いです。Off-JTでインプットし、OJTで実践(アウトプット)というような流れがつくれると、効率よく知識やスキルを身につけてもらうことができるでしょう。

なお、Off-JTについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

Off-JTとは?OJTとの違い、実施するメリットや効果を高めるポイントを解説

自己啓発

自己啓発とは、社員が自分の意思で学び、成長を目指すことです。社員の自主的な学びを支援するさまざまな制度を、「自己啓発援助制度」といいます。「Self Development System」を略して、「SD」や「SDS」と呼ばれることもあります

自己啓発援助制度の具体例

具体的には、以下のような制度や仕組みが自己開発援助制度に該当します。

  • 資格を取得するための受験料、テキスト代などを負担する。
  • 勉強会やセミナーへの参加費を負担する。
  • 資格や技能に対して手当を支給する。
  • 図書購入費用を負担する。

自己啓発援助制度を充実させることで、社員の学びに対するモチベーションを引き出すことができるでしょう。

その他の手法

ここまで、「人材育成の3本柱」と呼ばれる基本的な手法である「OJT」「Off-JT」「自己啓発」の3つを紹介してきましたが、その他にも、以下のような手法があります。

メンター制度

新入社員や若手社員(メンティ)を、知識や経験が豊富な先輩社員(メンター)が支援する制度です。基本的にはマンツーマンで支援が行われ、キャリアに関することや職場内での悩みなど、さまざまな問題解決をサポートします。

MBO(目標管理制度)

「マネジメントの父」とも呼ばれるピーター F. ドラッカーにより提唱されたマネジメント手法です。社員自身に目標を設定してもらい、進捗や達成度合いに応じて評価を決めます。MBOは、「Management by Objectives」の略称です。

ジョブローテーション

社員の成長を促すために行う、戦略的な部署異動のことです。社員に企業全体を把握してもらう、自分の適性を見つけてもらう、マネジメントスキルを身につけてもらうなど、さまざまな目的で行われることがあります。

1on1ミーティング

社員の成長を促すための11の面談のことです。一般的な面談のように、上司から指導やアドバイスをするのではなく、社員の話を聞くことに重きを置き、双方向のコミュニケーションで成長をサポートします。

コーチング

社員が自ら目標を達成できるようにサポートするコミュニケーションの取り方のことです。具体的な指示を与えるのではなく、質問を投げかけたり、気づきを与えたりすることで、社員のなかから答えを引き出します。

ストレッチアサインメント

その社員にとって難易度の高い業務を、あえて割り当てることです。成功すれば、本人は大きな自信を得ることができ、モチベーションアップにもつながるでしょう。

階層別の人材育成のポイント

次に、人材育成のポイントを階層別に紹介します。

新入社員~若手社員

新入社員または若手社員を対象とした人材育成は、実施するタイミングによって、以下の点を重視しましょう

新入社員には、自分の仕事の意味をしっかり理解してもらうことも大切です。「この仕事が何のためになるのだろう」「自分には合っていないのかもしれない」と感じると、モチベーションも下がってしまいます。この仕事が誰の役に立つのか、取り組むことでどのようなスキルが身につくのかなどを、わかりやすく伝えましょう

そして、学んだことをしっかりと自分のものにしてもらうために、積極的に実践の機会を与えるのもポイントです。

中堅社員

中堅社員には、他の社員をディレクションできるようにリーダーシップスキルを身につけてもらうことが重要ですリーダーのポジションを任せたり、OJTのトレーナーになってもらったりして、他者をリードする機会を与えることで、自身のリーダーシップを発揮できるようにサポートしましょう。

また、中堅社員はこなさなければならない業務が多く、忙しさからモチベーションも下がりやすいといえます。成果だけでなく努力もしっかり評価したり、今後のキャリアについて考える機会を与えたりして、モチベーションを引き出すことも大切です。

管理職

管理職には、マネジメントやコーチングなど、専門性の高いスキルが求められます。これらを習得・向上させるために、Off-JTが行われることが多いですが、知識や経験が少ない講師では、高い学習効果は得られません。管理職の人材育成は、一から十まで社内で実施しようとせず、外部の専門家の手を借りるのがおすすめです。

人材育成の課題と解決策

最後に、多くの企業が抱えている人材育成の課題と、その解決方法を紹介します。

1.指導する人材と時間が不足している

厚生労働省の『令和4年度「能力開発基本調査」』によると、約8割の事業所が、能力開発や人材育成に何らかの問題があると回答しています。具体的な問題点としては、「指導する人材が不足している」が58.5%と、最も多くなっています。また、45.3%が「人材育成を行う時間がない」と回答しています。この調査結果から、多くの企業で、人材育成を行うための人材と時間の確保が大きな課題となっていることがわかります。

出典:令和4年度能力開発基本調査|調査結果の概要1企業調査 50.3(PDF)|厚生労働省

解決策

このような課題を抱えているなら、複数の異なる手法を組み合わせて育成プログラムを設計することで、解決につながるかもしれません。先ほど紹介したように、人材育成にはさまざまな手法がありますが、特に指導者と時間の確保が難しいのが、OJTです。OJTは、基本的にマンツーマンで行われるため、育成対象の社員一人につき一人のトレーナーを確保しなければなりません。また、トレーナーは自身の業務と並行してOJTを行わなくてはならないため、その分時間も取られます。

OJTに入る前に、基本的な知識やスキルなどを、あらかじめ集合型研修やeラーニングで身につけてもらっておけば、トレーナーの負担を減らすことができます。指導する人材や時間が不足していると感じているなら、他の手法を組み合わせられないか、一度検討してみてはいかがでしょうか。

また、OJTは、ある程度仕組みを整えることも大切です。教える内容や評価基準を決めておくと、指導をスムーズに進められるようになるので、トレーナーは時間を管理しやすくなります。

2.指導する側の育成スキルが不足している

こちらも、OJTのよくある課題(デメリット)の1つです。株式会社日本能率協会マネジメントセンターが2022年に実施した「新人・若手社員のOJTに関するアンケート」では、63.6%が「指導にバラツキがある」、42.0%が「指導側の意識や能力が不足している」ことを、課題として挙げています

ちなみにこの調査でも、OJTの課題として最も多かったのは、「指導者に余裕(時間)がない」(64.7%)でした。

参考:新人・若手社員の「OJT」に関する調査結果|JMAM(ジェイマム)のプレスリリース

解決策

この課題を解決するために重要なのが、前項でも紹介しましたが、OJTの仕組みを整えるということです。教える内容や評価基準を決めておくことで、指導のバラツキを軽減できます。OJTに入る前にトレーナーを対象とした研修を実施すれば、人材育成に対する考え方や教え方を統一したり、不足しているスキルを身につけてもらったりもできるでしょうOJTは、現場に丸投げしないということが大切です。

3.予算をかけられない

先ほど紹介した厚生労働省の『令和4年度「能力開発基本調査」』では、能力開発や人材育成の問題として、12.7%の事業所が「育成を行うための金銭的余裕がない」と回答しています

人材育成にはさまざまな手法がありますが、特にコストがかかるのがOff-JTです。集合型研修を行うなら、会場費や受講者の交通費、宿泊費などが必要になりますし、eラーニングなら、教材作成費用やLMS運営費用などがかかります。また、準備をするのに多くの時間と労力も必要になります。

人材育成は企業の成長のために不可欠ですが、コストや時間がかかる一方で、業績や生産性にどのように影響を与えたかという効果が見えにくいため、人材育成よりも即戦力の採用に注力する企業も多いのです。

解決策

このような課題を抱えている場合も、複数の手法を組み合わせることで、解決につながる場合があります。たとえばOJTは、普段の業務のなかで行われるため、Off-JTよりもコストがかからないことが多いです。もし、現在実践的な内容までOff-JTで教えているという場合は、その部分をOJTにできないか検討してみてはいかがでしょうか

また、Off-JTは論理的・体系的な知識の習得に、OJTは実践的なスキルやノウハウを学ぶのに向いています。このように、それぞれの手法に特徴がありますので、コストや時間、担当者の負担といった部分だけでなく、「どのように組み合わせれば効果的か」という点も考慮しながら、育成プログラムを見直してみてください

まとめ

本記事でも紹介したとおり、人材育成には、基本的な手法である「OJT」「Off-JT」「自己啓発」をはじめ、さまざまな手法があります。どの手法にもそれぞれ特徴がありますので、企業の状況や育成対象に合った手法を選びましょう。また、複数の手法を組み合わせることで、コストを削減できたり、現場社員の負担軽減につながったりすることもあります。現在採用している手法が適切か、一度見直してみてはいかがでしょうか。

少子高齢化やテクノロジーの進展により、人材育成の重要性が高まっています。今後も企業が成長し続けられるよう、優秀な人材を確保(採用)することだけでなく、既存社員を育てることにも注力していきましょう。

 

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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。
不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。
猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

あらたこまち

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