ラテラルシンキングとは?ロジカルシンキングとの違いや鍛え方、例題を紹介

2023.11.22
  • ビジネススキル
    • ロジカルシンキング

ロジカルシンキングやクリティカルシンキングをはじめ、「〇〇シンキング」という言葉をよく耳にするようになりました。それだけ、現代のビジネスパーソンには思考力が求められていることがわかります。

ラテラルシンキングも、近年注目されている思考法の1つです。

本記事では、ラテラルシンキングとはどのような考え方なのか、注目されている理由や、実践するメリット、鍛え方や例題を紹介していきます

 

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ラテラルシンキングとは

ラテラルシンキングとは、日本語では「水平思考」といわれている思考法です。「クリエイティブシンキング」や「イノベーションシンキング」と呼ばれることもあります。ラテラルシンキングは、1967年に、イギリス人のエドワード・デ・ボノ博士により提唱されたものです。多くのアイデアを生み出したいときには、このラテラルシンキングが適しています

ラテラルシンキングを簡単に表すなら、「常識や固定観念にとらわれずに自由に発想し、考えること」といえます。ラテラルシンキングで考えることで、これまでにない斬新なアイデアが生まれやすくなり、その結果として、問題を最短ルートで解決できたり、コストの削減につながったりすることもあります。

ロジカルシンキングとの違い

ラテラルシンキングをより深く理解するために、ここからは、ロジカルシンキングと比較しながら解説していきます。

ロジカルシンキングとは、「各要因・要素をモレ・重複なく整理して全体を把握し、筋道を立てて論理的に正解を導き出す」という考え方です。日本語では「論理的思考法」と呼ばれています。ロジカルシンキングも、現代のビジネスパーソンが身につけるべき思考法の1つです。ロジカルシンキングを鍛えることで、分析力や問題解決力、プレゼンテーション能力など、ビジネスに必要なさまざまなスキルの向上が期待できます。

ラテラルシンキングとはどのような違いがあるのか、詳しく見てみましょう。

垂直に積み上げるか、水平に広げるかの違い

ロジカルシンキングとラテラルシンキングでは、「考える方向」が違います。

ロジカルシンキングは、1つの正解に向かって「垂直」に考えを掘り下げていくイメージです。そのため、垂直志向(Vertical Thinking)とも呼ばれています。まずはできるだけ多くの事実やデータを集め、それらを1つずつ順番に積み上げて、論理的に正解を導き出していきます。正解に至るまでの思考の各ステップがきちんとつながっていなくてはならず、結果よりプロセスを重視するというのが、ロジカルシンキングの1つの特徴です。

一方、ラテラルシンキングは、英単語のlateral(水平な)が意味するとおり、「水平に」に思考を広げ、次々とアイデアを生み出していきます1つのきっかけから発想を拡散させるようなイメージです。ラテラルシンキングは、答えにたどりつくまでの順番やプロセスは重視しません。それよりも、自由な発想でどれくらい多くのアイデアを出せるかという結果を重視します

「答え」の数の違い

ロジカルシンキングとラテラルシンキングでは、「答え」の数も違います。

ロジカルシンキングは、1つの正解を導き出そうとする考え方です。そのため、データや事実を基に考えます。

一方、ラテラルシンキングは、答えは1つではありません。ラテラルシンキングは思考の幅を広げることを目的とした思考法なので、「それも良いね」と思えるアイデアはすべて答えとなります。つまり、答えが多ければ多いほど良いということです。

ロジカルシンキングとラテラルシンキングの特徴を比較

ここで、ロジカルシンキングとラテラルシンキングの特徴を整理してみましょう。

 

ロジカルシンキング

ラテラルシンキング

目的

論理的に考えて正解を導き出す

思考の幅を広げて多くのアイデアを生み出す

考える方向

垂直に掘り下げる

水平に広げる

重視すること

データや事実に基づいているか、思考の各ステップがつながっているか

前提や常識にとらわれずに自由に発想する

答えの数

多ければ多いほど良い

ロジカルシンキングとラテラルシンキングは相互補完の関係

ロジカルシンキングとラテラルシンキングを含め、世のなかにはさまざまな思考法がありますが、どのような場面にも対応できる完璧な思考法というものはありません。それぞれに特徴がありますので、異なった思考法をバランスよく使い分けられるようになることが大切です

たとえば、ラテラルシンキングで多くのアイデアを出すことで、選択肢は広げることができますが、実際に実行できるものは限られているため、ロジカルシンキングで絞っていく必要があります。しかし、何かの課題についての解決策を考えるときに、はじめからロジカルシンキングに偏って考えると、思考や行動は限定されたものになってしまう可能性が高いでしょう。

このように、ロジカルシンキングとラテラルシンキングとは相互補完の関係にあります。新しいものを生み出すときは、まずはラテラルシンキングで思いつく限りのアイデアを出し、ロジカルシンキングで最適な答えを導き出すという流れが基本といえます。

なお、ロジカルシンキングについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

ロジカル・シンキングとは?思考法やツールをわかりやすく解説 

クリティカルシンキングとの違い

近年注目されている思考法の1つに、クリティカルシンキングがあります。こちらも、ラテラルシンキングと混同しがちな思考法です。クリティカルシンキングとは、「常識や前提条件をまず疑い、ものごとの本質を見極める」という考え方で、日本語では「批判的思考」と呼ばれています

ラテラルシンキングとの違いとしては、ラテラルシンキングは、多角的な視点から多くのアイデアを出すことを目的としていますが、クリティカルシンキングは、ものごとを正確に見極めることが目的といえます。ラテラルシンキングで考えるためには、まず自分のなかにある常識や固定観念を取り払う必要があります。それらを疑うところから入るクリティカルシンキングを身につけることで、思考の幅も広がりやすくなるでしょう。

なお、クリティカルシンキングについては、以下の記事で詳しく解説しています。

ロジカルシンキングとクリティカルシンキングの違いとは?定義やメリット・注意点を解説

ラテラルシンキングが注目されている理由

ラテラルシンキングが注目されているのは、企業間競争が激化するなかで、ロジカルシンキングだけでは他社との差別化につながるような新しいアイデアを生み出すことが難しいためです

先ほどお伝えしたように、ロジカルシンキングはデータや事実を基にして、1つの正解を導き出します。しかし、データや事実は過去のものです。変化のスピードが速い現代においては、それらを基に導き出した答えが正解ではなくなっていたり、時代遅れになっていたりする可能性もあるのです。これに対してラテラルシンキングは、データや事実、これまでの常識やあらゆる前提にもとらわれずに自由に発想するので、変化にも柔軟に対応することができます

変化のスピードが速いということは、チャンスが多いということでもあります。ラテラルシンキングでこれまでにないようなアイデアを生み出し、競争を勝ち抜いていきましょう。

ラテラルシンキングのメリット

ラテラルシンキングでものごとを考えることで、どのようなメリットがあるのでしょうか。

新たなアイデアが生まれやすくなる

ラテラルシンキングは、これまでの常識やイメージにとらわれない思考法なので、独創的なアイデアが生まれやすくなるというメリットがあります

たとえば、アメリカのケチャップメーカーである「ハインツ」は、昔はガラス瓶でケチャップを販売しており、それが1つのトレードマークにもなっていました。しかし、競合他社から中身を絞り出しやすいチューブ入りのケチャップが販売されたことで、シェアが低下してしまいます。シェアを挽回するための策として、まず思いつくのは、「ガラス瓶をやめる」のか、「ケチャップを液状に変えるか」ですが、ハインツは、ラテラルシンキングで「訴求方法を工夫する」という策を思いつきました。ユーザーに「ハインツのケチャップはトマトをふんだんに使っているから出にくい」というメッセージを伝えることで、ユーザーにとって「ケチャップが出にくい」ことがネガティブなことではなくなり、シェアを挽回することに成功したのです。

このように、ラテラルシンキングで考えることで、ロジカルシンキングでは思いつかないようなアイデアが生まれやすくなります

参考:「3分でわかる ラテラル・シンキングの基本」(著者:山下貴史 / 出版社:株式会社日本実業出版社 / 発売:2008年)

コストや時間を削減できる場合がある

ラテラルシンキングで考えた結果、コストや時間の削減につながることがあるでしょう

たとえば、1970年に開催された大阪万博では、開門前から多くの来場者が集まっていましたが、入り口付近は来場者の数に比べると極端に狭くなっていました。しかし来場者たちは、開門と同時に我先にと走り出します。事故を防ぐために、来場者に「走らせない」ための策が必要でした。

ロジカルシンキングで考えると、「警備員を増やす」「ゲートを広げる」、「入場者を制限する」などが考えられますが、採用されたのは「開門を待っている人に会場案内図を配布する」でした。走りながら紙を見ることは難しいため、結果として、ロジカルシンキングで考えた案よりも、コストも時間もかけずに、走る人を減らすことができました。

結果論ではありますが、ラテラルシンキングで考えることで、このようなメリットが得られる場合もあるのです。

参考:「ずるい考え方 ゼロから始めるラテラルシンキング入門」(著者:木村尚義 / 出版社:あさ出版 / 発売:2011年)

ラテラルシンキングの鍛え方

次に、ラテラルシンキングの鍛え方を紹介します。

疑う力を鍛える

まずは、常識やあらゆる前提を疑うところからはじめていきましょう。こうすることで、自分のなかにある思考の枠が取り払われ、発想の幅が広がります。

疑う力を鍛えるために、次の3つの言葉を自分に問いかける癖をつけてみてください。

  • なぜ?
    小さい子どもに「なぜ?」と聞かれて、「そういうものなんだよ」「これが普通なのだよ」しか返せなかったという経験はありませんか? 普段は流してしまっていること、気にも留めていないことに対しても、「なぜ?」を問いかけてみましょう。
  • 本当?
    自分が正しいと思い込んでいるだけで、実は正しくないということもあるかもしれません。そのことに気づけないと、間違った答えを導き出してしまうことになります。
  • 今はね
    あらゆるものは時代とともに変化します。「普通こうじゃないか」「××なんて絶対無理だよ」などといわれたら、素直に受け入れるのではなく、「今はね」と返してみましょう。

オズボーンのチェックリストを活用する

「オズボーンのチェックリスト」とは、アメリカの実業家であるアレックス・F・オズボーン氏が考案したフレームワークで、あるテーマや問題に対する答えを、次の9つの視点で考えてみようというものです

項目

質問の仕方

転用(Put to other uses

ほかに使い道はないか?(そのままで、または改善・改良することで)

応用(Adapt

ほかに似ているものや真似できるものはないか?

変更(Modify

何か変えられないか?(意味、色、動き、音、匂い、様式、型など)

拡大(Magnify

より大きくしたり、何か加えたりすることはできないか?

縮小(Minify

より小さくしたり、何かを減らしたりすることはできないか?

代用(Substitute

ほかに代用できるものはないか?(素材、アプローチ法など)

再配置(Rearrange

入れ替えてみてはどうか?(レイアウト、順序、要素など)

逆転(Reverse

逆にしてみてはどうか?(前後、上下、左右、立場など)

結合(Combine

組み合わせてみてはどうか?

普段からこのような質問を自分に投げかけることで、ラテラルシンキングが鍛えられるでしょう。

研修で学ぶ

ラテラルシンキングを学べる研修を行っている研修会社もありますこのような研修を受講するというのも、ラテラルシンキングを鍛える1つの方法です

内容は研修会社によってさまざまですが、まずラテラルシンキングの基本的な考え方についての講義があり、その後ワークで実践という流れでプログラムが組まれているものが多いです。

【例題】ラテラルシンキングで考えてみよう

最後に、1つクイズを出します。ラテラルシンキングで答えを考えてみてください。

【例題】オレンジの分け方

ある日の帰り道、あなたは駅前に来ていた移動販売で、産地直送のオレンジを13個買って帰りました。家に帰ると、親戚の子どもが3人遊びに来ていました。オレンジを3人の子どもたちに平等に分けるには、どうすればよいでしょうか。

解答

答えはいくつ思い浮かびましたか? ここからは、解答としてオレンジの分け方を4パターン紹介します。

方法11人あたりオレンジ4個+13

まずは、シンプルに数で分けるという方法です。1人に4個ずつ分け、余った1個をナイフで切って3等分して、13ずつ配ります。おそらく、多くの人が思いついた方法ではないでしょうか。

方法2:数ではなく重さで分ける

オレンジは1つひとつ大きさが違うため、単純に数で分けるのは平等とはいえないかもしれません。そこで、数ではなく、重さで分けるというのが2つめの方法です。まず13個のオレンジの重さを量って、同じくらいの重さになるように4個ずつ配り、そこで生じた差を余った1個で調整します。

方法1と、この方法2は、いずれもロジカルシンキング的な考え方といえます。方法1は大きさで、方法2は味や色といった個性で不満が出る可能性があるでしょう。では、ラテラルシンキング的な考え方ならどのような方法があるのでしょうか。方法3、方法4を見てみましょう。

方法3:ジュースにして分ける

例題には「加工してはいけない」という条件はありませんので、ジュースにして分けても構いません。「このシチュエーションでオレンジを分けるなら、普通そのまま分けるだろう」という思い込みにとらわれていると、この発想は出てこないでしょう。

方法4:オレンジの種を植える

例題には「今、この場でオレンジを分ける」といった条件も書かれていませんので、余ったオレンジの種をまいて、実ったオレンジを分けるという方法でもOKです。

ちなみに、オレンジ(みかん)が実を結ぶようになるのは種をまいてから5年後、多くの実をつけるようになるのは10年目くらいからだそうです。

まとめ

常識や固定観念にとらわれずに自由に発想するラテラルシンキングについて解説しました。ラテラルシンキングでものごとを考えることで、新たなアイデアが生まれやすくなるだけでなく、結果的にコストや時間の削減につながることもあります。

ラテラルシンキングは、自分のなかにある思い込みをいかに手放せるかがポイントです。日頃から、あらゆる前提を疑ってみたり、オズボーンのチェックリストにある9つの質問を自分に投げかけたりする癖をつけると、ラテラルシンキングを身につけることができるでしょう。

 

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この記事の著者

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。
不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。
猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

あらたこまち

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