ペーパータワーとは?研修での活用法や注意点も解説

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ペーパータワーは、A4用紙のみを使用してより高いタワーを作ることを目指す体験型ゲームです。45人のグループを組んで実施することで、グループ内の心理的安全性を高めたり、相互理解や協力意識を高めることでチームビルディングにつなげたりすることができます。

また、ペーパータワーは聞く力・伝える力に関するコミュニケーションスキル、短時間で意思決定をする合意形成スキル、グループを先導するリーダーシップなどのさまざまなビジネススキルが求められるゲームであるため、研修での実施に適しています。

本記事では、ペーパータワーの概要、ルールや用意する物、実施する際の流れ・注意点、研修で活用するメリット・効果や具体的な方法・ポイントについて紹介します

 

 

ペーパータワーとは

ペーパータワーは、A4用紙30枚だけを使用して、より高いタワーを作ることを目指す体験型ゲームです

ペーパータワーでは、A4用紙を折ったりちぎったりして加工し、組み合わせてタワーを作ります。A4用紙以外の道具を使うことはできません。計測時に自立していることが条件となり、最も高いタワーを作ることができたグループの優勝となります。

ペーパータワーを実施する際には、作戦タイム、組立タイムが各5分間となります。5分間の短い作戦タイムの間にグループで話し合い、どのように紙を加工するか、誰が何を担当するかなどを決めます。そのなかで、コミュニケーションスキル、合意形成スキル、リーダーシップなどのビジネススキルが求められます。

また、体験型ゲームに楽しく取り組むことで、参加者の主体性が向上するため、研修で活用することに適しています。体験型ゲームを通じて主体性が発揮され、集中して研修に取り組むことにつながります。

ペーパータワーで鍛えられるビジネススキル

以下では、ペーパータワーを実施することで鍛えられるビジネススキルを紹介します。

コミュニケーションスキル

コミュニケーションスキルとは、聞く力・伝える力などのコミュニケーションに関する基礎的なビジネススキルです。ペーパータワーでは、自分の考えを同じグループの参加者に伝えることや、他者の意見を聞く傾聴力などのコミュニケーションスキルが求められます。

合意形成スキル

合意形成スキルとは、グループでの話し合いを通じてコンセンサスを取るスキルです。コンセンサスは「意見の一致」を指します。話し合うことで、どのようにタワーを作るのが最善かを論理的に検討することができ、より適した答えを導き出すことができます。合意形成スキルは会議や商談などのさまざまなビジネスシーンで求められます。

関連記事:コンセンサスゲームを研修で活用するメリットと注意点を解説

リーダーシップ

リーダーシップとは、統率力や指導を指します。具体的には、組織・チームをまとめて、目標達成に向けて導くスキルです。ペーパータワーでは、「全グループのなかで最も高いタワーを作る」という明確な目標に対して取り組みます。リーダーシップを発揮できる方がいると、作戦タイムや組立タイムでグループの仲間を引っ張り、目標達成に近づくことができます。

なお、リーダーシップについては下記の記事で詳しく解説しています。

関連記事:リーダーシップとは?定義や理論をわかりやすく解説

ペーパータワーと近しい内容のゲーム例

ペーパータワーと同様に、グループでタワーを作る体験型ゲームとしてマシュマロチャレンジが挙げられます。

マシュマロチャレンジ

マシュマロチャレンジは、パスタの乾麺を使ってグループで最も高いタワーを作ることを目指す体験型ゲームです。マシュマロチャレンジではパスタの乾麺の他に、ひも90cm、マスキングテープ90cmを使用することができます。マシュマロがタワーの上に乗っているかパスタの乾麺に刺さった状態で倒れずに静止できていることが条件となり、ペーパータワーよりもやや難易度が高い体験型ゲームとされています。

関連記事:マシュマロチャレンジとは?ルール・研修での実施方法・効果を解説

ペーパータワーを実施する際に用意する物

  • 1グループあたりA4用紙30枚(別途、作戦タイムに1枚使用する)
  • タイマー(ストップウォッチやスマートフォンアプリなど)
  • 計測するためのメジャー
  • 水平なテーブル

グループの数×31枚のA4用紙と、各グループが時間を把握できるようにするためのタイマーがあればペーパータワーを実施することができます。また、ペーパータワーを作成するための水平なテーブルと高さを計測するためのメジャーを各グループに1つずつ用意することも必要です。

ペーパータワーのルール

  • 1グループあたり45人とする
  • 5分間の作戦タイムでグループごとに作戦を立てる
  • 5分間の組立タイムでタワーを作る
  • 組立タイム終了後、10秒が経過してから計測タイムとする
  • 計測が完了するまでタワーが自立できていることが成功条件となる
  • A4用紙は折ったりちぎったりすることができる

ペーパータワーのルールはシンプルで、簡単な説明をすれば実施できるでしょう。組立タイムが終了した後に、10秒経過してから計測することがポイントとなります。グループごとの有利不利が生じないようにするために、すべてのグループの計測を同時におこなうのがおすすめです。計測する際は、タワーに触れて倒すことのないように注意する必要があります。

ペーパータワーを実施する際の流れ

ここからは、ペーパータワーをおこなう際の流れと各工程の概要を紹介します。

必要な物の準備

まずはペーパータワーで使用する物を用意します。A4用紙、タイマー、テーブル、メジャーが必要となります。

ルール説明

ペーパータワーを実施する際には、参加者に向けてルール説明をおこないます。ペーパータワーのルールはシンプルですが、やっていいこと・いけないことをきちんと説明することがポイントとなります。また、基本的にはペーパータワーを作成する際のコツやヒントなどは伝えず、各グループで考えられるようにすることが重要です。

作戦タイム

作戦タイムは5分間となります。5分間でどのようにしてタワーを組み立てるか(方向性)、誰が何をおこなうか(役割分担)をおこなう必要があります。グループごとに合意形成のプロセスが異なり、場合によっては時間内に決定できないグループがでてくる可能性もあります。

組立タイム

組立タイムは5分間となります。5分間が経過するまでタワーを積み上げていき、静止した状態で終える必要があります。各グループにタイマーを用意したうえで、1分、30秒など、残り時間をアナウンスするとよいでしょう。

計測タイム

組立タイムが終了した後、10秒経過したら計測タイムに移ります。計測をおこなう担当者がメジャーを使ってタワーの高さを測り、タワーがテーブルに接している位置から頂点までの高さが記録となります。計測中にタワーに触れて倒れたり崩れたりすることがないように気を付けて、イスなどを使用して計測しましょう。

振り返り

各グループの計測が完了したら、振り返りをおこないます。うまくできたこと・できなかったことを各グループ内で挙げていき、改善する方法を検討します。また、研修として実施する場合には、研修テーマに合わせて講師が解説をおこなうと効果的です。振り返り後にペーパータワーに再挑戦することで、1回目よりも好記録をだすことができて合意形成や振り返りの重要性を実感できます。

ペーパータワーを実施する際の注意点

以下では、ペーパータワーをおこなう際に押さえておきたい注意点について紹介します。

優勝することよりも楽しく意欲的に取り組むことを優先させる

ペーパータワーをおこなう際の目標は「最も高いタワーを作ること」ですが、体験型ゲームを活用することで主体性が高まるため、参加者が楽しく取り組めるようにすることも大切です。ペーパータワーの進行をおこなうファシリテーターが和やかな雰囲気作りをおこない、参加者が楽しく前向きに取り組めるようにしましょう。

計測方法を明確にして準備をしておく

ペーパータワーを公平に実施するために重要なポイントは、すべてのグループに対して、同じ計測方法で、同時に計測することとなります。グループごとに有利・不利が生じてしまうと不信感のもととなる可能性があります。

ペーパータワーの計測時のポイントは、組立タイムが終了して10秒経過してから測ること、タワーとテーブルの接点を0として測ること、計測時にタワーに触れないように気を付けることの3つとなります。担当者に共有し、適切な方法で計測をおこなえるように準備しておきましょう。

参加者の自主性を促して任せる

ペーパータワーを実施する際には、グループごとに異なるプロセスでコンセンサスを取り、より高いタワーを作ることを目指していきます。そのプロセスや方法に絶対の正解はなく、自分たちで考えることが重要になるため、ファシリテーターがコツや方法を伝えずに、参加者の自主性に任せることが大切です。

ペーパータワーを研修で実施するメリット・効果

以下では、ペーパータワーを研修に取り入れることで得られるメリットや効果について紹介します。

受講者の主体性が向上する

ペーパータワーは体験型ゲームの1種ですが、グループで取り組めるゲームを取り入れることで、受講者の主体性が向上しやすくなります。一般的な研修では講師に対して受け身で学ぶ形となりますが、体験型ゲームをおこなう際には、受講者の各々が自分で考えて行動したり、同じグループの仲間と協力したりすることが求められるため、自然と主体性が向上します。

研修テーマの学びが深まる

ペーパータワーでは、コミュニケーションスキル、合意形成スキル、リーダーシップなどのビジネススキルが求められます。そのため、それらのスキルと関連付けて講義をおこなうことで、体験を通じて得た実践的な学びと講義で得た知識が結びつき、深く理解することにつながります。

たとえば、コミュニケーションスキルを研修テーマとして設定する場合には、聞く力(傾聴力など)や、伝える力(アサ―ションなど)に関する講義をおこなうことで、研修の学びを深めることができます。また、ペーパータワーを体験した後と、講義の後に、講師が振り返りをおこなうことも重要です。

受講者同士のチームビルディングにつながる

体験型ゲームを取り入れることで、グループで一緒に取り組む際に自然とコミュニケーションが促進されます。また、チームビルディングにおいては相互理解が重要であるとされており、体験型ゲームを通じて同じグループの受講者に対する理解が深まります。

研修を実施する際の主となる目的は「スキルの習得」であることが多いですが、チームビルディングをサブテーマとして設定する企業は少なくありません。研修の機会を活用してチームビルディングを図る際には、体験型ゲームを取り入れることが効果的です。

ペーパータワーを研修で活用する方法・ポイント

以下では、ペーパータワーを研修で活用する際の方法やポイント・コツについて紹介します。

研修テーマとペーパータワーで求められるビジネススキルを関連付けて設計する

ペーパータワーを研修に取り入れる際には、体験型ゲームの特徴と講義を関連付けて研修設計をおこなうことが重要です。ペーパータワーで発揮されるスキルを洗い出し、研修をおこなう目的や受講者に習得してもらいたいスキルと照らし合わせて、適切な研修内容になるように設計することがポイントとなります。

IKUSAでは、研修を実施する目的や、解決したい課題、受講者の特徴に合わせて、研修内容をカスタマイズすることが可能です。自社開発の体験型ゲームを活用し、受講者が主体的に学びを深められる研修設計をおこないます。また、体験型ゲームに没入できる演出をおこなうことで、受講者の主体性を高め、集中して学べる状態をつくります。

体験型ゲームを活用した研修については、ぜひIKUSAにご相談ください。

⇒研修の実施についてIKUSAに相談する

運営スタッフがサポートしてコミュニケーションを促す

体験型ゲームをおこなう際には、緊張感があることで、一部の受講者が同じグループの受講者とコミュニケーションを取ることをためらってしまう場合があります。主体的な学びを促すためにもチームビルディングを図るためにも安心してコミュニケーションを取れることが重要となるため、研修の運営に関わる担当者が各グループに声掛けをして、積極的にコミュニケーションを取れるように促すことが大切です。

また、コミュニケーションにおける緊張感を緩和するには、アイスブレイクを活用することが効果的です。アイスブレイクとは、頭を使ったり軽く体を動かしたりする簡単なゲームを指します。簡単なゲームを楽しむことで緊張がほぐれ、コミュニケーションの促進につながります。

体験型ゲームは本番にあたり、最初から受講者の全員が心理的安全性の高い状態になっていることが求められます。体験型ゲームで受講者同士のコミュニケーションを促進させるのではなく、最初から積極的に取り組めるようにするためにアイスブレイクを活用しましょう。

なお、短時間でできるアイスブレイクについては、下記の記事で詳しく紹介しています。

関連記事:短時間でできるアイスブレイク30選!所要時間ごとに紹介

まとめ

ペーパータワーは、ビジネススキルの向上やチームビルディングなどのさまざまな効果が期待できる体験型ゲームです。ビジネススキルが求められるため研修との相性が良く、活用することで研修に対する理解を促したり、主体性を高めたりすることができます。

体験型ゲームを活用した研修については、ぜひIKUSAにご相談ください。

⇒研修の実施についてIKUSAに相談する

 

 

以下では、講義・アクティビティ一体型の研修テーマの例を紹介します。

1.合意形成・アサーティブコミュニケーション研修

合意形成・アサーティブコミュニケーション研修のアクティビティ「コンセンサスゲーム」では、危機的な状況下でどの物資を優先して確保すべきかをチーム内で議論し、最適な結論を導きます。

学びのポイント

  • 各々が個人ワークで考えた答えを聞くことで、チームメンバーの状況に対する認識や物資の重み付けの違いを受講者が理解する
  • 話し手は自分の答えにいたった理由を論理的・説得的に説明する
  • より良い根拠を導き出すための比較検討をして、チーム全員が納得する結論を出す

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2.PDCA研修

PDCA研修のアクティビティ「ロケットPDCAチャレンジ」では、パーツを組み合わせてロケットを制作し打ち上げ結果から原因を考えて、より良く飛ぶロケットに改善していき、目標の達成を目指します。

学びのポイント

  • 計画を立ててロケットを飛ばし、その結果から組み合わせの誤り・部品の不足・不良部品の有無を推察し、それを繰り返すことで組み合わせの精度を上げていく
  • 資金稼ぎ・パーツの選択・打ち上げの準備を繰り返し、作戦タイム振返りを経て行動を改善していくことで、最適化されていく

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3.戦略思考研修

戦略思考研修のアクティビティ「ワールドリーダーズ」では、労働力や資本を使って事業を設立し、利益を稼ぐことを目指します。

学びのポイント

  • 不確実な状況のなかで自チームにとって最適な行動方針を考え、実行していく
  • 戦略を決めるために与えられた手段のなかでどの情報を取得していくかの優先順位決めが求められる

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4.コミュニケーション研修

コミュニケーション研修のアクティビティ「謎解き脱出ゲーム」では、チームでコミュニケーションをとりながら問題に隠された法則を発見する謎解きゲームのクリアを目指します。

学びのポイント

  • 受講者が「自分しか見えていない情報・問題・解き方」をチームで共有することでコミュニケーション促進やスキルアップにつながる
  • 突飛な発想・ヒラメキをチームのなかで積極的に発言できる心理的安全性の高い環境づくりが求められる

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5.ロジカルシンキング研修

ロジカルシンキング研修のアクティビティ「リアル探偵チームビルティング」では、チームに配られた断片的な情報を取捨選択し、論理パズルを完成させ、全問正解を目指します。

学びのポイント

  • 小グループで得られた情報を論理的に整理し、確定情報・曖昧情報・不要な情報を選り分ける
  • 大グループで全体に必要な情報を論理的に判断・共有することや、自分たちに足りない情報を聞き出すことが求められる

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6.クリティカルシンキング研修

クリティカルシンキング研修のアクティビティ「混乱する捜査会議からの脱出」では、推理ゲームで論理的に情報を整理するなかで証拠の違和感に気づき、仮説立てや検証を行って目標を達成します。

学びのポイント

  • 証拠品や証言など多くの情報を手分けして読み、組み合わせて論理的に結論を導き出す
  • フェーズが進むごとに情報が増え、複雑になっていくなかで必要な情報を取捨選択する
  • 出た結論に満足せず、常に新しい情報と照らし合わせて再検証する

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7.リーダーシップ研修

リーダーシップ研修のアクティビティ「グレートチーム」では、チームの運営を疑似体験することでリーダーシップやマネジメントを学びます。

学びのポイント

  • メンバーのリソース管理や育成、リーダーとしての決断を繰り返すことで、いろいろなリーダーシップの型を知ることができる
  • 現代に合わせたリーダーシップの発揮の必要性を知り、自分らしいリーダーシップを学べる

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8.ビジネスマナー研修

ビジネスマナー研修のアクティビティ「ビジトレ」では、実践形式・クイズ形式のアクティビティを通して、ビジネスマナーを楽しく学びます。

学びのポイント

  • 堅い内容になりがちなビジネスマナー研修にゲーム形式を取り入れることで、受講者が没入して学べる
  • 名刺交換や報連相などを実行し、動作・マナーに慣れることで、翌日から実践できるようになる

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9.防災研修

防災研修のアクティビティ「先が見えない防災訓練からの脱出」では、チームで協力して、防災のアイテムや知識を使用しながら謎解きゲームのクリアを目指します。

学びのポイント

  • 謎解きの答えが災害時のNG行動にまつわる内容となっており、解説時になぜ行なってはいけないかもセットで学ぶ
  • 被災時は様々な情報が飛び交うため、情報を取得する際にどのようにすれば惑わされないかを学ぶ

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10.OODA LOOP研修

OODA LOOP研修では、瞬間的な判断力が求められる運動系のアクティビティである「サバイバルゲーム」または「チャンバラ合戦」を実施することで、意思決定のフレームワークである「OODA LOOP」を実践的に習得することを目指します。

学びのポイント

  • 敵チームをよく観察して作戦を練り、状況に応じた行動を素早く判断しながら、チームで共有して一体となって行動する
  • ミッションの勝利条件をもとに、観察、判断、行動を繰り返すことで、本当にすべき行動が何なのか、行動の最適化を行う

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この記事の著者

kikuchi

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